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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
積極的な聖女様 -夜襲- プチ郎氏 リアラ×女ジューダス 2003/05/01 -

「触れるなっ!」

既に日が暮れ始め、橙色に染まり行く世界。
そんな時間、広大な草原に響くのは何かを拒む鋭い声だった。

「…ジューダス?」

その声に、ジューダスの腹部に手をのばしたリアラがビクリと震える。
放ちかけのヒールが宙に溶け、消えた。
手の先には、適当な深さに切れた傷。漆黒の服がキレイに裂け、血で赤い模様を作っている。

「僕は…大丈夫だ」

傷を手で抑えたまま、ジューダスは目的地への方向へと歩いていこうとする。

「何だよ、それ…切れてるだろ?ちゃんと回復しないと…」
「大丈夫だと言っているだろう!」

カイルの優しい声にも鋭く反論した。ジューダスは自分の体に触れられる事を過剰なまでに拒む。
それはカイル、ロニ、リアラ…全員が知っていることではあるが、流石に今回は触れないわけにもいかない。

はいはい。大人しくしましょうね〜。ジューダス君」
「くっ…やめろっ!離せ…!」

ジューダスの脇にその腕を差込み、ぐっとその小柄な体躯を拘束したのはロニだった。
体格差もあり、腕力の差もある。ジューダスはじたばたと暴れることしか出来ない。

「ほら、今のうちだぜ、リアラ」
「う、うん…っ」

やめろの一点張りのジューダスの後ろからロニが言い、それに従いリアラは再び手を伸ばす。
ひたり、と傷口に触れた。その痛みからか、ジューダスの動きが一瞬止まる。
次の瞬間、触れた手は暖かい光を放ち、その傷を優しく、癒す。治癒の晶術だ。

「くっ…」

悔しそうに。ジューダスは息を吐く。傷は塞がっても礼は言わず、再び暴れだした

「いい加減に離せ…ッ!」
「きゃ…っ…?!」

そのせいで、触れていたリアラの手が、ぐんっと服の皺に持ち上げられ、上に跳ねる。
ジューダスの胸にあたる場所。それに手が触れた。次はリアラが固まる。
ロニははいはい、と適当にあしらいジューダスを解放すると、すたすたと再び歩き出してしまった。

「どうしたの…?リアラ。ほら、ジューダスもさ、本当はわかってるよ、自分が悪いことしたってこと…」

不意に後から声をかけられ、リアラは慌てて振り向いた。そこには心配そうな表情のカイルが居る。
固まっていた理由を自分なりに解釈し、ジューダスを庇おうとする。そんな優しい彼に、リアラは微笑んだ。

「違うの…うん。何でも、ないよ」

…そう、何でもないのだ。
カイルにとっては、何も関係のないことだ。
そう?と確認の意を取ると、カイルはリアラに先に進むように言うと、
少し進んだ先で待っているロニの元へと急いだ。

ゆっくりと歩きながら、リアラは一人ごちる。

「……まさか…ね。」

ふふ、と微笑む。その表情は、清楚な少女とは違う。
まるで無邪気な悪戯を思いついた少女のような顔。
そして、もう一つは…とても、淫蕩な…微笑。


その夜。

活気賑わうノイシュタットは夜もそう静まることはない。
建物の奥のほうにあるこの宿屋は、その喧騒を避けるのにはうってつけと言える。

たまたま4部屋もあいていたため、別々に部屋をとることにした。
ロニの提案だ。リアラのこともあり、何よりジューダスを気遣ったのかもしれない。
様子がおかしい、というようなことは。何よりもロニが早く気づく。
そこらへんは、最年長者だからこそ、ということだろう…。
そんなこんなで一人一人に部屋があてがわれることになった。
ゆっくりと細長い、純白の体が露になっていく。
その肌と対照的な黒衣をするりと体から抜き取ると、剣士というものからはかけはなれた
細い体が見えてくる。だけれど、相違点はそこだけではない。男性、というものとも違うものが、ある。
薄い胸にはきつくサラシが巻かれていた。平らにするように無理に押さえつけている感じだ。
下の黒衣も脱ぎ捨てられれば、この人物の性別を明らかにするもの。
ぴたり、とその部分のラインにあった、飾り気のない肌と同じ色の下着。
さらしをほどけば、それだけを残した一糸纏わぬ姿になる。それは、どこか妖艶な色気を醸し出している。
妖しい月のみせる、紫色の影のせいかもしれない。

