クララは慌てて手を引っ込め、赤くなった自身の頬を
レオンに見られないようにした。
そこへ、図書館当番のリディアがやって来た。
「レオン君、クララちゃん。午後の授業が始まりますよ」
二人はノートや本、椅子を片づけ、図書室を後にした。
一方。アカデミーで最も高い位置にある【時間柱】
(アカデミーや寮の全ての時を司る柱)に、何かが音を立ててぶつかった。
瞬間、柱の周りの空気や、全ての生物の動きが止まってしまった。
そんな事は当然知らないレオン達は、小走りで音楽室を目指していた。
「急ごうぜ、クララ―ん?」
けたたましく鳴るサイレン。レオンはクララを庇うように、
近くの掃除用具入れの陰に身を潜めた。やがてサイレンは治まったものの、
廊下中に冷たい空気が流れ出し、それすらも止まってしまった。
突然、クララの顔が青ざめてしまう。
「レオンさん…何か寒いです…」
レオンは、自身のブレザーをクララに掛けた。
「すみません、レオンさん」
「それはいいんだけど、これ…只の冷気じゃねえよ…」
二人は廊下を歩き出したが、あらゆる人・マジックペット・マジックエッグ・
物すらも微動だにしない。レオンは、クララの顔色を見ながら歩いた。
やがて、廊下の突き当たりに音楽室が見えた。レオンはクララを背に回して、
扉を開けた。当然、シャロン達は居る。レオンは胸を撫で下ろ…せなかった。
「み、皆…どうしたんだ!?」
確かに皆、決まった座席に座っている。しかし、ルキアはカイルとじゃれあったままで、
タイガはラスクの頭を撫でたまま、固まっている…他の生徒達も様々な仕草で固まっていた。
「動いていません…」
クララは眼前の光景にゾッとしたらしく、口元に手をやったまま押し黙った。
「フランシス先生がいねえぞ?」
レオンは教室の主・フランシスを探すが、それらしい姿が無い。
二人は、校舎中央にある【総合教員室】へ急いだ。
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