総合トップ>SS一覧>SS No.1-100
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作品発表日 |
作品保管日 |
覚めない悪夢 |
420氏(5スレ目) |
リーガル×プレセア |
2003/09/14 |
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木々を吹きつける風は一段と冷たく、急速に冷える夜気にさらされて焚き火が消えかかる。
今にも燃え尽きようとしている薪に宿ったやわらかく赤い光は
火を囲んで眠りこける皆の上に暗い影を投げかけていた。
その中に蹲っていた一際小さな影が微かに動く。
「ん……?」
ぶるりと肩を震わせ、寝ぼけ眼をこじ開けたところで目を覚ます寒気の原因を悟った。
何となく周囲を見回す。暗くてよくわからないが、全員その辺で雑魚寝しているのだろう。
頭上からはひっきりなしに怪しげな鳥の声が降ってくる。
光の届かない周りの草むらも黒々としていて、いかにも魔物が這い出てきそうだ。
野宿のこういうところはあまり好きではなかった。薄気味悪くて仕方ない。
足下に積んであった薪を火の中にくべると、眠気で鈍った口元を
ごにょごにょと動かした。えいと人差し指を焚き火に向ける。
ばっと火力を増す焚き火を見、ようやく安心する事が出来た。
これで朝まで眠れそうだ。再び掛布をかぶってまどろみ始める。
ふと、焚き火を挟んだ向かい側にもう一つ、小さな人影がすっくと立ち上がった。
影は二三度左右に首を振り周囲を伺っていたが、無言のまま音も立てずに森へ向かって歩き出す。
「(トイレかな)」
彼はそんなことを考えながら、仲間の消えた暗い森を見ていた。
……が、ふと置き去りにされた戦斧の上で目が止まった。丸腰のまま彼女は行ってしまったのだった。
何かあったら、ボクが助けなくては!
武器も持たない仲間が魔物に襲われている光景を想像し、彼は慌てて立ち上がった。
愛用の剣玉を握りしめ、そのまま森の奧へと駆けだしていく。
ジーニアスは気付かなかった。
この場から姿を消したのは彼とプレセアだけではなかったことに。
夜の道は人を迷わせる。
「っくー……」
自分はこの辺りの地形に疎かったのだと、気付いたときにはすでに遅い。
道などとうに見失ってしまった。
歩いて歩いて、棒のようになった足を引きずったジーニアスが歯噛みをする。
せめて少し休もうと近くの大木に寄りかかった。
さらさら音がするのは頭上の葉擦れと、おそらく川が近いのだろう。
プレセアが心配ではあったが、こうなっては仕方ない。
休憩したら一旦皆の所へ戻ろう。そう決めたジーニアスが下生えに腰を下ろす。
その時だった。
「っあ……」
人の声だった。とっさに周囲に目を走らせる。
「ん……っ、……ん、んふ…ぅ」
聞き覚えのある声、それでいて聞いたこともない声音。
「プレセア!?」
すぐ近くの樹の陰から聞こえてきたひどく苦しげな声にまさかと思い、
大声をあげて立ち上がる。が、次の瞬間慌てて両手で口を塞ぐ。
――プレセアはそこにいた。
そして彼女を抱きしめている男、リーガルと一緒に。
幸か不幸か、彼が気付かれることなく行為は続けられている。
覗き魔になるつもりはなかったが、釘付けられた目がその場から逃げることを許さない。
服の前をはだけたプレセアを膝に座らせたリーガルは、その手で彼女の胸のわずかな膨らみをとらえ
手枷などなんの妨げにもならない様子で双丘を愛撫し始めた。
揉むには足りない大きさの幼い胸だ。撫でるように、さするように緩やかな刺激を与えていく。
さざめく木々の音に遮られて彼らの囁き合いすら届かない。時折あがる高い嬌声が耳を刺すばかりだった。
一際激しく風が吹きつけ、頭上の枝をざわざわと揺らす。
月光の降り注ぐ中、背徳の痴態が繰り広げられていた。
突然プレセアがいやいやをするようにかぶりを振り、体を捩った。
それがジーニアスにわずかな希望を与える。
もしかしたら、いやきっとプレセアは何か弱みでも握られていて……。
せめてあれがプレセアの望んでいない、強制された行為ならまだ救いはあるはずだ。
だが何事かを囁き合っている二人の姿は恋人同士そのもの。
プレセアの顔は上気していて、これは本当に彼女なのかと疑うほど艶めいていた。
滅多に硬い表情を崩すことのない二人が互いを見つめる目は暖かい。
かすかな笑みを浮かべたリーガルが、口元を恋人の無防備な耳朶に寄せる。
