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作品名 作者名 カップリング 作品発表日 作品保管日
メルディはご機嫌斜め サザム氏 キール×メルディ 2003/06/28 -

「むー。キール、今日も来ない気か……?」
クイッキーを胸に抱え、ベッドの上のメルディは口を尖らせて唸った。
冒険の旅を終えてから、メルディとキールは、セレスティアのメルディの家で暮らし始めた。
最初は渋っていたキールをしつこく説得し、ようやく望みを叶えたのだ。
実質上の同棲生活だが、メルディが望んでいた甘い生活は、そう長くは続かなかった。
最近のキールは、論文の執筆に没頭して、メルディに構ってくれないのである。
食事の時すら文献を読み耽り、メルディが話しかけても気の無い返事をするばかり。
それと無く誘ってみても、論文の事で頭が一杯のキールには気付いてすら貰えない。
おかげでメルディは、この所ご機嫌斜めだった。
「クィック、クイッ、クイッキー!」
「そだよな。キールは鈍感だよ、クイッキーの言う通り!」
メルディはクイッキーを顔の前まで持ち上げ、つぶらな瞳を覗き込む。
キールがクイッキーの半分でも察しが良ければいいのにと、メルディは埒も無い思いに駆られた。
「……もう待ってられないな! こうなったら、メルディ自分からアタックするよ!
 うん、メルディが魅力で、キールきっとメロメロな!」
「クイッキー!」
メルディが小さく頷くと、クイッキーは応援するように、短い前足をパタパタと振った。

              ◇  ◇  ◇

「……キール、入るよ?」
「ああ」
メルディがドアを小さく開けて問い掛けると、キールは机から振り向きもせずに、短く応えた。
その後はカリカリとペンを走らせる音と、時折り文献をめくる紙の音だけが続く。
キールの私室にしたこの部屋は、以前のアイメンの図書館もかくや、とばかりに本に埋もれていた。
「キール、今夜も遅くまで論文書くつもりか?」
「まあな。何しろ、もうすぐミンツ大学で晶霊学の学会があるからな。
 それまでにこれを書き上げて、教授達の前で発表しなくてはいけないんだ」
答えながらも、キールは手を休める気配すら無い。
その態度にムッと眉をひそめたメルディは、一瞬で気を取り直すと、表面上はにこやかに言葉を続けた。
「あんまり根を詰めると、良くないよ。……たまには、気分転換でもしたらどうか?」
「気分転換……と言うと、晶霊機関の軽量化に関するレポートを読む、とかか?」
冗談にしてもお寒い限りだが、キールの場合、本気で言っているのだから始末に終えない。
「たとえば、少し身体を動かす、とか……」
「この夜中に、腕立て伏せでもしろと言うのか? 疲れてペンが持てなくなったら、それこそ本末転倒だろう」
「そじゃなくてだな、もっとこう、簡単な……」
「お前にしては持って回った言い方だな。はっきりと具体例を上げて言ってみろ」
つれない返事ばかりのキールの背後に寄り添うと、メルディは頭を抱え込んで、自分の胸に押し付ける。
「……たとえば、こんな事だよ」
キールの後頭部に、やけに生々しい二つの膨らみの感触が押し付けられた。
「うわわわっ!? メ、メルディ、お前、下着を着けてないな!」
「ワイール! やっとキール、こっち見てくれたよ!」
慌てて振り返ったキールの目の前で、メルディは嬉々として跳ね飛んだ。
ジャンプする度に、ワンピース一枚に遮られた柔らかな双丘が、プルンプルンと不規則に揺れ動く。
その動きを目で追いそうになったキールは、努力して目を逸らすと、照れ隠しに小さく咳き込んだ。
「コホンッ! あ、あのな、メルディ。お前も女なら、もう少し慎み深くだな……」
「上だけじゃないな。ほらっ!」
「ぶぅっ!? メメメ、メルディ!」
キールの動揺する様を楽しむように、メルディは幼児のように無造作な動きで、ワンピースの裾を持ち上げた。
可愛い臍の下にも、あるべきはずの小さな布地が無く、淡い紫色の下草が剥き出しにされている。
褐色の滑らかな下腹部と、茂みの下に見え隠れする桜色のスリットを直視してしまい、キールは思わず叫んだ。
「なっ、おまっ、なんでまた、そんな格好を!?」
「分からないか? メルディ、キールにして欲しいよ」
「待てっ、まずは落ち着けっ! と言うか、その前にスカートを下ろせっ!」
そう言う自分の方がよほど慌てているのだが、キールはわたわたと両手を振ってメルディを促す。
スカートが下ろされ刺激的な光景が隠れると、キールは大きく息をつき、どうにか平静な声を取り戻した。
「……メルディ。お前は一体、何を考えているんだ?」
「何を考えているは、メルディが台詞な! キール、前にしてから、どの位してない思てるか!」
咎めるつもりが、より強い語調で言い返され、キールはたじたじになる。
「え……っと、4日ぐらい……か?」
「もう8日な! それまでは、少なくとも3日にいっぺんはしてくれたのにっ!
