総合トップ>SS一覧>SS No.1-017
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何だか悪夢っぽい夜 |
コソーリ投下氏 |
ハロルド×ジューダス |
2003/07/17 |
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「………やはり背中にお前がないと寂しいな、シャル……」
ここは地上軍拠点跡地。
18年前のダイクロフトでバルバトスを倒し、現代に戻って来たカイル達は明日、
イクシフォスラーのレンズを使い、
未来のカルビオラへ向けて出発する事になっている。
カイル達は既にファンダリア兵士の宿舎で深い眠りについているが、
ジューダスはこのイクシフォスラーの格納庫で先日別れを告げた
シャルティエの事を思い、こうべを垂れながら静かに目を閉じていた。
「ジューダスはっけ〜ん! な〜にやってんのよ、こんな所で?」
「…ハロルドか……」
能天気な声にジューダスは顔を上げた。
正直、ジューダスはハロルドのテンションにはついていけない感があったので、
この突然の訪問者にいささか眉をしかめる。
(どうにもコイツと話をしていると思い出してしまうな…。 あの女の事を…)
ジューダスの脳裏に浮かんだのは、生前、彼の実の姉である人物の
溌剌(はつらつ)とした笑顔と、自分と同じ漆黒の髪だった。
「僕がココで何をしていようと、お前には関係無いんじゃないか?」
「つれないコト言わないの! アタシはアンタに用があって探していたんだから」
「…僕に?」
「そっ♪」
ジューダスはいぶかしむ。
この馬鹿女が親しげな表情で近づいてくる時は、大抵何か企んでいる時だ、
そうジューダスは考え、警戒は解かずに返答する。
「僕はお前に用など無い。 早く寝て明日に備えたらどうだ」
「ソレはお互い様。 それよりどう? 一緒にワインでも。
千年モノの美味しそうなワインよ〜」
ハロルドの手には、確かに年代物らしき赤葡萄の貯蔵酒がある。
「………どこからソレを?」
「ん〜? 多分、私が自分で貯蔵したのかも。
なんか、そんな事が書かれたメモも残っていたし」
ハロルドは手に持っていた、
時間とか凍結とか何だか難しい文字が羅列しているメモをジューダスに見せた。
その殆んどが時代の流れでインクが滲み、読めなくなっていたが…。
「成程。 1000年も経っているなら、
さぞかし深みのある味になっているんだろうな」
「アタシが貯蔵方法を間違えていなければ、だけどね」
そう言いつつ、ジューダスの隣に少し隙間を持たせ座るハロルド。
そして貯蔵酒の瓶と一緒に持っていた
2つのグラスの片方をジューダスに差し出す。
「………つまり失敗してとんでもない味になっている可能性もある、
と言う事か?」
「まっ、大丈夫でしょ。 なんてったってこの天才が道楽で作った物だし!」
「余計不安だ」
さりげに辛辣な突っ込みを入れつつ、
ジューダスはハロルドの持ってきたグラスではなく、
部屋に添え付けのグラスを手に取り、ハロルドに突き出す。
「ちょっとちょっと! なんでそんなホコリ被ったグラスを使うのよ〜!?」
「…何かまた危ない薬とか入っていないだろうな?」
以前、そんな事をしてロニを瀕死状態に追い込んだ事があるハロルドに
当然の事ながらジューダスは警戒している。
ジューダスがリオンとして生きていた頃、暗殺や服毒の類には
それなりの知識と対処法は覚えてはいるのだが…。
「何言ってんのよ。私も飲むワインに危ない薬なんて入れる訳無いじゃない」
「ワインに入っていなくてもグラスに塗っている可能性が有るからな。
僕はコッチのグラスを使う」
「疑い深いわね〜。 それじゃ、ワインに何も入っていない証拠に、