何事か囁きかけられ大きな瞳をまたたかせるプレセア。
不意に、その表情がふっとほころんだ。
ジーニアスも見たことのない愛慕の微笑み。
足下の地面が崩れていくような衝撃。
「…っ……」
決定的だった。
あの二人、プレセアとリーガルは合意の上であんなことをしているのだ。
「そんな……、そんな…………!」
プレセアの白い手がリーガルの鍛えられ、引き締まった体にかかった。
胸元からするりと下り、剥き出しの腹筋をなぞった指先が下腹部へと辿り着く。
ベルトを緩め、ズボンと下穿きをよけて勃ち上がり始めている彼自身を握りこんだ。
やわらかそうな手に包まれたリーガルのものが勃起していく。
しなやかな手つきでそれを愛撫していたプレセアが、ふと相手を見上げた。
リーガルは無言のまま頷いただけだったが、その肩は上下している。
びくびくと脈動するそれにプレセアの顔が寄せられていく。息がかかるほどの距離まで
近付いたところで唇を舐め、潤いを持たせると手で撫でさすっていたものに口づける。
厚みのない、小さな舌がちろちろと先端を舐め始めたとき、ジーニアスの体内で何かが燃え上がった。
「うぅっ……、…あ……うぁ……」
足腰から力が抜けていく。
「……プレセア………嘘だろ?……」
地面に爪の先が食い込んでいる。
ショックのあまりその場に座り込みながら、尚もプレセアから目を離せないでいた。
小さな口いっぱいにものを咥えこみ、溢れる先走りと唾液が顎まで濡らしている。
かいがいしく奉仕するプレセアの姿は淫蕩な娼婦のようでもあり、どこか健気で美しかった。
相手に尽くしながら自らの秘唇に指を滑らせて、己の快楽をも高めていくプレセア。
そんな彼女をいたわっているのだろうリーガルが時折何か声をかけるたび、少女もかすかな笑みを浮かべる。
プレセアの奉仕を受けながら、男の表情はやや硬い。
きっと、手枷のせいで愛撫も思うように行えないのがもどかしいのだ。
ほんの一瞬だけ彼に同情する。一瞬だけだ。
ぶるりと広い肩を大きく震わせ強張った体が、わずかな痙攣とともに脱力する。
リーガルが少女の口の中で果てた。
口を押さえたプレセアが顔を上げたとき、ようやくそのことに気付いた。
そうするように教えられているのか、口内の液体を飲み下したプレセアは
さらに口から零れた白濁液を指先ですくい取り、ためらいもなく口に含む。
いつもの従順な子犬のような愛らしさはそこにはなく、今の彼女はさかりのついた牝でしかない。
体にまとわりついていた服を脱ぎ捨てると、雪白の肌は惜しげもなく曝された。
一糸まとわぬ姿を青白い月光の下に浮かび上がらせているプレセアの、
しっとりと濡れて充血した秘所が年齢に似つかわしくない妖艶さを放っている。
再度抱き合う。というよりもプレセアが一方的に抱きついていったという方が正しかった。
白い頬を染めてじっとリーガルを見上げている。
無口で素っ気ないプレセアの、これが精一杯の媚態なのだろう。
止まない風は一層強さを増していた。
プレセアが何か言っているようだ。
(愛してます)…かもしれないし、(…どうでしたか?)なのかもしれない。
彼女の口からどんな睦言が紡がれたのだろう。
耳元で呻る風もざわめく森も、なにより自分の鼓動もすべてが煩すぎる。
ただただ想像して焦ることしかできないのが口惜しかった。
どうやらこれで行為が終わるというわけではないらしい。
「あ……あ………ぁ………」
あの二人が次に何をするのかが分かった以上、もう見たくはなかった。
はやく皆の所へ帰るべきだった。今からでも遅くはない。
よりによって、こんなものを見せつけられるなんてあんまりだと思った。
どす黒い嫉妬が胸の中に巻き起こる。
これから自分はどうなってしまうのかなどわからないし、考えたくもない。
かすかに残っている理性と、膨大な魔術の知識とは裏腹に乏しい性知識を総動員し
今の自分がどうすべきかを導き出そうとジーニアスは躍起になった。
それでも、より正直なのは欲望の方だった。
まばたきすらも惜しんで、目を閉じることも出来ない。
「駄目だよ……駄目だ…、プレセア……駄目だよぉ……」
ジーニアスの目にはうっすら涙が浮かんでいた。
そんな彼の哀願もプレセアには届かない。
指で開いた秘裂に猛りきったものを宛いゆっくりと腰を落としていく。
「……だめ、だよ……」
観念し、奥歯を噛んで顔を伏せる。
ぼろぼろと涙が零れ、彼の膝を濡らした。
