作品名 | 作者名 | カップリング | 作品発表日 | 作品保管日 |
人格入れ代わりネタとかどうだろう2 | 376氏(7スレ目) | ジューダス(ナナリー) ×ナナリー(ジューダス) |
2004/02/23 | - |
人目の届かない潅木の茂みの間に入り込むと、緋色の髪の女は手早く衣服を脱ぎ始めた。 振り返り、そこに立ち尽くす黒髪の少年を一瞥し。 「何をしている……さっさと済ませるぞ」 「うん…でも…」 「それとも、服を着たままの方がいいのか?」 その言葉に少年は顔を赤くした。この男の一言はいつも癇に障る、と忌々しく思いながら。 「バカっ、そうじゃなくて…!」 「なら早くしろ」 襟元をもじもじと弄りながら、ナナリーはまだ躊躇していた。 「やっぱり…これしか方法は……ないのかい?」 ジューダスは苦虫を噛み潰したような顔で頷いた。 「ああ…今バルバトスを倒したところで、元には戻れないだろうな。 術自体は奴でなく、恐らく、エルレインの力によるものだろう」 眉間に深く皺を刻む。 「何より、晶術も使えない、不馴れな身体で充分に戦う事ができない、今の僕達ではな…」 そして、悪趣味な罠だ、と吐き捨てた。 観念するしかないのか。 ナナリーは、黒衣の前をのろのろと弛めた。 既にナナリーの身体の方は一糸纏わぬ状態で、立ったまま身体をあちこち検分していた。 張りのある乳房の稜線を指がなぞっている。 「ちょっと! 人の体、気安く触らないでくれるかい!?」 ナナリーの抗議は無視される。 自分の裸身が好きにされる様子に耐えかねて、ナナリーは顔を背けた。 「…まあまあ、だな……、ん」 下腹を探っていた手が止まる。 「なんだ、奴とはまだだったのか?」 「…あ、あんな奴となんて、何もあるわけ……っ、あんたには関係ないだろ!」 別に誰とは言っていないのだが。 「ああ、別に関係はないが……面倒だな」 あまりの言い草に、ナナリーは心の中で毒づいて、仮面に手をかけた。 ジューダスが露骨に嫌な顔をする。 「自分の顔を見ながら事に及ぶなど御免なんだがな……」 「そんなのあたしだって同じだよ! 自分のツラ拝みながらなんて、冗談じゃないね!」 当て擦るように勢いよく仮面を外し、腹立たしげに前髪を掻き上げる。 中身が変われば顔付きも随分変わるものだな、とジューダスは半ば感心し眺めた。 こちらを向いたその顔は、顔だちはそのままに、ほのかに女性らしい匂いをまとっている。 不機嫌そうな眼差しは、ジューダスに彼の姉を思い出させた。 顔の造形は、やはり姉弟だな……と目を伏せ心の中でそっと笑った。 ナナリーはその視線を誤解したようだ。 「大丈夫だよ、この顔はあたしからは見えないんだからさ」 素顔を見られたくないんだろ、ということらしい。表情は険しいままだが。 正視できずに目を逸らしながら、ナナリーは最後の一枚を脱ぎ捨てた。 細い少年の身体が露になる。 ジューダスがその腕を取り、引き寄せる。 険悪な視線を絡み合わせたその様子は、抱き合うというより、掴み掛かるという表現の方が合っている。 「……いくぞ」 「……ああ」 『男女の睦み合い』とはとても呼べない不穏な空気を撒き散らしながら、二人は重なりあった。 緋色の髪の女が黒髪の少年の華奢な身体を組み敷いている。 「……逆…じゃないかい?」 女を見上げて少年が言った。 その顔は精一杯強がってみせる、引き攣り気味の笑い顔。 こんな表情を普段のジューダスが見せる事は、まず無い。 どういうことかと女が訝し気な顔をする。 「だって……やっぱり、こういうことはさ」 ああ、この体勢のことか。 「未通女に何ができるというんだ」 ジューダスお得意の皮肉めいた笑みが、今日はナナリーの顔に浮かぶ。 「僕に任せておけば、いい」 柔らかな乳房が少年の華奢な胸板の上を滑る。 女は少年に顔を寄せると黒髪を掻きあげ、耳朶にぬらりと舌を這わせた。 「うぁっ……」 少年の体がびくりと跳ねた。 「この方が楽だ、お前も僕も」 ジューダスはナナリーを見下ろして軽く笑う。 紅い髪が揺れて肩をくすぐる。 ナナリーは先程まで自分のものであった、その顔を茫然と眺めた。 確かに自分の顔なのに、初めて見る表情だった。 