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作品名 |
作者名 |
カップリング |
作品発表日 |
作品保管日 |
いけない!リフィル先生 |
サザム氏 |
リフィル×ジーニアス |
2003/10/13 |
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「んっ……ふ、あ……」
休日の昼もだいぶ過ぎた頃、リフィルはもぞもぞとベッドから身を起こした。
昨晩はつい学術書を読みふけり、夜更かしをしてしまったのだ。
まだ眠たげな目で家の中を見回すと、ロイドと遊びにでも行ったのか、ジーニアスの姿はすでに無い。
テーブルの上にきちんとサンドイッチが用意されているのを見て、リフィルは小さく溜息をついた。
「まったく、良く出来た弟だこと。私の方が申し訳無くなってくるわね」
寝巻き代わりの大きめのシャツ一枚という無防備な姿で呟き、リフィルはベッドに腰掛けてズボンを穿く。
身支度を整えて顔を洗うと、朝昼兼用になってしまった食事をゆっくりと摂り始めた。
ジーニアスが物心ついて以来、セイジ家の家事は全て弟が取り仕切っている。
明晰と言ってよいリフィルの頭脳も、こと炊事・洗濯などの分野に限っては、ものの役に立たない。
今日のところは特に予定もなく、外は気持ち良いぐらいに快晴である。
食器を片付けると、リフィルはこの後なにをしようかと、少しの間考え込む。
「そうだわ、たまには布団ぐらい干しておいてあげようかしら」
いくら何でも失敗しようのない手伝いを思いつき、リフィルは早速ベランダに掛け布団を持ち出した。
「よ……っと。本当にいいお天気ね。今日も暑くなりそう」
自分の布団をベランダの手すりに広げると、リフィルはパンパンと叩いて埃を払った。
木々の間を抜けてそよぐ微風が、爽やかな空気を運んでくる。
軽く深呼吸すると再び家の中に戻り、今度はジーニアスの布団をベッドから剥ぎ取る。
そこでリフィルは、布団に隠されていたシーツの異常に気が付いた。
「あら? どうしたのかしら、これ……」
ジーニアスのベッドのシーツは、中央部だけが乱雑に引っ張ったように、大きくシワが寄っていた。
シワを伸ばしてみると、その部分は何度もこすった感じで擦り切れて、小さく穴さえ空いている。
「あの子、そんなに寝相が悪かったかしら? 後で繕っておくように言っておかなくてはね」
以前、5本の指全部に針を突き刺して以来、リフィルが自分で裁縫をする事はジーニアスに止められている。
一人ごちたリフィルは、とりあえずシーツを敷き直すだけにして、掛け布団をベランダに持ち出した。
しかし、抜群の記憶力を誇るリフィルも、日常生活においては結構抜けた処がある。
日が暮れる頃にはそんな些細なことなどすっかり忘れており、結局布団はジーニアスが取り込む事になった。
◇ ◇ ◇
(ふう……。どうも寝苦しいわね……)
昼ごろまで寝過ごしたせいか、その夜、リフィルはなかなか寝付けずにいた。
意識して呼吸を深く長くしたり、頭の中で数を数えたりもしたが、かなり経っても一向に睡魔が訪れない。
太陽の温もりが残る布団の心地良さも、安らかな眠りに至る助けとしては不十分である。
リフィルが諦めて一度起きようと思った時、彼女の耳に何かの軋む音が届いた。
(……ジーニアス?)
薄目を開けて音のする方を見てみると、ジーニアスの寝ているベッドの布団が、もぞもぞと動いていた。
寝相にしてはかなり不自然な動きに、リフィルは軽い違和感を覚える。
するりとベッドを抜け出すと、寝ているかも知れない弟を起こさないように、足音を忍ばせて歩み寄る。
「ジーニアス、起きているの?」
「……!」
リフィルがそっと囁くと、ジーニアスはまるで怒鳴りつけられたかのように、ビクンと肩を震わせた。
「起きているんでしょう? 布団の中で何をしているの?」
「なっ、何もしてないよ! いいから放っておいてよ、おやすみっ!」
肩に置かれたリフィルの手を振り払うようにして、ジーニアスは布団の中に頭まで潜り込んだ。
その反抗的な態度に、カチンときたリフィルは声を荒げる。
「何もしていない訳がないでしょう! もしかして、またオネショでもしたんじゃないでしょうね!?」
「馬鹿にしないでよ! ボクだって、もう子供じゃないんだから!」
「だったら私に見せてみなさい! やましい事がないなら、布団の中から出てこれるはずよ!」
「やめてよ姉さん! ボクもう寝るんだからっ!」
二人は強い口調で言い争いながら、綱引きのように布団を引っ張り合った。
