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制作者:VEVEさん+スパークさん 警告! X,Z,Aファンの方は見ない方が良いでしょう。 「あ゛あ゛ぁーっっ!?」 朝の静けさを破る叫びがハンターベース内にこだまする。この叫びを上げたのは最近入隊したばかりの期待のハンター、アクセルだった。睡眠カプセルからルームメイトのゼロが跳ね起きる。 「アクセル! どうした!?」 さすがは隊長クラスのハンター、行動が素早い。見れば部屋中ものが散乱している。その物の中でアクセルは棚やらバッグやらを引っかき回して何かを探している。そして、人で言うところの泣く寸前の悲痛な面持ちでゼロの方を見た。もちろんアクセルに涙は流せないのだが。 「僕の、僕の大切な銃が、アクセルバレットがないんだ!!」 「うしっ、二度寝すっか」 ゼロは芸術的なまでのシカトをした。そしてどっかとカプセルに入る。その間約1.5秒。 「ちょ、ちょっと、それはないでしょ!? って! おい! マジで寝るんかい!」 ウィーンとありがちな機械音を立てて閉まるカプセルのカバーガラス。そこに飛ぶアクセルの突っ込み、しかしそれはゼロに到達せずガラスに当たった。 「…パッキン隊長…」 アクセルの愚痴は朝の静かなハンターベースの空気に溶け込んだ。その瞬間! ぐわっしゃぁん、と耳をつんざく破砕音。眼前にはコマ落としのようにいつの間にかゼロの拳が突き出されている。 全身がガラスの鋭い破片に引っかかれるがそれどころではない。紛れもない殺気と怒気、そして闘気が不可視の風を吹かせる。カプセルからゆらりと立ち上がるゼロは陰惨な笑みを浮かべこういった。 「新入りぃ、ここの洗礼まだ受けてないよなぁ?」 出る杭は打たれる。哀れアクセルはゼロの洗礼の儀式を受けることになってしまった。 エイリアの訝しげな顔の横にはメットと左目を残して包帯ぐるぐる巻きにされた無惨なアクセルの顔があった。 「階段に顔面からダイブして三階分ほどね…」 朝にみっちりと上司に対する礼儀を教え込まれたアクセルは、エイリアに嘘をついた。もっとも、エイリアの問いは疑問と言うより心配の意を込められていて、誰が何をしたかは一目で分かる。目頭を指で揉みほぐし、溜息をつきつつ明確な揶揄を込めた視線をゼロに向ける。 「なに、少しスキンシップをしただけだ。気にするな」 いけしゃあしゃあと言うゼロ。エイリアは再度深い溜息をついた。 「そう言えば、エイリアは僕のアクセルバレットがどこにあるか知らない?」 ぽん、と思い出したようにアクセルがエイリアに問いかけた。 「知らないわ。あそう言えば、エックスからあなた宛に手紙を預かってたわ。ちょっと待ってね」 数分後、エイリアは自室から葉書を一枚持ってきた。アクセルはもぎ取るように葉書を受け取り読み始める。手紙の中身はこんな事が書かれていた。 アクセルへ ヒャハハハハ。お前のアクセルバレットは戴いた! 返して欲しくばポイント2055地点まで来い!! もしも取り返せればお前をハンターとして認めてやろう! この試練はくわぁんなり(かなり)きついぞ。 ヒャヒャヒャヒャヒャ!!! エックス 「あいつかっ くそっ。ぜってぇぶっ飛ばすしてやる!!」 アクセルが歯がみする。その口調にゼロがほう、と眉をつり上げたが気にしない。 「エイリア! 例の新型チェイサー借りるよ!」 「蜂鳥? 別に良いけど…」 蜂鳥とはレッドアラートオリジナルのライドチェイサーの性能の高さに着眼したダグラスが今現在作成中のチェイサーである。本人曰く 『反重力ドライブにエネルゲン水晶の相互作用を利用し、今までの約二分の一の重量。エンジンも違法に紙一重まで強いの使ってるから、他の能力も高性能! さらに驚くべきはショットなんだよ! 