25. 欲望


京が好き。
自覚した時、その想いを疑った。
決して彼の事を多く知っているわけではない。
なのに、彼のことを考えると胸が高鳴る。
どうしてだろうと思うけど、時が経つにつれて、
好きという気持ちは、いつしか愛してるという気持ちに変わっていった。
遠くから見つめるだけでいい。
私の心は満たされるの。
近づいたら、彼を好きな気持ちを失うかもしれない。
より多くを知れば、私は好きでいられなくなるかもしれない。
不安に囚われて、見ているだけにしようと思った。
そんな時だった。
彼が私の目の前に突然現れた。
いつもたくさんの女の子に囲まれている彼が、私一人の目の前にいる。
内心、パニックを起こしていた。
驚いて、立ち尽くす私の隙をついて壁に押さえつけられる。
あっという間に唇を奪われた。
彼は、私と直接会ったことはないはずなのに、
会った途端、いきなりキスをした。
欲望が溢れたキスをくれたのだ。



私は嫌いになるどころかますます京に囚われ、
京なしでは生きられない心と体になっていった。


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