眠れなかった苛立ちも手伝い、リフィルの手に段々と力が込もってくるが、それでもジーニアスは抵抗する。
業を煮やしたリフィルは一旦手を離すと、ジーニアスの足元にある、布団のもう一方の端を掴み取る。
「いいから、見せな……さいっ!」
「あっ!?」
「……えっ!?」
大きく布団を捲り上げると、ジーニアスが必死に隠していた理由が、リフィルの眼に映る。
ジーニアスの下着はベッドの上に脱ぎ捨てられ、剥き出しになった幼い陰茎が、硬く勃起していた。
「ジーニアス……。あなた、何て事を……」
「うっ、ううっ……!」
リフィルが呆然と呟く中、ベッドの上でへたり込んだジーニアスは、ポロポロと涙を零した。
羞恥に顔を歪めながら、上着の裾を引き下ろして、姉の視線から大事な部分を隠す。
リフィルが直したはずのシーツは、ジーニアスの行為でベッドの中央に引っ張られ、再びシワが寄っている。
そこに陰部を擦りつけて自慰をしていたのだと悟り、リフィルの意識はますます混乱した。
「ジーニアス、どうして、いつから……?」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
言わずもがなのリフィルの問いに、ジーニアスはただ泣きながら、何度も謝った。
どうやら、行為の意味は判っていないが、それが何かいけない事であるという漠然とした認識はあるらしい。
リフィルの中では、一回り以上も年の離れた弟は、やはりいつまで経っても子供という意識が強い。
そんなジーニアスが性の目覚めを迎えたという事実は、彼女にとってかなりショッキングな出来事であった。
「べ、別に怒っている訳ではないのよ。だから、落ち着いて話してちょうだい」
「ぐすっ……。ほ、ほんと……?」
「えっ、ええ。それで、どこでこんな事を覚えたの?」
「うん。あのね……」
ランプに火を灯しながらリフィルが曖昧に頷くと、ジーニアスは安心した様子で、とつとつと話し始めた。
この行為を覚えたのは、およそ2ヶ月ほど前からであること。
たまたま村の女の子の水浴びを見てしまったのが、きっかけであること。
ベッドに寝転がっていた時にそれを思い出してしまい、シーツに擦りつけてみたら気持ち良かったこと。
それ以来、普段はリフィルが外出している間にしていたが、今夜はどうしても我慢できなかったこと。
観念したジーニアスは、言葉を差し挟むまでもなく、その時の自分の気持ちまでをも正直に話す。
弟の赤裸々な告白に、リフィルは胸を高鳴らせながら聞き入った。
「……これで、全部だよ。姉さん、これってやっぱりいけない事なのかな?」
「えっ!? え、あ、そうね……。誉められた事ではないけれど、別に悪い事でもない……わよ、多分」
いきなり呼び掛けられたリフィルは、うろたえた自分を隠し切れずに、もごもごと言葉を濁した。
ランプの光に紛れ、赤く火照った自分の顔が気付かれていないであろう事を、誰にともなく感謝する。
「でもね、ジーニアス。そのやり方は直したほうがいいわ。シーツだって痛んでしまうし」
「えっ、でも、直すって言ったって、どうすればいいの?」
動揺して、いささかピントの外れたリフィルの忠告に、ジーニアスは途方に暮れた様子で訊ねる。
「ど、どうすればって……」
重ねられた答え辛い問いに、リフィルの知性は更に空回りを続けた。
本来なら、学校の授業のように、その手の本でも見せるか、口頭で教えてやるかすればいいだけの話だ。
けれど、ジーニアスの幼い性の発露を見て、彼女の『女』の部分が強烈に疼いて来てしまっている。
少し前までは一緒に風呂に入っていたのに、見慣れている筈なのに、胸の動悸がどうしても止められない。
強い蒸留酒を飲んだ時のように、身体の中心に熱が生じ、理性が失われていくのが分かる。
「じゃあ、わ……。私が……教えてあげるわ……」
理性の隙間をこじ開けて、リフィルの身体を乗っ取った情欲が、彼女の舌を勝手に操った。
◇ ◇ ◇
「ジーニアス……。ベッドの端に寄って、床に足を下ろしなさい」
「うっ、うん。……こう?」
様子の変わった姉の態度に少し戸惑いながら、ジーニアスは素直にその言葉に従った。
頭の隅に残った理性が必死にリフィルを引き止めるが、一度動き出してしまった欲望はもう止まらない。
これからする事への期待に、彼女の股間はすでに熱くなり始めていた。
「……次は、そのまま足を開いて、私にそこを見せなさい」
「ええっ!? そっ、そんなの、恥ずかしいよ!」
続くリフィルの要求に、ジーニアスは慌てて首を振り、股間を隠した上着の裾を両手で押さえつけた。