反重力ドライブに使っていたエネルゲン水晶+銃口のエネルゲン水晶とが作用して弾の初速が二倍近くに跳ね上がり、アクセルを踏んで加速して最高速まで持って行くと一般に流通しているバリアーなんて五つも貫通する。それだけじゃないんだ。さらに加速して水晶が臨界点を突破したとき! 機体の出すスピード=弾の初速になると従来のウィリーでの滞空時間が約二倍! そして威力はハンターベース内最も分厚い第三障壁をぶち破る!! ただこいつにはまだ一つ問題があってね。アディオン以上に高性能で乗れる人がいるのかどうか。試験走行でもパイロット八人が重軽傷を負わされたほどなんだ』 とのことである。因みにこの後250行ぐらいメカについて蘊蓄を傾けるので省かせてもらう。ゼロが唐突にアクセルを呼び止めた。 「丸腰では色々大変だろう。これを持って行け」 布にくるまれた長さ1メートル強の棒。果たして役に立つのか、半ば反射的にゼロの顔色を伺うアクセル。そこにはどう解釈しても楽しんでいる表情のゼロがいた。 「あ、有難うございます…」 頭の中でパッキン隊長と悪態をつきまくりながらも朝教えられたように返事をして受け取り、蜂鳥のある格納庫へ向かうアクセル。 哀れなり… 「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!! ととと、止まれコラ! って、あ。 …イギャアァァァァァ(略)ァァァァ!?!?!?!?!?!」 さすがはアディオンの上をゆくチェイサー、ものの数分で2042地点まで到達していた。しかし、ここまでの道中、アクセルは蜂鳥にも良いように遊ばれていた。すでにアクセルの体はVSΣ戦よりズタボロだ。 そして今、現在工事中と書かれた看板を盛大にぶち破り、その先の虚空へアクセルは飛び出していた。 「う、ウィリー!?」 半泣き顔で蜂鳥を操縦するアクセル。その思いが伝わったのか、初めて蜂鳥が言うことを聞いた。 最高速でウィリー走行を始める蜂鳥、そのスピードメーターは思いっきりふれていた。つまり、臨界点。 「あくぅでじょげぴおうぇるじょふぁぇこすぢじぇぎいうぇじゃせぢじぇぎぱおるすぢじゃぺおうぃりいでじぐじょいふぁおでじゃぽいいぽうぇじゃぱ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 テストパイロットを死の淵まで追い込んだ殺人的加速。意味不明の叫び。一つの弾丸となったアクセルはそのまま滑空し、ビルを貫通する。 ドグジャベキスゴドガヴァキィィン キイィィン ズガゴドギャギャギャ キィィン ベゴズガバキャドッゴォオン 3つのビルに風穴を開けようやく制御できるスピードまで減速した蜂鳥。この後アクセルは第一次世界大戦後のドイツもかくやと言わんばかりの天文学的数字の損害賠償を支払わされたという。 ポイント2055地点に着いたときにはもう1時だった。そして、そこにあったのは謎の塔、大体、全五階ぐらいだろうか。 なんかもう既に意識はむこうの世界に逝きかけてるアクセルだが、扉の所にライフエネルギーMAXを見つけ一命を取り留めた。そして、有っても無くてもいいような棒を握りしめ塔へ足を踏み入れるのであった。 1F まだ新築らしく独特のニオイがする部屋、そしてお約束の一階ごとのルームガーダーがアクセルを待ち受けていた。 「よくぞ来たデシ。待っていたデシ」 黄色でぽっちゃりのそのガーダーが言った。 「お、お前はダブル! ダブルなだけにダブルサイクロンで瞬殺のダブル!!」 寒かった。 「るっさいデシ。もういいデシ、手加減なしデシ」 ダブルの闘志に火がついた! みるみるうちにぽっちゃり君から凶悪な風貌の戦闘型レプリロイドに変貌する。アクセルも棒の布を取り払う。そこには数多のゾクを屠ってきた伝説の名器『釘バット』があった。不敵な笑みを浮かべ、釘バットを正眼に構えるアクセル。ダブルの手の甲からブレードが飛び出しこれもまた不敵に笑う。