 いつもはキールの方から誘うまで待ってたけど……、メルディが我慢、もう限界なっ!」
「いっ……!? そ、そうだったのか……?」
思いがけない告白に、キールは愕然としつつも、同時に納得した。
考えて見れば、慣れるまでのごく最初の頃を除いて、メルディがキールの求めを拒否した事は無い。
キールは彼女が自分の欲求に合わせてくれているとばかり思っていたが、実際はその逆だった訳である。
「メルディ、知ってるよ。これって、『けんたいき』って奴な。
 そういう時は、こーゆーそそる格好するといいって、前にファラから教わったよ、だから……」
「やっぱり、諸悪の根源はファラか……」
キールの脳裏に、にぱっと笑って「イケる、イケる!」とVサインを出す幼馴染の姿がありありと浮かぶ。
じんわりとこめかみに染み込むような頭痛に襲われ、キールは頭を抱えた。
「メルディ、僕は別に倦怠期と言う訳では無いんだ。ただ、今はこの論文を……」
僅かに呆れた様子で、キールは軽くかぶりを振りながら語りかけた。
だが、キールのその態度が気に入らなかったのか、メルディはピキッとエラーラの脇に青筋を浮かべる。
最後まで言わせず、メルディは恨めしげな声でキールに問い質した。
「キ〜ルぅ〜。メルディと論文と、どっちが大切かぁ〜……?」
「い、いや、この場合、どちらが大切と言う問題ではなくてだな……そもそも、比較対象の定義とは……」
半眼になって詰め寄ってくるメルディに、キールはガタガタと椅子を鳴らして後ずさった。
こう言った話題になると、キールは普段の冷静さがカケラも無くなり、妙に口調が学術的になってしまう。
しかし当然、そんな言葉ではメルディを納得させる事は出来ない。
「だったら、キールは勝手に論文でも何でもすればいいな。メルディはメルディで勝手にするよ……!」
「おい、ちょ、メルディ、何を……!」
足の間に屈み込むと、メルディはキールのローブを手荒に捲り上げた。

              ◇  ◇  ◇

「……なんだ、キールのコレ、ちょっとおっきくなってるな」
「よ、よさないかっ、メルディ!」
下着の上から股間を撫でられて、キールは上ずった声を上げた。
今までメルディが自分からこんな事をした事は無かった為、キールは思わず硬直する。
メルディは、動けないでいるキールを椅子ごと引っ張りつつ、自分の身体を机の下に潜り込ませた。
「んしょ……っと。はい、キールは気にせず、論文を続けてていーよ」
「いや、続けろったって……うっ!?」
キールが対処に困っている間に、メルディは下着をずり下げて、半立ちになったモノを引っ張り出した。
ひんやりとした外気を感じたのも束の間、キールの肉棒はメルディの暖かな手の平に包まれる。
「ふふっ。あっちのイジワルなキールと違って、こっちのキールは素直だなー」
「何に向かって喋っているんだ! くっ、くそ、そっちがその気なら……」
くにくにと指で揉まれて、理性の制御を受け付けなくなった分身から、キールは無理矢理意識を逸らした。
このまま情欲に流されては、日常生活だけではなく、以後こちらの方まで主導権を握られかねない。
そんな危機感に駆られ、キールは気力を振り絞って、論文の続きに集中しようとした。
(くっ……、つまり、インフェリアとセレスティアの晶霊の属性は、……っ!)