しかし、性の昂ぶりに支配されたリフィルは、弟の煮え切らない態度に、強い苛立ちを覚える。
「開きなさい!」
「はっ、はいっ!」
鋭い声で叱りつけられると、ジーニアスは反射的に背筋を伸ばし、閉じていた足をパッと開いた。
話をしているうちに萎えたのか、ジーニアスのモノは先程の半分ほどに縮み、だらんと頭を垂れていた。
「それでいいのよ……。手を貸して……。ほら、ここを軽く握るのよ……」
「ね、姉さん……」
怒りを収めたリフィルは、ジーニアスの足の間に跪くと、弟の片腕を引き寄せ、掌を開かせた。
それを弟の股間に誘導すると、小さな手の甲に自分の手をそっと重ねたまま、柔らかな肉茎を握らせる。
彼女の指先が触れた途端、ぐんにゃりとなったそれは、臆病な小動物のようにピクンと震える。
ジーニアスのうぶな反応に、リフィルは背筋にゾクッとする疼きを感じた。
「そうしたら、こうやって、擦ってあげるのよ……ほら、分かる?」
「姉さんっ!? ぼぼぼっ、ボク、一人で出来るからっ!」
「駄目よ、私が教えてあげているのだから……。そうよ、教えているだけなんだから……」
「あ、あっ!?」
リフィルは自分に言い訳をするようにそう繰り返すと、ジーニアスの手の上から、幼い陰茎をしごき出した。
動揺するジーニアスは、彼女の動きに操られて自分自身を擦りながら、情けない声を上げた。
姉に見られているという羞恥心も手伝い、萎えかけた肉棒へ急速に血流が集まる。
大した時間もかからずに、ジーニアスのそれは硬く反り返り、先端から薄桃色の亀頭が覗くまでに成長した。
「もう、こんなにしてしまったのね……。ジーニアスったら、いけない子……」
「ご、ごめんなさい、でも……」
艶を含んだ声でリフィルが呼び掛けると、ジーニアスは快楽に潤んだ瞳で姉の顔を見下ろした。
「でも、気持ちいいのね? ふふふ、いけない子だわ。本当に、いけない子……」
「だだ、だって、ねね、姉さんが、姉さんがっ!」
リフィルは淫靡な含み笑いを洩らしながら、ゆっくりと手を上下させ続けた。
何も知らない弟に性の手解きをする事に、優越感と罪悪感の入り混じった、複雑な欲望を燃え立たせる。
先端から漂うすえた匂いが、まるで媚薬のように彼女の頭を痺れさせ、官能を誘う。
今のリフィルにとっては、駄々をこねるようなジーニアスの声さえ、興奮を高める材料でしかなかった。
「やり方は分かったわね? 今度は、自分から手を動かして見なさい……」
「う、うん……。んっ、ん……っ」
リフィルはジーニアスの手を離し、掌で陰茎の先端を優しく包み込むと、囁くような声で促した。
ジーニアスは小さく頷き、姉が教えてくれた通りに、幹の部分をしごき始める。
拙い手つきでリフィルの動きを真似て、握り締めた手を細かく何度も揺する。
その懸命な表情に、母性愛や保護欲にも似た感情が込み上げ、燃える欲望と絡み合ってゆく。
無意識のうちに、リフィルは空いている手でシャツの裾を割り、ショーツの上から己の陰裂をなぞっていた。
「ねぇ、姉さん……。なに、してるの……?」
リフィルの行為を見咎めたジーニアスは、自分で生み出す快楽に酔いしれながら、訝しげな口調で訊ねた。
最初の内はぎこちなかった手の動きも、次第に滑らかになって、自身のものを慰めている。
「え……? あ、私……んっ!」
ジーニアスに指摘されて、初めてその行動を自覚したリフィルは、ピクッと指先を折り曲げた。
その拍子に、爪が布越しに陰核を弾き、引き起こされた快感が、波紋のように腹の奥へと響いていく。
頭の隅に残ったリフィルの理性は、『弟の前でそんな淫らな真似をするなんて』と激しく非難している。
けれど、渦巻く欲望に飲み込まれた肉体は、決してその弾劾を受け入れようとはしなかった。
「んんっ、何でも、ないのよ……。いいから、ジーニアスは、自分の感覚に、あっ、集中して……」
「うくっ! わ、分かったよ、姉さ……うっ!」
リフィルは呼吸を荒くしながら、ショーツの中に手を差し入れて、今度は濡れた花弁へ直に指を這わせた。
そこは自分でも驚くほど熱く滾っており、薔薇のように花開いた肉襞が、細い指に絡み付いてくる。
同時にリフィルは、もう一方の手で包皮の上から先端を弄り、ジーニアスの意識を自分から逸らそうとした。
にじみ始めた先走りの汁が、皮と亀頭の間でくちゅくちゅと音を立て、やがて白く泡立ってくる。
乾いた唇を舌で何度も舐めながら、リフィルは堕ちてゆく感覚にその身を任せていった。
◇ ◇ ◇
「んっ……、ねえジーニアス、ここを……剥いてみた事はあって?」