双方の武器が血(オイル)を求め、鈍く光る。高まる緊張は二人の間に不可視の火花を散らす。 ちゃらりろ〜♪ 「はい、ダブルデシ」 いい雰囲気は突如木っ端みじんに砕けた。ダブルの携帯の着メロがX4の音楽のワンフレーズを奏でる。 『私だけど、今ね、レプリデパートでワイヤースポンジ買ったの。三つセットで千円、お買い得でしょ? で、これが結構かさばってて大変なのよ。悪いけど荷物持ちしてくれない? お駄賃はずむから』 電話を掛けてきたのは女だ。結構な大声で話しているので会話はアクセルにも聞こえる。 「今取り込み中デシ、一人で何とかするデシ」 『ひっどーい。姉さんにそんなこと言うんだ?』 (姉さん? こいつ、姉弟いたんだ。いや、義姉さんかも) アクセルは黄色でぽっちゃりしたダブル姉を想像している。まさかその姉が前第0特殊部隊隊長チサトだったとは。そしてダブルは、姉に丸め込まれている。必死に断ろうとしているがダブル姉が勝っている。数分後、とうとうダブルが折れた。分かった、と了承して電話を切る。 「勝負はお前の不戦勝デシ」 「ご苦労様だね」 適当に労いの言葉を掛け、アクセル、1Fクリアー 2F 階段を上がって扉を開けた瞬間、熱気が吹きつける。室温はかなり高い。そして、目にはいるのはリング。リングで仁王立ちしているのは奴しかいない。 その時、どこからかレプリロイドコロシアムレフェリーの声が響き渡った。 「ヒィーットナックルチャンピオォン、ヴァーサス、ア・ク・セ・ルゥーッ ファイナルラウンド、レディー、ファイッッッッ!!!!」 「は!? まだリングに上がってねぇよ」 というアクセルの突っ込みを無視し、突撃してくるヒートナックルチャンピオン、ことフレイムスタッガー。唐突な展開について行けなかったアクセルは、スタッガーのリング越しのパンチを肩に食らい、扉に叩きつけられた。 「このっ…」 扉を蹴ってリングに入るアクセル、しかし、闇雲に振り回される釘バットが当たるはずもない。釘バットは空を殴りつけロープに爪を食い込ませる。その隙を逃すわけが無い。左フックでポールへ追いつめ、ラッシュを掛ける。蜂鳥との死のドライブでボロボロのアーマーはスタッガーの強力なパンチに耐えられずヒビが入り、砕ける。そして、血が吹き出した。 「てめぇ!」 アクセルは全力で釘バットを引き、ロープを千切って横殴りに叩きつける。 スタッガーの脇腹を無数の爪が引き裂き中のコードと血をばらまく。しかし、当たる瞬間に身を引いていたため決定打にはならなかった。しかし、その隙を突いてここぞとばかりに釘バットを突き込む。胸のメーターに釘バットが爪を立て、破壊する。流石は特A級か、即座にバックステップで退き反撃の体勢を整え牽制に飛び道具の炎を拳から撃ち出す。 カキィィン アクセルは半ば反射的に炎の弾丸を釘バットで叩いた。これにはスタッガーも打った本人も驚き、鼻白む。そうこうしてるうちに炎の弾丸はスタッガーへ向かう。アクセルはこの弾丸の回避の瞬間に飛び出すことにする。しかし、スタッガーは避けなかった。自らが炎の弾丸と化し、突進してきたのだ。気迫と熱気の接近に釘バットをかざして防御しようとするが、いとも容易く弾かれ、リングの外の壁に突き刺さる釘バット。そして腰を抱かれ浮遊感と灼熱感。スタッガーの必殺のイヅナ落としだ。天井に強烈な頭突きをした後、今度は床に頭突きをする。メットの尖った部分が衝撃に耐えられずひしゃげた。意識が飛ぶのを必死に防ぎ立ち上がろうとする。しかし、平衡感覚が上手くつかめず転倒してしまった。そこへ強烈な踵落とし。なんとか転がって避けたものも体中にリングの床の破片が当たる。スタッガーの踵落としによって破壊されたリングの床の破片だ。スタッガーの足はリングに埋まっている。これを好機とみたアクセルが釘バットを投擲した。それは、完璧な角度でアーマーの無い腹部へヒットする。