「あは、もう元気になってきたな。メルディ嬉しいよ……」
(ぞっ、属性は、つまり、統括……統括晶霊の、ぶんっ……分化した……形態ともっ……)
「こっちのキールも、メルディに触られて嬉しいか? ……いいコだな、頭撫でてあげるよ」
しかし、そんなキールの思いを知ってか、メルディはクイッキーに対するような口調で、下半身に語り続けた。
優しげな睦言を紡ぎながら、次第に硬度を増してくる肉茎を、さわさわと撫でる。
キールは、湧き上がる快楽に抵抗する為に、大きな声で論文の内容を口にした。
「いえっ……! 言えるもの、で、ありっ……! つまりは……」
「むーっ。キールがその気なら……んっ、とっ、これで、どうなっ……!」
キールが本当に論文の続きを始めていると知ったメルディは、むきになって指の動きを早めた。
先走りの汁を手の平に塗りつけ、軽い水音を立てながら、しゅにしゅにと前後に擦り立てる。
指先を使って裏筋を伝い、鈴口を、亀頭を、余す所なく撫で回す。
なまじ見えないだけに、却って机の下の様子に対する想像を高められてしまい、キールの動悸が激しくなった。
「これはっ……! 他の、大晶霊のっ、対応関係からも……っ!」
「そっか、指じゃ足りないか。んじゃ、メルディが舐めてあげるよ……んっ……」
「類推する事が……うあっ、で、できるものであるっ!?」
業を煮やしたメルディは、陰茎の根本を片手で握ると、大きく舌を突き出して顔を寄せる。
ぬるっとした熱い感触が襲い掛かり、キールの声が裏返った。
「んっ、ちゅ……。むあっ、むぷっ、むーっ……」
「そのっ……一例とし、て挙げっ、られ……くっ、るのはっ……!」
メルディは、先端をちろちろっと舐めると、口一杯にキールの剛直を頬張った。
敏感な亀頭を頬の粘膜に擦りつけ、舌をくるくると回して雁裏を刺激する。
炸裂する快感に、キールの言葉が文節に関係の無い処で、小刻みに中断された。
「ん、ん、んーっ! ちゅぱっ、っぷう、はむっ……。んっ、ふっ、むっ、くっ、ぅん!」
「……すっ、水晶霊……、のっ、ウ……ン、ディー、ネっ、とっ!」
更にメルディは、唇をきつくすぼめると、幹に舌を絡めながら、頭を前後に揺さぶり出す。
メルディのポイントを押さえた口内での愛撫に、キールはビクビクと身体を震わせた。
「ふむぅっ、ちゅっ、ずずっ、んくっ、ふっ、ん……!」
「それから……そっ、れから……っ!」
自慰の意味すら知らなかったメルディに、一から性技の手解きをしたのは、他ならぬキールである。
言い換えれば、キールの急所は、全てメルディに知られているのだ。
そのメルディに、執拗なまでの熱意を持って責められれば、とても耐えられる物ではない。
以前はキールの指示する通りに動いていただけのメルディが、今は自分から襲い掛かり、理性を奪う。
キールの意識から、論文の内容が砂のように零れ落ち、代わりに灼け付くような情欲が根を張っていった。
「わっ、分かった、メルディ! もう降参だっ!」
「ん……ぷぁっ。……キール、何が降参か?」
耐えかねたキールが叫ぶと、メルディは口を離して、股の間からヒョコンと顔を出した。
その表情は、最初に会った頃の無邪気な笑みにも似ていたが、瞳だけが欲望と軽い嗜虐心で潤んでいる。
「つまり、その……だな。分かるだろ?」
「んーん、メルディ分からないよ。『ちゃんとお願いしてみろ』って、キールはいつも言ってたよな?」
「くっ……。さ、させて下さい、お願いします……」
小首を傾げて見上げてくるメルディの魅力に、キールは矜持を捨てて全面敗北せざるを得なかった。
「んふふっ。少しはいつものメルディが気持ち、分かってくれたか?」
今までは自分が言わされていた台詞をキールの口から引き出し、メルディは満足げに微笑んだ。
愛する男が自分を求めて悶える様は、メルディにゾクゾクするような悦びを与える。
「ああ、だから、メルディ……」
「んー、でも、8日も放って置かれたのに、それだけじゃ足りないような気もするな……」
初めて覚える征服欲に、メルディはゆっくりと陰茎を撫でながら、更にキールを焦らした。
「っつ……他に、何が望みなんだ!? 何でも聞くから、言ってくれ!」
