066:No.1
※浮気相手×女主。
「俺はさ、別にナンバーワンじゃなくてもいいわけ。
オンリーワンでなくてもいいし。
ただ…さ、大勢のなかの一人でもいいから、お前の彼氏になりたいんだよね」
「馬鹿。同時に大勢となんか付き合うわけないでしょ。
だいたい知ってるはずでしょ?私に彼氏がいるの。」
「そりゃね。あいつ俺の幼馴染だし」
「じゃあなんで」
「だから言ってんだろ。一番じゃなくていいって。」
「…何よそれ…私に浮気しろっていいたいの……?」
「分かってんじゃん、…」
あの日放課後に私を呼び出したのは、彼氏の幼馴染だった。
もちろん馬鹿じゃないのって怒鳴りつけた。
いい加減にしてよって怒って見せた。
彼氏にバラすよっておどしても見せたはずだ。
だけど奴は、あきらめなかった。
止めてって言ったのに。
そんなことしたら嫌いになるって警告したのに。
お前の性格なんて、もう知ってるって勝ち誇ったように言って。
あいつは私から、キスを奪った。
「…どう?彼氏以外の奴からされるキスって」
「ば、馬鹿っ…なんで…」
「好きだから。」
「私は好きじゃない!」
「…へぇ、そう?じゃあキスされてるときに俺の胸にしっかり手を添えてたのは誰だったの?」
「知らない!」
人気のない教材室の前で、向かい合っていた私たち。
誰か通りかかってくれれば、助けを求めたのに。
人が来ないのをいいことに、奴は何度も私にキスをした。
「…ほら、放しても逃げない。」
「……」
「俺にキスされるの、嫌じゃなくなってきたでしょ?」
「ち、違う…」
「まだ嫌なんだ?じゃあ嫌じゃなくなるまで教育してあげないといけないなぁ」
「やめっ」
一番大切な人に心の中で助けを求める。
お願いだから助けに来て、って。
望んでないはずのキスで私が堕ちる前に。
が、壁際に押し付けられた私を見下ろして妖しい笑顔を浮かべる。
とても、同い年の人間がするとは思えないような表情だった。
「強引にされると感じるんでしょ?は。
…大丈夫、あいつには言わないよ。俺たちの遊びは秘密にするから」
「私、そんなの」
「望んでる。…これからも俺にキスされたいと思ってる。そうでしょ?」
「違う…」
「…だから、怖がらなくても大丈夫だって。
のナンバーワンは、いつまでもあいつでいいんだし。
俺はただ、好きな子といろいろしたいだけだから」
「…そんな…」
「受け入れるだろ?当然」
どうして、こんなことになっちゃったんだろう。
なんで逃げなかったんだろう。
私のナンバーワンは、あの人以外には絶対ありえないのに。
「………誰にも、いわない?」
また飛んできた甘いキスが、私の心の中のなにかを崩壊させた。
最初はそんなつもりじゃなかったのに。
気付いたら不幸恋愛祭行きでした。変換すくないなこの話。