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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
岐路 丼兵衛氏 ゾンビリオン×エミリア(グロ警報) 2004/03/29 -

レンズハンター服を纏った少年風のいでたちをした少女が殺風景な広間に佇んでいた。

そこへ、1人の影がおぼつかない足取りで少女の方に歩み寄ってきた。
少女は影の姿を目を凝らして確認していたが、影の姿が明らかになるにつれて驚愕と
恐怖が少女の足を釘付けにした。

その影は、泥と血で汚れきって灰色に変色したボロボロの制服を着て、ボロ布と化した
マントを翻し、どす黒く変色して蛆が湧き出した腐りかけの顔と焦点の合わない虚ろな
瞳を正面に向けた少年の姿であった。

生ける屍と化した少年は、少女が悲鳴を上げる間も無く驚くべき俊敏さで少女に逃げる
隙を与えずに少女の身体に掴みかかり、所々肉が落ちて骨が露出した両手で少女の
両腕を押さえた。

"・・・キサマガ ニクイ オメオメトイキノビタキサマガニクヒ・・・・・・"


「エミリア、エミリアったら、ちょっと大丈夫!?」

明け方頃、エミリア・カトレット(人によっては旧称の「リオン・マグナス」や
「エミリオ・カトレット」とも呼ぶ)はベッドの上で呻き声を上げた。横で一緒に
寝ていた姉のルーティ・カトレットは妹の異変に気付いたのか、心配そうな表情で
未だに震えているエミリアの身体を抱き寄せる格好で介抱していた。
<坊っちゃん、凄くうなされてたみたいだけど、一体何があったの?>
ベッドの脇に置かれていたソーディアン・シャルティエも主人の異変に気が気でない
様で、やや慌てた様子で自分の主人を気遣った。
「悪い夢だ・・・」
エミリアは汗でぐっしょりと濡れた顔をルーティから渡されたタオルで拭った。
「ほら、悪夢除けにでもアンタの相棒に添い寝して貰いなさい」
ルーティはシャルティエを掴むとエミリアの胸元に押し付けた。金属の冷ややかな感触
が体温で温もってくるのと同時に底知れぬ安心感を感じさせた。
<僕はどんな時でも坊っちゃんを護っているよ>
「有難う、シャル…」
「ちょっとぉ、アタシは守ってくれない訳?」
<ハイハイ、坊っちゃんの姉君も守ってさしあげますよ>
「うむ!、それで宜しい」

エミリアは自分の姉に抱かれたまま、相棒が奏でる子守唄を背景に眠りについた。


「…あんまり内装にはカネかけない方がいいわね」
「幾ら援助があるからといって国にばかりに頼る訳にも行かないからな」

悪夢を見た次の日、エミリアはルーティとスタンを連れ立ってダリルシェイドにある
ヒューゴ屋敷の改装工事の手伝いに来ていた。かつて屋敷で働いていたメイド達には
手に余る力仕事を(無理矢理)スタンに任せた2人は屋敷の外に出て今後に備えた
打ち合わせを行っていた。
ルーティは動乱の後に主のいなくなった屋敷を孤児の為の保護施設として活用しよう
と動いていたのだが、エミリアが7将軍やスタンの勧めもあってセインガルド王国軍付
の剣術指南役を努めていた事もルーティにとって大きな助けとなっていた。

「所でさ、アンタのお勤めの方はどうなってるの?」
「何とか城内でも認められる位にはなった」
「へぇ〜、スタンの話ではアンタのファンクラブが出来てる位の人気だってね」
「スカタンめ、余計な事を姉さんに…」
「まぁいいじゃないの。アンタもいつまで経っても"変節者"扱いじゃ嫌でしょ」
「…僕としてはそれなりの償いは果たしているつもりだ」
「"償い"って、もしかしてコレの事もかねぇ〜!?」
ルーティはエミリアの脇の下から両手を伸ばし、両胸を鷲掴みにした。
「こら、姉さん、人が見ていないからってこんな事を…」

胸を揉んでくるルーティの両手を押し退けようとした時、屋敷の門柱の影からこちら
の様子を伺う怪しげな影を見つけた。エミリアが影の方向に視線を向けると、何故か
姿を見せないかの如く逃げる様に走り去った。