「そーだなー……」
しばらく考えるふりをしてから、メルディは悪戯を思いついた子供のように、にんまりと笑う。
「……なら、これからは、論文とか研究とかしてる時でも、メルディが事、考えてくれるか?」
「ど……努力はするっ!」
「それと、メルディがしたいって言ったら、いつでもしてくれるか?」
「分かった、約束する……だからっ!」
可愛い子悪魔が突きつける契約に、キールは唯々諾々と頷くだけだ。
「ふふふ……いいよ。それじゃメルディ、キールが事、許してあげるな……」
しかし、そう言って妖しく微笑むメルディの姿を見ると、堕ちていくのも悪くない、と思うキールであった。

              ◇  ◇  ◇

「……じゃあ、今日はメルディがしてあげるな……?」
「えっ、お、おい、ここでか?」
机の下から抜け出して、腿の上に跨ってきたメルディに、キールは少し困惑した表情で尋ねた。
ほんの10歩もない距離にある、自分のベッドをちらりと目線で示す。
しかしメルディはかぶりを振ると、腰を浮かせながらワンピースの裾を手繰り寄せた。
「ダメな……ホントはメルディも、もう我慢できないよ……。キール、これ見てな……」
「あ……」
再び露わになったメルディの股間を一目見て、キールは思わず絶句する。
メルディのそこは、洪水を起こしたように溢れた愛液で、淫靡に濡れ光っていた。
「舐めてるうちに、メルディこんなになったな。今すぐ欲しいよ、キールのコレ……ふっ!」
「っ! メルディ、なんて、熱い……!」
「……く、あ、はぁっ!」
メルディはもどかしげにキールの剛直を宛がうと、喰らいつくように一気に腰を下ろした。
濡れ滾ったメルディの秘洞は、きつく締め上げつつも、キールのモノを容易く根本まで受け入れる。
一気に絡みつく内壁の熱さに、キールの口から苦鳴にも似たうめき声が洩れる。
メルディも腰を下ろす間は眉をひそめていたが、最奥まで届いた途端、一転して満足げな溜息をついた。
「はぁ……。やっぱり、キールのじゃなきゃダメな……。メルディの中、奥までいっぱいだよ……」
「メルディ……」
夢見るような表情で囁くメルディの声の甘さに、キールの情欲が激しく燃え上がる。
メルディの中でキールのモノがビクンと跳ね、更に一回り大きくなった。
「んっ……! あっ、キール、キールぅ……!」
「く……っふ、うっ、メルディ……!」
メルディはキールの肩に両手を突くと、うねるように腰を前後にグラインドさせ始めた。
潤んだ瞳でキールの顔を見詰め、キールの名を呟きながら、貪るような動きでキールの剛直を擦り立てる。
椅子に押し付けられた格好のキールは、自分からはろくに動く事も出来ない。
代わりに服の上からメルディの胸に手を這わせ、ゆっくりと手の平全体で揉み解した。
「んふぅっ、キール、いいよぉ……。先っちょも、いつもみたいに、くりくりしてぇ……」
「っ……、こうかっ……?」
「あはぁっ! そう、そうな、メルディ、それ好きよ……んっ、ふぅっ!」
メルディの求めに応じ、キールは布越しでもはっきり分かるほど隆起した胸の突起を、摘んで捏ね回した。
キールの指先が生み出す快楽に押され、メルディの動きが更に熱を帯びる。
前後の動きに捻りが加わり、メルディの尻がキールの腿の上で、何度も円を描いた。
「ふあっ……はっ……! メルディが……なかっ、キール、のが……掻き回し、て……すごいよっ……!」
「くうっ……ちょっ、メルディ……! そんなに、されたらっ……!」
体重を掛けられた腿に走る軽い痛みと、それ以上に強い快楽に、キールは歯を食い縛った。
メルディは右回り、左回りと不規則に回転を入れ替えながら、自分の望む場所に肉棒を導く。
充血した肉襞は、根本から亀頭までをしっかりと捕らえ、無数の舌で嬲られるような錯覚さえ起こす。
メルディの高まりに呼応して、きつい膣内はますます収縮し、それが更に強い快感を生じさせる。
二人の結合部からは湿った肉の音が絶え間なく流れ、溢れた蜜がキールの下腹部まで濡らしていく。
角度が変わる度に、強く刺激される場所も変わり、キールの腰から射精の疼きがこみ上げて来た。
「……っおい、メルディ……。僕は、そろそろ……」
