「θ、駄目だよ。記憶を読んでも、出来るだけ他人には話さないようにしないと。どうしても話したいなら、オレが聞くから」
『他人となんか話さないで。他人に触れないで』
θと手を繋ぎ、いまだ回復していない、仲間の元へと向かう。
「でも、本当に良い人だったの。とても優しい人。もう、いないけど、あの人は今でも記憶の中の人が好きなの」
『私を見て。私に気付いて。』
だから、伝えたの。
と、θは呟く。
「θがそういうなら、本当に良い人なんだね」
妹の頭を撫でる。
『彼女に触れないで』
妹を奪おうとするのは許せない。
『彼女に触れる人は大嫌い。それが例え、家族という存在でも』
だが、妹が外に興味を持つことは喜ばしいことだ。
『外なんか見ないで。私を見て』
それが、例え敵の大切だった人だとしても、だ。
『貴女が興味を持って良いのは私だけ。
私以外の誰にも興味を持たないで』
ずっと、一人で生きてきた妹。
『ずっと、生まれたときから、私と一緒だった』
自分に妹がいると知ったとき、どこかくすぐったいさと幸せを感じた。
『貴女がいるから、私は強くなれた』
自分にも守るべき人がいる。そう思えただけで強くなれた。
『貴女を傷付ける存在を消すことが出来た』
だから。
『これからも』
妹は全力で守りきる。
『私は貴女を守って行く』
誰がなんと言おうと、妹には普通の少女として生活させてみせる。
『誰がなんと言おうと、貴女は私の物なの』
それが世界を壊すことに繋がるとしても。
『私といることで、世界が壊れても構わない。
貴女が壊れても、構わない』
彼女に逢ったときに誓った思いは、いまだ、変わらない。
『貴女と出逢ったときの誓いは変わらない。
ずっと、貴女と共にあること』
novel