しばらくすると、リフィルは亀頭の部分を掌で撫で回しつつ、悶えるジーニアスにそう問い掛けた。
包皮に隠されたその中身を、直接見てみたくなったのだ。
ショーツの中の指先はすでに陰裂の中に割って入り、音がしないようにゆっくりと前後している。
自分で焦らすようなその静かな動きは、却って彼女の欲求を募らせるばかりであった。
「むいて……? 何それ、意味分かんないよ……」
息を荒くしたジーニアスは、熱病に罹ったようなぼんやりした声を返し、ふるふると小さく首を振った。
そうしながらも、陰茎をゆるく握った手の平は、しゅにしゅにと幹の根元近くを行き来し続けている。
予想通りの回答に、リフィルの肉感的な唇の端が、淫らな悦びにくいっと持ち上がった。
「分からなければ、教えてあげるわ……。少し痛いかも知れないけど、我慢するのよ……」
「えっ、な、なにを……あ、痛っ!」
リフィルは白魚のような指で先端を強めに握ると、たるんでいるジーニアスの包皮を引き下ろしていった。
だが、大きくなった亀頭に比べて皮の直径が小さいため、途中でピンッと包皮が引き攣れる。
伸び切った皮が敏感な亀頭を締め付け、鋭い痛みにジーニアスの口から悲痛な声が漏れる。
しかし、リフィルは手を緩めようとはせず、更にじわじわと手を進めていった。
「痛い、痛いよっ、姉さん! 何で、何でそんな事するのっ!?」
「大人はみんなこうするのよ……。貴方はもう子供ではないのでしょう? なら、我慢しなくてはね……」
「いっ……つうぅっ!」
くんっと勢いをつけて引っ張られると、一際強い苦痛と共に包皮がつるんと裏返り、中身が外に飛び出した。
むき出しになった先端の辺りは生々しい肉の色を示し、やわな粘膜がヒリヒリと疼痛を訴える。
皮に包まれていた時に比べ、遥かに輪郭がシャープになっており、それがひどくグロテスクに感じられる。
ジーニアスは初めて見る自分のモノの真の姿に、軽い恐怖の念すら覚えた。
「姉さん、これ、ボクの……?」
「ええ、そうよ……。これが、ジーニアスが大人になって来た証拠……」
リフィルは久しぶりに見る男根に興奮し、蕩けそうな声音で返答した。
彼女とて妙齢の女性である以上、それなりに異性との性経験はある。
しかし、エルフの血を引いているため、人間族の男性とでは、気楽にお付き合いをする訳にもいかなかった。
特にイセリア村の中では、誰もがその怜悧な美貌に気後れしてか、手を出してくる男など皆無である。
ここ数年は決まった相手も無く、どうしようもなく欲しいときも、自分で慰めるだけの日々が続いている。
そんなリフィルにとって、今だ未成熟とは言え、立派な形状を備えたその肉棒は、あまりに魅力的だった。
「んっふ……、まずは、綺麗にしなくてはね……。ジーニアス、じっとしているのよ?」
「ね、姉さん、何を……?」
リフィルはカラカラに乾いた口の中を舌で湿らせながら、そそり立つモノに顔を寄せていった。
隠れていた雁の部分には白く恥垢が溜まり、アンモニア臭と相まって、きつい匂いを放っている。
「は……んむっ」
「うわっ、うわわわわっ!?」
軽く口をOの字に開けると、リフィルは強い臭気をものともせず、亀頭全体をすぽっと咥え込んだ。
柔らかな唇と、温かく湿った口内に敏感な粘膜を包まれ、ジーニアスは裏返った声を上げる。
リフィルはそのまま、傘の裏の部分に沿ってちろちろと舌を滑らせた。
「姉さんっ! だ、駄目だよ、そこ汚いんだからっ!」
「んむっ……ふぅ。平気よ、可愛いジーニアスのなんですもの……。ん、ちゅ……」
「駄目っ、だよっ! 姉さん、駄目だっ……たらぁ!」
リフィルは固まった恥垢を唾液で柔らかくしてから、舌先で優しくこそげ取っていった。
癒えかけた傷のかさぶたを剥がされていくような、むず痒い快感が、ジーニアスの陰茎に走る。
「るろっ……んぷ、ふっ……ちゅむ、っふ、んん……っ」
「っくぅ、だめぇ……、姉さん、汚いよぉ……」
リフィルの舌は、刺激に慣れていない粘膜へ痛みを与えないよう、そろり、そろりと口内で蠢く。
だが、その程度の愛撫でも、幼いジーニアスにとっては目が眩むほどの快感に感じられる。
唇で堰き止められた唾液がリフィルの口腔に溜まり、亀頭の汚れと匂いを洗い流していった。
「ふむぅっ……、ぅん、ん、んっ……。んふぅ、ん……んくっ!」
「うあっ……。ね、ねえさ……」
恥垢を落とし終えたリフィルは、先刻の自分の言葉を証明するかのように、それを躊躇いもせずに飲み下した。
滲んだ先走りの薄い塩味と恥垢のえぐ味とが、溜まった唾液と混じり合って、彼女の喉を滑り落ちていく。