「相変らず綺麗ですね、坊ちゃん…お嬢様、と呼んだほうがいいですかね」
「シャル」

机に置かれた剣に咎めるように呼んだ声も、普段の少年の凛々しい声とは違う。高めの女性の声だった。
姉に似た声質。どこかこちらのほうが鋭いかもしれない。

「冗談ですよ。だけれど、何で隠すんです?スタンさん達にもはじめは隠していましたよね」
「…言ってなかったか?無駄に気遣われるのが嫌いなんだ」

さらりと言う。それはジューダスにとっては結構な問題なのかもしれない。
最後に顔を覆う仮面を取る。黒い肩ほどの長さの髪がさらりと揺れた。

「足手まといとか思われることはないと思いますけどねぇ」
「もういいだろう。今更言うのも気がひける」

間延びした剣から響く声との会話をすっぱりと打ち切って、白い上着だけを纏い、
良質なベッドに転がって、意識をまどろみに沈める。
焦ったことから。疲れも手伝って、眠りに落ちるのにはそう時間はいらなかった。

『ちゃんとニンジンも食べなさいよ、リオン』
『ほら、傷見せてみろよ、リオン』

懐かしい声がする。
自分の…仲間…だ。1年にも満たない長さだったけれど、ずっと、一緒に居た。
道をたがえても、最後まで僕を信じていてくれていた人たち。
溺れていたかった。あの暖かさに…。


『リオン=マグナス』

…"あの女"の声がする。

『あなたは神の加護の元再びこの世に生を受けました』

望んでなど居なかった。再び、剣を取ること。
復讐などする気もない。憎んでなどいない…

『英雄になりたいでしょう?…裏切り者としてではなく。
 英雄としてのリオン=マグナスとして…名を残したいでしょう?』

違う。僕は、そんなものはいらない…よくを云うなれば…もう一度。

『今その名で呼んでは失礼でしたか。エミリア=カトレット』

………僕、は…

『ふ…ぁ…っ』
『随分敏感なのですね…裏切りという罪に身をやつした者とは、
 かも淫乱なものなのか…』

指が、僕の中心部分に触れてくる。
女性として膨らんだ上半身の胸の頂きにも容赦なく、愛撫が行なわれる。

『ん…ぅ…ぅ』
『我慢などすることはないのです…
 私に身を任せれば…英雄になれるのですよ…掴み損ねた栄光を…その手に』

耳朶に広がる甘美な刺激。
いらないんだ。欲しいという気持ちすらない。英雄としての名はいらない。
あいつらが、僕を今でも、仲間と思っていてくれるなら…あの人が、幸せなら。
僕は英雄の称号なんて…いらないのに。

『…ぼく…は…ぁっ…ぅ』

僕は。

『何なのです?裏切り者のリオン…いえ、エミリア。
 要らない、と?みすぼらしい罪人が、神のほどこしを受けないというのですか?』
『そ、んな…もの…ッ』

精一杯、精神を振り絞った。遠い場所にあるあの剣に。声が届くかも知れない剣に。

『強情なのですね…いいでしょう。素直にさせてあげますよ。
 神の御前で、その罪に汚れた心も体も浄化してさしあげましょう』
『ふ…ぁ…ああ…ッ!』

一気に絶頂が訪れた時、僕は気がつけば神殿ではない場所にいた。
乱れた服を正す。手には、懐かしい声が響く剣があった。それから僕は仮面を被ることとなる。
リオンとしてではなく、エミリアとしてでもない。

『じゃあ…ジューダス!』

ジューダスとして、生きることになる原因だった。
あいつらに出会ったこと。昔あった奴等に、よく似ていた。あの笑顔も、あの暖かさも…


僕は。

…ジューダスなんだ。

「………」

体を起こす。月がかすかな明かりを放ち、カーテンの間からその光を差し込ませていた。
中途半端な夢からの目覚めは相当気分の悪いもので、汗を吸い込んだじっとりとした服の重さがそれに拍車をかける。
恐らくは深夜だ。夜明けまではまだ数時間もある。
眠りにつくのが早かったせいか、余計にそれが悔やまれた。精一杯寝て体力を蓄えておきたかった。

