死せる夢の都

ゲームの終盤、この『死せる夢の都』に
足を踏み入れると、いつも軽く鳥肌がたつような、
なんともいえないやるせない気持ちになります。

ここは死者の町、思い出の町。
シンの、つまりジェクトの、そして多くの今はここにいない
人たちの心の内奥へ、プレイヤーは足を踏み入れていく。
ここに至れば、今まで苦労して集めてきたお金や、武器や、
宝物も、もう何もいらない。レベル上げもどうでもいい。
生者の国でまとったものを、全て、ひとつひとつ投げ捨てていくような…。
なんともいえず奇妙な、身がだんだん軽くなっていくような、
高揚感のようなものを覚えるのです。

あのエボン・ドームで、ブラスカ様が先頭にたって、
飛ぶようにドームの奥に向かって駆けていった時、
もしかしたらこんな気持ちだったのかも知れない。
全てを投げ捨ててゆく、自分の存在さえも捨てていく、
不思議な爽快感のようなもの。

全てを失って、夢の国から来た男と、
その世界の全てを、捨てていこうとしている男。
そしてもう1人、自分の全てを捨てて、
主人を、世界を守りたいと願っている男。
そういう三人の物語だったんだなーと、思っています。















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