その状態を“ドキドキする”と表現すれば
聞こえはあまり悪くないが、
血と泥にまみれた戦場に身を置くヴィクトーリヤにとって、
“心拍数が上がる状況”などというものは、
砲弾がこちらに向かい直撃コースで飛来する瞬間や、
不用意な容喙で上官――ターニャ・デグレチャフ少尉――
を怒らせかけたときなど、いずれにしても良いものではない。

おまけに宿営地に戻ってきたところで、
おいしい食事や温かいシャワー、
ましてやふかふかのベッドにありつけるはずもなく、
心肺機能は日々鍛えられているものの、
“心地良い胸の高鳴り”などという感覚は
ほとんど忘れかけてしまっていた。

そんなある日の昼下がり、
軍人らしからぬ覇気の無い足取りで
ヴィクトーリヤが宿営地をとぼとぼ歩いていると、
自分の先に白っぽいモコモコした物体が落ちているのに気が付いた。

それが何かの布であることは一目で分かったので、
誰かが落としたハンカチの類か
風で飛ばされた洗濯物だろうと思った。

何せ宿営地では大勢の兵士が『生活』をしている訳なので、
こうした出来事は全くありふれていた。

「誰のだろう…?」

特に興味がわいたのではなく、
放置するのも忍びないというそれだけの動機で拾い上げてみると――。

「こ、こ、これは…?!」

それまで7割程度しか開かれていなかったヴィクトーリヤのまぶたが全開になった。

手にした物体の正体は即座に理解出来た。
なぜならそれは彼女にとって馴染みのあるものだったからだ。

――女児用の下着。通称『かぼちゃパンツ』。

ヴィクトーリヤも幼い頃はこうした形状の下着を履いていた。

「で、でも、これって…?!」

この戦場でかぼちゃパンツを履くような女児は、ただ一人しかいない。

「デ、デ、デグレチャフ少尉のパンツ…?!」

他の可能性は一切考えられない。
間違いなく、そうなのだ。
この小さくてややくすんだ白い色の子供用下着は、
ヴィクトーリヤの上官が身に付けていたものなのだ。

彼女はとっさに周囲を見渡し、
それを上着のポケットへ突っ込んだ。
その物体を目撃したのはまだ他に誰もいないようだった。
見つけたのが自分で良かったとその瞬間は思った。

「あ、でも…」

拾って数秒も経たぬうち当然の疑問が湧いてくる。

「こ、これを一体…どうすればいいの…?」

まさか書類の如く気楽に持って行って、
『小隊長殿のおパンツが落ちておりました!』
と敬礼するのか?

「いやいやいや…」

ヴィクトーリヤは青ざめた。

「と、とにかく人目のない場所で落ち着いて考えよう…!」

彼女は駆け出し、宿営地の隅まで走っていって
適当な物陰に隠れることにした。

しかし困ったことに、実際に人目のない場所に来てみても、
良いアイデアは浮かぶ気配すら無いし、
心は乱れたままだった。

「ああもう…どうしよう…」

さながら爆弾を抱え込んだような気分だった。
だからと言って自分以外の人間が拾っていれば良かったと思えないのも事実で、
とりあえずポケットの中からかぼちゃパンツを取り出し眺めているうちに――。

「これが…少尉の…パンツなんだ…」

ヴィクトーリヤは『今、考えなければいけないこと』より、
全く別の事柄を考えはじめてしまった。

「少尉ったら…こんな子供パンツを履いて…」

彼女が日頃『畏怖』と呼んでも差し支えのない感情を抱いている
勇猛で有為の上官――ターニャ・デグレチャフ少尉――が、
あの凛々しい軍服の下にこんなモコモコの子供用パンツを装着していたとは。

いや考えてみればそれで全く自然であるが、
考えたことすらなかった分、ヴィクトーリヤには衝撃だった。

「や、やだ私ったら…」

彼女は“ドキドキ”していた。
それは久しく忘れていた胸の高鳴りであった。

「少尉のパンツ…このパンツを少尉が履いて…パンツを履いた少尉…」

胸の鼓動はさらに加速し、想像が膨らんだ。

なぜこれほどまでにもドキドキするのか、
彼女自身さっぱり分からなかったが、
あっという間に頭の中は
“かぼちゃパンツ一丁の妖精”の姿で一杯になってしまった。

「しょ、少尉…かわいいよぅ…」

その姿にヴィクトーリヤは興奮を覚えずにはいられなかった。
確かにそれに魅力を感じるのは彼女だけに限らないだろう。
そして『興奮』という言葉はそっくり『劣情』と言い換えられた。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