ふと、違和感に気づく。こういう時には、いつもシャルティエが声をかけてくれるのだ。
机のほうに眼をやる。確かにシャルティエはあった。しかし、それは人の手の中にあった。

「……リアラ?!」

慌てて手を口にあてる。シャルティエが人の手にあると、ふしぎと晶術の力が弱まり,声が元に戻ってしまう。
居るはずのない人物の名前を呼んだその声は確かに女性のものだった。
ドアの前にたたずむ少女は、ゆったりと微笑む。

「…起きちゃったんだ、ジューダス。寝てる時に、来ようと思ったんだけど」

申し訳無さそうに云う少女。だがジューダスはそれを消すほど強く睨んだままだ。
鍵はかけていたはずと扉に眼を向ける。壊されたわけでもなく普通に開いていた。
「あの女」と似たようなもののこの少女にはそんな力もあるかもしれないと理解するのにすら時間がかかる。

「ジューダス、女の子だったんだね…だから、触られたくなかったんだ…?」

優しい声とともに微かに首をかしげて、問う。
自分の視線に全く動じないリアラに、ジューダスはかすかな違和感を感じる。
月明かりに照らされたその少女は、いつもの感じとは違う、神秘的で、それでいて妖しげな魅力を醸し出す。
透けるようなその服から見えるラインに、優しく細められた目。
ジューダスはいつのまにか睨むことを忘れ、それに見蕩れてしまっていた。

「それに…凄く綺麗で…かわいい…顔、仮面でかくしちゃ、もったいないよ…?」

猫のようにゆっくりと、ベッドのほうに歩み寄るリアラ。
遅いペースで、木製の床がきしきしと心地よい音を立てる。

「…何、を…」

喉から出たのは掠れた声。うつろげになった意識ができる精一杯の発声だったのかもしれない。
自分の体を足ではさんで、ベッドに膝を付く。覆い被さる姿勢になるリアラ。
ジューダスの視線からは、服が下にひっぱられるせいで白い胸の膨らみが見える。同性だとはいえ見ようとしないのは礼儀だろうか。

「…言わないで、欲しいんでしょ…?言わないよ、誰にも」

まるで暗示をかけるように、その瞳で真っ直ぐ見つめて囁きかける。

「だから…少し…おとなしくしていてくれる?」

何か深い意味のある言葉。だけれど、ジューダスにはそれを考えるだけの思考力を働かせる余裕すらもない。
微かに頷いてしまう。言わないならば、と。軽はずみに承諾してしまった。

「ジューダスのこと…もっと知りたいな…」

段々意識がとろけてくるような、そんな優しい声。
まだ幼さを残すソレは、あの女の暗示とは異種のものだった。

「わたしのこと…知ってるんでしょう?だったら…今度はわたしが…」

ふふ、と微笑む。無邪気で、悪戯っぽい微笑み。だけど、どこか熱を帯びた吐息を吐き。
小さく可憐な唇が段々と近づいてくる。それが自分のに触れた時、すでにジューダスは逃げ出すことなどできない状況に陥ってしまった。
細身の影が重なり、もっとも強く密着している部分からは淫猥な水音が響く。
リアラはジューダスの口膣を自らの舌でねっとりと愛撫し、柔らかな肌を愛でた。

唇の間から漏れる熱を帯びた吐息はどちらのものかはわからない。
深く甘い口づけを受ける側は一切拒む様子をみせない。
互いに完全に眼はとじていない。周りを見回す必要はないが、
目の前の表情を吟味するために、うっすらと潤む瞳を互いに向けている。
受ける、悶える顔を味わうために。
自分を魅了する者に身を委ねるために。

唇が離れると唾が銀の糸をひいた。それを指でからめとるように切るのは、リアラだ。
ぼーっと熱に浮かされた表情で自分見つめてくるジューダスに、リアラは微笑み、囁いた。

「…ジューダス…すごく…綺麗。」

うっとりとした声音で。普段の冷たい氷が少女の体温でとかされ、淫蕩なジューダスの…少女の顔の
美しさを誉める。漆黒の髪に手を絡めながら、リアラはジューダスの首筋に顔を埋めた。
感覚が敏感な部分に息がかかり、ぴくんとジューダスの体が震えた。