目の前のこの女は、本当に自分だったのだろうか、と疑問すら抱かせるような。 女は少年の腹の上に跨がると、膝をついて半立ちになった。 口に含み湿らせた中指を女陰に這わす。 「うっ……」 肉芽をなぞると重く襲ってきた感覚に、瞼を震わせ吐息を漏らした。 秘裂はたちまち蜜でぬめり出す。 (やはり、男の体とは違うな……思っていたより厄介だ) 勿論、戸惑う素振りなどおくびにも出さず、ジューダスは余裕の表情で、女体を嬲ってみせる。 「ふっ……処女のくせにやけに反応が良いな……」 「な、何言って……」 「女の体、というのは、く……みんな、こうなのか?」 「…ちょっ…、いいかげんにしなよ……!」 ナナリーの瞳が不安気に揺れる。 秘部から溢れる露を指に掬い、肉芽に擦り付ける所作を、ジューダスは続ける。 ナナリーに見せつけるように、ゆっくりと。 ジューダスの息が浅くなっていく。 「それとも……普段から……っ…こうして、自分で悪戯している、のか……」 羞恥で顔を紅潮させ、ナナリーは激しく首を横に振る。 自慰に耽る己の姿。 そんなものを見せられて、動揺せずにいられる訳がない。 自分の指によって、ぶるっと女の身体が震えた。 「……ここが、いいんだな…おまえは」 雫が糸を引き少年の腹に落ちる。女の指は再び動き出す。 「誰の事を……う、考えながら、しているんだ……?」 少年の身体がずり上がるのに気付き、覆い被さり肩を押さえ付ける。逃がさない。 眼を覗き込み囁く。 「あいつ、か……?」 ナナリーは手の甲で顔を覆った。 女は腹の下に手を伸ばし、少年の股間の物を握った。少年の身体が身じろぐ。 手の中の物は既に固い。 「誰の物を、ここに」 秘裂にあてがう。くちゃ、と淫猥な水音が立つ。 「こうして…銜え込むことを…想像して、いる……」 挿入はせず、裂け目に屹立を擦り付け、先端だけにゆるゆると刺激を与える。 黒髪を振り乱して少年はのたうつ。 時間をかけてじっくり嬲っておいてから、根元を握る手に力を込め扱いてやると。 大きく息を吐き、少年の細い身体が波打った。 「早かったな」 白い迸りで腹を汚され、ジューダスは顔をしかめた。 「僕はもう少し耐えられるんだがな…」 ナナリーは顔を隠したまま、無言で荒い息を吐いていた。 頬に涙の筋すら見える。 その姿にジューダスは軽く不快感を抱いた。 ……相手の目にはこんな風に映ったのだろうか、僕も。 「休むな、まだ終わっていない」 低く、静かに宣告する。ふと呼び起こしてしまった記憶を打ち消すように。 再び陰茎を握り、手の中で硬度を取り戻してやる。 相手の腰の上にしゃがみ込み、それをもう一度、秘所にあてがった。 「見ておかないのか?」 言葉にやや意地の悪さが籠るのを、ジューダスは自覚する。 「自分の処女が失われるところを」 呼吸を整え、先端をねじ込む。 軽く回すように腰を動かすと、陰裂はぬるりと屹立を呑み込んでいく。 ゆっくりと、ジューダスは腰を沈めた。 「くっ…!」 「あ、……っ!」 双方から自然と声が漏れる。 しかし、まだ幾らも挿入できない内に、ジューダスの動きが止まった。 引き攣れるような痛みに、荒く息を吐く。 流石に、無理か……自分一人で何とかするつもりだったが。 「…おい」 ジューダスに声を掛けられ、ナナリーはそろそろと手を除けた。 下腹に目を遣ると、喉から小さく悲鳴を上げる。 「僕の顔でそういう情けない表情をするな。手を貸せ」 少年の手は女の胸へ押し付けられる。 「ほら、触れ…普段自分でやっているように」 少年の頬が更に紅潮した。 濡れた瞳には怒気を孕んでいたが、言葉が思いつかないらしく、唇は震えるのみ。 「いつまでもこうしている訳にはいかないだろう。ずっとその身体でいたいのか?」 「……これが…終わったら、あんたを、ぶっとばす」 ナナリーは、ようやく一言、絞り出した。 「そうしたければ、すればいい」 無感情に返事をし、ジューダスは少年の首筋にかかる黒髪を指で払う。 そこをきつく吸われ、ナナリーは声をあげ身を捩った。 更に、首筋から胸元へと、キスが重ねられる。 「っ!…ちょ、待っ…きゃ!……は…ぁっ…!」 その度に少年の身体は跳ね上がり、女を押し退けようと足掻き、大袈裟に思える程の嬌声を上げる。 