図らずも劣情を催してしまった彼女が
人目のない場所ではじめる行為など、一つに決まっていた。

拾った上官のパンツをどう処理するか思案するどころではない。
とにかくそれを使用し、自慰を開始する他に選択肢はなかった。

ヴィクトーリヤは地面にぺたりと座り込み、
左手にパンツを握りしめたまま、右手を軍服の中に差し入れ
生まれて初めて自慰をした。

「き、きもちいい…」

下着の中をまさぐり、それまでろくに触れたことすら無かった性器を
指先で撫でるように刺激すると、快感が得られた。

「あっ…あっ…すごいっ…」

ヴィクトーリヤは初めての自慰に夢中で指を動かした。
ただ撫でるだけで簡単に絶頂へ至ることが出来た。

「…ああっ!」

数分のうちに彼女は絶頂を迎えた。
すると手錠が外れるように、興奮はあっさり過ぎ去ってゆき
再び戻ってくることはなかった。

「…はぁー…」

衝動から解放され、ヴィクトーリヤは息を吐き出した。
頭の中に充満していた卑猥な感情は霧散し、
入れ替わるように冷静な思考力が戻ってきた。

彼女の右手は得体の知れない汁が付着し、
左手には相変わらずかぼちゃパンツが握られている。
最初に認識したのはその2点だった。

そして次に感じたのは、人の気配だった。

「え…?!」

ヴィクトーリヤが驚くのと同時に、背後から声がした。

「気は済んだかね、セレブリャコーフ伍長?」

「ひぃっ?!」

ヴィクトーリヤは反射的に悲鳴を発した。
いやその声が誰であれ、悲鳴はあげていたであろう。
ただ彼女は、背後にいるのが誰なのか既に知っていた。

小柄な体から発せられる、小鳥のさえずりのように愛らしく響く幼い声。
それはすなわち、このパンツの持ち主に他ならない。
確認するため振り返るまでもなかった。

「……」

ヴィクトーリヤは恐ろしくて言葉が出なかった。
後ろを向くことも、立ち上がることも出来なかった。
急速に血の気が引いてゆく『音』が聞こえた気がした。

(こ、これで私も…トーチカ行き…)

先ほどまで破廉恥な想像を膨らませていた頭の中に、
炸裂した砲弾で五体が離れ離れになった自らの死体が
恐ろしく生々しい光景として浮かび上がった。

(も、もうダメ…)

視界が暗くなり、意識が遠のきかけた。

けれども、そのまま本当に気絶する事態にはならなかった。

信じられないことに――それこそヴィクトーリヤが
『夢を見ているのか』と思うほど信じられないことに――、
温かい言葉がまるで毛布のように背中にかけられたのだ。

ターニャはいつになく穏やかな声で語りかけてきた。

「案ずるな伍長。
私は怒っていないし、伍長の行為を厭わしいとも思っていない。
この戦場に猖獗し我々が日々否応なく目にする数々と比べれば、
マスターベーションなど実に人間味のある行いと言わざるを得まい?
私の肌着程度で気が済むのなら
いくらでも伍長の好きにしてくれれば良い。それだけの話だ」

(う、うそ…でしょう…?)

てっきり『怒られる』だけでは済まない状況になると思ったヴィクトーリヤが
現実を疑うのも無理はなかった。

だが薄れかけた意識が引き戻され鮮明になってゆく感覚は、
これが夢でないことを示す何よりの証明であった。

「デ…デグレチャフ少尉…」

みるみる血の気が戻ってくると、今度は顔が紅潮してきた。
恥ずかしさと感激とが半分ずつだった。
毛布というより、柔らかい天使の羽で包まれたような心地がした。

純真で清冽な心の持ち主であるヴィクトーリヤは、
“悪魔”の言葉を真に受けていた。
背後で、その“悪魔”がニヤニヤしているとも気付かずに――。

「あ、あの…少尉…これはお返しします…」

意を決しヴィクトーリヤが向き直った時には、
ターニャは既に表情を作り変え、
いつもの上官らしい威厳のあるたたずまいでいた。

「風で飛ばされたみたいで…落ちていたんです…」

膝立ちになり両手でかぼちゃパンツを差し出すと、
ターニャはわざわざ「ありがとう」と礼を述べ受け取った。

「そ、そんな、私のほうこそ…とんでもないことを…」
「いや、本当に良いのだ、伍長」

畳んだパンツをポケットにしまい終え
ターニャは思わせぶりに否定し、さらに続けた。

「――いいやそれどころか、率直に披瀝すると
私はむしろ嬉しくさえ思っているのだよ。
つまり、伍長が抱いてくれている、私に対する“好意”にね…」

「え…?え…?そ、それって…?」

ヴィクトーリヤは分かりやすく顔を真っ赤にさせた。
彼女がそれまでの人生で
そういった台詞を投げかけられた経験が一度も無いのは
ウブな反応を見れば明らかだった。

(ククク…!いける…!この女はヤらせてくれるぞ…!!)