「やっ、キール、だめっ! メル、ディ、まだっ、んっ、きて、ない、よっ……!」
「うっ、くっ、あ……っ!」
キールが限界を告げると、メルディは鋭く制止して、前後の動きを上下に跳ねる動きへと変えた。
亀頭の近くが露出するまで腰を上げ、重力に任せて一気に根本まで飲み込む。
そこでトランポリンのように弾みをつけ、再び伸び上がり、そしてまた腰を下ろす。
キールの腿に着地する度にじゅぷっと蜜が押し出され、上昇の際には肉襞が幹全体をずるりと舐め上げる。
激しい律動に、キールの剛直は暴発寸前まで高められた。
「ぐぅっ! くっ、メ、メルディ……駄目だ、もう……っ!」
「やぁっ、やっ、まっ……てっ、メルディ、いっしょ……! いっしょが、いいのぉっ……!」
「なっ……ならっ、早くしろっ……! 僕は、そんなに……もたない、ぞっ……!」
同時に達する事を求めるメルディに、キールは苦しげな声で促した。
弾むメルディの尻肉を両手で握り締め、括約筋を締めて強い自然の欲求と戦う。
メルディの動きに合わせ、ぐい、ぐいっと両腕を引き寄せて、彼女の奥を先端で突く。
そんなキールの補助もあって、メルディもようやく極みに達しようとしていた。
「あっ、くっ、くるよっ……! メルディ、もうちょっとで、くるよっ……!」
「うう……っ! メルディ、イクぞ……もう、イクぞっ……!」
「やだやだ、まだ、イッちゃやだぁ……っ! きて、きてっ……キールぅ……!」
「……っく、一緒か!? 一緒にか……っ!?」
「うん……っ、うんっ、そうなっ……!」
必死に頷くメルディの膝がガクガクと震え、膣内がきゅうぅん……と締まって、最後の昂りを示す。
「メル、ディ……っ、く、は、ぁっ!?」
「くううぅぅ……んっ!!」
キールが最奥に白濁を解き放つと同時に、メルディが絶頂の鳴き声を上げた。

              ◇  ◇  ◇

「ん……っふ、はぁ……。キールぅ、いっぱい出したな……。キールも溜まってたか?」
メルディは満たされた吐息をつきながら、幹に残る精を搾り取るように、ゆったりと腰を動かした。
ピクン、ピクンと中で震えるキールのモノが、愛しくて堪らないといった様子だ。
「ふぅ……はぁっ。それは……当たり前だろ。しばらくしてなかったのは、僕も一緒だ……」
キールも射精の余韻に浸りながら、メルディの腿を優しく撫で回していた。
一度出したばかりだと言うのに、キールの欲求は衰える気配すらなく、むしろ強さを増す。
欲望の赴くままに、キールは自分の上のメルディを見詰め、そっと囁いた。
「なあ、メルディ……。ベッドに行かないか?」
「んっ……いーよ。ただし、このまま連れてってな……」
「こ、このままって……このまま、か?」
「そっ。こ・の・ま・ま♪」
メルディはそう答えると、キールの首に両腕を絡め、ぎゅっとしがみ付いた。
キールの肩に顔を埋め、上機嫌の猫のように小さく喉を鳴らす。
「……分かったよ。まったく、どうしてこんな風になってしまったんだか……、んっ、よっ!」
苦笑したキールは、メルディの両足の付け根を抱え込み、掛け声と共にメルディの肢体を持ち上げた。
小柄なメルディの身体は軽く、非力なキールでもよろけずに済む程度の重みしかない。
「なぁに言うてるか……。メルディがこんなエッチになったは、みぃんなキールのせいな……」
メルディはキールの首筋に頬をすり寄せ、両足も腰に回し、しっかりと密着しながら答えを返した。
「ほら、着いたぞ。……メルディ、ちょっと放してくれ」
「んー、やぁだぁ。メルディこのままがいいよ……」
メルディを抱えたまま数歩を歩き、キールは彼女の身体を静かにベッドへ寝かせた。
それから首に掛かった両手を外すと、メルディは子供のように駄々をこねる。
「やだ、じゃなくてだな……。せめて、服ぐらい脱がさせてくれ」
キールはメルディの両足も優しく振り解くと、少し身体を離して、手早く服を脱ぎ始める。
「あんっ! 抜いちゃやだぁ……。それ、メルディのぉ……」
「これは僕のだっ! いいから、お前も服ぐらい脱げ!」
「ぶ〜っ。キールのけちんぼ……」
股間に伸びるメルディの手から逃げ出して、キールは彼女の愛液で汚れた自分の下着を取り払った。
