〜星の終わり〜
遥か上空。星の道の最果てにある星の宮殿。
1人の来客が訪れていた。
彼は中心に祭壇に立ち、1つの方向を見据えている。
彼の周りを取り囲む星の精達は、動揺を隠しきれない様子だった。
ただ1人。彼に見据えられている星の精の長老、チョールを除いて。
「…これからどうするのかね?」
チョールは彼に問い掛けた。
返事は直ぐに来ず、暫く沈黙が訪れた。
彼はゆっくりと口を開ける。
「その質問に答える前に、1つ聞きたい…」
『私は、まだ本当に生きているのか?』
『俺は、まだ本当に生きているのか?』
「…私は…まだ本当に生きているのか…?」
言葉を紡ぐ事すら苦しそうなのか。ゆっくりと確実に言葉を発していく。
その言葉に星の精達は僅かに動揺する。
「…難しい質問だな。しかし、その足でここに立っている事。それが君が生きている証拠だろう」
ダールが彼の質問に答える。
「…ルイージの足で、な。私はあの時死んだはずだ。それなのに、何故ここにいるんだ…」
再び沈黙が訪れる。
彼はチョールに答えを求めるように、視線を送る。
「…君も、ルイージも生きておるよ。ただ言える事は、君の器が滅んでしまっただけだ」
『やっぱり…そうなんだな。私はルイージの身体を奪ってしまったんだな』
『そういう事か…さしずめ、兄貴と同じ身体に同居してるって所か』
「…そういう事か…さしずめ、兄貴と同じ身体に同居してるって所か」
「まあ、そういう事になるわね」
「器は身体、水は魂。だけど、器は1人分の水を受け止めるだけの大きさでは無いという事だよ」
「マリオ君、君に問いたい。君が星に還る事を望むなら、その望み通りにしよう。どうするかね?」
『兄貴っ!還るなんて、ふざけた事を言うなよっ!!』
『だが…この身体はお前のものだ…私がいる訳にはいかない…』
『俺がいいって言ってんだから、いいんだよっ!俺を1人にするなっ!
側にいるって自分から約束しただろうがっ!
兄貴と一緒なら何とかなると思うから、還るなって言ってるんだろうがっ!』
「…あいにくですが、チョール様…私は、ルイージとこれからも歩むつもりでいます。
…弟もそれを望んでいますし」
チョールは苦いく、微笑ましく…複雑な表情で彼をみる。
「…そうか。それが君達の選んだ道ならば仕方ない…
だが、これから君達がどうなるか予想もつかん。…幸、あらん事を…」
その言葉と共に、チョールの身体からいくつもの光が生み出された。
それに習って、他の星の精達も光を生み出し、祭壇の間を埋め尽くす。
それに誘われるように、彼の意識はフェードアウトしていく。
『なあ、兄貴…これから、どうするよ?』
『…ん?どうするって?』
『俺達が…というより、俺が王位を継承するのは良しとしてもだ…
あのお嬢ちゃんはどうするんだ?』
『………彼女か』
『諦めるしか無いけど、何か伝えはしてやらないと酷だろう?』
『…そうだな。けど、困ったな…』
『…何が?どんな風に伝えるか、困るのは分かるけどよ…』
『…そうじゃなくて……気付かない?』
『……何が?』
『…いや、実は私達が復活した時に器が捻じ曲がってしまって
どっちかというと…風貌が私に近くなっているんだよ。これが』
『……なっ!!』
『うん…だから、ルイージの方も諦めないといけないかもしれない…』
『………』
『………』
『……前途多難だな』
『本当に……』
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◆あとがき◆
ドクターの根本にある設定のお話です。
ウチのドクター…身体は1つ、魂は2つのお人です。
昔、先代クッパと対峙していたのですが…
兄の方はクッパに溶岩の海に落とされ、
弟の方は突き殺されています。
けど、研究中だった死者蘇生の薬のお陰で2人とも助かっています。
ですが殺された時に器を失った兄の方は、弟の方に復活します。
…困った事に…;;;;
お陰で弟の身体の方に、2人ともが同居する状態になっています。
この辺りのお話も書けるといいなぁ…と思っています。
兄と弟の性格が、現代のマリオとルイージとは逆です。
どちらかというと兄の方が温厚…
最後の方でチラリと出た女性の話も書けると…いいかなぁ〜と♪