幼き胸の高鳴り



「ねぇ、ベナウィは俺のこと好き?」
一緒に戯れていた時、オボロはその言葉を突拍子もなく言った。
自分より3歳年下のオボロはその意味をただ純粋に「好き」で
あることを分かって言っている。
「…なんで、そんなことを聞くのですか?」
波打つ胸の高鳴りを無理に抑え、オボロに問う。自分の
嫌らしい、黒くて醜い欲望を隠しながら。
「ん〜?だって俺、ベナウィのことが好きだから!」
オボロはベナウィの胸中など知らず、純粋無垢な
笑みを浮かべながら言い切った。
ベナウィはオボロの言葉をぎゅっと噛み締め、
自分の本心を伝えるべきか迷っていた。
言ってしまえばどんなに楽になるのだろうか。
だが言ってはならないのだ。オボロはまだベナウィが
オボロに対して想う「好き」を完全に理解できてはいない。
「ねぇ…。」
ベナウィを上目づかいで見上げる。更に鼓動が波打ち、ベナウィの理性を揺らげる。
オボロは何も言わないベナウィを見て、たちまち不安げな表情を
見せた。
「……もしかして嫌いなの?」
「それは違う!」
ベナウィは慌てて否定する。オボロは目を大きく見開き驚いていた。
寧ろ大好きだ。好き過ぎて気が狂いそうな毎日を送っているのに――。
すべてを手にしたいとさえ思っているほどにだ。
「嫌いじゃないの?」
オボロは上擦った声をあげる。それがベナウィの理性を刺激した。
「とんでもない。寧ろ――。」
ゴクリと唾を飲み、そっとオボロを抱きしめる。そして、耳元で囁くように言った。
「好きですよ…。」
幼い体を抱きしめ、感触を堪能する。
「嫌いじゃない?嫌いじゃないんだよね?」
何度も何度も繰り返し、ベナウィに確認する。
ベナウィは苦笑し、オボロの髪を慈しむようにして撫でた。


あとがき
幼少時代のSSです〜。従兄弟設定のものです。にしてもこの二人、
相当美味しい接点ばっかりあるなぁ〜。個人的にベナウィはオボロに
関しては結構理性が揺らぎますよー。あれですから。
ちなみにベナウィ13歳でオボロ10歳で書いています。

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