口内の動きで姉のした行為を察したジーニアスは、今まで経験した事のない激しい情欲を覚える。
説明のつかない黒々とした激情は、幼い自制心を焼き尽くし、胸の中でしこりのように凝り固まった。
「んぷぅ! ……ほら、ジーニアス、綺麗になったわよ?」
リフィルは、亀頭から口を離すと、あごに垂れた雫を手の甲で拭いながら、艶然と微笑んだ。
反りの入った幹は雄々しく天を指し、鈴口の下の部分には、細い血管が幾筋も浮き上がっている。
唾液に濡れ光る男根を、リフィルは芸術家が己の自信作を見るような、どこか誇らしげな表情で眺めた。
「ねっ、姉さん、その、ボク……。もう……」
「ふふふっ。もう我慢できないのね? いいわ、後は自分のしたいように、してみなさい……」
「う、ううう……、うわあああっ!」
姉の許しを得ると、ジーニアスは狂ったように叫びながら、自身のモノを激しく擦り始めた。
大きく股を開き、幹の半ばを力の限り握り締め、がむしゃらに腕を上下させる。
清められたばかりの先端から、すぐにじくじくと透明な汁がにじみ出て、再びそこを汚していった。
「ねえさ……っ! ボクっ……きもちっ……きもちいいよぉっ!」
「良いのね? 私の目の前で、そんな恥ずかしい事をして、それでも気持ち良いのね?」
「いいよぉっ! ボクっ、ボクっ……みられてる、のにっ……おかしくなっちゃうよおっ!」
「あっ……、いいのよっ、ジーニアス! おかしくなっても、いいのっ……んうぅ!」
ぎゅっと眉を寄せて切ない声を上げるジーニアスの姿に、リフィルの頭の芯にも灼熱の炎が燃え上がった。
弟の動きをトレースするように、じゅぷじゅぷと音を立てて秘洞を抉り、掻き回す。
勢いに任せて淫らな質問をすると、ジーニアスは全身をわななかせながら、素直な感情を口にする。
その声の響きに、リフィルはますます興奮を高められ、指の動きが速度を増していった。
「ねえさんっ……! ボク、ここから、なんか、でそう……っ!」
ジーニアスは、手の中の肉茎にじんわりと痺れるような違和感を覚え、かすれた声で言い放った。
以前、シーツにこすり付けて慰めていた時は、このあたりで怖くなって止めていたのだ。
けれど今、ジーニアスの手は全く言うことを聞かず、さらにその先へと強引に引き連れていく。
少年の膝や肩が勝手に痙攣し、鈴口の小さな開口部が、迫り来る予兆にひくひくと開閉した。
「でそう……なのにっ、とまらないよぉ! ねえさんっ、ねえさぁん!」
「いっ……いいわよ、出してもっ……! 私がっ、こうして、受け止めるからっ……!」
「ねえさ……、でるよ、ねえ……さぁんっ!」
リフィルは手の平を丸めて、ジーニアスの亀頭を柔らかく覆い、精が周りに飛び散らないようにした。
そしてそのまま、優しい手つきで先端を揉み解し、弟が絶頂へと至るのを手伝う。
陰裂をまさぐる彼女の指はいつの間にか二本に増え、自分の中で擦り合わせるように、素早く動いている。
同時に親指の腹が勃起した陰核をこね、脳天まで突き抜けるような快感を沸き起こしていた。
「でる……でちゃうううぅっ!」
「んふぅん!? ん……あ、はぁ……」
ジーニアスは背を反らして絶叫すると、姉の掌の中へ大量の精液を吐き出した。
勢い良く迸る精の熱さと、震える男根の脈動を指先に感じ、リフィルは大きく鼻を鳴らす。
指の間から零れ落ちそうになり、リフィルはスッと手を持ち替えると、弟の白濁を手の平に掬い取る。
「あはぁっ、はあっ、っはぁ……!」
「すごいわ……。こんなに、いっぱい……」
ジーニアスが激しく喘ぐ前で、リフィルは手の中に放出された黄色みを帯びた精液を、指先で弄んだ。
それは粘液というよりも、むしろゼラチンのように凝り固まり、指で挟むとクキュッと手応えを返す。
ある種の魚介類にも似た青臭い匂いが、むせ返るほど強く立ち昇り、リフィルの鼻腔をくすぐる。
しばらくそれをいじってから、リフィルは手近にあったタオルでざっと拭い取り、ゆらりと立ち上がる。
最後まで残っていた理性の欠片も、すでに彼女の頭から消し飛んでいた。
◇ ◇ ◇
「ねぇジーニアス……。貴方、まだ出来るわよね……?」
「はぁっ、あ……ねえさ……ん?」
リフィルはジーニアスの前に立ち、自分のシャツのボタンを一つずつ外していった。
初めての射精の余韻が抜けていないジーニアスは、そんな姉の姿を呆然と見上げる。
最後のボタンを外し終えると、シャツの前がはらりとはだけて、リフィルの滑らかな白い肌が覗く。
横から照らすランプの淡い光がうっすらと陰影を形作り、彼女の肢体の豊かな曲線を強調した。
「出来る、わよね? まだこんなに硬いんですもの……」