肌にいくつもの痕を残し唇を離すと、息を弾ませながら、ようやくナナリーが強張った笑みを見せた。 「ふ……あんたって……ここが、弱かったんだ…」 「黙ってろ」 ……だからやりたくなかったんだ。 「誰にも言うな…それと、元に戻った後で、僕のこの辺りを触ったら、斬る」 「……しないってそんなこと…」 しかし、お返しに、両の乳房が少年の掌で包まれる。 双丘に甘美な刺激が走った。 やわやわと揉みしだかれる肉、もどかしいような刺激が先端を掠める。 次に少年の片手は下腹に這い降り、細い指が叢の下の敏感な部分を捕らえた。 要領を得た指の動きに、ジューダスは思わず声を漏らす。 先程の仕返しのように、ナナリーはジューダスに触れた。 陰裂はじゅくじゅくと蜜を湧かせ、先程よりもずっと、男を受け入れ易くなった。 腰を小さく動かし淫らな音を立てながら、女はゆっくりと、少しずつ屹立を飲み込んでいく。 苦痛に歪んでいた顔に、次第に恍惚の表情が混じっていく。 そして屹立に絡み付く肉襞の感触に、少年の息も上がってくる。 その腰はひとりでに、更なる快感を得ようと、もがき始めた。 「ふ、そうだ……どうすれば、いいか、……っ……わかってきた、な…」 ナナリーは無言で、女の胸の先端の蕾をきゅっと摘み上げる。 あ、とジューダスは声を上げ、紅い髪がばさりと肩を打つ。 「おかげさんで、ね……」 身を起こし、女の身体を引き寄せ、眼前に弾む乳房を口に含んだ。 汗の味を舌に感じる。 白い肌に紅く痕を付けてやると、頭の上から、押し殺した喘ぎがこぼれ落ちてきた。 これまで聞いた事のない甘く濡れた自分の声に、羞恥心と、それとは別の感情の昂りを覚える。 が、一矢報いて憂さの晴れたのも一瞬の事。 局部に延びた女の手に翻弄され、再び声をあげてしまう。 こうなるとナナリーの負けず嫌いに火が付く。 張り合うように、熱を込めて、二人は互いへの愛撫の手を動かし続けた。 陰液の粘質の水音と、湿った吐息、堪えきれずに洩れる嬌声。 淫靡な物音が途切れることなく響く。 心にくすぶっていたわだかまりも、いつの間にか忘れた。 自分の身体の悶える様を眺めながら、ジューダスは奇妙な感覚に包まれる。 自分は犯しているのか、それとも犯されているのか。 頭に靄がかかる。意識が遠のきかける。相手との境界が曖昧になる。 この状態を極限まで突き詰め越えた時、入れ代わったこの精神を戻す事ができるのかもしれない。 何も考えず、ただ快楽に身を任せて。 少しずつ積み重ねられてきた悦楽の、その頂点が近づいているのをジューダスは感じる。 しかし、障害が、ひとつ。 「ナナリー…あまり、声を…出すな」 自分の喘ぎ声は、あまり聞きたくない。 ジューダスはこの身を絶頂へと追いやるべく、仕上げにかかる。 膝を付き、女体に屹立を深く突き込んだ。 腰を小刻みに上下させ奥を細かく突く。 高まる快感に力が抜け、がくがくと足が震える。その場にくずれそうになるのを何とか堪える。 少年が身震いし女の腰を掴んだ。 「ジュ…ダス、あ、た…し……っ…!」 辛そうに顔を歪めている。 「…どう…した、もう…限界か」 「わかん、な…っ…けど、なん…か……んっ!」 そろそろ…だな。 「よし……終わりに…する、ぞ……」 やっと、このふざけた状態から解放される。 女は腰の動きを大きくし、少年の屹立を攻めた。 「っ……そんなにっ、……あっ…!」 激しさを増した刺激に一気に下半身の熱が上がる。 ナナリーは喘ぎ、遠のきかけた意識の下で、男の名を口走る。 ぴたり、とジューダスの動きが止まった。 「……おい」 眉間には、深く深く皺が刻まれている。 その名が自分のものでないことは別にかまわない。 むしろ、他の男の名を呼ぶ女を陥落させるというのも、悪くない。 しかし今は。 「僕の声でそのバカの名前を呼ぶな、気色悪い!」 ジューダスは親指をナナリーの口に差し込んだ。 くぐもった声と共に、舌が指を撫でる。 喘ぎ声までなら我慢できた……の、だ、が。 ジューダスは改めてこの術の悪趣味さを実感した。あの変質者め。 「まだ出すな…始めからやり直しだ」 苛々と呟き、一気に冷めた身体に熱を取り戻すため、再び腰を動かす。 