再開


一人で突撃し、兵士たちに捕まったオボロは地下の牢屋に監禁されていた。
肢体を鎖の枷で拘束され、動くことさえできない。最初は抵抗したが、
当然耳を傾けることなどしない。突撃し、そして敗れ、拘束されるとは情けないものだ――。
オボロは嘲笑を浮かべた。
かれこれオボロが監禁されたあと一時間は過ぎたであろうか。
]カチャンと牢屋の扉が開く音が聞こえた。オボロは扉の先を睨みつける。
そこにいたのはだらしのない笑みを浮かべる男たちがいた。
「へへ、最初は気乗りしなかったけどよく見りゃいいカラダつきだなぁ。」
「まあ若様って言われてるくらいだからなぁ。へへへっ。」
なんだこいつらは――。オボロは精悍な顔を歪め、
今にもその顔を真っ二つにしてやりたい気持ちでいた。
男たちはオボロのから放たれている殺気を感じ取ったのか、
怯えるそぶりなど見せない。寧ろ、更にだらしのない笑みを浮かばせていた。
オボロにはその笑みに含まれる意味が分からなかった。
「おいおい、そんな風に見られたらマジになっちまうじゃねーか。」
男たちの一人はオボロの元へ歩みよ下から見上げた。
オボロは歯を思い切り噛み、男たちに乗せられないよう吐き捨てる。
「卑しい顔をすんじゃねえ!!」
反抗的な態度を示し、屈してはならないという気持ちを出す。
「……卑しい顔?まあテメェにはそう見えるんだろーなぁ。
だけどよぉ、そんな顔つきをさせるのはお前がいるからだ。」
「俺……。」
言っている意味がわからない。オボロは男たちを凝視する。
その視線には新たに「疑問」が入っていた。
「そうだよ。わかんねぇか…ま、いいか。口で言うのも時間の無駄か。」
オボロはまだ理解できていなかった。その視線が自分を嘲笑うものでなく、
値踏みするものであるのを――。
「何が言いた――。」
オボロが口を開けた瞬間、男は隙を見てオボロの口に自分の唇を押し当てた。
一瞬、自分がされていることをがわからず、考えることができなかった。
他の男たちからは歓声や口笛が聞こえた。それが余計、オボロを辱めていた。
――犯される。オボロはこの時、だらし無い笑みの意味を知った。
ただ、既に遅くただ男たちを嫌悪することしかできなかった。
そして、また彼に申し訳ないと罪悪感を募らせる。
――仮面の男に対して。
以前、ベナウィに凌辱された時にも脳裏に浮かんだ男だった。
いけ好かないが命を救われた男だ。だか、会う度にどんどん
惹かれていってしまう。何故だ――。今まで沸き上がってこない
感情が沸々と沸き上がってくる。
男はオボロの唇をもっと堪能したいのか、今度は舌を中に入れようとした。
オボロは歯をで男の舌を思い切り噛んだ。
男は不服そうな表情を浮かべ、オボロの頬を思い切りひっぱたいた。
乾いた音が牢屋に響き、鉄の味が口に染みた。
頬は赤くなり、手形がつきそうなくらいだ。
男は飄々てした面を変え、オボロに罵声を浴びせた。
「てめぇ!今の状況わかってやってんのか!?」
賊同然の喋りでオボロの首を締める。
「ちょ、あんまり締めるとお咎めくらっちゃいますよ!?」
「うっせえ!んなことくらい分かってらぁ!!嫌ってほ
どコイツの体に教え込んでやる!」
男はオボロの首を離し、後ろにいた男に何か急かすように喋っていた。
オボロは口の中にある血をその場に吐き出した。
どす黒い色の血は自分のものかと思いたくない。
昔、ユズハが初潮を迎えた時に膣から出た色をしていた。
牢屋が暗いせいもあるが。男はカプセルのような薬を得意げに見せる。
「まあ特別大サービスだ。」
「…なんだそれは。」
「おおっ、興味を持ってくれるなんて嬉しいねぇ。」
興味など持っていなかった。自分に起きるこれからを考えれば、
そのカプセルが何かくらいは理解できる。そう、それは――。
「媚薬か――。」
「へへっ、ご名答。」
男はオボロの目の前に突き出した。だか、オボロは鼻を鳴らして男たちを馬鹿にする。
「あん?」
「その媚薬、効き目はかなりあるらしいが性質上、効果が出るのは
かなり遅いと聞くぞ。最悪、効く前に俺の部下が救出してくれるかもな。」
仲間が今すぐにやってくるのはわからないが、こうして時間を稼ぐことはできる。
それがオボロが今、唯一できる抵抗だった。
だか今のオボロには運がなかった。男はオボロの得意げな笑みを壊す一言を口にする。
「上の口でもこれはいくんだがなぁ…下の口だともっと効果があんだよっ!!」
男はオボロのズボンをずりおろし、下着も剥ぎ取った。
「なっ…貴様一体何を…!?」
「いれるんだよ。お前のこの穴になあ!?」
オボロの菊座を無理矢理こじ開ける。
「ヒッ!やめてくれ!!」
恥辱と絶望を感じさせる声を上げ悲願するが、むなしくもカプセルは菊座の中に挿入されてしまう。
「い…いやだぁぁぁ!!」
「いやだぁ?はっ、そんな抵抗もいつまで言えるだろうなぁ。おいお前ら、とっととやっちまうぞ。」
凌辱を告げる宣言がされた瞬間、一斉に男たちはオボロに群がり始めた。
「いやだぁ!助けてくれ、助けてくれ――。」
涙を堪え助けを呼ぶ。その相手はハクオロでなはく、
この牢屋に近いところにいるベナウィであったことをまだこの時、オボロは知らなかった――。