アタシが先に飲むべきね」
と言って、ハロルドはワインを喉に流し込む。
「ね? 安心した?」
「…フン、どうやら大丈夫のようだな…」
先程から見て、自分のグラスだけに薬を混入した気配は無い。
ならば大丈夫だろうとジューダスは一気にワインを飲みほした。
「………。 中々美味いな」
「ささ、もう一杯!」
普段のハロルドなら自分で注げとか言う所だが、
今晩のハロルドは機嫌が良いのか、ニンマリと笑いながらジューダスに酌をする。
そして二人は天地戦争時代の機械の話、
その仕組みについての話をしながら、ワインを愛で続ける。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
二人が互いに五杯程飲んだ頃だろうか、不意にハロルドが言った。
「ねえ、流石に少し飲み過ぎたかしらね?」
「僕は平気だが…。 なんだ、自分で誘っておきながら下戸なのか?」
「い〜え。そうじゃなくってね、そろそろジューダス『も』、
体に異変が出てくる頃かな〜、と思って」
「何…!」
その言葉に軽く驚き、ハロルドの顔を凝視するジューダス。
その時のハロルドの顔は、策略家が自らの成功を確信した時のように、
ひときわ邪悪な微笑だった。
その笑みを見ながら、ジューダスは自分の体の神経経路が
悲鳴を上げ始めている事に気が付く。
「な、何だコレは…? なんだか、妙な感覚が襲ってくるが…」
「あ、そうそう。 言い忘れていたけれどこのワイン、
持って来る前に薬を入れといたから」
「な、何!?」
ジューダスはそれを聞いて立ち上がる。
刹那、立ち眩みを起こし、地面に膝をつく。
「さ、さっき、危ない薬は入れていないと…」
「『危ない薬』は入れないわよ。『怪しい薬』は入れたけれどね〜」
「マ、マンマと一杯飲まされた訳か…」
「上手い! 座布団一枚!!」
どこの文化の話ですか? ハロルドさん。
「クッ…! か、体の自由が…!!」
片膝だけでなく、完全にうつ伏せの状態になってしまったジューダスは、
懸命に両腕に力を入れて起き上がろうとする。
だが、その努力は空しく宙を舞った。
「い、一体、何を盛ったんだ…!」
「簡単に説明すると、体の運動神経がイカレる替わりに快楽神経が鋭敏になるの」
「そ、それはつまり…」
「体は動かないけどアソコはビンビンに感じまくる訳ね!!」
とか偉そうに腰に手をあててふんぞり返るハロルド。 なんてお約束な。
「クッ! 無味無臭の薬品だな、コレは…。 こんな物を飲まされるとは……!!」
ジューダスは悔しそうに歯軋りする。 自分の矜持(キョウジ)が
ズタズタになっていくようだった。
「まあまぁ、そう言わない!
私もその薬を飲んでるんだから細かい事は気にしないの!」
「気にするだろうが!!」
「イイからイイから! それじゃあヌギヌギしましょうね〜♪」
そう言ってジューダスを仰向けに転がし、ベルトのバックルに手をかけるハロ。
「なっ、何をする!?」
「まあ、データ採取って所かしら?」
「何のデータだ!!」
熟年の夫婦漫才の如く息ピッタリの二人の応酬はある意味芸術である。
「大体、僕が力を入れられないのにどうしてお前は動いていられる!?」
「事前に薬の効果が薄れるような抗剤を飲んでたからね。
それでも薬の効果は私にも効いてる状態なんだけど」
「ど、どうゆう事だ!?」
「つ・ま・り、体は動けて感じやすくなる! 一石二鳥ね!!」
ハロちゃん、用法間違ってます。
「あ〜らら、ご立派〜♪ もう元気マンタンね〜♪」
ああハロちゃん、いつの間にやらジューダスのズボン脱がして
ジューダスキュンのを開放してしまったようです。
「ま、待て! 一体何をするつもりだ!?」
「ここまできたら朴念仁でもなけりゃ予測出来るでしょ?