「姉さん、少し用事を思い出したので出かけてくる」

そう言うと、突然の事で呆然としたルーティを尻目に走って影を追いかけた。


結局、エミリアは市街地の外れの下水道出口で男を追い詰めた。もっとも、追い詰めた
というよりも男に誘導されたという印象であった。

「…何故逃げたりしたんだ」
エミリアはシャルティエを抜き、適度な間合いを空けて男と対峙している。
「…お前達には僕の姿を見せたくは無かった。特にお前にはな」
見ると、男は竜の骨で出来た羽飾り付きの仮面を被っており、全身黒尽くめの姿を一層
奇抜な風体に見せていた。それにしても男は何故顔を隠しているのか?
「何だか知らんが、とりあえずはその悪趣味な仮面を外して貴様の顔を見せろ」
「いいのか、後悔する事になるぞ」
エミリアはかつての自分と似通った姿や声色などから、この黒衣の男の言う通りに正体
を知らない方がいいと肌では感じていたが、もはやこうなっては引っ込みが付かない。
「構わん、正体が分からない方がよほど気味が悪い」
「そうか…」
黒衣の男は竜の骨で出来た仮面をゆっくりと外した。
…怒りと蔑みがない混じった紫水晶の瞳がエミリアを睨み付けていた。

(・・・僕と同じ顔!、まさか…!?)

己と瓜二つの男の顔を見た瞬間、エミリアの脳裏には悪夢の続きが鮮烈に蘇ってきた。
「あぁ・・・あ・・・」
途端にエミリアの全身から力が抜けて膝がガクガクと笑い出して止まらなくなり、
シャルティエを地面に突き立てると崩れ落ちる様にその場にへたり込んだ。

<坊っちゃん、坊っちゃん!!・・・>


"・・・ヒキョウニモ キサマハボクガウシナッタスベテヲテニイレタ!"

屍と化した少年=ゾンビリオンは死体とは思えない力の強さで押さえ付けてきた。
「はっ、離せぇっ!、この死に損ないがぁ!!」

"キサマノスベテヲウバッテヤル"

必死にもがくエミリアの口元に、唐突に剥き出しとなった剛直が突き出された。
エミリアは腐敗が始まっていた剛直に顔を背けたが、ゾンビリオンはエミリアの髪
を鷲掴みにすると強引に剛直に顔を近づけさせた。
「やぁ…嫌だぁ!!・・・うぐっ・・・」
ゾンビリオンはエミリアがたまらず口を開いた隙に、口蓋に剛直を深々と差し込んだ。

"カミキレバキサマノイノチハナイ"

エミリアの胸元に輝きを失って灰色の棒にしか見えない偏月刀が突き付けられた。
「う・・・うぅ・・・んっ・・・」
エミリアは屈辱と恐怖の余りに涙を流しながら奉仕した。

"・・・ダスゾ"

口蓋一杯に生臭い白濁液が吐き出され、エミリアの端正な顔や綺麗な黒髪を汚した。
「うぅ・・・誰かぁ、助けて…スタン、姉さん、シャルぅ・・・」
エミリアはやっとの事で這って逃れようとしたが、ゾンビリオンは虚ろな眼窩から
エミリアの哀れな姿を憎悪のこもった視線で見つめていた。

"マダ ボクノフクシュウハコレカラダ"


ゾンビリオンは利き脚を上げると、エミリアの身体を押し倒してから利き腕に狙いを
定めてから思い切り振り下ろした。
「ぐあ゛あ゛…っ!!」
エミリアの利き腕からは激痛と共に骨が砕かれる嫌な音が響き、腕はゴムで出来た
人形細工の如くぐにゃりと折れ曲がった。
しかも、余りの激痛に苦悶の表情を浮かべたエミリアの頭部をゾンビリオンは容赦無く
綺麗な髪ごと鷲掴みにし、端整な顔から思い切り地面に叩き付けた。
エミリアの顔は地面に叩き付けられ、鼻骨が折れた鼻腔から鮮血が吹き出した。
なおもゾンビリオンはエミリアの髪を引っ掴んで白濁液と鮮血と涙に塗れた顔を上げて、
ついでとばかりに片方の腕にも思い切り踵を振り下ろした。
「ああ゛ぁっ!!」
再び骨が折れる嫌な音が響いて片方の腕も力無く折れ曲がり、エミリアは上半身を地面
に付け、尻を少し上げる格好でへたりこんだ。ゾンビリオンはもはや『自分』が抵抗
出来なくなったのを確認すると、中腰の格好で浮いたエミリアの腰を掴んで偏月剣で
ホットパンツを切り裂いた。
「あ゛ぁ・・・いやぁ・・・」
力無く哀願するエミリアの姿にも動じず、ゾンビリオンはエミリアの臀部を両手で
掴み、ボロボロのタイツをずり下ろして剥き出しになった腰を強く打ち付けた。
「あぁ…やぁぁ!」