少し膨れっ面をしながら、メルディも気だるげに身体を起こし、腕を挙げてワンピースを一気に脱ぎ捨てる。
更に髪留めを外し、普段はツインテールにしている髪をハラリと肩に落とす。
髪を下ろしたメルディは、可愛いと言うより、むしろ妖艶と言っていい大人の女の印象をキールに与えた。
「キール、これでいいよな……? それじゃ、もういっぺんしてあげるな……」
「お、おい、今度は僕が……」
「だぁめ。今日はメルディがするって決めたよ……」
四つん這いで近づき、キールの上体を押し倒したメルディは、再び剛直を口に含んだ。
音を立てて啜り、自分とキールの混じり合った快楽の雫を、綺麗に舐め取り、飲み下す。
舌先で幹の腹を伝い、二つの袋を交互に咥え、下ろした髪で内股をくすぐる。
上目遣いに自分の顔を見据えながらのメルディの愛撫に、キールはそれ以上の反論を封じ込まれた。
「キール、こういうのは、どうか……?」
「うっ……あ……!」
そう呟くと、メルディは片方の乳房に手を添え、それでキールの怒張をふにふにと刺激した。
たっぷりと塗り付けられた唾液が潤滑油となり、口中や膣内とはまた違った快感をキールに送りつける。
滑らかな肌とコリコリと当たる乳首の感触の妙に、キールの口から思わず快楽のうめきが洩れる。
もう一方の乳房でも肉棒の熱さを味わうと、メルディはするりとキールの上に覆い被さった。
「なぁ、キールぅ……。キス、してな……」
「ああ……。んっ、ふ……」
「んむぅ……ん、んふ、ちゅ……」
キールが軽く頭を起こして唇を重ねると、メルディは積極的に舌を突き出した。
小さく鼻を鳴らしながら、キールの舌を探り当て、円を描いて絡め取る。
濃厚な口付けを交わしながら、メルディは全身をキールの素肌に沿わせた。
「んふっ、キール、可愛い顔してるよ……。そんなに、いいか……?」
「う……ああ、気持ち、いい……」
メルディの問い掛けに、キールは素直に答えた。
キールの胸板で潰された双丘が、先程擦りつけた時に付いた唾液でつるりつるりと滑り、形を変える。
片手はキールの頬を愛しげに撫で、下に伸ばされた手は硬度を取り戻し始めた陰茎をさする。
キールの太股に当てられた股間は、光る愛液の筋を残しながら、ゆっくりと前後に揺れ動く。
メルディの腰の動きに誘われるように、キールは背中に回した手をお尻の谷間に移動させる。
キールの中指は窄まった菊座を通り過ぎ、熱く滾った陰裂を探った。
「ふあっ!? キ、キール、だめなっ……! メルディが、メルディがするよ……っ!」
キールが少し力を込めると、メルディの秘洞は柔らかい熱泥のように、指を飲み込んでいった。
メルディはキールの指から逃れるように腰を左右に振るが、侵入は止まらない。
むしろその動きで膣内の指が中を動き、却って快楽を高めていった。
「僕にも少しぐらい、させてくれてもいいだろ……? それに、こんなにしてるじゃないか……」
「くうぅ……ん! だめっ、そんなにしたら……さっきのが、出てきちゃ……ふっ、んあっ!」
指を第二関節まで挿入して内部をぐりぐりと抉ると、メルディの蜜壷がきゅっと締まった。
鉤状に曲げ、掻き出すような動きで指先を出し入れされ、白濁と混ぜ合わされた雫が褐色の腿を伝う。
絡みつく肉襞の感触とメルディの喘ぎに刺激され、キールの剛直も完全に硬度を取り戻していった。

              ◇  ◇  ◇

「なっ、なあ……キール、そろそろ、これぇ……」
息を荒くしたメルディは、雄雄しくそそり立ったキールのモノをきゅっと握り締め、掠れた声で求めた。
「ああ、いいぞ、メルディ……。おいで……」
「はっ、はいな……んっ……」
小さく頷いたキールが指を陰裂から抜き取ると、メルディは腰を上げて剛直の真上に移動させた。
上体をキールの胸板に預け、片手で花弁を開きながら、手探りで亀頭を入り口に誘導する。
「あっ……キールの、さっきより、大きいよ……ん、くぅっ……」
「っく……メルディの中も、絡みつくみたいに……っはぁ……」
一度目とは違い、貫かれていく感触を味わうように、メルディはゆっくりと腰を沈める。
潤みきった肉襞の絶妙な締め付けに、キールの口から感嘆の吐息が洩れた。