「んくっ!? ね、姉さんっ!?」
ジーニアスの耳元に唇を寄せると、リフィルはそっと囁きながら、まだ萎えていない陰茎を軽く握った。
ふわりと漂う成熟した女性の体臭に、ジーニアスの身体は戸惑いながらも素直に反応する。
その反応に満足し、リフィルはするっと身体を入れ替えて、ジーニアスのベッドに乗り上がった。
「ジーニアス……。もっと、気持ちいいこと、教えてあげる……」
「もっ、と……? 今のより、気持ちいいことが……あるの?」
「ええ、そうよ……」
リフィルは仰向けに寝て腰を浮かし、濡れたショーツを脱ぎ捨てると、大きく股を開いた。
髪と同じアッシュブロンドの下草は、じゃ香のような濃密な匂いを放つ花弁を、額のように取り巻いている。
「ほら、こっちに来て……。ここを見てごらんなさい……」
「んく……っ、うわ……」
手招きをされて、リフィルの足の間に移動したジーニアスは、小さく唾を飲み込み、感歎の息を洩らす。
初めて直視する姉の女性器は、まるで彼を誘うかのように、ひくひくと息づいていた。
「どう、分かる? 私のここに……この中に、貴方のそれを、入れるのよ……」
リフィルは二本の指で陰裂を左右に掻き分け、目線でジーニアスの剛直を指し示した。
ジーニアスは、とろりと透明な蜜をしたたらせる濡れ切った穴に、興奮と同時に本能的な躊躇を覚える。
「えっ、そんな、だって……いいの?」
「よくってよ……。ただし、今日だけ……今夜だけですからね……?」
「うっ、うん……」
けれど、リフィルに優しく諭されると、躊躇いはあっさりと、更に強い欲求へと取って代わられる。
ジーニアスは催眠術にかかったように、ふらふらと姉の身体へ引き寄せられていった。
「姉さん、ここ……? ここでいいの……?」
「違うわ……。そこじゃなくて、もう少し下のほう……」
剛直の半ばを押さえたジーニアスは、リフィルの下腹部に向けた先端を、うろうろと彷徨わせた。
鈴口にぬるりと熱い感触を受け、ジーニアスの頭がカッと熱くなる。
リフィルが指で大きく入り口を広げていても、構造が分からない為、どこに当てればいいのか理解できない。
何度も押し付けて、その度につるりと滑らせているうちに、ジーニアスは段々と顔を歪めていった。
「どこっ、どこなのっ? わっ、わっ、わかんないよっ!」
「焦らないで……。ほら、もっとこっち……んっ!」
「ふぁあっ!?」
リフィルはジーニアスの焦りを見かねて、もう一方の手で先端を押さえ、ゆっくりと誘導した。
姉の指に導かれて、ようやく正しい位置に辿り着くと、敏感な亀頭の半ばまでが、ぬむっと飲み込まれる。
唇よりも熱く複雑な形状を感じ取り、少女のように細い腰がビクンと硬直する。
ほんの少し中に入っただけで、ジーニアスは気が遠くなるほどの強い快感に囚われた。
「あっ……ああっ、あっ……!」
「ジーニアス……。そのまま、腰を前に突き出して……」
「あ……っ、だめっ! ボク……うごけな……いっ!」
ジーニアスは歯を食い縛り、寒さに震えるようにガクガクと首を細かく振った。
太腿の上で強く拳を握り締め、肉付きの薄い華奢な手足には、渾身の力が込められている。
「しょうがないわね……。さぁ、こっちへいらっしゃい……? んっ、ふ……」
「ねっ……さん、だめ……っ!」
リフィルは上体を軽く起こすと、腕を伸ばして、硬直するジーニアスの身体を胸に掻き抱いた。
それと同時に、両脚でジーニアスの腰を抱え込み、鉄のように硬くなった剛直を、自分の膣内へ招き入れる。
「もっと……。ほら、もっと奥まで……ん、んんぅっ!」
「はぁっ! あ! あぁ! ああっ!?」
成人に比べればまだ小さく細いとは言え、ジーニアスのそれは指と比べれば遥かに太く、長い。
そして、秘洞の中で脈打つ動きと、生身の肉だけが持つ温もりは、張り型などの器具では得られない。
久しぶりに迎える男の性器に、内部の肉襞がきゅっと締まって、悦びを表現する。
弟の陰茎を根元まで完全に飲み込むと、リフィルは満足げな吐息を洩らした。
「っあはぁ……。ジーニアス、全部入ったわよ……」
「ん、ふぅっ……! っくぅ、すん、すんっ……!」
「え……ジーニアス、どうしたの?」
「ひぐっ……! ぐすっ、うっ、うっ……!」
一方、許容量を超える強烈な快感に、ジーニアスは鼻を鳴らしてすすり泣いていた。
その顔はクシャクシャに歪み、頬を伝った涙がポタポタとリフィルの胸に降り注いだ。
赤子のようにぐずるジーニアスに、あまりに刺激が強過ぎた事を悟ったリフィルは、軽く苦笑する。
リフィルは弟の背中をポンポンとあやすように叩き、緊張を解きほぐすようにそっと囁いた。
