相棒
制作者:ジラードさん
ゼロ | 「ふぅ、あと少しだな」
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スパイダス | 「ずいぶんと手間がかかってしまったな」
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二人のレプリロイドが、密林の中で戦っていた。そこはカギキラジャングル、陸軍基地の設置された密林。だが、今そこはイレギュラーが息を潜めていた。
ゼロ | 「……ったく、配属されて一ヶ月もたたねぇうちにコレだ!」
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スパイダス | 「真紅の英雄がずいぶんと弱気なことだね」
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全ては、第0部隊に下った指令から始まった。密林に潜む
イレギュラーの鎮圧。配属されたばかりの二人は、その先発を命じられたのだ。
スパイダス | 「あと20分もすれば本隊が来る。それまで持ちこたえられるかね」
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ゼロ | 「20分か……面倒なこったな」
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焦る二人だが、さすがは0部隊。周辺の敵は瞬く間に数を減らす。
だが残る数体のイレギュラーに手こずっていた。
一進一退が続く中、スパイダスの背後に殺意が飛び込む。
とっさに気づくスパイダス。だが彼のスピードでは、これを対処出来ない。
終わりを覚悟したスパイダスだったが、飛び込んできた死神は役目を終えることなく、光の刃に倒れていた。
スパイダス | (これは……サーベル? まさか……)
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ゼロ | 「油断大敵ってやつだな。こんな状況で死なれちゃ困るぜ。敵さんはまだまだいるんだからな」
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スパイダス | 「あ、ああ……」
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ゼロ | 「あと15分、あと四体だ! 全力でしとめるぞ!!」
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5分後。いかに強くとも、たった四体で二人を抑えられるわけがない。
残りの10分間、二人は話をしていた。
ゼロ | 「C.K.O地点はコレで全部かもしれんが……他のとこにもまだいるかもしれねェんだぜ? 話しするヒマなんざ……」
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スパイダス | 「小グモをまき、ウェブを張った。不意を突かれる心配は無い。それよりゼロ……」
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ゼロ | 「どうした?」
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スパイダス | 「このミッションが終了したら、オレとコンビを組まないか? オレはお前とならやっていけそうな気がする」
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ゼロ | 「……アンタとの共同任務は今回が初めてだぜ。どうしてそう思う?」
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スパイダス | 「戦いで感じた勘だ。お前とは話すのも共に戦うのも初めてだが、いいコンビになれると思った。どうだ?」
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ゼロ | 「…………」
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ゼロが沈黙した。だが答えは決まっているのだろう。ゼロの口が開く。
ゼロ | 「悪ィが、もう間に合ってんだ。オレはもういい相棒と手を組んでる」
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スパイダス | 「あのエックスとかいう甘ちゃんのことか? ……余計なことかもしれんが、お前とヤツでは息が合わんと思うが……」
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ゼロ | 「腐れ縁って言葉もあるぜ。それに、オレじゃアンタには勿体ないからな。アンタなら、もっといいヤツと組めるだろうよ」
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スパイダス | 「……そう、か」
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話が終わると同時に、通信が入る。本隊到着の知らせだった。
ゼロ | 「主役陣のご到着だ。さァて、オレ達は帰ろうぜ。エネルギー補給もしねェとな」
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スパイダス | 「ゼロ……」
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立ち上がったゼロにスパイダスが呼びかける。そして……
スパイダス | 「オレの誘いを蹴るとはな。これでオレとお前は永遠に『ただの同僚』だ。いずれオレと組まなかったことを後悔するぜ」
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ゼロ | 「そんときゃアンタに乗り換えるさ……なんてな」
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数年後 21XX年 某日 レプリフォース大戦勃発
カギキラジャングルにて
スパイダス | 「ゼロ……やはりお前が来たか……」
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ゼロ | 「スパイダス、同僚のよしみで言おう。そこをどけ……!」
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スパイダス | 「それは出来ん。ここにはオレ達レプリフォースの誇りがある。たとえお前でも、ここを通すわけにはいかんのだ!」
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