「んっ……はぁ、ふ……っくぅん、キーッ……ルぅ、こっ……れぇ、いいっ……かぁ?」
キールの肩の脇に両手を突いたメルディは、全身を波打たせるように肢体をくねらせた。
浮かせた腰を下ろし、腕立て伏せの要領で上体を伏せ、乳房でキールの胸板をそっと撫で上げる。
伸び上がるように背筋を反らし、一転して背中を丸めると同時に腰を持ち上げ、元の体勢に戻る。
艶やかな肌に珠の汗を浮かべながら、メルディは寄せては返す波のように同じ動作を繰り返す。
自分の上で淫らに蠢く女体に、キールの意識は幻惑されていった。
「あ……あ、ああっ、メルディ……、すご……っく、いいぞ……」
熱っぽい口調で呟きながら、キールはメルディの柔肌をまさぐった。
しっとりと汗に濡れたメルディの柔肌は、充実した手応えを返してくる。
弾む乳房を捕らえ、たふたふと揉み上げると、メルディは反り返った姿勢で腰だけを振り始めた。
「はん……っ! く……あっ、い……いい、んきゅ……ぅ、キールぅ……!」
「ふっ……はっ、メ、メルディ、いい……か? いいの、か……っ!?」
「いいっ……いいよぉ! キールのっ……すごく、ふぁぁ……っ!」
キールはベッドのスプリングを利用し、メルディの動きに合わせてリズミカルに腰を突き上げた。
最奥のこりっとした肉壁に先端が届くと、メルディの中が悦びに収縮し、甘美なわななきが走る。
息の合った動きで相手に快楽を与え、それ以上の快感を返され、互いの獣欲が際限なく高ぶる。
二人の動きが次第にテンポを速め、大きな水音と睦言が部屋中に響き渡った。
「奥っ……、メルディ、もっと、奥に欲しいよ……! キールの、熱いの、もっとぉ……!」
「うっ……あ! メルディ、僕もっ……!」
メルディはキールの腰を横に捻り、股を交差させるような体勢で、更に深い結合を求めた。
陰核がキールの下腹部に密着するほど強く押し付け、文字を描くように激しく動く。
青と紫の恥毛が擦れ合い、発火しそうな程の熱を生じさせた。
「ひっ……んっ! むっ、ふ、あ……! あっ、あっ、あ!」
「うぁ……! メル……ディ、そんなっ……激し、すぎ、うっ!」
男女が入れ替わったかのように、メルディはキールの身体を貪り、キールは唇を噛んで快楽に耐えていた。
二度目の射精を間近に迎え、キールの剛直がひくひくと痙攣している。
いつもなら、一旦動きを緩めて絶頂の波を押し返す処だが、攻められている身ではそうもいかない。
力の入らない両腕を伸ばし、キールはメルディの律動を抑えようとした。
「メルディ……待った、このままじゃ、僕は、また……!」
「やあっ! キール、この手、邪魔……っ! いま……っ、いい、ところ……ん、ん、んぁっ!」
「メ、メルディ……! う、あ、ぁっ!?」
夢中で腰を振るメルディは、苛立たしげにキールの手を振り払うと、より一層動きを早めた。
メルディの豹変に、キールは大きく目を見開き、唖然としてのたうつ肢体を眺める。
気を抜いた拍子に耐えていた快楽が決壊し、キールは蠕動する膣内へ奇声と共に精を放つ。
だが、内部に撒き散らされる白濁を受け止めながらも、メルディの腰は動き続けた。
「……あ、ふぁ……! ひ、あはぁ……っ! んっ、ん……っ、んんっ……くひんっ、ああっ!」
「ちょ……待て、メルデ……ィっ! 僕は、もう……終わって……つぅっ!?」
出したばかりの陰茎を強く刺激され、キールの股間にキリキリとした痛みが走った。
苦痛に歪んだ顔でキールは制止するが、メルディは固く目を閉じて、そちらを見ようともしない。
メルディはキールの声さえ届かない様子で、自分の動きで生み出す快楽に耽溺している。
快楽混じりの痛みの中で、キールは半ば朦朧としつつも、メルディの陰核に指を伸ばした。
「んふぅん!? くっ、はっ、いいっ……! やっ……やはぁっ、ひんっ、んっ……、んくぅ!」
「くぅ……ぁ、メル、ディ……はや……く……」
「ふぁ……! い……、だめ! とま……とまらないよぉ……!」
最も敏感な突起を擦られて、メルディの声が一段と高まった。
自分でも制御できないらしく、髪を振り乱しながら、メルディは熱烈に腰をうねらせる。