柔らかい肉へ食い込んだバットは、スタッガーの内臓を掻き回して停止する。すぐさま引き抜かれるが、爪がさらに傷口を広げ血や臓物を引きずり出す。スタッガーの頭部の角を模した炎が赤から青へ変化し、それに伴い瞳の色も青から紅蓮の炎のような赤へ。リングを血に染めながらアクセルへ突進する。突如、ゴウッと辺りが火に包まれた。大量に流れ出たオイルに炎が引火したのだ。血と肉の焼ける嫌なニオイが充満する。黒煙と炎を突っ切りアクセルに迫るスタッガー。アクセルは何故か両手を振り上げていて無防備だ。灼熱のアッパーがアクセルに食らいつく瞬間、スタッガーが後頭部から血を出して倒れた。アクセルが腕を振り上げていた理由はこの一撃にあった。メットで殴りつけたのだ。ひしゃげた部分で抉るように。一見無謀な事だが戦いにおいてはこの機転が命を左右するのだ。 「ウィナー ア・ク・セ・ルゥーッッッッッ」 またどこからともなくレフェリーの声が響き、これもまたどこからともなくライフセーバーが現れスタッガーを運んでいった。そして、少し焦げて黒くなった釘バットを拾いリングを後にする。 アクセル2Fクリアー 3F 階段にライフエネルギーMAXが落ちていた。満身創痍のアクセルはこれに駆け寄り、早速簡易修理を始める。 アクセルが簡易修理を終えようかとしたとき、階段の上から声がした。 「あーあー、たかが二階でそんなに傷を負って駄目ですねぇ。しかし、あんな玩具で彼を退けるとはねぇ」 挑発的な声色に弾かれるように上を向くアクセルの目に映るのは長身痩躯のクワガタ型レプリロイド、ブーメル・クワンガーだった。その横には巨漢のカブト型レプリロイド、グラビティー・ビートブードがいる。どちらも第17精鋭部隊の猛者だ。一筋縄ではいくまい、とアクセルは直感で思った。 「あんた達が三階のボスか?」 「だったらどうします?」 剣呑な目つきで二人を睨むアクセルだが、クワンガーの瞳はアクセルではなく別の何かを視ていた。 「私達はただの野次馬です。エックス君が貴方と面白い催し物するというのでね…」 言葉とは裏腹に頭部のカッターに手を伸ばしているクワンガー。その動きにアクセルが身構える。 「彼も来ると思ったのですよ!」 クワンガーの言葉と同時に放たれたカッターは目で確認できる速度では無かった。亜音速に匹敵するスピードで投擲され、アクセルの栗毛色の髪を数本刈りつつ、アクセルの背後の何かに突き刺さった。アクセルが首を巡らせて見てみると一体いつ現れたのか、黄金虫の様にけばけばしい塗装のずんぐりした虫型レプリロイドの首と胴体が転がっていた。切断面は清々しい程綺麗だ。 「アレ…何?」 「ショタコン盗撮魔ポルコネ、被害にあった人とレプリロイドの合計231人、傷害罪以外でB級イレギュラーに認定された珍しいイレギュラーです」 クワンガーが事務的な口調で答えた。アクセルはショタコンという言葉を聞き思わず顔をしかめる。 「兄貴、そろそろガン○ムXの時間だよ」 今まで何故か一言も喋らなかったビートブードが突然言った。どうやらお気に入りのアニメの事を考えていたようだ。 「おっと、もう4時半になってしまいますね。では、また会いましょう。じゃ、ビートブード、行くよ」 「そうだね、兄さん」 特A級の先輩2人の風変わりなやりとりを見てアクセルは呆気にとられていた。 「あんた達もアニメ見てたんだ…」 そんなアクセルの呟きを後に塔を降りていく2人。ちょっと間を置きアクセルは我に返り3Fへの階段を上がり始める。そして扉を開けると、そこは何と銀世界だった。といっても大して大きくもない塔の一室だ。銀世界というより真っ白で何もない殺伐とした部屋と言った方が適切である。しかし室温は2Fとうって変わって氷点下云々度の様で、身を切るような寒さがアクセルを襲う。 「さ、さ、寒い。