悪夢ののような出来事だった――。
あれから男たちにされたことは予想の範疇を越えていた。
首もとには何個もキスマークがつけられ、噛み付いた痕も残っている。
唇も何回も、それも何人も相手にしていたのだ。口内を蹂躙され、
舌が否応なしに絡まれ糸が引く。抵抗すれば叩かれるわ、
鞭で体を打たれる。かと言って、ただ流されることを許す低い
プライドは持ち合わせていなかった。そう抵抗しているうちに、
薬の効果も出てきてしまう。
『んっ…駄目だっ…そこは何もいれないで――ああっ!』
その声を出した瞬間、オボロは性欲に負けたことを思い知らされた。
蹂躙されていることを快感として感じてしまった以上、オボロはこの
行為を受け入れたと見なされてもおかしくはない。
勃起物には小さな拘束具を施され、絶頂へいかないようにされた。
更に口にはボールギャグを嵌められる。喘ぐ度に漏れる唾液が
更に男たちの被虐心を煽る菊座には自分の愛刀(柄の部分)を挿れられ、
抵抗するたびにどんどん入っていく。
不幸中の幸いといえば、男たちそのものが入らなかったことだ。
ジャリ…と鎖の男が響く。力を搾り出しても、この状況を打破できるわけでもないのに――。

だか、オボロの願いはある意味叶い、ある意味かなわなかった。
牢屋にポッカリと空いている窓から見慣れた男の姿があったからだ。
忘れるわけがない。精悍な顔立ちをし、眉ひとつ動かさない
男が牢屋に近づいてくる。生気を失いつつあったオボロの瞳に意思が宿る。
「貴様…あの時の…!」
「また会いましたね。」
涼しな瞳は相変わらずだ。自分を抱いた時も僅かな吐息しか
感じることはできなかった。感情を決して孕むことのない言葉から、
この男の思考などは読み取れない。
「こいつらを仕掛けたのも貴様の仕業かっ!?」
つっかかる勢いでベナウィに迫る。媚薬でほてる体を鎖が拘束し
、オボロの意思と関係なく甘い声が出る。
「〜〜〜っ!聞いたな!?」
「聞いたのではありません。聞いてしまっただけですよ。」
眉間に皺を寄せることさえしない。オボロは顔を赤らめて、
ベナウィから視線を反らした。
「せっかく助かった命を粗末にするとは――。」
悲しんでいるのか、自分を哀れんでいるのかなわからないが、
この男の言いなりにはなりたくなかった。
「俺の命などどうでもいい…!」
自分より背の高いベナウィを睨みつける。だか、そんなことで
相手が怖じけづかないのは目に見えていた。
ベナウィはすっと横に目にをむけると、またオボロに話し掛ける。
「聞こえますか?」
オボロはベナウィが先程向いた方向に視線を向けた。
剣と剣が交わる金属音。雄々しい声が微かに聞こえる。
――まさか…。
「どうやらあなたの仲間たちのようです。」
真っ先に仮面の男が浮かび上がる。だが、このような格好でいけば、
自分が何をされたのか感づかれしまう。騙そうと思っても簡単には騙せないのだ。
「あいつら…。」
助けを求めた筈なのに、見られると思うとぞっとする。つけられた
キスマークをハクオロが軽蔑の目で見るとかんがえると――。
「…今のところそちらが有利ですが数が違い過ぎる。いずれ鎮圧されるでしょう。」
確かに――それにベナウィまで参戦すればこちらに勝ち目はない。
ーー無事に戻って、ユズハを安心させることだ。
あの男の言った言葉を思い出す。

