Happy Christmas with you




「楽しかったねー!」
「ねー、やっぱクリスマスぐらい仲いい友達同士楽しまなきゃね!」
「ハハ、彼氏いないから無理してんのー」
だって同じじゃん」
「それは言っちゃいけないお約束ー!」



12月24日、午後5時。
アタシ、は仲のいい友達グループとのカラオケを終わらせて
お店から出てきたところ。
…さっきのおしゃべりを聞いてたら分かると思うけど、
みんな彼氏ナシ。
だからイブはみんなで遊ぼうって約束してたんだ。
そりゃ、ロマンチックに彼氏と過ごせたら、…って思うよ?
だけど相手がいないしさ、友達と楽しく遊ぶのも悪くない。
プレゼント交換して、カラオケでバカ騒ぎして。

「じゃーね、お正月また集まろうね!」
「OK〜!」
「みんな予定開けといてよ〜?」
「だいじょぶ、ヒマ人だから」

みんなで笑いあって、これほど楽しい事なんてないはずなのに。



それでも、ふとした瞬間にはやっぱり寂しくなる。

楽しく遊べば遊んだだけ、帰り道は寂しい。
あんなにキャーキャー騒いで楽しかったはずなのに、
帰り道はいつも…
なんだか、心に穴が開いたみたいに虚しい気分になるんだ。




「…あれ、さん」


誰かに名前を呼ばれて振り返ると、同じクラスのが走ってくるところだった。

くん?」
「こんなところで会うと思わなかった。
 さんこれからどっか行くの?」

ほとんどしゃべった事がない君にこんなに親しく声をかけられてアタシが驚いていると、
くんはにっこり笑ってアタシの顔をのぞきこんできた。

「ああ、もしかしてこれから彼氏とデート?」
「えぇ!?」

違うってば、って必死で否定しながらくんを軽くにらむと、
君は楽しそうに笑って肩をすくめた。

「冗談だよ。さんこの間教室で「彼氏ほしいよ〜!」って叫んでたもんね」
「え、あれ聞いてたの!?」
「だって隣のクラスまで聞こえそうな勢いだったじゃん?」
「嘘〜!」

普段は男子とばっかり一緒にいて、アタシなんかとしゃべる気ゼロに見える君が
こんなに面白い人だと思わなかったから、
アタシは正直、ちょっとビックリしてたんだ。
それと同時に…、
さっきまで感じてた虚しさが、目の前に誰かがいるせいで
嘘みたいに消えてったのにも気がついた。


「ねえ、さん。
 この間言ってたの、ホント?」
「え?」
「…だからさ、彼氏いないって…」
「あ、ああ…ホントだよ。だからこんな時間に一人で歩いてんの。
 寂しい女だよねー」


アタシが笑うと、君は肩をすくめて
じゃあ俺も寂しい男だよねー、っていって笑った。
その笑顔が、いつも学校にいる時よりもすごく楽しそうで。
思わず見とれていたアタシに、君がふざけた表情で言った。


「じゃあさ、さん。
 寂しいものどうし、これからどっか遊びに行かない?」
「え、それってデートの申し込み?どうしよっかなー」


君に合わせてアタシもふざけた声で返事をすると、
急に、君はアタシの手を取って真剣な表情になったんだ。


「OKしてよ。ホントは俺、いつ言おうかと思って迷ってたんだけどさ。
 こんなところで偶然会えるチャンスなんかめったにないでしょ?
 …俺は、が好きだから一緒にいて欲しいんだ。」
くん…」


その目は、さっきまでとは違ってしっかりアタシをとらえていて。
あまりにも真剣な視線は、アタシの心にダイレクトに飛び込んできて。
縛り付けられたようにただ黙ってるアタシを見て、
君が不安そうに言った。


「…俺じゃダメ?」


その表情を見ながら、アタシはゆっくり、君の手を握り返した。


「…君って、呼んでもいい?」


アタシのOKの返事は、君の心にもちゃんと届いたみたいで。
ぱっとまぶしいくらいの笑顔になった君は、
うなずいてゆっくり歩きだした。


「よーし、、せっかくのクリスマスだし、なんかプレゼントでもするよ!」
「えー、ホントに?」
「そうだなぁ…指輪とか、どう?」
「嬉しい!」
「よっし、行くか!」


満たされないクリスマスはもうおしまい。
今日からは隣に君がいるから。
神様、ステキなクリスマスプレゼントありがとね。
まだ友達とそんなに変わらないアタシたちだけど、今、とっても幸せだから。








ーー!」
「う・ら・ぎ・り・も・の!!」
「え?何が?」


どうやら、アタシのクリスマスプレゼントは家に帰る途中だった他の友達にも
ばっちり目撃されていたらしくて。


ったら、あたしたちに黙って彼氏作っちゃうんだもん!」
「私見たよー?くんと歩いてるとこ!」
「え…み、見てたの!?」
ったらずるい〜!てか、うらやましいかも…」
「ホントだよー!あたしにも誰か紹介してー!」


からかわれたりうらやましがられたりしながら、アタシはみんなに
君を紹介することになったんだ。
ただのクラスメートじゃなくて、アタシの大事な彼氏として…ね。







言い訳コーナー。

ゆうみ様からリクをいただいた「クリスマス」のお話です。
クラスのほとんど話したことのない子がお相手、って事だったんですが
零の予想とは逆に(なぜ書いてる人の予想を作品が裏切る
男の子側からの片思いになってしまいました。
話の筋をコントロールできない作者って…どうなんだろう(苦笑

ゆうみ様リクエストありがとうございました。

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