「あッ………、は、あぁぁ…………!」
甲高い声が夜の森に響き渡る。
華奢な背が挿入の痛みからかぐっと仰け反った。
その瞬間かぁっと瞼が熱くなった。次いで視界が滲み、もう何も見えない。
それとは逆に研ぎ澄まされた聴覚が少女の声を捉えるのみだった。
「…んあ…ふっ……あぁっ……リーガル…さん……」
もとより体格差の大きすぎる二人。
プレセアが上になっていても、リーガルの顔の位置は彼女よりもさらに高かった。
肩を震わせて恋人を見上げるプレセアはどんな表情をしていたのか、
涙に曇った目ではよく見えなかった。
「つらくはないか?」
「大丈夫……です……」
彼女の唇をリーガルが唇でゆったりと覆った。
ジーニアスの心は絶望に冷え切っていた。
だのに体の一部だけがどうしようもない熱を孕んでいる。
追い打ちをかけるように再度プレセアが喘ぐ。リーガルの名を呼びながら。
堪らず下生えの上に身を投げ出していた。
「プレセアっ……!」
突き動かされるように下腹へと手が伸びて衝動的に握ったそれを、
なかば無意識のうちに擦りあげる。
慣れない手が行う拙劣な愛撫も、プレセアの手や胎内と思えば大きな快楽となる。
彼女の膣はどんなに暖かいだろう。どんなに気持ちいいのだろう。
「うぁ……プレセアぁ…………」
想像の中で思うさまプレセアを汚しながら、それが虚しいと分かっていても
その手が止まることはない。
きっと彼女の中は熱く潤っていてとてもきつくて……心地良いのだろう。
リーガルはあんなにも気持ちよさそうだった。そして彼に愛されているプレセアも。
不鮮明な視界の端で、二人の動きが一層激しさを増した。
子供とはいえ、男に抱かれればプレセアも一人の女だった。
狂い、悶え、貪るように腰をくねらせている。
「リーガル…さん……、ぁ…っ………リーガルさん……ああぁ…」
「……プレセア…!…」
初めはなされるがままだったリーガルも、すがりつくプレセアの背中に
不自由な腕を回し、彼女の動きに合わせて腰を打ちつける。
プレセアの小さな身体は、激しいリーガルの抽送に完全に翻弄されていた。
突き上げられ、掻き回されながら大きすぎる彼のものを懸命に受け入れている。
リーガルから与えられるがままに感じてやまないプレセア。
しなる肢体の動きに合わせて、闇の中にふわりと桃色の髪が舞い踊る。
「あああぁぁ……!」
逞しく優しい腕の中でプレセアがこの上なく切なげに啼いた。
自慰に没頭する少年の耳に届くのは、互いを呼び合う声。
その声を聞きながら、自分の腕に抱かれ、悦びに喘ぐ彼女を思い描く。
「プレセア………あ、ぁ……プレセア、プレセアっ……」
すでに声は掠れ、溢れる涙と共にジーニアスは達した。
耳を打つ風の音が次第に大きくなり、ようやく彼の意識が戻る。
手の上に吐き出された精液を前にして、最初は虚無感に襲われていたが、
正気に戻るにつれてジーニアスの心に自己嫌悪がこみ上がった。
頭から冷水をかけられたように全身を震わせ始める。
「…っ……、……うっ……う…、うわああぁぁっ………」
掌を汚す白濁を足下の草に擦りつけると、わき目もふらずに駆けだした。
こけつまろびつ森の中を走り続けて仲間のもとへと帰るやいなや
頭から掛布をかぶり、声を押し殺して泣きじゃくった。
せめて悪い夢と思いたかった。
気配を殺して夜明け前に戻ってきた二人を見たとき、そのささやかな希望はついえた。
――黙々と焚き火を踏み消している少女の首すじに赤い痣が見える。
昨夜の行為の名残だ。
「プレセア」
精一杯普段と変わらない自分を装って声をかける。
「……なんですか?」
振り向いた彼女の顔には、あの淫らさのかけらも見られない。
いつもの物静かなプレセアがそこにいた。
「首。どうしたのそれ……?虫にでも刺された?」
プレセアが息を飲んだ。掌で痕を隠す。
「…………なんでも、ありません……」
昨晩の証拠を覆い隠そうとしているのに、かえって劣情を煽るだけの仕草。
「ねえ、見せてよ。もしかしたら悪い虫かもしれないし、それに……」
無言のまま全身で拒否するプレセアに詰め寄る。
「ジーニアス……やめてください」
「どうしたの?それとも何、ボクには見せられない理由でもあるとか?
……そんなことないよね。プレセア、ほら……」
朝日が照らし出す少年の頬には涙の跡があり、目はうっすらと赤くなっていた。
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