世界制覇を終えて旅に出ようとしたところをリックに止められた。
『大将、あなたの力は戦争をする能力ではありません。人を統治する能力です。』
それを言われて、僕はママトトに留まった。
ながれぼしきらきら
「ううーん。世界制覇をしたのは良いけどこれからどうしよう――。」
「元ダラス王国辺りの有力者を呼べばいいのでは?」
ストーリンが書類を見ながら僕に発する。世界を制覇したところで周りの人々はあまり
変わっていなかった。特に、ストーリンに関しては何処か生き生きしていたようにも
見える。
「そうだね。取り合えず反乱を起こさないためにママトト内の一部領土を分割し、
当時の有力者に統治してもらい、後ろに武将たちについてもらおうかな。
まぁ――仕方ないんだけどね。」
下がっていいよ、と僕は一声かけるとストーリンは退出した。ストーリンの足音が
聞こえなくなるのを確認する。
既に辺りは暗くなり、空には星が出ていた。――そういえば、今日は数年に1回しか
出ない流星群が流れる日だと聞いた。
幼い頃、流れる星に何度も何度も願った事がある。アーヴィと一緒にいられますように。
今は亡き父上の役に立ちたい――などと。祈り、祈って、祈り続けてもその願いは
叶わなかった。アーヴィは実父に弄ばされて旅に出て、その父のある意味役に立っていた
のに腹をとても立てた。
お前などただの駒だった――その言葉が離れない。脳裏に焼きついている。強く、
勇ましく、カリスマ性を持った父親は嘘だったのだ。
祈りは、祈っただけ自分の元へその見返りが来るわけではない。アーヴィを元に戻して
くれと祈ってもその願いは叶わない。
祈りは――祈ることしかできない。
流星群に何回、何十回祈ったところで祈った物はこない。
ママトトを繁栄させたい。
仲間を守りたい。
リックとずっと一緒にいたい。
祈っても、願っても無駄なのだ。
「――祈ってばかりじゃいけないよね?」
僕は弱々しい声を出す。
祈る時間があれば、それを統治に使わなければ。
祈る時間があれば、それを行動に移さなくては。
段々と、空に星が流れる。青白い星は、空を埋め尽くす位流れる。
僕はカーテンを閉めると、ベットに潜り込んだ。
後書き
ナナス物ですが根底はリック×ナナスだったり……。初のBLですね。本編にない展開で
ナナスが残るという展開であります。うーん……題名のわりに暗くなってしまいました。
本当はもっとライトな展開だったのに。