お正月の過ごし方:朔耶と藍音の場合



「あと何秒?」
「もぉ……1分も無いよ」

キッチンに飲み物を取りに行った朔耶の質問にテレビに表示されていた数字を教える。

この時期特有の年越し特番。
局によってバラバラだけど……15分前からカウントしてる番組もあるから時計を見るよりも楽にわかる。


「うわぁ〜……そろそろ終わるじゃん」
「新しい年になるよぉ」

リビングに戻ってきた朔耶がソファに座っていたあたしの横に座る。


「色々あったもんね〜……今年も」
「だな……あ、カウントダウン始まった」





この瞬間だけは……どうしてだろ。
なんか緊張する。

別にいつもと同じ、なのかもしれない。
日常と同じように時計は針を進めるし。
カレンダーも着実に日付を変えていくから。

でも……なんとなく違うの。
新年になるんだって思うと……胸がドキドキしてくる。





「……」
「…………」


つかの間の沈黙。

その沈黙の間に……新しい年の幕開けが訪れた。



「あけおめ、ことよろ……だね」
「改めて言われなくても、一生藍音の傍にいるけどな」

ちょっとおどけた表情で笑う朔耶に……あたしまで笑みが零れる。







「で、いつ姫初めすんの?」







いきなりの言葉にアイスティーに伸ばした手が止まる。

……意味はわかんないんだけど。

なんとなーく。
なんとなーく……意味を聞いちゃいけない気がする。

改めてアイスティーに手を伸ばし、視線を横に向ける……と。



うわ、満面の笑みの人がいるよ……。



「まぁ、焦んなくてもいっか」

勝手に一人で頷いてる……しかも満面の笑みで。



もくもくとテーブルの上を彩る食べ物を食べる朔耶を横目に……あたしはこの後の展開が何かを若干予想し始めていた。




沙羅さんより頂いたお年賀フリー小説。
のんびりまったりの雰囲気を壊すような朔耶の発言に吹き出しました!
ぼそっとふいふちなんて反則ですってば。
戸惑って顔を赤くしてる藍音ちゃんが目に浮かぶようです。
発言した本人は、何も気にしてないのが、すてき(笑)
この後の姫初めが気になって仕方がない雛瀬でした。
素敵なお話をありがとうございましたvv
沙羅さんのサイトは↓よりどうぞ。











             

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