そんじゃいっただっきま〜す!」
パクッとジューダスのイチモツを口に咥えたハロルドは、そのまま舌で舐め回す。
「ヤ、ヤメロ! ウ…グ……ア………!!」
「…んむ、れろ、ぺろ…んぐ、んぐ…」
ちゅぷっ、ちゅぷ…と、淫靡な音を立てながらハロルドの舌が
ジューダスの亀頭を刺激し続ける。
尿道口を満遍無く舐めとった後、ハロルドは舌先を、裏筋に這わせていった。
表面をこ削げるようなハロルドの舌の動きに、
ジューダスの理性とは関係無く、本能がジューダスの息子を
硬く、大きくしていった。
「ぐふふ…♪ おっきくなってきたわね……」
ハロルドの唾液がまぶされ、ジューダスの陰茎はてらてらと光っていた。
「クソ…! 今程男に生まれてきた事を呪いたい気分になった事は無い…!!!」
例えジューダスの性別が女でもハロルドは襲ってきたと思うが。
「まあまあ、どうせヤルなら楽しまなきゃ損よ。 ん〜〜〜〜〜?」
再び口の中にイチモツを飲み込むハロルド。
「は…あ…アッ…!!」
ピチュ…ピチュ…と、口の粘膜とジューダスの愛液で醸し出される淫らな音に、
ジューダスは嫌悪と快感を、ハロルドは稚気と興奮を覚えていた。
「さ〜て、もう準備はOKかしら?」
口を引き抜き、そう言ったハロルド。
自分の言うことを聞かないジューダスの愚息は潤滑材替わりの唾液をまぶされ、
いつでも挿入可能な状態だ。
「それじゃあ、ハロルド、いっきま〜す!」
元気良く宣言した後、動けないジューダスのモノを天井に向けさせ、その真上に跨る。
そしてハロルドは割れ目の両側に自分の指を圧し当て、秘所を開いた。
膣口を覆う緋色の果肉が、待ちきれないといった様子で、
ヒクヒクと淫らに蠢めいているのが、ジューダスの目に飛び込んでくる。
「どれどれ、進行方向はコレであってるかな〜?」
ハロルドは右手でジューダスのを握り、先端を秘所の入り口に押し当てる。
「い、いい加減にヤメロ…!」
「聞こえない聞こえない! それじゃあ挿れるわよ〜♪」
屹立したジューダス自身に腰を落としていくハロルド。
「んんっ! くぅ…入ってくる…入ってくるぅ…」
「入ってくるんじゃなくって、お前が勝手に挿れているんだろう!!」
そんなジューダスの的確だが無意味な突っ込みを無視して、
ハロルドは恍惚とした表情で、挿入感を下半身全体で楽しんでいるようだ。
一旦ジューダスのモノを全部中に収めたハロルドは、
可愛いペットにいたずらをする飼い主のように、何とも形容のしがたい顔で
ジューダスを見下ろしている。
「ジューダスの、とっても熱くて気持ち良いわよ♪」
そう言いながら微妙に腰を動かし、焦らすようにジューダスを刺激する。
「クッ…! こ、腰を動かすな!!」
経験不足のジューダス、それだけで腰が抜けそうな程の快感が襲ってくるようだ。
だが天邪鬼なハロルドは、とっても素敵な笑顔で、
「じゃあ、思いっ切り動いてアゲル♪」
なんて のたもうた。
「あ、動きたくなったら動いても良いわよ、アタシは大歓迎!」
そして律動を開始するハロルド。 今迄以上の快感を振り払うように彼は叫んだ。
「誰がするか!」
半ば強姦状態だが、ジューダスは自分の意思で繋がっている訳ではない事を
ハロルドに、そして自分に認めさせる為に、
意地でも自分で腰は振らないと決意していた。
まあ、実際ヤってしまった時点で、
そんな事を心に決めても大した意味は無いと思うが…。
ハロルドは、あと少しで結合が外れてしまいかねない位置まで、
ゆっくり腰を持ち上げていった。
亀頭の先端が膣口に触れるか触れないかの所で動きを止める。
それからまたドンッ! …と、全体重をかけて一気に埋没させてゆく。
「んっ、くはぁ…!」
まるで女性のような嬌声を漏らしてしまい、
ジューダスは屈辱の海に浸ってしまう。
「うふふふ〜♪ 奥に当たって気持ち良い〜」
対照的に、心底楽しんでいるハロルド。
次にハロルドは、膣腔の深い部分で繋がったまま、
今度は円を描くようにグリグリと円運動で刺激する。
そうやって、抜き差しとは異なる方法で、
ハロルドはジューダスの男性部分を翻弄してゆく。
円運動からひと呼吸置いて、再び腰を上下に激しく揺すってゆく。
「おっきいわね〜! アタシの膣内(ナカ)、壊れちゃいそうな位大きくしちゃって!!」
子宮にあたる感触が亀頭に伝わり、
ジューダスの快楽神経を嫌が応うにも高めていく。
「ホラホラッ、さっきまでの勢いはどうしたの?虚勢だったの?
