007:妖精
「やっぱ緊張してる」
しかめっ面のアタシを見て、同じチームの美穂ちゃんが笑った。
「別に、アタシ緊張なんかしてないけどさぁ。
それよりこの衣装…どうにかなんないのかなぁ?」
肩をすくめたアタシが今着てるのは。
ピンクのキャミソールに、短くてふわふわのスカート。
それに…絵本の妖精みたいな、真っ白な羽。
もう、アタシ全然似合ってないよ!
「結構似合ってると思うんだけどなー、絵美。」
別にアタシ、コスプレ趣味があるわけじゃないんだよ。
…じゃあどうしてこんな格好してるの、って?
それは…
アタシ、文化祭のイベントでダンスに出る事になってるんだけど。
その衣装でこんな恥ずかしい格好してるの。
ダンスのテーマが、おとぎ話の世界だから、しょうがないんだけど…。
なにもアタシが妖精の格好なんかしなくてもいいと思わない!?
よりによって、学校中に見せるダンスのイベントで。
よりによって、こんな衣装着るなんて…!!
「ほーら絵美、いつまでぐずぐず言ってんの!
次うちらの出番だよ!」
美穂ちゃんに押し切られて、アタシはとうとう体育館の舞台に立たされたんだけど…。
わあっ…。
体育館中につめかけたお客さんたちが、アタシたちのチームを見て口々になんか言ってる。
やだなぁ、ホントに緊張してきちゃう…!
ダンスは苦手じゃないんだけど、この舞台の上の緊張感だけはホントに嫌い。
アタシは不安になって、客席の前の方をちらっと見る。
(大丈夫、きっと知ってる人はこんな前の方にいないから。
大丈夫、大丈夫…大丈夫…大………えっ?)
自分に暗示をかけようとしてたアタシの目が、ふっと止まる。
一番前の列の。
左から7番目。
つまり、アタシのまん前に。
(湯浅…!!)
よりによって、アイツが…座ってたんだ。
湯浅…。
同じクラスの、テニス部の部長やってる男子。
スポーツ万能のクセに、勉強だって結構出来ちゃうすごいヤツ。
…でも、どうして湯浅がここに?
ダンスなんか、全然興味ないと思ってたのに。
もしいたとしても、ずっと後ろの方で見てると思ったのに。
どうして、こんなところに湯浅が…?
途端に、緊張で顔が赤くなるのが分かった。
湯浅のバカ。
どうしてそんなところにいるのよ。
大好きな、湯浅に。
似合わない衣装着て踊ってるとこなんか見られたくないよ。
…もう。
湯浅のバカ!帰れっ!
心の中で、ずっと悪態ついてたのに。
アタシの目は、湯浅に釘付けで。
ダンスの音楽が始まって、踊り始めてからも。
目の前でアタシを見つめてくれてる湯浅から、視線をはずせなかった。
…だって。
アタシの舞台、大好きなアイツが見ててくれてるから…。
「お疲れー!」
「絵美、いつもより全然うまかったよー!どうしちゃったの?」
「え、そうかなぁ?」
「そうだよー、ホント、本物の妖精みたいだった!」
「そんな事ないよー。あ、でもちょっとテンションあがりすぎてのどかわいちゃった。
飲み物買ってくるね~!」
アタシはそう言って、自販機の方に向かった。
…ガシャン。
聞きなれた音を立てて、レモンスカッシュが落っこちてくる。
冷たい缶をほっぺたに当てると、ダンスやってる時に不思議と上がっちゃう
アタシのテンションも、少しずつ落ち着いて来る気がした。
(湯浅…)
アイツが、見に来てるなんて思わなかった。
そりゃ、見に来てくれればいいなって…ずっと思ってたけど。
こんな似合わない衣装でも、一生懸命アタシが踊ってるとこ、
湯浅が見てくれたら嬉しいなって…思ってたけど。
ホントに、ホントに叶うなんて。
夢みたいだよ。
「ありがと…湯浅…」
アタシの気持ちは、ただの片思いだけど。
でも、アタシが頑張ってるとこ、湯浅が見てくれたから。
今のアタシは、…これで、十分。
ふっと、後ろに誰かいる気がして振り返った。
「…お疲れ、椎野」
「あ…」
アタシの視線の先には。
さっき客席からアタシを見守ってくれてた、アイツがいた。
やだ、どうしよう。
せっかく少し落ち着きかけたのに。
こんな目の前に湯浅がいるから。
また、ドキドキしてきちゃう…。
「もう、ビックリしちゃったー。湯浅くん1列目にいたんだもん」
できるだけ、平気な顔して言う。
「ってゆーかお前、よく人の顔見ながら間違えずに踊れるよなー。
俺だったら緊張しちゃって、絶対無理だし」
湯浅が笑いながら言う。
「えー、普通に緊張してたよ?だってマジ目合ってたじゃん?
ホントにどうしようかと思ったもん」
「嘘だろー。椎野って全然緊張しなさそうじゃん。」
…ホントは。
今だって緊張してるよ。
あんたが、そこにいるから。
アタシがそういいかけてやめた瞬間。
アイツが…ほんのちょっとだけてれたように、こういったんだ。
「でもさ、ホントは俺嬉しかったんだよね。
椎野が俺の事だけ見ててくれて」
「えっ…」
アタシが思わず聞き返すと、湯浅は顔を赤くしながら言った。
「ダンスやってた時のお前、本物の妖精みたいに綺麗だったから…。
他のヤツにとられたくないって思ったんだよ」
…嘘。
湯浅が、アタシに…告白…!?
嘘でしょ?
だってアタシはずっと、湯浅に片思い……
………両、思い…?
アタシがぼーっとしてたら、湯浅が怒ったような顔で言った。
「おい、椎野。
俺がこんだけマジで告ってんだから、なんか言えよ」
「あ…」
だってあんまり、頭の中いっぱいで。
うまく言葉にならないんだもん。
だから…。
…My first kiss tasted lemon…………。
「このイタズラ妖精。」
アタシと同じくらい、顔を真っ赤にした湯浅がアタシの手をつかんで。
今まで見たどんな笑顔より、まぶしい笑顔で
「俺以外のヤツにこんなイタズラしたら、許さねーからな!」
って言って…アタシを抱きしめてくれた。
いいよ、湯浅。
アタシ、ずっと湯浅だけの妖精でいる。
だから…
<この手を、放さないでね>
100の言い訳、007
…はぁぁ(嘆息
文章力なさすぎです、零ってば。
あの…湯浅くんは、もともと椎野さんが好きだったからダンス会場に現れたわけで。
実は両思いでした、みたいな話なんだけど…ホント、よく分からない。。
ちなみに好きな人に踊ってるところみられると恥ずかしいのは実話です(苦笑
<ブラウザバック推奨。迷子さんはこちらへ。>
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