058  青




この青い海が、私とあの人の距離を少しでも縮めてくれたらいいのに。





「おーい、。なに見てんの?」

「あー、くん」

「あー、じゃなくてさ。何見てんの?」

「海。」

「海い?」

「そ、海。」


バスの外に広がる、青くて綺麗な海。
こうやって見てると、自分が沖縄にいるんだって実感する。
最初は修学旅行なんてつまんないと思ってたけど、今はそんなことない。
綺麗で、静かな海。
ゆっくりした、時間。
それに。

バスに乗ってる間、ずっと私の隣にいるのは、

大好きな、君。


「にしても、沖縄ってホント海きれーだよなぁ」

「でしょ?見てて、落ち着くんだ」


絵に描いたみたいな、沖縄の海の青。
空は完全な晴天じゃないけど、秋らしい水色。
遠く遠くの水平線で交わる2色が、やっぱり綺麗だと思った。


「でもさ、ずっと海ばっか見てて飽きないの?さっきから外ばっか見てんじゃん」


君の言葉に、ココロの中だけで苦笑する。

外ばっかり見てたいわけじゃないんだもん、私。
でもバスの中に目を戻すと、どうしても君の事ばっかり見ちゃうからさ。
テレ隠しなんだよ、気付いてよ。


「さみしーなー、ちゃんがこっち向いてくれないと」


冗談めかした君のセリフにさえ、ドキッとする。
…だから、振り向けないんだ。
平然としたフリはしてるけど、人一倍恥ずかしがり屋の私だから。

「ねーちゃ〜ん」

からかうような声で、君が私の名前を呼ぶ。
それだけで心臓がドキドキ、うるさくて。
もしかして君は私の気持ちを知ってるんじゃないかって思ったら、
余計にドキドキがおさまらなくなって。

「何?」

素っ気無い言葉と一緒に無理矢理振り向いた私の顔は、多分赤かったんだと思う。


「海もいいけどさ、海見てる時のの目、すごい綺麗だよ」

「え?」


突然、不思議なことを口走った君に驚いて、私が反応を返せないでいると。


「海の色が目にうつっててさ、すごく綺麗な色してんの。の目。
 本物の海より綺麗な青してるように見えるんだけどさ、
 …これってさ、惚れた欲目ってやつ?」


さらりと、君がそう言った。
え。
今、なんていったの?
惚れた欲目って…?
君が、ホントに私にいったの…?

まだぽかんとしてる私の耳元に、君が顔を近付ける。


「俺のコト好きだからね。が俺より海の方が好きだったとしても」


その一言で、もうこれ以上どうにも変化しないくらい私の顔が真っ赤になった。






「バカ。海より好きにきまってんじゃん」


私が早口でそう言うと、君は照れ笑いしながらそっと私の手をとった。






沖縄の海は綺麗な青。
でもやっと手をつないだばかりの私たちの顔は真っ赤で。

不思議なコントラストをのせた観光バスが、のんびりと坂道をおりていった。










沖縄の海。きれいでしたよー。修学旅行記念UP。
…ってか、短いですねー。これ。
くんのセリフを書いてて実は本人が恥ずかしくて仕方なかった…(汗

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