自分はこんな事したくないなんて顔してたクセに、
アンタのココは悦びに震えてるわよ!
どうせ我慢したってすぐ出ちゃうんだからっ…、
せめて少しでもアタシに反撃してみたら!?
それも出来ない位もう限界? それならさっさとイッちゃいなさいよ!!」
そんなハロルドの罵りに、ジューダスは恥辱と屈辱の重奏曲を脳裏に焼き付けられる。
その間も、心と体は無常に異なる主張を続け、
体の神経を占領している司令官は、快楽神経の暴走により、
戦線崩壊の様相を呈していた。
それでもジューダスは、僅かに残った自尊心で、
かろうじて自分で腰を振りはしなかった。
ハロルドの激しい抽送に迎合したくなる体の欲求を、必死に振り払おうとする。
グチュウ、グチュゥ…と、淫猥な水音と、
二人の荒い息づかいが、広い格納庫に反響する。
ただひたすら快感だけを求めて、ハロルドは快楽器官を擦り付け続けた。
ハロルドが腰を落とす度、
ハロルドの肉莢とその中の敏感な陰核が、膣の内側に巻き込まれる。
腰を上げると、今度は割れ目の合わせ目付近の肉壁が裏返り、
陰核が強引に莢から剥かれて飛び出してくる。
ズク、グチュ、ズボッ、ズブブ…と、何度も何度も出し入れさせる。
ジューダスの陰茎はお互いの愛液にまみれ、
さながら川の源流付近に見られる、水流のようだ。
こぼれ続ける愛液は会陰から陰茎へ、
そしてジューダスの菊座を伝い、ベットのシーツに染みとなって広がってゆく。
終始ハロルドのペースだったが、
ハロルドの顔からも余裕の表情は消えていた。
ジューダスは必死に暴発しないように堪え続け、
ハロルドは爆発させようと律動をリズミカルに続ける
「アタシ…ッ! そろそろキちゃうけど…!! ジューダスはどうッ…!?」
ジューダスは尾てい骨がジンジン痺れ、背筋にゾクゾクするモノが走り、
精管に灼熱の奔流が溜まってくる感覚に襲われた。
込み上げて来る射精感を必死に堪えるように、
喉奥から乾燥した吐息を吐くジューダス。
快感への歓喜の涙を瞳からこぼし、
ジューダスの痴態をいとおしげに見つめていたたハロルドは、
ラストスパートと言わんばかりに今迄より早く腰を揺り動かした。
「ホラホラ、イっちゃいなさいよ!!」
ハロルドの膣壁が、ザワザワと顫動しながらギュウ…と、きつく締まる。
「だ、だからヤメロと! …あ…う……。 ………ッ!!」
ジューダスはハロルドの性技に完全に敗北した。
元々、経験は無いに等しいから無理も無いのだが…。
堪えていたモノが決壊し、濁流となって押し出される様な感覚。
「はあぁぁぁ…! 熱い…あっついのが、中に来るうぅ……!」
ドクッ! ドク…ドク…と、大量の白濁液をハロルドの子宮に放流してゆく感覚に、
ジューダスは精魂尽き果てた表情で、ボンヤリと天井をみあげるばかりだった………。
ハロルドも自分一人で動いていた所為か、
疲れ果てて、絶頂にうっとりとした表情を浮かべながら、
ジューダスの黒衣の上に、体を横たえた………。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「うん! 貴重なデータが採れたわ〜!」
「何が貴重なデータだ! ただ単に欲求不満を解消したかったダケだろう!!」