失いたくない――部下たちも、ユズハも――


そしてあの男も――。



「…何故あなたたちは抗うのです。法のもとで暮らせばいいものを…。」
「………生きるためだ…法のもとで生きたところで満足に暮らせるのか?
凍えずに生きることができるのか!?」
ただのうのうと生きていけない身であることをオボロは幼い時から栗色の
瞳で見つめてきた。少数民族は戦が始まれば、ただそこにいるだけでは
殺されてしまうことをオボロは知っている。
総大将とし、これから歩む道が例え苦しくとも生活に困ることのしない
ベナウィとは置かれている状況が違うのだ。
オボロの顎に乗せられた手形を離す。ベナウィは帯剣を鞘から抜きだし、
オボロに向け大きく振り上げた。
だが、オボロの頭上を狙ったわけではない。彼が拘束されている枷目掛けてだ。
パキンと右の手枷と足枷が割れ、オボロは態勢を何とか整える。
「いきなり何しやがる!?俺を殺さないのか!」
一度でなく二度も敵を殺さないのはいくらなんでもおかしい。
あの時は情けをかけたととってもいいが、今は違う。武将のやることではない。
「…獣のような目をしていますね。」
「お高くとまった奴に言われる筋はねぇよ。」
オボロにとっては皮肉を入れて返したつもりなのだが――。
「獣だからそう見えるだけでは?」
すぐに切り返され、オボロは言葉に詰まった。
「大体どうして俺を助けるんだ!?あの時だって―――んっ!?」
ベナウィはまたオボロの顎を片方の手で掴み、唇をそっと重ね合わせた。
まだ媚薬の効果は残っていたらしく、オボロの頬は桃色に染まり始めた。
「ん…はぁっ…ぁっ…。」
「声を聞かれたくないのでしょう…?」
そう言いながらも接吻をやめるそぶりを見せない。それどころか、
さっきより勢いを増している。
角度を変え、舌を一方的に絡ませる最初は嫌がっていた
オボロも抵抗していたが、媚薬と何かに負け、おずおずと舌を絡ませる。
ぴちゃぴちゃと水音が響き、オボロの羞恥心が増し、体もそれに比例して反応が強くなる。
「んん…ああっ…へ、へんだぁ… ひぃっ…。」
開放された手でベナウィの肩をにぎりしめ、倒れないようにする。
ベナウィはなオボロの細い腰を自分のほうに引き寄せ、
尚も彼に快楽を激しく、そして強く与えた。
唾液を絡ませ、名残惜しそうに唇を外すと銀糸がひいた。
オボロは目を潤ませ、ベナウィの肩を持ち呼吸を整える。
「っはぁ…あんた、やり過ぎだっ…。」
「その割には随分と求めていたようですが?」
「ちがう!これは媚薬のせいで――んぁ!!」
ベナウィは突拍子もなくオボロの唇を舐める。
「これで感じてないのは噂と言えるのでしょうかね…。まあいずれ分かってくれればいいことです。」
ベナウィは懐から何かを取り出し、オボロの近くにおく。底の浅い小さな円の形をした容器だ。
「これは…?」
「傷薬です。速効性ですぐに効きます。使うかどうかはあなた次第です。」
足元に置かれたものが果たして傷薬なのか。
オボロは疑いの目で見ていたが、ベナウィを信じてみることにした。
「大将!」
第三者の声がし、見てみると顔立ちに傷を負っているガタイのいい男がいた。
どうやらベナウィの部下らしい。
「クロウ、そろそろ戻りますよ。」
「えっ…でも援護は――」
ベナウィは何も言わず牢屋を出ていく。オボロのことなど目さえくれなかった。
クロウと呼ばれた男はベナウィの後を追い掛ける。
一人残されたオボロはベナウィの残した剣を取り、拘束されているほうの枷を斬った。
「待ってろ…――」
その先にあるのはハクオロかベナウィか――この時オボロは知ってなかった。

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