力無く哀願するエミリアの姿にも動じず、ゾンビリオンはエミリアの臀部を両手で
掴み、ボロボロのタイツをずり下ろして剥き出しになった腰を強く打ち付けた。
「あぁ…やぁぁ!」
血の混じった涎を口の端から地面になすり付けながらエミリアは苦悶し、喘いだ。
ゾンビリオンは腐乱しているとはいえ顔の表情一つ変えず、虚ろな眼窩に苦痛と
恐怖に無残な姿を晒す『自分』を執拗に攻め立てた。
「う・・・うぁぁ・・・あああぁっ!」

突然、ゾンビリオンの腰の動きが止まったかと思うと、唐突にエミリアの胎内に
白濁液を注ぎ込み、抜き出した剛直から尚も吐き出される白濁液をエミリアの全身
に振りかけ、徹底的に身体を黄味がかった粘液で徹底的に汚し、辱めた。
「う゛・・・うぅ・・・・・・」
無残な姿と化したエミリアの首筋に、鈍い光を放つ偏月刀の冷たい刃先が当てられた。

"キサマノツミハコレデキエタワケデハナイ・・・キサマナドキエテシマエ"

「あの時…僕は…死んでいれば…良かったのかな・・・」
偏月刀の刀身が上がり、少し間を置いてから振り下ろされた。薄れゆく意識の中で
エミリアが最期に見たのは、虚ろな瞳で見下ろす過去の『僕』の姿であった…。


「ん・・・、ここは・・・?」

「カトレット殿、お身体の具合は如何ですか?」

エミリアはいつの間にか王城内部の兵舎の簡素なベッドに寝かされており、その脇で
王城の衛兵とおぼしきセインガルド兵が脇で警備に当たっている様子だった。身体中
を地面かどこかにしたたか打ち付けたせいなのか、全身が打ち身と傷だらけであった
が幸いにも命に別状は無かった。
「あぁ…どうやら大事は無い様だ、迷惑をかけたな」
「いや、カトレット殿が倒れている所を発見した際に下手人と思しき怪しい奴がいて、
物凄い速さで逃げ出したので必死に追いかけたのですが、まるで神隠しにでも遭った
の様に姿を消しまして…」
「姿を消した?」
「いやいや、スタン殿やルーティ殿にも急使を遣しましたので、すぐに参られるかと
思います。それまで私達が賊を警戒するので安心してお休み下さい」
「有難う」

衛兵が部屋の外に出た後、ベッドの脇に立てかけられていたシャルティエが口を開いた。
<坊っちゃん…、坊っちゃんが突然倒れるから驚いて寿命が縮んじゃったよ!>
「シャル、剣に寿命など無いだろう。それより、あの男はどうなった?」
<それが、僕を手に取ってから暫く見つめた後に坊っちゃんの鞘に戻したんだ>
「それで」

<…『僕は覚悟を決めた上で全てを失ったが、こいつは身体を変えてまで生き延びて
全てを享受している。本当ならこいつの息の根を止めてやりたい程憎いが、この世界の
お前と姉さん達が残されるのは不憫だ』って…あれは紛れも無く坊っちゃんでしたよ>

「そうか…まぁ、何も無かっただけ良しとするかな」
<坊っちゃん?>


エミリアは黒衣の男と対面した時、ひょっとすると別の世界の自分ではないかと予感
していたので、不思議と驚きは感じていなかった。シャルティエは異常な出来事に
遭遇した割に淡々とした主人の態度に疑問を持ったのか、更に問いかけを続けようと
した時、騒々しい足音と共にドアがけたたましく開かれ、興奮したスタンとルーティ
がベッドの脇に飛び込んできた。
「リオンっ!!、怪しい奴に襲われたって!? 。俺が守ってやるから大丈夫だぞ!!」
「あんたねぇ〜、何でアタシを呼ばなかったの?!。ま、もしソイツが再びアンタを
襲ってきたらお姉さんがぶっ殺して膾にでもしてやるわよ!!」

エミリアの耳元で騒々しく喚くスタンとルーティの後ろに、屋敷で片付けを手伝って
いたマリアンの姿があった。ふと気が付くと、開け放たれたドアの外からはエミリア
が剣術の指導を行っている王城の衛兵達が心配そうに顔を覗かせていた。

(あの姿の僕は"全てを失った"と言っていたな。僕を憎んでいて当然だ…)

「ごめん…もうひとりの『僕』」

以来、黒衣の男の姿はおろか、『僕』の亡霊が目の前に現れる事は2度と無かった。 

                                    [完]


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