096:罪
きっとアタシは罪人なんだよ。
だからあなたを幸せに出来ない。
好きだって…言ってくれたのに。
アタシにできたのは…あなたを拒絶することだけだった。
「…さん、俺、やっと彼女出来たよ」
「そか、おめでと」
本当は好きだったのに。
君とだったらずっと一緒にいたいって思ってたのに。
いつか別れなきゃいけないくらいだったら初めからつきあわない方がいいなんて考えたアタシは、馬鹿だ。
「でも、俺これからもさんの友達だからね。
悩みとかあったらいつでも相談してよ?」
「ありがと、でもアタシの悩みって今日の晩御飯のことくらいだから相談してもなぁ。」
「はは、さんらしいよ。」
あなたはこんなアタシの事、好きだって言ってくれたのに。
一緒にいたいって、言ってくれたのに。
<ごめん、…付き合うとかそういうの、興味ないから>
<そっか……じゃあ、これからも友達で。>
<うん>
あなたが差し出してくれた手を取らなかったアタシは、本物の馬鹿だ。
大好きだったのに。
今でもこんなに大好きなのに。
彼女なんか作らないで側にいてって、言いたかったのに…。
「あ、ねえ君」
「ん、何?」
「天罰って…あると思う?」
「え?天罰?」
「うん。」
「…急にどうしたの?」
「あ、えっと…この間そういうストーリーのマンガ読んじゃってから、気になってて」
「へぇ…、どうなんだろうね?天罰か…。考えた事なかったなぁ」
「アタシはね、あると思うんだ。」
「どうして?」
「…ああ、なんとなくだけど。」
「ふふ、なんかさんって時々すごい面白いよね。」
「そう?」
「うん。…ホントいい友達もったと思うよ、俺。」
「あ、かなり嬉しい。ありがと。」
「どういたしまして。」
アタシはね、天罰ってあると思うんだ。
ほら、こんなふうに。
素直になれなかった罪を、アタシはこれから償わなきゃいけないんだ。
アタシ以外のだれかと幸せになる、を見守りながら。
悲恋第2弾でした。久々UPなのになんだか暗いなぁ…。
半分実話というかなんというか…。後味悪めでごめんなさい。