蜜時は去り、互いにジューダスの所持品の水を飲みながら、
行為の余韻に浸っていた。 正確に言えば…
ジューダスはまだ体が思うように動かないから仕方無くそうしているだけだが……。
「まっ、直径5cmに長さ17cm。 結構な数字だと思うわよ〜♪」
「何の数字だ!!」
賢明な読者諸君ならばお分かりの事と思う。
「無理矢理しちゃってゴメンね♪ けれど頼んでもヤラせてくれなかったでしょ?」
「だから薬を盛って強行したのか? 一体何の為に…?」
「言っちゃえば千年の間に人の身体組織がどれだけ進化したのか、或いは退化したのか、
ソレが知りたかったのよね。 で、てっとり早く調べるにはHした方が早いし、
何より向こうで覗き見してる人達へのサービスにもなると思って」
「誰だ…その覗き見してる人ってのは?」
賢明な覗き見諸君ならばお分かりの事と思う。
「そんな訳だからさ、野良犬に噛まれたと思って諦めて頂戴!」
「野良犬は毒を盛ったりアレを舐めたり穴に挿れたりしないと思うがな」
「何言ってんのよ。 あんなにイヤイヤ言ってたクセに思いっきり、全開で、
自制もせずに射精したのは何処のどなた?」
「その誤解を招くような言い回しはヤメロ!」
「顔が真っ赤よ、ジューダス」
「五月蝿い!!」
「そんなに照れなくても良いのに〜」
「照れてない!!!」
「あ、出てきちゃった」
「ハ?」
「ジューダスの…濃・い・のっ?」
「何の話をしている!!!!!」
賢明な大きなお兄さん達は理解できましたよね?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
翌日。
兵士宿舎で朝食を取ってから出発する事になっていたので、
ジューダスは気だるい腰を叱咤しつつ、食堂に入ってきた。
「おっはよ〜!ジューダス!!」
いきなり後ろから大声で話し掛けられ、思わず耳を塞ぐジューダス。
「朝から大声を出すな! それでなくとも昨夜は体力を消耗してしまったのだから!!」
「何よ〜。昨日は『ハロちゃん?』『ジューちゃん?』で呼び合った仲じゃないの」
「ふざけるな!」
そ、そんなニックネームを付け合っていたのかジューダス!?
「そんな訳無いだろうが!!!」
オ、オイオイ…。 筆者に向かって怒るのはルール違反だろ。
「さっきから何騒いでるんだ〜い?」
「ジューダス、ハロルド。 早く食べないと料理が冷めちゃうわよ」
食堂のカウンター寄りのテーブルに、ナナリーとリアラが座っていた。
幸運にも、彼女達はジューダス達の会話の内容まで聞こえていなかったようだ。
「おはようハロルド!ジューダス!!」
「おいジューダス、お前昨日は朝方に部屋に戻って来たケド…外で何やってたんだよ?」
リアラ達の座るテーブルを挟んで、カウンターの反対側にあるテーブルに座っている
カイルとロニも声を掛けてくる。
「フン、『つむじ風のなんとやら』に、答える義理は無いな」
あくまで平静を装い、ロニに感付かれないように努めるジューダス。
「へっ! 『仮面ストーカー』が良く言うぜ!」
「言ってくれるな。 …第一、その称号は貴様が無理矢理名付けたシロモノだろう」
「何言ってんだ。 オレは事実をありのまま述べたダケだぜ〜♪」
「ハイハイ! 二人とも朝っぱらからケンカすんじゃないわよ!
