由乃には、皆の知らない隠された特技があった。

いや、正しく言えば、由乃自身はそれを特技ともなんとも思っておらず、
他の皆が知らないのも、単に由乃が披露しないからにすぎないのだが。

唯一、それを『特技』と称してえらく気に入っているのが、祐巳だった。

由乃は、恋人である彼女にだけ、その特技を見せてあげていた。

時代小説を好んで読む由乃は、武士が用いた言葉遣いをそれなりに習得している。
その気になれば武士の真似が出来るわけで、祐巳はそれが大好きなのだ。

由乃のような美少女が、外見と不似合いな勇ましいセリフを口にする姿に、
何ともいえない魅力を感じるのは、祐巳ならずとも日本人なら誰もが持っている美徳であろう。

『ギャップ萌え』などという変態用語は、もちろん祐巳は知らずにいる。

祐巳は何かというと、由乃に特技を「やって」とせがむ。
それはまるで、好きな人の気を引こうとする子供のようで
(もちろん祐巳にその意図は無く、純粋に見たがっているだけなのだが)、
そんな祐巳はたまらなく可愛いので、由乃もまんざらでもなく、
二人で薔薇の館に向かう途中など、周囲に人目が無ければ、もったいぶらずに応えてあげた。

一緒に並んで歩いている二人は足を止め、由乃だけが数歩前へ出て、くるりと振り返り、
片手を胸に手を当てながら目を閉じて、セリフのように一調子張り上げるのだ。

「…在下(それがし)もいまだ当地は不案内なれど〜、
軍法剣者の妖術をもって、飛行自在に往来する〜。
モシ薔薇の館へ行きたくば〜、後に従い来られヨ〜」

言い終わって由乃が目を開けると、祐巳は手を叩いて喜んだ。

「由乃さん、かっこいいっ!」
「…またそれを言うー」

由乃は困ったように照れ笑いを浮かべた。

「え〜、だって、かっこいいんだもん〜」
「そりゃあ、令ちゃんみたいな外見で『かっこいい』って言われるのなら当然だと思うけど…。
私ってどう見ても、そういうんじゃないでしょう?」

もっともな事を由乃は言ったが、祐巳は首を横に振り、

「そんなことないよ。由乃さんは、かっこいいの」

と、なぜか自信満々に答え、ご満悦だった。

(どうしていつも『かっこいい』なのかしら…)

性格についてならともかく、見た目に関して『かっこいい』を連発されるのは、
どうにも違和感があって、恥ずかしくなる。

しかも不思議なことに、祐巳が自分に対してそういうイメージを持っているのは、
武士の真似をするのが全ての理由ではないようなのだ。

無論、頼まれて特技を披露するようになってから拍車がかかった気はするものの、
そもそもの原因は他にあるらしい。

それを考えていた由乃は、その日の夜、お風呂の中で、ふと気が付いた。

(あ、そういえば、エッチのときでリードするの、いつも私よね…)

祐巳はいつも受身で、『攻め』は由乃。

(なるほど、だからなの、祐巳さん…?)

単純で分かりやすい理由。しかし、なかなか説得力がある。

(祐巳さんにしてもらったら、どんな感じがするのかな…?)

現状に不満はないものの、やはり興味はある。
ひょっとしたら、祐巳の認識に少し変化が生じるかもしれない。
それもまた興味がある。

というわけで、次回のエッチで由乃は初めて受身になることにした。

ベッドの上で二人、裸になってぺたんと座り、由乃からいきさつを説明されると、
祐巳は予想通り、自分がリードすることに戸惑った。

「えぇ…でも私、出来るかしら…」
「出来るわよ、いつも私がやってることを、同じようにしてくれればいいんだから」
「う〜ん」

祐巳は思案するように首を傾け、これまでの行為を思い返した。

「…思い出した?」

少し待って由乃が尋ねると、頬を赤らめて祐巳がうなづく。

由乃が目を閉じて待つと、祐巳はシーツに両手を付いて、顔を近づけた。
由乃の唇に、祐巳の唇がチュッと触れた。
一度離れて、またすぐに触れる。
祐巳の唇に付いた唾液が由乃の唇を濡らし、祐巳が再度離れると、
二人の間に一瞬だけ細い透明な糸が作られる。
それが途切れる前に、祐巳はキスを繰り返した。