今まさに精を放とうというところを寸止めされ焦らされ、ナナリーはおかしくなりそうだった。 自分が何か口にしたようだが、何と言ったのか、覚えていない。 女陰が蜜を滴らせ、ぬらぬらと露で光る男を銜え込み戦慄いているのが、目に映る。 その持ち主は頬に張り付く髪もそのままに、快楽に身を震わせている。 そのくせ、ナナリーが男根に快感を得ようとぎこちなく動くと、するりと逃げる。 上手くナナリーを焦らし、自分だけ貪欲に快楽を貪っている。 乱れるその姿、必死さすら感じるその身体は、自分のもの。 そして、その身体をこうして必死に突き上げて、快楽を得ようとしているのもまた、自分。 ……あたしって、いやらしいな……。 嫌悪と劣情が入り混じる。 そんな気持ちとは無関係に、指で押さえられた口の端から、喘ぎ声は止むことがない。 女の体の内は熱を帯びて蠢き、包み込まれた屹立が溶けそうだ。 堪えきれずに身を捩る。どくん、と下半身が脈打つ。 ジューダスはナナリーの口から指を抜き取った。女の指と少年の唇が糸で繋がる。 「も……だめ、あた……し、もう……」 解放された口唇が必死に訴える。 「僕も、だ……」 ジューダスも絶え絶えに応える。 少しずつ積み重なっていった悦楽はいまや大きく膨れ上がり、弾けそうだった。 女は屹立が抜けそうなまでに、腰を浮かせた。 「…このまま、一緒に、いくぞ……」 がくりと腰を落とし込む。 怒張はずぶりと女の内を貫いて、最奥を抉った。 熱い柔肉が男を締め付ける。 「く、うっ……!」 「あ……はぁ…っ……!」 長い髪が宙に散り、ジューダスの視界は紅一色に染まる。 黒髪を振り乱して、ナナリーは身体を張り詰める。 眼の奥で光が弾け、そして二人の意識は、ふっと遠のいた。 気が付くと、ナナリーは草の上に横たわっていた。 腰の布が素肌を隠すように掛けられている。 首を巡らすと、ジューダスは少し距離を置いたところで、身支度を終えようとしていた。 仮面は既に装着している。 「やっと起きたか」 こちらを見ずにジューダスは言った。 身体を起こそうとしたナナリーの口から、思わず呻きが漏れる。 全身が疲労感に包まれていた。 精の残滓が拭き取られていることに気付いて、赤面する。 「向こうに湧き水がある。洗ってこい」 ああ、と頷いて、布を肩に羽織り立ち上がる。 行為の余韻で足がよろめいた。 「悪いね、面倒を肩代わりしてもらっちゃってさ」 「……厭味のつもりか」 「ふ、分かってるよ……わざと酷いこと言って悪者振ろうとして、って」 「勝手な解釈もいいところだな」 そんなジューダスにナナリーは肩をすくめ、背後を通り過ぎる。 「殴らないのか?」 問われてナナリーは小首を傾げた。……ああ、そんなことを言ったっけ。 「そうしてやりたいけど……ま、こんな滅茶苦茶な事、相手があんただから何とかなったんだろうからね」 これがもしあいつが相手だったらどうなっていたことやら……と考えて、ナナリーはくつくつと笑った。 その時の互いのやりとりが、容易に想像できた。 あいつの事だ、どうせ一人で大騒ぎして、こっちの事はそっちのけで。 あいつとだったら。 笑っていたら、目の辺りが熱くなって、視界がぼやけた。 「この戦いが終われば」 不意にジューダスが口を開く。 「僕たちは皆、時を隔てて別れる事になる……再び会えるという保証は、ない」 ナナリーは慌てて目を擦り、振り返る。 「何さ、突然」 ジューダスはむこうを向いたままだった。気のない素振りで、続ける。 「僕はおまえが何をどうしようと興味はないし、どうこう言うつもりもない」 マントを背に払い、ほんの僅かにジューダスの顔がこちらへ向く。 「だから、後悔はするな、とだけ言っておく」 ナナリーの口の端が、ちょっとだけ上がる。 「蓼食う虫も好きずき、と言うしな」 聞こえよがしに付け足されたその言葉に、ナナリーは今度は眉をギッと吊り上げた。 つくづく、この男の一言は癇に障る。 だからあんな奴別に何とも…と力一杯否定したが、ジューダスはまるで聞く耳持たぬという様子なので、 仕方なくナナリーはその場を離れた。 少し歩き辛い。 代わりに、あの男に殴られてやるとするか。 後姿をちらりと見遣って、ジューダスは思った。