「いいなぁ…わたしより少し…大きいよね…?腰も…細いし」

ジューダスの膨らみの輪郭を撫でながら、羨ましそうに言う。その言い方は少女そのもの。
ぷちぷちと丁寧に、ジューダスの上半身を覆う唯一の服のボタンを外していく。
上から外されていくそれが開けば、だんだんと少女としての体を露にしていった。
シーツにその服が落ちる。
穢れの無い白い肌。桃色の頂き。白い下着を残して全裸になったその体は透き通るような美しさを湛えている。

「ぁ…ッ」

直にリアラの指が頂きに触れた。
硬くなりはじめたそこを捏ね、それと同時に白い首筋に赤い口づけの痕を残す。
妙に慣れた二重の愛撫。そういう体験を最近別の女性相手にしたのだが、
今回はそれとも微妙に勝手が違う。

首筋から顔をさげて、ふたつの膨らみの間に顔をうずめ、頬をすりつける。
ジューダスは無意識のうちにリアラの後頭部に手をそえていた。それに嬉しそうに微笑みを浮かべる。

「私…ジューダスのことも好きよ。凄く…」

その浮かべた笑みは、少女のものか、それとも。
意味深な言葉にジューダスは何を返すわけでもない。
ただそれを聞いた瞬間、ぞくぞくと背中に走り抜けるものを感じた。
次の瞬間に、リアラは片方の突起を口に含み、もう片方の膨らみを手で愛撫しはじめる。

「んッ…ま、…って…リァ…ラ…」
「まったなし、だよ」

制止の言葉をさっと打ち消すと、白い肌を手と口で好き勝手に弄ぶ。
悪戯っぽい手つきは、ジューダスの体の熱を一気に高めていく。

「…っは…ひぁ…ぅ…っ…」

眉根をよせ、きゅっと閉じた眼の端からは一筋の細い涙が流れる。
白い肌は薄桃に染まり、羞恥と快感がジューダスを蝕んでいることを素直に表現していた。

「きもちいい…でしょ?…エルレインと……比べて、どう?」
「………!」

知っていた。その事にびくっと体が震える。快感じゃない別の何かに。
あの女とリアラが関わりがあるのは知っている。
だけれど、自分が"罰"と称してされていたことを知っているとなれば、ジューダスの心に焦りが生まれる。

「……ん、ぁあっ…!」

軽く歯を立てたり、爪で軽く痛みを与えたり。その肌で、唇で、優しく愛撫したり。
痛みと快楽を交互に与えるリアラは、どこか必死めいた表情なのかもしれなかった。
そのうち、リアラの責めが段々ゆっくりになっていき、ついには止まる。

「は…ぁ……っ…?」

上り詰めるラインは微妙な位置でとまり、体の中に残る快楽は行き場を求めて飛び回る。
不満げにリアラを見つめると、彼女もまた、薄桃の服を脱ぎ捨て、その肌を晒していた。

「……興奮、してくれる…?」

自分と同じように、大事な部分は薄布に覆われているものの、
うすぼんやりと夜の闇にうつるその姿は、同性のジューダスの興奮をあおり始める。
組み敷くという言葉が正しいような体制になり、リアラはぐっとジューダスの両手を抑えた。
力のほうは勿論ジューダスのほうが上だが、力は完全に吸い取られたような状態のため、苦はなかった。

「…ジューダスも…凄い,綺麗。……こころも…エルレインはあなたを汚そうとした。…でも、私は、そんなの嫌なの…」

哀しそうな瞳をして訴えるように言うリアラ。ジューダスは黙ってそれを聞く。
愛しささえ芽生えて、今すぐにでも抱きしめようとしていた。手をおさえられているのでそれも敵わないが。
…次の瞬間、打ちひしがれるのも知らずに…

「綺麗なままのジューダスを…私のものにしたいなぁ、って思うの。
 あの人になんかあげない…あなたにかわいがってほしいし…かわいがりたいの。」

うふふふ…と。不敵な笑みを浮かべると、途端にジューダスの意識は覚醒する。
逃げようとしても力が入らない。変に快楽が残っている。興奮によって紅潮した顔でリアラは微笑む。
絶望の叫びをジューダスはあげたが、それを聞いたのは目の前の聖女だけだった。


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