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制作者:VEVEさん 「寒かったダスかぁ〜?」 これが、バウンティ・ハンター デボニオンの最後の言葉だった。どんな時も笑いを忘れない(忘れられない)明るいレプリロイドだった。 最後は弟子と勝手に決めていたアクセルの裏切りに遇い、ラジオ塔で散った。 一ヶ月後・・・ 廃墟の町を緑色でメキシカンなレプリロイドが歩いていた。彼の名はサボテックス。正式にはタイフーン・サボテックスという。 サボテックスはデボニオンの兄弟機で開発コンセプトもほとんど同じだ。 「アニキ〜。どこにいるモジ?」兄がダスなら弟はモジ、である。 サボテックスは、レッドアラードがイレギュラーハンターに壊滅させられたと聞き、兄のデボニオンを探しているのだ。しかし、そう世の中甘くない。デボニオンは処分されたのだった。 「あの分厚い皮があればちょっとやそっとで死ぬわけないモジ。おかしいモジ。」 ぶつぶつ言いながら崩れたラジオ塔を横切る。 「ふい〜。疲れたモジ。もう寝るモジ。・・・・・そう言えば、アニキ、TVとラジオに出演するのが夢だったモジね・・・。」 すでに日は暮れ、空には一番星が見えた。ふと、塔に向かうサボテックスの足。螺旋状の塔はぐしゃぐしゃに潰れ倒れている。地面には破壊されたメカニロイドが散乱している。・・・メカニロイド?おかしいモジ。避難勧告がでて、町には誰もいなかったはずモジ。・・・まさか! 予感は的中。程なくしてサボテックスはデボニオンを発見した。いや、デボニオンだったものだ。分厚いアーマーはことごとく破壊され、その下の細い体もボロボロだった。手足は片方ずつしかなかった。だが、奇跡的に頭部は鼻が折れただけだった。アクセルの心遣いだろうか。 「アニキ、こんな姿になっちまって・・・でモジ。でも、これで良かったのかもしれないモジ。危険な仕事から足を洗えるモジ。」 弟に抱かれ、デボニオンは何を思うのだろうか。きっと彼ならこういうだろう。「かっこわるいダスなぁ〜」と。 新ゲイト研究所に客が来た。その客は、サボテックスとデボニオン(首)だった。 「こんにちは。僕がゲイトですが。」ゲイトから見れば果てしなくセンスのないボディ。必死に吹き出しそうになるのをこらえる。 「まぁ、座ってください。」ゲイトは二人を応接間に通す。小さいソファにちょこんと座るサボテックス。思わず吹き出しそうになる。 「実は、レプリロイド再生で有名なあなたに頼みがあるんです・・・(モジ)」さっきとはうってかわってゲイトの顔が引き締まった。 「だれかを再生させたいんですね。すいませんがお断りです。命を弄んではいけない。」かつて自分の作ったレプリロイドはことごとく非難され処分された。ゲイトの顔には後悔の色が強く見られる。 「た、頼むモジ! 兄弟だったんでモジ! お金だって出すモジ!・・・あんまりないけど・・・」 ゲイトは首を振るばかりだった。しかし、 「いいじゃない。」女の声だ。二人は反射的にそちらを向く。そこには有名なレプリロイド、エイリアがいた。 「ど、どうして君がここに!?」驚きを隠せないゲイト。二人は旧知の仲だ。「ハンター本部からのスカウトで、仕事しないかだって。あと久々に顔を出しに来ただけよ。」 「・・・・へ〜。どうしようかな。最近生活苦しいしな。」 ゲイトはエイリアに強く出られないようで話をそらした。だが、サボテックスはデボニオン再生のチャンスとみた。 「いいんでモジ!? アニキを再生させてもいいんでモジか!?」 「最近、ハンター志願者が減ってるから。それに科学者系レプリロイドがあんまりレプリロイドを作らなくてね・・ついでに、今私DNAプログラムの研究してるのよ。・・・・ね、ゲイト?」 エイリアが意味深な視線をゲイトに向けた。「てゆうか、どうやってここに入ったんだ!」 「玄関開けっ放しだったわよ。不用心ね。」 さらっと返された。 「と、とにかく! 僕はレプリロイド再生はもうやらない!!」 「なんで、そこまでいやがるモジ?」 さっき言ったはずだ。しかし、ゲイトはエイリアの登場でなぜか変になっている。 「だってお金かかるし、一番、目覚めさせてもみんな復讐ばかりしようとするんだ!」 復讐のために世界を危機にさらしたのは一体誰だったか。 「復讐は分かるとしても、やっぱりお金の問題だったんでモジね・・・」 「あなたが手抜きしてメモリーの整理をちゃんとしないからよ。」 二人に同時に言われて、ついにゲイトが折れた。 カプセルが白い蒸気を吐き出し、カバーがあがる。もやの中から大きめで、太り気味のレプリロイドが出てきた。 「よく寝たダス。・・・ここはどこダスかね。」玉ネギを模したレプリロイド、トルネード・デボニオンだ。 「アニキィィィィ〜〜!!」頭をかくデボニオンにサボテックスが飛びついた。 「ななな、なんダスか!? ハッ・・・どっきりダスか! カメラめ! どこダスか! 出てこいダス。お見通しダスよ!」 えらい勘違いである。ともかく、こうして兄弟は再会し、今は深夜ラジオに出演しているのだった。 「いつかハリウッド映画に出たいダス!」 終わり | ||
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