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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
水氷の手折り花 テレーセトス氏 ウンディーネ&セルシウス×ファラ 2003/12/09 -

人間に負けたのは初めてだった。
彼女は、身を屈め、強力な拳打を放ち、私は打ち負けた。
そう、初めて―
種族も何もかも違うけれど、私はあの人のことが多分、好きなのだろう。
きっかけは些細なことだけれど。
叶わなくても、あの時の憧れと胸のざわめきは、忘れない―
「んっ、はぁっ…」
暗い空間の中に嬌声が響き渡る。空中で、二人の女性の姿をした者が体を重ね合わせてい
る。二人の体は、人には有りようも無い、青系の肌をしていた。
微笑みながらもう一人の桜色の果実に口付けを与えているのは、全てを包み込む慈愛と優
しさに満ちた水の大晶霊―ウンディーネ。
だらしなく声を上げ、快楽に顔を歪ませているのは、繊細で、氷の様に気高いはずの氷の
大晶霊―セルシウスだ。
「もっと…もっとぉ…、ウンディーネ…」
既に秘裂にはウンディーネの指が二本入り、じゅぷじゅぷと音を立てながら蠢いている。
セルシウスは、それに合わせて背中に手を回していやらしく腰を上下させている。
線が細く、凛とした印象を漂わせる顔は紅に染まり、怜悧だったはずの目は惚けたように
なり、引き締まった口はだらしなく開かれ、全体から受ける様相は淫蕩だった。
見事な青い髪を振り乱し、与えられる快楽をただ享受している。
ウンディーネが指を抜き、代わりに虚空から現れた水色の触手が秘裂に突き刺さる。同時
にキスを与え、胸を揉み、肉芽をこねる。
「あ、あ、あぁぁぁぁぁっ」
氷の晶霊は一際高い声を上げると、体を弓なりにそらし、宙に浮いたままぐったりとなる
。人ではないものの快楽の宴は、ひどく官能的で、倒錯していた―。