「大丈夫よ、ジーニアス。力を抜いて、深呼吸して?」
「ぅう……、すぅ……っはぁ……! すぅっ……はぁっ……!」
「そうよ、大丈夫、大丈夫だから……」
リフィルは泣き崩れる弟の顔を、豊かな胸の谷間に抱き寄せ、絹のように細い髪を優しく撫で付けた。
柔らかな膨らみがジーニアスの頬をふわりと受け止め、流れる涙を拭ってゆく。
母性を感じさせるリフィルの呟きと、安らぐような胸の鼓動を聞いて、ジーニアスは懐かしい気分に浸る。
しばらく頭を撫でられている内に、ジーニアスの呼吸は緩やかになっていった。
「……どう、もう落ち着いて?」
「っはぁ……。ご、ごめんね、姉さん。ボク、泣いたりして……」
「いいのよ。少しびっくりしてしまったのよね?」
「うっ、うん。ボク、溶けちゃうんじゃないかって、怖くなって……あ」
恥ずかしげに顔を逸らそうとしたジーニアスは、自分の両手が姉の胸に添えられているのに気付いた。
幼児のようにそこへ縋り付いていた自分を恥じて、今更ながらに顔を赤らめる。
「ふふふっ。触っていても、いいのよ? ジーニアスったら、やっぱりまだ、甘えん坊さんね……」
「姉さんっ! こっ、子ども扱いするの、やめてよっ!」
「ええ、貴方はもう、立派な大人よ……。子供なら、こんな風に出来ないもの……ね?」
「んっ!? あ……!」
リフィルは下腹部に力を込めて、抗議するジーニアスに微笑みかけた。
くきゅ、ぬくっ、と剛直全体を甘く締め付け、その大きさと形状を柔らかな肉襞で確認する。
ジーニアスは、じぃんと痺れるような快楽に震え、反射的に指をくっとリフィルの乳房にめり込ませる。
未知の感覚に対する恐怖は薄れ、後はただ秘洞の温もりと姉の肢体の柔らかさだけが、脳裏を支配していった。
「もう、平気よね……? ジーニアス、ゆっくりとでいいから、動いてみなさい?」
「う……動くって、どんなふうに……?」
リフィルの身体に覆い被さった状態のジーニアスは、姉の指示する行為が分からずに、小さく呟いた。
彼女の長い足は未だにジーニアスの腰を軽く引き寄せており、殆ど身動きする余地がないように感じられる。
「こうして……腰を捻ったり、こんな……感じで、細かく前後に揺すったりするの……」
「あっ、ぅくん! ……あ、あ、あっ! ね、姉さん……」
リフィルはベッドの上で身じろぎし、くいくいと円を描くように腰を動かした。
更に、ふくらはぎでジーニアスの腰を揺り動かし、深く飲み込んだ状態から、軽く前後に挿送をさせる。
それだけの動きでも、二人の結合部からは湿った音が響き、隙間から漏れた愛液がつうっと流れ出る。
垂れた雫がその下の菊座へ伝い、リフィルはむず痒いような快感を覚えた。
「ほら、出来る範囲でいいから……。ジーニアス、動いて……?」
「うっ、あ……。ね、姉さん、姉さんっ!」
再度促すと、ジーニアスは何度も姉に呼び掛けながら、ガクガクと腰を振り始めた。
リフィルの胸に顔を伏せ、彼女の肩にしっかりと両手で捕まり、本能が導くままに激しく律動する。
腰を抑える足のおかげで、どんなにがむしゃらに動いても、剛直が膣の中から抜け落ちたりはしない。
それを悟ると、ジーニアスの動きは次第に力強く、素早くなっていった。
「んっ……ふ、いいわよ、ジーニアス……。その調子で……もっと、掻き回して……んっ!」
「あはぁっ、ふっ、くうっ! くふ……っく、う、ああ、あっ!」
リフィルはジーニアスの背中を撫で擦りながら、動き回る肉棒の感触に意識を集中した。
自分の意思で興奮を高めてゆき、少しでも早く頂点に達しようと、貪欲に快楽を貪る。
肩をもぞもぞと動かして、弟の頬に胸の先端を擦りつけ、豊かな膨らみを淫らに変形させる。
ジーニアスの拙い動きから、彼の激しい昂りを感じ取り、リフィルの締め付けが自然に強くなった。
「んっ……いいわっ! いいのっ……すごくいいのっ!」
「っはぁ、はっ、はっ、はぁっ、はっ!」
やがてリフィルは、自分を犯しているのが実の弟であるという事すら忘れ、快楽に溺れきった。
相手の動きに合わせて自ら腰を動かし、朱に染まった目元を震わせて、ベッドの上で激しく身悶える。
身体の上で荒々しい息を洩らす若い牡に、ただの一匹の牝となって、一心に奉仕する。
ジーニアスの動きは更に乱暴さを増し、リフィルはそれを逃すまいとばかりに、強く両脚を締め付けた。
「はぁっ……、はっ……、くっ、ぁ……っ、はぅっ!」
「ああっ、だすのねっ……? いいわよっ、なかにっ、ちょうだい……っ!」
ひくひくと震える男根に射精の予兆を感じ取り、リフィルは歓喜に満ちた声で叫んだ。
