総合トップ>SS一覧>SS No.1-046
作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
茨の園 |
テレーセトス氏 |
アルラウネ×アルラウネ |
2003/12/03 |
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ただ一人。わたしは、一人きりのわたしは―
突如として、与えられたもの。力が、流れ込んでいる。それまでもやもやとしていた意識
が、明確になる。そのときから私たちはただの植物では無くなった。光合成を利用して凄
まじいスピードで体が形成される。根の部分は肥大化をはじめ、皆うっすらと記憶に残っ
ている「人間」とか言う種族と外見がほぼ一緒になる。知性も急激に成長し、今、こうし
て思い返すことも出来るようになった。自分が動かぬ物だった事に、今では猛烈な違和感
がある。歩くたびに景色が変わるのが楽しくて、ついつい足を速める。動く景色。考える
知性。前は、感情しかなかった。「嬉しい」や「寂しい」、「恐怖」など、その刹那で表
れ、消えていったものを、今、思い返すことが出来る。素晴らしいこと。自分で考える方
向を選択し、決めていくことが出来る。
私と「わたし」はまだ余り喋れない。だから大抵体を使って表現する。回想に浸っている
私の感覚を、胸の膨らみから甘やかな感覚が浸食する。なにも今じゃなくても…閉じた瞼
を開けると、そこにはおいしそうに私の頂を舐める「わたし」がいた。そう。皆同じ姿。
似た顔。それでも動きやしぐさ等で、誰が誰かは明確に判別することが出来る。力が流れ
込んできてから変わった物。生殖。おしべ、めしべなどの概念は無くなり、お互いに頭頂
の花の発生させる花粉を受粉するだけで低確率で数を増やすことが出来るようになった。
でも。一度始めると、止まらない。体の特定の部分が刺激されると、激しい感覚が襲う。
そうなると、お互いがバテるまで続けてしまう。
体が痺れる。
又甘い感覚が蘇り、思考が吹き飛ぶ。「わたし」は特に体力があって、いつも先にバテるのは私。
体が緊張し、息が荒くなる。
「わたし」の舌がおなかをゆっくりと進み、足の間についている割れ目にかかる。
駄目。駄目なのに。
頭が真っ白になる。
私の押し殺した、声にならない声が森に響く。その瞬間、頭頂の花から無数の花粉が舞い
踊る。これは駄目なのに。不意に粉を浴びた仲間の一人が身悶える。周りの仲間たちも次
々に。痺れが頂点に達すると、私たちは花粉を放つ。これを身に浴びると、私たちの痺れ
はさらに激しくなる。私が花粉を放ったのを皮切りに、周りの仲間たちも交わりを始める
。頬を赤らめ、お互いに寝そべり割れ目を舐めあっていたり、木の幹に体を擦り付けてい
る。不意に「わたし」がクスッと笑い、身を預けて来る。目は熱気を帯び、潤んでいる。
なすすべも無く押し倒され、再び愛撫を開始する。ああ…又…ふと、上を見やると花粉が
舞っている。先ほど幹に体を擦り付け、快楽を貪っていた仲間が達したらしい。それをき
っかけに、森の一角に舞う花粉が濃度を増してくる、私の体にもかかろうとしている。嫌
。それだけは嫌なのに。
でも、それが私の体にかかった瞬間、意識がぼおっとしてくる。目の前で愛撫を繰り返し
、眼の前にある潤んだ瞳や紅潮した体が先ほどよりも可愛く、いとおしく見えて、ぷっく
りとした朱唇に口をつけた。くちゅくちゅと淫らな音がして、私の興奮を加速させていく
。続いて、濡れそぼった割れ目に口を付ける。わざと愛液を飲み込んでみせる。「わたし
」が紅潮した体でさらに恥ずかしそうに悶えるのを見て、欲望が沸き起こる。草の上で一
回転して今度は私が上になると、完全に彼女が受身になる。空いた手で胸を揉み、口を音
を立てて吸う。桜色の頭頂を口腔内に含み、舌で突付く。その間も腕は絶え間なく動き、
秘裂に指を差込みもう一方の頭頂を指で挟み、震わせる。紅くなった時の顔が可愛い「わ
たし」。涎を垂らして、その顔は恍惚に染まっている。益々愛らしさが込み上げ、今まで
以上に激しく愛撫する。足をクロスさせ、秘裂と秘裂を合わせては離す。グチュグチュと
鳴る音が、さらに二人を加速させていく。花粉の濃度がピークを迎え、淫らな宴も終焉を
告げる。殆ど絶頂が断続的に襲う中で声にならない声で啼くと、私たちは折り重なるよう
に倒れた。
……目が覚め、自分のしたことに思いっきり後悔する。いつもそうだ。仲間たちより花粉
