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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
女神の悪戯 テレーセトス氏 マーテル×コレット 2004/07/13 -

「…ふう」
 誰知らぬ空間に溜息一つ。吹きすさぶ風に浅黄色の頭髪を揺らしながら大樹の精霊、マ
ーテルは嘆息した。詰まる所イライラしているのだ。取り込まれた数々の少女たちの統合
体で有り、なおかつ精霊でも有るが、残留した意思が未だに色濃く残る。それは時に、争
うように、また乗っ取るかのごとく意識を駆け巡るのだった。
 特にこの頃は、女の子が可愛く見えてしょうがない。どうも統合された人格がこの方向
で固定されてしまい、ずっと治らない。世界樹を守るのが使命であるはずなのに、トリエ
ットの町娘一人を見て頬を赤らめてしまう自分に、本気で自己嫌悪し始めていた。
「こんにちは、マーテル様」
 そんな折、コレットが様子を見に来てくれていた。ロイド共々、まめに世界樹の様子を
確かめに来てくれる。いつもなら感謝の一つでも述べるのだが、今回は状況が違った。
 自分の背後にある、まだ若木のような大きさの世界樹の周りを一回りした後、自分の前
に戻ってくる。
「マーテル様、すごいです!もうこんな大きさになっているなんて…やっぱり、みんなが
この木のことを忘れなかったからですね!」
 満面に笑顔を浮かべながら語りかけてくる。その笑顔は美しくて、まるで陽光を持って
きたかのようだった。立ち止まった時に舞う綺麗な金髪が後ろにたなびき、日を受けて輝
く。その清々しさは、まさしく天使というのにふさわしかった。その無垢な笑顔に、つい
つい口元が緩む。
「あれ?マーテル様、どうかしたんですか?」
「い…いえ…なんでもないのよ」
 きょとんとした顔で、聞いてくるコレットの質問をはぐらかし、慌てて口元を引き締め
る。

「…わわっ!」
 その瞬間、突如としてコレットがバランスを崩した。何もない所だと言うのに、前のめ
りに倒れそうになる。手を上下に動かしながら倒れていくコレットを、慌てて支える。腕
に感じるか細い感触。胸の辺りに当たる美しい金髪。少し下方から感じる暖かい吐息。受
け止めたときの衣擦れの音。その全てが合わさり、幸福感と同時に胸が高鳴る。
 咄嗟に抱きかかえたコレットの体はとても小さくて、力を込めたら折れてしまいそうだ
った。同時に、甘い香りが鼻梁を刺す。思わず上ずった声が出る。
「…ねえ、コレット。私と、遊んでみない?」
声を掛けられたコレットが顔を上げた。瑞々しく、ぷっくりとした唇がゆっくりと開く。
「マーテル様、遊ぶって…んっ」
 何かを言いかけたようだが無視して唇を重ねる。同時に、口からコレットのマナを吸い
込み、自分のマナを流し込む。普通のキス以上の、生命力と言っていい物が流れ込み、し
びれるような快感を覚える。外からの他のマナが入ったことによって、拒絶反応を起こし
たコレットは、キスが終わると同時に地面に座り込んでしまった。
「はぁ…」
 座り込んだコレットは、突然体の力が抜けたのと、キスをされたのが重なり、悩ましげ
な息を漏らした。ぼうっとして、まるで熱に浮かされたような顔だ。少し顔を紅潮させた
その表情は、ますますマーテルの胸を高鳴らせていく。そのまま、囁くように耳元に唇を
寄せて言う。
「今、貴方の体の中に、私のマナを流したわ。それに触発されて、貴方のマナが活性化し
たのよ」
「あ…え…?」
「つまり………」
 話しながら優しく頭をなでていた手を、優しさはそのままにゆっくりと耳の方へと滑り
落としていく。指がゆっくりと耳腔の中へと入り、裏側を爪が引っ掻く。
「ひゃっ!」
「とっても、敏感になってるって事よ♪」

 耳を引っ掻き、そのまま指は喉仏へと降りていく。さらに二、三回横薙ぎに爪がくすぐ
る。
「んっ…」
 喉仏を爪が掻いただけだというのに、少しだが、くすぐったさと別の感覚がこみ上げて
くる。普段との落差に戸惑う。困惑した顔をしたコレットに、マーテルが話し掛ける。
「もともと感じやすいみたいね?ここまで敏感なのは珍しいわ。…可愛い」
くすりと微笑まれて、顔が真っ赤に染まる。あわてて反論する。
「違っ…」
 言葉を全て繰り終わる前に口づける。噛み合わされた接合部からゆっくりと舌が唇を割
り、コレットの慎ましやかな口内を撫でていく。優しく、あやすように穏やかにねぶり回
していく。場所を変え、強さを変え、優しさだけを維持したまま、変幻自在に少女の口内
を蹂躙していく。
「んんっ…」
 その優しい動きですらも、今のコレットにはくすぐったさを超えてしまう。刺激が駆け
めぐり、体が熱くなって吐息が乱れる。上気した顔は艶っぽく、瞳は潤み、惚けたような
顔はこの少女の元来のあどけなさと相まって危険な魅力を醸し出していた。長い口づけが
終わり、ゆっくりと唇を離した。
「…!やっぱり、とっても可愛いわ…」
 大樹の精霊の顔が艶やかに歪む。すでにひざが折れ、さらに崩れたままへたり込むコレ
ットを見つめたマーテルが、頬を赤らめながら陶然とする。普段快活で元気な印象を持っ
た少女が、体を熱くさせ、無抵抗に日常では決して見せない姿を晒している様は繊細さに
妖艶ささえ加わったかのように感じられた。再び抱きしめる。先ほどとは違う、火照った
体の暖かみを感じ、さらに愛おしさがこみ上げる。二つの小さな隆起した果実が服の上か
らでも分かる。小柄な少女の吐息が首を撫でる。肌からは汗が浮き出ている。それらはコ
レットが興奮している証に他ならなかった。そのまま首裏に口づけ、唇を付けたまま、コ
レットの首を中心にゆっくりと顔の正面まで持っていく。そのまま静かに唇を引く。あご
の辺りに到達していた唇から糸が引いて、世界樹の辺り一面に生えている草木の一つに吸
い込まれていく。