きゅいん、きゅいんと断続的に締め上げてくるのは、軽い絶頂の証。
その間隔が次第に狭まっていき、メルディの膝がガクガクと震え始めた。
「かっ……はっ! ぁふあっ、ひっ……ひあはっ、らめ、らめぇ……!」
舌も満足に回らなくなったメルディは、これで最後とばかりに大きなストロークで腰を打ちつけた。
叩きつけるように尻を前へ突き出す度に、結合部から濡れた靴で歩くような音が洩れる。
無数の肉襞は、小魚を捕らえた磯巾着のように、キールの剛直に絡み、きゅきゅっと窄まる。
「ひ……い……く、ぅううぅん!! ──────ふみゅぅ……」
ぎりっと握り潰すような収縮が緩むと同時に、メルディの肢体がくたっとキールの上に崩れ落ちた。

              ◇  ◇  ◇

「お、おい、大丈夫か、メルディ?」
全力疾走の後のように荒い息をつくメルディの肩を掴み、キールは軽く揺さぶった。
問い掛けに小さく頷くメルディの顔に解いた髪が被さり、キールには彼女の表情が分からない。
髪を掻き上げてやっても、メルディは顔を伏せたまま、答えようともしない。
しばらくして、ようやく呼吸が穏やかになった処で、メルディは大きく溜息をつき、顔を上げた。
「はぁ……っ! んー、気持ち良かったなー、キール!」
そう言ってにっこり笑うメルディは、普段とまるで変わらないように見えた。
「え、ぅえ? き、気持ち良かったって……、大丈夫なのか、メルディ?」
あまりの乱れ様に、どこかおかしくなったのではないかと心配していたキールは、拍子抜けした声を出す。
「ん、何がか? メルディ、別に何でもないよ?」
「あ……そうか、ならいいんだが……」
そう言いつつも、あっけらかんとした態度のメルディに、キールはどこか釈然としない思いを覚える。
(まさかこいつ、今さっき自分がした事を、忘れてる訳じゃないだろうな……)
メルディの無邪気な笑顔を見ていると、女性心理の不可解さに、脱力したくなるキールであった。
「……ところで、メルディ。お前、何をしているんだ?」
とりあえず気を取り直し、キールはメルディにそう問い掛けた。
メルディが縮んでいこうとする陰茎を膣内に納めたまま、再び腰をぐりぐりと動かし始めたからだ。
二度も達したのだから、一旦激情が収まってくれば、そうすぐに大きくなる筈もない。
しかしメルディは、ゆったりと腰で円を描きながら、要領を得ない顔で問い返してきた。
「え? キール、お口でしたほうがいいか?」
「いや、そうじゃ無くてだな。……もしかして、まだするつもりなのか?」
「はいな。あと6回」
「ろ、6回っ!? ちょっと待て、何だその出鱈目な数字はっ!?」
あっさりと告げられた非常識な回数に、キールは声を裏返して叫ぶ。
そんなキールに、メルディは教え諭すように言い含めた。
「ちっとも出鱈目じゃないよ。1日1回として、8日してないから8回。
 さっき2回したから、あと6回。クイッキーでも計算できるよ、キール寝ぼけてるか?」
「無茶を言うなっ! そんなに出来る訳がないだろっ!?」
「やっても見ないで諦めるの、キールの悪いクセな」
「だああぁぁっ! 分かるに決まってるだろ!」
キールが怒鳴ると、メルディは拗ねたように唇を尖らせ、ぼそっと呟く。
「……メルディがしたいって言ったら、『いつでも』してくれるって、キール約束したよな?」
「うっ……。い、いや、言うには言ったが、それとこれとは……」
「約束したよな?」
「いや、だからな、男の生理としての限界がだな……」
「し・た・よ・な?」
「……はい」
念を押すように詰め寄られ、キールは強引に頷かされる。
「ワイール! じゃあ今度は、キールが上になってな?」
「ううっ……、もしかして、僕はとことん、こう言う星の下に生まれたんだろうか……?」
嬉々としてベッドに仰向けに転がるメルディに聞こえないように、キールは小さく呟いた。
プリムラやファラと言った、今までの女性遍歴を思い返し、暗澹たる気分になる。
今晩キールが、机に戻って論文の続きが出来る見込みは、どうやらなさそうだった。


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