朝からそんなモノ聞かされたら、この天才の頭脳が目覚めにくくなるじゃない!」
唐突に横槍を入れてきたハロルドに、ロニは面白くないといった表情で矛先を変える。
「何だよハロルド。 今日は珍しくジューダスの味方なんかして…」
「アタシがロニに対して味方になった事が無いダケよ」
「そう言えばさ、ハロルド。 ロニが寝た後、
俺が寝る前にハロルドも外に出て行ったよね。
一体、どこに行っていたの?」
「ふふん、ソレは企業秘密ってモンよ、カイル」
「へ? き、きぎょう…なんだって?」
カイルの目が点になる。
「気を緩めるなカイル! コイツはオレ達が理解出来ない単語を並べて
かく乱しようとしているんだ!
こうなったら夕べは何処で何をしていたのか問い詰めるぞ!!」
「アラアラ、あんた達2人じゃ
小1時間問い詰めてもアタシを陥落させる事は不可能よ!」
そう言いながらハロルドはカイルとロニの居るテーブルに腰を乗せ、
楽しそうに悪意の無い口喧嘩を始めた。
ロニとカイルの追求にはのらりくらりと即答を避けているが。
「ジューダス。 ハロルドは向こうのテーブルで食べるみたいだし、
コッチで一緒に食べましょう」
とは、リアラの言葉。
ジューダスは少しやつれ気味の表情でかぶりを振り、
リアラとナナリーの座っているテーブルに腰掛ける事にした。
(やれやれ…。 夕べは散々だったな…)
ジューダスは二人に勘付かれない様にと表情を消してそんな事を考えていたが、
「………」
「………」
二人は顔を見合わせる。そして恐る恐る、ジューダスに問い質した。
「ねえ、ジューダス。 もしかしてと思うんだけど…」
「アンタ、昨夜はハロルドに犯されたんじゃないのかい?」
その核心を突く指摘に、流石のジューダスも動揺してしまう。
「な、何故ソレを!?」
「ああ…。ヤッパリ………」
「御愁傷様、ジューダス…」
動揺しながらも、ジューダスは二人に疑問を持たずにはいられなかった。
「大体、どうしてお前等がそんな簡単に見抜けたんだ?
僕は痕跡は全て消してきたつもりだが…」
「何で、って…。 ねぇ?ナナリー…」
「ああ…。 アンタのやつれた顔とハロルドのツヤツヤした肌を見れば、ね…」
「だから、どうしてそれで解かったと言うんだ」
「えっとね…実は…」
「もう既にアタシ達二人、ハロルドに『採取』されちゃったから…」
「な…何!?」
素直に白状した二人にジューダスは信じられないといった目つきで凝視する。
彼の心の中は『ってゆ〜か、いつ襲われたの? お二人さん』状態だ。
自らの情けない過去を吐露したリアラはポロポロと涙を流し、
ナナリーも自嘲気味に苦笑いを浮かべてた。
「うっうっ…。 私、初めてだったのに………」
「アタシも、知識はあっても実践は初めてだったから…何度も……その………」
『イかされた』と言葉を続けたいのはジューダスも分かった。
だからあえてその続きは手をかざして遮る。
「まさかとは思うが…。向こうの二人も…?」
そう言いつつロニとカイルの方を見やるジューダス。
「それは無いと思うね。 ケド…」
「あの眼は…狙ってるんじゃないかしら…?」
ハロルドの意図する事は読めたが、ソレを止められそうに無い自分達。
そして三人はふっか〜〜〜〜〜い溜息をついたのだった。
そんな三人の暗い空気など物ともせず、
ロニとカイルをおちょくって楽しんでるハロルド。
(ぐふふふふ…。 さて、次はドッチのデータ採取をしようかしら…♪)
悪夢は…まだ終わらない……。
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