「虎牙破斬!」
上下から襲う牙のような斬撃が敵を真っ二つに切り裂き、消滅させる。
「よし、じゃあペイルティに戻ってメシにしようぜ、メシに!」
声高らかに宣言したリッドは、10分後。明らかに腹八分目とは言いがたい量を食べていた。
それを尻目に、メルディとキールが話している。
「しかし、本当に何故急にセルシウスとウンディーネの移動が出来なくなったんだ?」
「はいな。ふしぎだよー」
「…!そうか!カロリック流動が何らかの形で晶霊の移動を妨げていると仮定すればある
いは…とするとやはり問題は対のクレーメルケイジに入れているレムが原因か…だがそう
なるとドカターク効果が及ぼす影響についても検討しなければならないな…いや、しかし
それはファルキュラ説が正しかった場合で…仮に正しかったとしてもそうなるとドカター
ク効果を新たな観点から見直さなければいけないし…」
「キール?キール?自分の世界がはいちゃったよ」
自分の世界に入ってしまったキールを見やり、手持ち無沙汰そうなファラに話しかける。
「なんでだろなー」
「さぁ?ケンカでもしたのかなぁ?」
何となく思いつきで言ってみた。
…まさか当たらずとも遠からずだったなんて。
宿屋の自分の部屋。ファラは、明日の支度も終え、宿で用意された寝巻きも着終え、特
にすることも無いのでベッドにつこうとした。
が、その時、青と群青の光輝が部屋を満たした。
次の瞬間、部屋に現れたのは、水の大晶霊―ウンディーネと、氷の大晶霊―セルシウスだ
った。
「え…?ウンディーネ、それにセルシウスまで…どうしたの!?」
「いえ、退屈していまして、ぜひファラさんにお相手いただきたいことが…」
ウンディーネのいつもの落ち着いた物腰に、幾分か驚きが収まり、普通に話すことが出来た。
「なに?」
「そうですね…女同士の交歓に、お付き合い頂きたいのですが…」
交歓…?訳もわからず聞き返す。
「交歓って…?」
「セックスのことよ」
セルシウスが、静かに付け足す。人間より遥かに高次元の存在であるはずの二人が発した
その言葉に、ファラは頭が真っ白になるのを感じた。
「は…?セッ…?」
上手く言葉にならない。震えた唇が意味を成さない言葉を紡ぎ出す。
「でもわたしそんなこと…女同士だしそれにまだだしでもそんなこといいたいんじゃなく
て…」
わたわたと慌てているうちに顔を少ししかめたセルシウスがウンディーネに言った。
「ウンディーネ。あれやって」
「はい…」
その刹那、何も無かったはずの空中に水が出現して、ファラの両手足を拘束する。床に倒
れたまま大の字に固定された形になった。
「はっ!」
そこへセルシウスが一声上げ、拘束された水をさらに凝固させる。完全に動けなくなる。
「そ…その…するの?」
自分で言葉を発してから、意外な自分の声の弱々しさに気付き、驚く。そこに、あやすよ
うなウンディーネの囁きが降って来る。
「優しくて…甘い歓喜の時を…」
唇が耳に触れるほど近づけられ、言われた言葉に、ファラは、自分の体に痺れが走るのを
感じた。
「セルシウス…?」
水の晶霊がまるで、確認を取るように聞いた言葉に、氷の化身は軽く頷き、掛け声をかけ
ると、それと共に氷で出来たナイフが現れる。
ナイフの刃を舐めると、そのまま、寝巻きの中心に沿って切ってゆく。寝巻きを音もなく
切り裂いていくナイフの、時折伝わる全てを凍りつかせるような冷気に、文字通り背筋が
凍りつくような感覚を覚える。
下着はつけていなかったので、直ぐに裸身が露になる。
「…見ないでっ」
恥ずかしさに体を隠そうとするが、大の字に縛り付けられているのでそれも叶わず、ただ
頬を朱に染める。
「あら、可愛い胸してるのね」
セルシウスの冷静な声が耳に入り、益々恥ずかしくなる。ウンディーネは少し離れた所で
成り行きを見守っている。
「本当、食べちゃいたい位に…」
その瞬間、セルシウスが不意に口付けをして来る。互いの瞳が写る距離まで顔が近づき、
その瞳に欲望の光を見た気がした。
間近で見る氷の晶霊の顔は、吸い込まれそうなほど綺麗で、同性なのにドキドキさせる
魅力があった。
軽く何回も、ついばむようなキスを繰り返される。繰り返されているうちに、段々緊張
がほぐれ、唇も柔熱を帯びてくる。
「私と戦っていた時の貴方、とても綺麗だった…」
熱い吐息と共に耳に囁きかけられ、再び唇を重ねる、口の中まで味わいつくされる、濃厚
なキス。
舌は熱くて、歯茎に触れるたびに、融かされそうだった。
頭の中も段々痺れ、何も考えられなくなってくる。
それほどまでに氷の晶霊のキスは熱く、情熱的だった。
気がつくと、自分も舌を差し出していた。舌と舌が絡み合う。唾液を流し込み合い、口腔
の天蓋を舐める。キス以外何もしていないのに、官能の火が燃え上がってくる。
「身を翻して、拳撃を繰り出して…この指で…」
大の字の先端にある指をしゃぶられる。
「やぁっ…汚いっ…」
一本一本丁寧に舐められていく。爪の間まで入り込む。
「この足で…蹴って…」
太股に舌が滑り、秘裂の近くまで来ては戻る。股がじんじんする。気がついたら、ウンデ
ィーネがそばまで来ていた。
「セルシウスは、貴方のことを随分とお気に入りのようですよ…」
「えっ…女?同士だし人間じゃないし…」
「永き時を生きてきた晶霊にはそんなもの関係無いんです…事実があるだけ」
でも、確かに、好意を寄せるのは種族の差は関係ないと思う。だけど…いきなりそんなこ
と言われたって…
「それよりも、今は…この、歓喜の時を…楽しみましょう?」
ウンディーネが妖艶に微笑み、愛撫し始める。両の耳にそれぞれ舌を入れられる。その光
景に、思わず顔が赤くなる。
「何をいまさら」
セルシウスに突き放すように言われ、
「可愛いですね…」
ウンディーネに微笑まれる。
対照的な二人の言葉を聞くたび、電流のように快感が走り抜ける。
それなのに、愛撫の仕方は全く反対で。セルシウスに獣のように弄られたかと思えば、ウ
ンディーネは冷静に、ゆったりとした刺激を与えてくる。
二人がそれぞれ左と右の果実を口に含む。左右から伝わる別の快感に気がおかしくなりそ
うで。指は秘裂に伸び、それぞれの指使いで蠢く。
「あ…くぅっん、はっ」
宿屋の一室に私の嬌声と三人分の息遣いだけが聞こえる。やがて、ウンディーネが微笑む
。
「最後は…一緒に…ね?」
そのまま秘裂同士を擦り合わせ、セルシウスは、私の口元に持ってくる。
「…ね…舐めて?」
その時のセルシウスは、期待と拒絶の恐怖が混在した顔で、子犬のように聞いてきた。そ
の時、自分とは違う次元の存在であるはずのセルシウスが、可愛く、いとおしく思えた。
微笑んでみせる。それだけ。そして三人の喘ぎ声はシンクロして―。

朝目が覚めると、私一人だった。…女の子に恋されちゃうなんて。どうしよう。それも、晶霊に。
だが、すぐにあの怜悧な、吸い込まれそうな顔が頭に浮かび、思いを振り払う。
「イケるイケる!」


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