ターニャは内心で歓喜した。

邪悪で成熟しきった精神が宿るターニャの肉体には、
同じくらい凶悪でグロテスクな包茎ペニスが垂れ下がっていた。
すなわち、ターニャはふたなりとしてこの世界に生まれていた。

しかしこれまで彼女はその器官
――というよりその器官が引き起こす性欲――
をひたすら無視して生きてきた。

それでなくともやり直しのきかない人生なのだ。
くだらない性欲に振り回される暇はないし、
仮にそんな暇があるのなら、人生に役立てる為にのみ用いねばならない。

何より最優先すべきは、現在の人生を最大限に成功させることであり、
その為に高い目標を定め自らを厳しく律することは当然の責務で、
ふたなりであろうとなかろうとその点は同じだった。

結果として、ターニャは現在に至るまで“童貞”であった。
そしてまだまだ少なくとも今後10年くらいは童貞でいるつもりだった。

(それなのに、まさかこの糞のような戦場で筆下ろしができるとは…?!)

全く想定外の展開だった。
死臭漂う地獄の最前線で
童貞喪失の好機が転がり込んできた。

(なんたる幸運…!なんたる僥倖…!)

完璧に押さえ込んできたとはいえ、性欲は既に溜まりに溜まっていた。
ターニャにとってそれは火薬のようなもので、
保管はしておけるがその気になればすぐに爆発させられた。

(この女を…“肉便器”として使えるのか…?!)

顔も声も可愛くて、
巨乳でぽってり唇で少しタレ目の処女で、
おまけに軍人という特殊属性まで持ち合わせたヴィクトーリヤ。

こんな極上の女を犯す悦びは
この体で、なおかつ戦場でなければ味わえない。

(ハハハ!これぞまさしく“神のお導き”だな…!)

ターニャは胸を躍らせた。

一方ヴィクトーリヤは、
ターニャの宝石のように青く輝く大きな瞳の向こう側で、
まさかそのようなおぞましい思考がめぐらされているとは露ほども知らずに、
処女丸出しの雰囲気で赤面していた。

(もはや口説きの文句は必要あるまい…)

ターニャは即座に行動に移った。

口元に柔らかな微笑を浮かべて地面に膝を付き、
一生懸命に見つめてくるヴィクトーリヤを優しく抱きしめた。

「あぁ、少尉…」

彼女はそれだけでうっとり目を閉じた。
ターニャは心の中でケタケタと笑った。

抱擁に引き続き、彼女に接吻をした。
幼い唇をぷっくり膨らんだ唇に押し当てつつ、
髪に指を通すようにして頭を撫でた。

(うおぉぉ、臭せぇぇ…)

キスをはじめた途端、ターニャは噴き出しそうになった。
世が世であるならそれはもう、さわやかなレモンの香りやら
甘い桃の香りやらを漂わせているはずのヴィクトーリヤの口は、
毎日食べている犬の餌の如き戦場食の風味しかしなかった。

(これは…ひどい…!)

笑いを堪えしばらく口を吸ってやってから顔を離したら、
少し遅れてヴィクトーリヤがまぶたを上げた。

「少尉ぃ…」

彼女はすっかりトロンとした目で、
もう何もかもターニャに委ねる状態だった。

(だかしかし、これはこれでなかなか萌えるではないか…?!)

ターニャはためらうことなくベルトを外しズボンを下ろした。
モコモコのかぼちゃパンツと、そこから伸びる2本の華奢な太ももが現われた。
かぼちゃパンツは先ほどヴィクトーリヤが拾ったのと完全な同型だった。
躊躇せずターニャがそれも膝まで下ろすと、
勃起して前反りになった巨大な包茎ペニスが“ボロン”と飛び出た。

ヴィクトーリヤは目を丸くした。
ただし彼女の驚きは、
単純にその『大きさ』に対して向けられているようだった。
どうやら魔法の存在する世界ではふたなりも特別ではないらしい。

(実に好都合…!)