の効果がよく出るらしく、淫らな行為についてはかなりの激しさ。記憶は曖昧だが。共に
起きた「わたし」がまだ虚ろな瞳で口付けを迫ってくるのを見やり、ため息をついた。ま
あ、これはこれで、幸せかもしれない。口を付けて、離す。目をみつめた。
今日も一緒に歩く「私」は、又何かを考えている。何だろう?まあ、又どうせ気にしても
役に立たないだろうことを考えているのだろう。瞼を閉じたまま、しかめ面に見えなくも
無い顔で考え込んでいる。つくづく似ていないタイプだなぁ、と思う。自分には考えを巡
らすなんて事やろうともしないし、そもそも絶対無理だ。それに、自分はただこの地上を
歩いているだけで、大地と一体になったかのような安心感がある。まだ動けぬ植物として
根を下ろしていたころと似ているのかも知れない。知的な横顔にドキリとする。ふと、「
私」に悪戯をしたくなってきた。…昨日もしたばかりだけど。目の前に色づく桃色の果実
を甘噛みする。驚いたような「私」の顔。そして僅かに紅潮する頬。わたしはそれを見逃
さない。又何か考え込みそうだったので、又噛んでやる。ついでに突付く。
びくっと体を震わせる。
一々見せる反応がいじらしい。そのまま舌をゆっくりとわざと見えるように下へ続けてゆ
く。秘裂に達し、舌を突きいれ、中をかき回す。
その瞬間「私」は体をぴんと張り、絶頂へ導かれていく。
「私」の押し殺した、声にならない声が森に響き、花粉が舞い散る。すぐイっちゃうんだ
から。やっぱり、止まらない。周りでは次々に仲間たちが交わり始める。一人で数人がか
りに愛撫を受け、快楽と理性の狭間で仰け反っている者たちすらいた。花粉を浴び、意識
がぼおっとなってくる。欲望が突き上がる。この眼の前の知的な顔を崩してしまいたい。
愛し合いたい。クスッと笑ったわたしは「私」を押し倒し、口の中を蹂躙する。軽く何度
か口を付けた後、舌を突き入れ、すぐに離し、桃色の果実に何度もキスを繰り返す。又別
の所を愛撫しようと思った瞬間、「私」の顔がさあっと変わる。花粉を浴びたらしい。
「私」はこれからが本番だ。こちらを見つめながら妖艶な笑みを浮かべる。全てが包み込
まれてしまいそうな、それでいて引き込まれるような魅力を発する「私」。思わず見惚れ
て、動きが止まる。普段知的な「私」が、どうしてこんなにも淫らな笑顔を浮かべること
が出来るのか解らない。そのままゆっくりと唇を付けられ、くちゅくちゅと淫らな音がし
、花粉のせいだけではない、「私」の舌使いで、高みへと導かれてゆく。ねっとりとした
感触と、「私」の唾液の味。どんな物にも勝る至上の媚薬。それだけでふらふらなのに、
今度は割れ目に舌を伸ばされる。口を付けたまま、わたしのいやらしい液を飲まれる。思
わず真っ赤になる。いつも、恥ずかしくなるようなことばっかりする、「私」。でもそん
な「私」に従うことに喜びを覚えてしまう。軽く口付けをしながら一回転し、わたしが組
み敷かれる。完全にわたしが受身の形だ。口を激しく吸われ、同時に胸を揉まれる。一度
止んだかと思うと今度は桃色の果実を口に含まれ、空いた手で秘裂を愛撫され、もう一方
の果実は二本の指に挟まれ、震わせられる。指から痺れが生じ、全身を痺れが満たしてゆ
く。もう何も考えられない…「私」が腰を押し付けると、快楽に誘われる様に腰を動かす
。絶頂の波が寄せては返し、気がおかしくなろうかと言う気分のまま、快楽の海に沈んで
いった。
……意識が戻るが、膝枕の枕になっている「私」は気付かない。これだ。いつもは知的な
のに、まるで別人のように激しいんだから。まだ体中の快感が抜けず、たまらず「私」に
キスをした。
その瞬間、「私」が真っ二つに成った。体液が飛び散り、声にもならない声で叫び。崩れ落ち
る。わたしのなかのなにかが早鐘を打つ。逃げなければ。気付いた瞬間には駆け出していた。
森を駆けていると先ほどの風景が浮いては消える。考え込み、瞼を閉じている「私」。抑えよ
うとしいるのに可愛らしく悶える「私」。でも、すっごくあっちが強くて、えっちで…真っ二
つに成った。寒くも無いのに、胸がぞくぞくする。さっきまで隣にいたのに。ため息をついて
いたのに。もう居ない。走るわたしの後ろに、声が響く。
「俺の剣も中々だろ!」
ただ一人。わたしは、一人きりののわたしは―
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