由乃の唇をついばむようにチュッ、チュッと吸いながら、
両肩に手を置いてゆっくり押すと、由乃も後ろ手になって体を支えながら、静かに横たわった。

いったんキスをやめて、二人は見つめ合った。
祐巳の顔は影になり、瞳が一段と大きく感じられた。

由乃が口を開き、唾液でびしょ濡れの舌をネトーっと上に向けてと伸ばすと、
祐巳はためらうことなくそれを吸った。

「んふぅ…んんっ…」
「んっ…んっー…」

チュルッ、チュルッ、という音と共に、二人の息遣いが荒くなる。
祐巳は唇で由乃の舌を挟み、顔を上下左右に揺すって、口内で自分の舌と絡ませた。

「祐巳さんも、舌だして…」
「うん…」

促されて、次に祐巳が口からベローンと舌を垂らすと、由乃は頭を起こしてそれに吸い付いた。

「ん〜…んんぅっ…」
「チュパッチュパッ、ジュルルルッ…」

まるで『性器』をしゃぶるように、由乃はしばらくの間、音を立てながら祐巳の舌を激しく吸った。
そして満足すると、ゴクンと喉を動かして口内に溜まった唾液を飲みながら、
頭をシーツに乗せ、続きを祐巳にゆだねた。

祐巳は由乃の頬を撫でると、そのまま首筋を伝って、右の乳房に触れた。

「ンッ…」

由乃が小さな声を漏らし、顔を横に向ける。
温かくて柔らかくてペタペタと張り付いてくるような祐巳の手のひらが、
控えめな膨らみを包み込み、指先に込めた力に合わせて、ムニッと変形した。

感触を確かめた祐巳は、今度は左手も使い、両方の乳房を同時に包み込んで、
持ち上げたり、円を描くようにこねた。
そして淡いピンク色の乳首を口に入れて甘噛みすると、由乃の体がビクンと跳ねた。

「ンンッ…!」

祐巳は乳房を揉みながら、左右の乳首を順番に舐めた。
舌をクルクルと動かして小刻みな刺激を加えたり、唇で強めに挟み引っ張るようにした。

「あぁんっ…!」

切なそうに由乃が体をよじった。
それを合図にするように、祐巳が片方の手を由乃の下半身へ伸ばした。
残ったほうの手は乳房を愛撫し続けた。

「濡れてる、由乃さん…」

乳首を口に入れたまま、祐巳が呟く。
割れ目に触れると、指にネチャッと糊のような愛液が絡んできた。

「いや…」

由乃が赤面し、目をギュッと閉じた。
だが、祐巳が親指以外の四本を揃えて動かしそこを刺激しはじめると、途端に可愛い声が発せられた。

「あっ…あんっ…あんっ…」

祐巳の手が動くたび割れ目が少し開かれて、
ニチッ、ニチッ、という粘ついた音と共に、愛液がさらに溢れ出した。

「ゆ、祐巳さん…そこっ…」

敏感な一箇所に指が触れたり触れなかったりして、由乃がたまらず言うと、
祐巳は手首を動かすのをやめ、代わりにその場所を中指で軽く押さえた。

「んんんっ…!」

由乃の体がピクン、ピクンと反応する。
押さえられるだけで鋭い快感が走った。

祐巳が中指を丁寧に動かしながら、問い掛ける。

「由乃さん、気持ちいい?」
「ンッ、ンッ、もっと、もう少し、激しくして…」
「分かった。こう?」

祐巳が応えて、指の動きを早める。

「ああっ…そう…それ気持ちいいっ…」

絶頂へと近づいてゆく由乃は、乳房に乗せられた祐巳の手を取って自分から指を絡ませ、
秘部を愛撫するもう片方の腕も掴んだ。
祐巳の動きが早くなり、由乃の声も大きくなる。

「あっ、あっ、ああんっ、ああんっ…!」
「イクの?」
「うん、イク…ンッ、ンッ、ンーーーッ…!」

由乃は悲鳴を発し、祐巳の手を握り、そして腕を掴んだまま、波打つように体を痙攣させた。

「あぁぁぁ…イ、イッちゃった…」

数秒かかって絶頂が駆け抜けてゆくと、全身の肌がすーっと赤みを帯びた。

余韻で体を左右に揺らしながら由乃がゆっくり目を開けると、
それとほぼ同時に祐巳が顔を近づけてきて、キスをされた。
由乃もすぐに目を閉じ、祐巳の唇を吸いながら、握った手の指を動かし合った。

余韻が引き、キスを終えても、祐巳はほんの数センチしか顔を離さず、至近距離から由乃を見つめた。
二人の唇はネットリとした透明な唾液の糸で繋がっていた。
そのまま、祐巳は由乃に話しかけた。

「どうだった?」
「ん…受身でイクのって、こんな感じなんだ…」
「私もすごく、興奮した。初めてだったけど」
「あれ、でもどうして…」
「ん、どうかした?」
「祐巳さん…いつもと同じで、ぬいぐるみ、みたいに可愛い…」
「な、なにそれ、そんなことないよ〜」
「だって、初めてイカされたから…もしかして、祐巳さんがいつもと違って見えるかも、って…」
「由乃さんだって、いつもと変わらないじゃない。いつもと同じで、かっこいい」
「ちょ…今それを言われると、いつもの千倍、恥ずかしい…」

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