秘洞の締め付けを更に強め、肉棒の中から精を搾り出すように、腰を何度も引く。
絶頂を間近に控えた先端が、ぶわっと傘を大きく広げ、段差が肉襞をぞりぞりと捲り上げる。
「うっく、あ、うううぅっ!?」
その巧みな腰使いに、ジーニアスはあっさりと陥落し、二度目の精をリフィルの膣内に放った。
身体の奥から長い棒を引き抜かれるような虚脱感に、細い体がくったりと倒れ込む。
「んう、はぁっ!? ……あ、でてる、のね……。わたしの、なかに……」
どくん、どくんと中で跳ねる男根に、リフィルは深い満足感を覚え、夢見るように呟いた。
身体に掛かるジーニアスの重みも、徐々に縮んでいく剛直の感触も、愛しくて堪らない。
リフィルは軽く目を瞑ると、ジーニアスの身体を強く抱き締めて、快楽の余韻に浸る。
繋がったままのリフィルの陰裂から、男女の愛液が入り混じった白濁が、トロリと零れ落ちた。
◇ ◇ ◇
「……えさん、姉さん。起きてよ、その……朝だよ……?」
ゆさゆさと肩を揺すぶられて、リフィルはうっすらと瞼を開けた。
「んっ……。え、えっ、ジーニアス!?」
「う、あ……。お、おはよ、姉さん……」
ジーニアスの顔を見た途端、夕べのコトが瞬時に思い出され、リフィルの意識が一気に覚醒した。
慌てて跳ね起きると、ジーニアスもボッと顔に血を昇らせて、気まずそうに目を逸らす。
「あう、えと……。も、もうすぐご飯出来るから……。だから、もう起きてね……」
「あ、え、えぇ……」
ジーニアスは俯いたまま、耳まで真っ赤にしてボソボソと呟くと、台所に早足で駆けていった。
その態度に、リフィルは昨夜の記憶が夢などではない事を、いやと言うほど思い知らされる。
リフィルは小さく頷いた後、いつの間にか戻っていた自分のベッドの上で、大きく頭を抱え込んだ。
(ああ、なんてこと……。いくら最近、欲求不満だったからって、実の弟と……)
明るい朝の日差しの中で思い返すと、もはや『魔が差した』などというレベルの話ではなかった。
色情に狂って弟の筆おろしをした挙句、自ら望んで中出しまでさせてしまったのだ。
長々と嘆息し、羞恥と自己嫌悪に苛まれて、リフィルはがっくりと肩を落とす。
何がいけなかったのかといくら考えても、まさしく『気の迷い』としか言い様がなかった。
「はぁ……っ。ああっ、もう! 過ぎた事をいつまで悩んでいても仕方ないわっ!」
ブルブルと頭を振って懊悩を振り払うと、リフィルは勢い良くベッドから飛び出した。
机の上を探って小さな鍵を取り上げ、それを使って一番下の大きな引き出しを乱暴に開ける。
その中から、適当に何冊かの本を選び出し、それを抱えてツカツカと中央のテーブルに歩み寄る。
ドンッと音を立てて食卓に本を叩きつけると、リフィルは尖った声でジーニアスに呼びかけた。
「ジーニアス! 食事の支度はいいから、ちょっとこっちにいらっしゃい!」
「ぴぃっ!? ははは、はいっ!」
ジーニアスは奇妙な声を上げて飛び上がると、わたわたとリフィルの元へ駆け寄った。
リフィルは激怒しているように紅い顔をこわばらせ、何かを堪えるように拳を握り締めている。
ちらりと食卓の上の本に目をやると、その表紙には男女の絡み合う精密画が描かれていた。
「ね、姉さん? その本って……」
「質問は無しっ! いいから黙って聞きなさい!」
姉の物凄い剣幕に、ジーニアスは二の句が告げられなかった。
リフィルは大きく咳払いをすると、まるで学校の授業のように、滔々と話し出した。
「いいこと? この本は、貴方に貸してあげます。男女の身体の仕組みについては、これで勉強なさい。
それから、自分で処理する時は、必ず誰もいない時を見計らってすること。
あと、夕べ私としたような事は、本当に好きな女の子と、同意を得た上でない限りは、絶対しないこと。
そして何より、昨夜の出来事については、決して他言せず、出来る限り速やかに忘れること。
もし一つでも破ったら、それこそ絶対に許しませんからね。……よくって?」
「え、えっ、あの、その、姉さん……?」
「よ・ろ・し・く・て・ねっ!?」
「はははははは、はいいいぃっ!?」
ギヌロッ、と睨みつけるリフィルの殺人的な眼光の鋭さに、ジーニアスは心底震え上がって同意した。
それでもしばらく、二人はまともに目を合わせる度に、その夜を思い出してしまう羽目になった。
結局、普段通りに振舞えるようになったのは数ヶ月後、神子の託宣が降りる数日前だったという。
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