ターニャは心底悦に入り、自分と同じように
ヴィクトーリヤのズボンとパンツを下ろし、地面に寝かせた。
彼女は終始大人しくしていた。

「少々痛むだろうが、耐えてくれ伍長」
「は、はい…」

まるでこれから洗礼でも受けるような真剣な面持ちでヴィクトーリヤは答えた。

ターニャは彼女の体に乗った。
ペニスを右手で持ち、皮を剥いた亀頭で彼女の陰毛を掻き分け、
チンカスをなすり付けるようにして入り口を探した。

(これは何とも…感触でしか場所が分からないぞ…)

戦場でムダ毛の手入れをする兵士などいないだろうが、
それにしてもヴィクトーリヤの陰毛は濃かった。
生まれついての体質なのだろう。
この分だと間違いなく腋毛もすごい。

(まったくこの女はどこまでマニアックに仕上がっているのだ…?!)

しかし萎えるどころか、余計に興奮を掻き立てられた。

ターニャは鼻息を荒くし、容赦なくペニスを突き刺した。
ヴィクトーリヤが悲鳴を飲み込んだ。
一方のターニャも、声を我慢せねばならなかった。
もっともそれは、“歓喜の雄叫び”であったが――。

(おおおっ!)

ターニャは本能的に腰をヘコヘコと振った。
敏感な剥きたて童貞包茎ペニスを、
とびきり締まるネトネトの処女の膣で摩擦し、
すぐに射精しそうだった。

(うおお!この剛毛マンコ、見た目はともかく中は最高だ…!!)

無論そのような叫びは心の中に留め、
代わりに当り障りのない言い回しで絶頂がすぐに起きると告げる。

「もう果てそうだ…このまま出して良いか、伍長…?」

そう問いかけた直後、ターニャは『まずい』と思った。

冷や汗をびっしょりかいた額や首筋に髪の毛を張り付かせ、
それでも痛みを表情に表さぬよう懸命に努力しながら、
何度も頷いて“中出し”に同意の意思を示すヴィクトーリヤを、
不覚ながら可愛いと思ってしまったからだ。

「ヴィ、ヴィーシャ…!」

思わずターニャは彼女の名を呼び腰の動きを早めた。
するとヴィクトーリヤが目を見開き、ポロポロ涙をこぼして泣きだした。

(おおお!かわいいよ、かわいいよヴィーシャ!!)

いよいよたまらず、
ターニャは背中と首を目一杯伸ばして彼女の口に吸い付き、
我を忘れて腰を振った。

(おぅっ!お゛!お゛!イイッ!イクゥゥゥ!!)

興奮と快感は最高潮に達した。

ヴィクトーリヤの口を吸ったまま、ターニャは大量に射精した。

仮に来世がないとすれば、
今回が“最後”の筆下ろしになる訳だが、
後悔する点が一つも見つけられないほど、最高に気持ちの良い射精だった。

――かくしてターニャの筆下ろしは終了した。

射精が終わるとペニスが萎え、膣から自然に抜け落ちた。

すっかり欲望を吐き出し我に返ったターニャは、
『自分自身に対して示しがつかない』とでも表現すべき
奇妙な気まずさを感じた。

(いかん…私としたことが…少々取り乱したな…)

そんな言い訳をしつつ体を起こし、後始末を始めようとした矢先に手が止まる。

(…ヴィーシャ)

ターニャが散々欲望をぶちまけた彼女は、
“麻酔無しで軍医の治療を受けた”ような、
痛みに疲れ切った有様でぐったりしていた。

まさか今更その姿に心を痛めるような人間らしさを、
悪魔――あるいは化け物――と称されるターニャが思い起こすはずもないが、
そんな彼女をぞんざいに扱うのはさすがに気が咎めたので、
自分の後始末よりもまず先に、横たわる彼女の軍服を
非力な腕力を以っていささか手こずりながら元通りにしてやった。

それからようやく立ち上がり、かぼちゃパンツとズボンを履きなおし
ベルトをカチャカチャ締めているところで、やおら体を起こした彼女が、

「…私、今すごく幸せです…。
例え明日戦死する運命でも悔いはありません…!」

などと言い出すものだから、

「縁起でもないことを言わないでくれ。
そう易々と戦死されては困るし、
そんなことは私がさせない」

と、今度ばかりは嘘でも誇張でもないありのままの事実を述べたところ、
ヴィクトーリヤは鼻の穴を膨らませて再び泣き出してしまった。

「やれやれ、よく泣く伍長だな…」

ターニャは苦笑いし、彼女の頭を撫で、懲りずに三度目の接吻をした。

(うおぉぉ…やっぱり臭い…)

ヴィクトーリヤの口はどうやっても戦場食の味しかしなかった。

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