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制作者:D-sideさん 「……なるほどな…ココなら次の獲物にピッタリか」 緑を基調に、カラフルな色彩のボディを持つオウム型のレプリロイド。 彼は上空で目下の市街地を見てそう言うと、その場を飛び去るべく翼を翻した。 「『エコーラス・パロッティオ』だな? 場所、時刻、参謀長の言っていた通りだ」 そう言って彼を呼び止めたのは… 「お前は…確か『スパイラル・ペガシオン』…ハハ、ついにレプリエアフォースまで動き出したか! …それで? オレがココに来ることを予測しておいて、奇襲も掛けずに、たった一人で姿を現すとはナメられたモンだな」 「卑怯な戦法はボクの信念に反するのでね……空賊『ウラヌス』一味、エコーラス・パロッティオ、お前を討つ!」 「フン、戦場じゃ、そんな信念なんて何の役にも立ちやしないぜ…あの世で後悔しな…敗北と言う現実を叩きつけてやるよ」 「お前とお喋りしに来たワケじゃないんだ……行くぞ、これ以上お前達の好きにはさせない!」 「『これ以上お前達の好きにはさせない!』」 「な…(何だコイツ…これも能力の一環か!?)」 「…似てるだろ?」 その後、一瞬の沈黙の後…2人同時に、さらに上空へと舞い上がる! 「ウイングスパイラルッ!!!」 先に仕掛けたのはペガシオン。 『ウイングスパイラル』は本来、竜巻で相手を吹き飛ばす武器だが、出力によっては強力な破壊を伴う。 「空軍お得意の風攻撃か…」 「バカなッ! なぜ微動だにしない!? 真正面から受ける気か!?」 「ああ、受けるよ…受けないと攻撃できないからな」 「なんだと?(パロッティオ…元曲芸団員、突如失踪、後にウラヌスに姿を確認…現戦闘能力不明…)」 「エコーウェエーブッ! ウイングスパイラル!!」 「な…っ! これは!」 パロッティオに命中にたかと思われたウイングスパイラルが、急激に逆回転を始め、そのままペガシオンに一直線に向かって行く! 「うあぁっ…!」 不意を突かれたせいか、まともに食らってしまった。 「くっ…『相手の攻撃をそのまま返す』か? ずいぶん面白い能力だな…」 「自分の武器を食らった感想はどうだい? 初めての経験だろ?」 「所詮はオウム返しだ、油断が無ければ食らいはしない! それに、自分の武器だ、特徴は良く理解している…寸での所で致命傷にはならないぞ」 「戦場じゃ、その一瞬の油断が命取りになるんだよ…それにオウム返しだって? ただのオウム返しかどうか、もう一度試してみるか?」 「さすがは元エンターティナー、クチだけは達者なようだな…喋っているヒマがあったら攻撃したらどうだ? …それとも、相手が出るまで何も出来ないか?」 「フン、お前こそ…語り部にでもなったらどうだ? オレ達ウラヌスの歴史のなッ!」 「黙れ! もう油断は無い! ウイングスパイラルッ!!」 「『芸』が無いな…オレが『オウム』返しだってんなら、お前は『馬鹿』の一つ覚えか?」 「今度は最高出力だ! もし はね返されたとしても、ボクにはもう当たらない! 消耗戦になるが…勝機はボクにある! お前にはボクにダメージを与える手段が無い!」 「なら、こんなのはどうだい? エコーウェーブ! ストームトルネードッ!!」 「!?」 パロッティオに当たるか当たらないかの所で、ウイングスパイラルは姿を変えた。 かのイレギュラーハンター空挺部隊隊長『ストーム・イーグリード』の特殊武器に! 「オレのエコーウェーブはなぁ! ただ鏡に映すみたいに反射してるワケじゃないんだぜ! 空間に振動を与え、空気の層を作り出して微細分子レベルで方向を指示しているんだ! その際にちょいと手を加えれば…ご覧の通りだ! これでもオウム返しかい?」 「くぅっ!!」 ギリギリかすめる程度の所で かわすペガシオン。 「…『猿真似』…かな?」 「や、やろォ…!!」 「これならどうだ? ウイングスパイラルーッ!!!」 一度に二発の竜巻を連続発射するペガシオン。 「同じ事だ!! エコーウェーブ! ダブルサイクロン!! これで終わりだーッ!!」 「…やると思ったよ…」 「!!?」 何と、竜巻はペガシオンのカラダをすり抜けた。 「『疾風』、ボクの奥の手だ…君が狙ったのは残像さ」 「そんなッ!?」 すでにパロッティオの背後に回り込んでいるペガシオン! パロッティオが振り向くよりも早く、拳を突き上げる! 「ぐはぁッ!!!」 「決まったな、食らえ!!!」 「うぐあぁッ!! ぐッ!」 そのまま反撃の隙を与えず連続でパンチを繰り出すペガシオン。 「とどめ………う!?」 「…掴んだぜ…ハァ…」 「掴んでどうする気だ? 安心しろ、命を取る気は…」 「エコーウェエェーブーッ!!!!!」 「!? 何を!?」 「…ハァ…い、言ったろ? オレの特殊武器は…空間に振動を与えるって… 高出力で放てば…相手の攻撃を返すだけじゃなく、それだけで破壊エネルギーを持つ…」 「バカな…そんな事をすれば、お前も…!」 パロッティオは瀕死のダメージを負っているが、ペガシオンを掴んだ手には恐ろしい力がこもっている。 2人の周囲の空間が、微小なノイズを発しながら震え始めている。 「…オレは…曲芸の…練習がイヤで逃げ出したんだ…ただ辛いだけ…楽しくない…なんで続けているのか…自分でもわからなくなって……だが! ウラヌスに入ってからは違った…楽しかったよ…毎日が…興奮の連続さ…」 「…パロッティオ?」 「ずっと…この仲間達と生きて行きたいと思った……そして、そのためには『力』が必要だった…曲芸用のオレには武器が無かったからな……強大な…『力』が……」 「………」 「やっと身につけた この『エコーウェーブ』、皮肉にも『強すぎた』…使えばオレ自身も危ない…このようにな……だから、相手の攻撃を反射する武器として使っていた」 「今なら間に合う、解除するんだ…エコーウェーブを…!」 「ウラヌスを失って 生き延びるくらいなら、オレはエアフォース長官という上等のタマを取って散るね! これが、オレが初めて自分で選んだ道だ! ジャマはさせねぇ! ウラヌスに…栄光あれ!!」 「…先程の言葉、撤回しよう…お前は尊敬に値する!」 「……ヘッ、ご機嫌取ったってオレはエコーウェーブは解除しねェ…ぜ…食らえ!! 最大出力ッ!!」 「ただ一つ、惜しむべくは…その選んだ道が間違っていたと言う事だ…パロッティオ…もしもレプリロイドが、生まれ変われるのなら…その時は友になろう…」 2人の周囲の空間が、まばゆい光を放ちつつ歪んでいく。そして大音響と共に爆発が起こった。 爆風が晴れて行く…その中に影が一つ。 「…運が良かった…ヤツの方がダメージが大きかったおかげで…ボクだけが助かった…」 生き残ったのはペガシオン。全身キズだらけで、飛んでいるのがやっとの状態だった。 「…あぁ〜…皆の反対を押し切って、一人で出向いて、この体たらくじゃ…笑われるな…いや…怒られる、か…参謀長カンカンだろうな…どうしよう…」 ベースに向かって空を翔けるペガシオン。 上官の対応が不安で肩を落としているが、表情だけは晴れ晴れとしていた… | ||
制作者コメント 管理人コメント |
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