082:赤い糸

 

「…あのさ、君は運命の赤い糸って信じる?」
「え?」


唐突な質問だって事は分かってた。
だけど…、聞かずにはいられなかった。


「…信じる?」
、急にどうしたの?」


いつもの私らしくない、変な質問に君が首をかしげた。


「ちょっと、気になっちゃってさ。」
「そっか…、おれは、信じないよ。」


私が背の高い君を見上げると、君はにっこり笑って続けた。


「おれなら赤い糸なんかに頼らなくても好きな女の子と一緒にいられるように頑張るし、
 ほんのちょっと色が付いた糸なんかに人生決められちゃうのって、嫌だし。
 は信じてるの?」
「ううん…、信じてないよ。」
「だったらどうしてそんな質問するの?」


何の気なしに聞いたんだろうけど、その質問はちょっと応えた。
出来るだけなんでもないような顔をして、答える。


「えっとね、元彼が俺の赤い糸でつながってる相手はお前しかいないから、より戻そうって言い出して。
 男の子でもそんなこと考える人、いるのかなぁって」


もう好きじゃない、側にいたくない。
ハッキリ言った私に対してアイツが言った事。
お前しかいないんだ、俺はお前の側にいるべき運命なんだよ…だって。
私には他に好きな人がいるからそんな風に思えない。
そこまで言っても、アイツはかけてきた電話を切ろうとしなかった。

お前の好きな相手が誰だろうと、お前と結ばれる運命なのはそいつじゃない。
俺たちは赤い糸みたいなものでつながってるんだから…

いつのまにかうつむいていた私の頭にぽんと手を置いて、君がしゃべり始めた。


「…もし、さ。
 もしがその元彼に赤い糸で捕まっちゃってるなら、おれが切ってあげるから。
 そんな役にたたない糸すぐに切って、おれが守ってあげるから。
 心配しないでいいよ。
 、そんな泣きそうな顔しないで。…おれが全力で、の事守るから。」
…君…」


私の大好きな君が、いつもよりもっともっと強く見えた。
やっぱり君のことが好きなんだって、強く感じた。
からまった赤い糸の牢獄から私を助けてくれる王子様は、君なんだって…
そう思ったら、すごく心強かった。


「おれは絶対の事苦しめたりしないよ。…だから、これからもの事好きでいさせてよね。」


君の優しい言葉が、心の奥までしみこんでいった。
乱暴な元彼なんかとは違う、あったかくて…、でも心強い、君の存在。


君…、私のこと、守ってくれる?」
「もちろん。全身全霊をかけて…ね。」


赤い糸なんて、もう信じない。
私を導いてくれるのは…隣を歩いてくれる、王子様だけだから。


あとがき

王子様っぽいキャラの男の子が書きたくて頑張ったんですけど、なんだかかなり意味不明でした。
ついでに、出てくるよく分かんない元彼…読み返してみたら明らかにストーカーです。危険です。
こんな男に捕まらないよう、皆様はご注意ください(笑

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