「欲しい?」
 不意にマーテルが言う。
「ふぇ?」
 半ば意識が朦朧となっていたコレットは、その言葉で意識を現実に引き戻された。その
ままマーテルが自分の唇を指差しながら言った。
「キス。欲しいんでしょ?自分から言ったら、もう一度、いいえ、もっと気持ちよくして
あげる…」
「えっ…」
 言われたコレットは考える。自分からそんな…恥ずかしいことを言うなんて。しかし、
少し湿ったマーテルの唇を見た瞬間、その思いは一気に瓦解した。あの時の、まるで頭が
溶けていきそうな感覚。ゆっくりと快楽に犯されていく感触。優しさも伴っていて、快楽
を感じているのに包まれているような、心地の良い感情。あの口づけをもう一度貰うため
なら、少し恥ずかしい位構わないのではないか。そう思い、慎ましやかに口を開く。
「どう?」
「はい…えっと…マーテル様、もっと、いっぱいキスして下さい…」

「良く出来ました♪さあ、目を閉じて口を少し突き出して……」
 また心臓が高鳴った。今、同姓である自分に、まだ若い少女が快楽を期待して唇を求め
てきている。興奮と緊張で顔を真っ赤に染めながら快楽に溺れる状況は背徳的で、自分の
方がコレットに溺れそうだ。
 不意に、まるでその思いを振り払うように、マーテルの唇がコレットの唇に伸びる。最
初に、唇を舌で舐めあげていく。とたんに驚きでコレットの目が開く。可憐な顔にぷっく
りと浮かぶ朱唇を上からなぞり、下からあやす。唇の間に舌を差し入れて左右にくすぐる。
それだけで感覚が鋭敏になっているコレットの瞳は潤み、体が熱を帯びてくる。左右に舌
でくすぐったまますぼめた唇を押しつけ、そのまま何度か小鳥のついばみのように唇を合
わせては離す。そのまま軽く唇を押し合わせ、首を横にひねっていく。完全に二人の唇が
くっつく。そのまま、今度は荒々しくコレットの口の中を蹂躙していく。口腔の天井を突
き、押しつけるぐらいに激しく舐める。刺激を与えるたびに体を震わせる様が愛おしくて、
さらに動きを加速させる。舌を絡ませ、表面をこする。舌先で、口腔内全てを愛撫するよ
うに、いっそう激しく刺激を与え続ける。

「ふぁっ…」
 唇を塞がれているので声が出ない。一回舌をなぞりあげられるたび、口腔の天井を突か
れるたびに甘美な刺激が躰を駆けめぐり、そのたびに頭の中で何かを考える暇も無い。ま
るで唇と口内が全身になってしまったかのようだった。愛撫されているのは口の中だけの
はずなのに、身体中に刺激が響き、痺れるような感覚を覚える。不意に、向こうが少し舌
を引いた。その瞬間、気付けば、自分から舌を絡めていた。初めてなのに荒々しく。相手
をもっと求めて。
ふと、それまで刺激を享受するだけだったコレットが、自分から舌を絡めてきた。自分で
しているだけなのに、興奮してきていたマーテルは、コレットが応じてくれた事が嬉しく、
また予想外の刺激に二人の舌の動きはさらに激しさを増した。まるで貪り合うように唇を
合わせ続ける。世界樹の木の近辺で、少女と女性が激しく口づけるさまは、どうしようも
なく淫靡だった。

「んっ、んんっ―!」
マーテルの舌が、コレットの舌を包み込むように愛撫したときだった。自分から舌を絡め
ながらも敏感な感覚に身悶えしていたコレットが、ひときわ大きく震えると意識を失う。
そのときの表情が綺麗で、またもマーテルは心臓が高鳴るのを感じた。一人、囁きかける。
「あらあら、舌だけでイっちゃったのね…これからも、仲良くしましょう…ね?」
 そして、もう一度優しく微笑むと、失神したままの天使の顔に、そっと口づけたのだっ
た。
 遅れてやってきたロイドが二人のただならぬ雰囲気を感じ取って、何があったかわから
ずに困惑したのはまた別の話。


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