冷凍庫の中みたいだ…」 肩を抱きながら部屋に足を踏み入れると背後で扉が勝手に閉まった。扉はもちろん施錠してある。アクセルが後ろを向くとどこからか放送がかかった。 「身も心も凍る3Fへようこそ♪ ここでは実戦ではなくちょっとしたゲームをクリアしてもらうよ。ルールは至って簡単で今から天井から出てくるバナナを5本取るだけ。取れたらドアのロックは解除されるから、んじゃ頑張ってぇ〜」 放送の声の主は間違いなくエックスだった。 「エックスめぇ、覚えておれぇ」 愚痴を言いながら渋々天井から垂れてきたバナナに手を伸ばすアクセル。その体が次の瞬間激しく回転しながら吹っ飛び、壁に打ちつけられた。痛む体を叱咤しながら起きあがると天井いっぱいのプロペラとその風を受け乱舞するバナナと雪があった。それだけならまだ良い、しかし部屋の温度はさっきよりも確実に下がっている。天井に現れたプロペラは風と一緒に冷気も撒き散らしているらしい。そうこうしてるうちに室温はさらに下がる。ここまで下がるとバナナですら凶器となりうる。しかも今バナナは風を受け暴れ回っているのだ。 高速回転するバナナは人間の幼児などいとも容易くその身を砕くだろう。 「こんなの出来るのかよ…いや、もしかして」 アクセルは反則攻略法を考えた。それはこの暴風を利用したもので、ただ単に釘バットを投げつけるだけだが。 「頼むぞ!」 かけ声と共に投擲された釘バットは何十個も吊されたバナナの糸に絡まり、暴風を受けて回転する。無数の釘に絡め取られたまま回転を始め…やがてぶつりと切れる。落ちてきた釘バットには8本のバナナが絡まっていた。 意気揚々と扉に進みドアノブに手を掛け、開くアクセル。その先に悪魔がいるとも知らずに。 アクセル3Fクリアー 4F(厳密には3Fの階段踊り場から海抜335メートル) この変な試練ももう終わる、そう考えたアクセルは天にも昇らん思いだった。 そして偽銀世界に別れを告げ扉に手を掛けた瞬間! まさか本当に天に昇ってしまうとは。 「しょーりゅーけぇぇんっっっ!!!!」 目の前に眉太ドラゴンがいる、そう確認したときにはアクセルは既に天井を突き抜け、スポーツジム風の階を後にし、炬燵に入って蜜柑を頬張っているエックスを通りすぎ、青い空へ吹っ飛ばされていた。完璧な角度で鳩尾に入ったアッパーはアクセルの体を悠々と上空へ運んだ。何故3Fで起こったことなのに4Fと書いてあるかと言うと、期待の新人ハンターと戦えると聞いていたドラグーンは当初4Fで待っていたのだが、やがて、いても立ってもいられなくなり3Fの階段踊り場に来ていた。そして、現在に至るという訳だ。 5F 「あはは…レッド、久しぶりぃ。みんな、ただいまぁ」 上空でアクセルは逝き掛けていた。安良かともいえるその瞳に映るのは懐かしき同胞。しかし、感動の再会も刹那の出来事だった。重力がアクセルを捕らえ引き寄せる。空気を切り裂きながら落ちていき、耳をつんざく轟音、視界いっぱいの砂塵、そして、精鋭部隊隊長の呻き声。落下したアクセルは偶然にもエックスの真上に落ちたのだ。2人は床を突き破って1Fまで落下した。 「いててて、何だよこれ。人が折角気持ちよく蜜柑食べてたのに」 さすがエックス、丈夫だ。しかし上のアクセルは今にも四肢バラバラになりかねない状態だった。そして、それでも喋った。 「これで…僕も、一人前のハンターに…」 3Fからドラグーンが降りてきた。それを一瞥して喋るアクセル。 「なって…。はぁはぁ、エックス達と…一緒に…」 「ごめんアクセル、今のでアクセルバレットどこに行ったか分かんなくなった」 「ぬぅわんだとぉぉぉぉ!!!!!!!」 その後のことはドラグーンすら語ろうとしないほど酷いものだったそうだ。 END | ||
制作者コメント 管理人コメント |
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