「りゅうけんさまは、XXXXなんてなさらないわ。だって、りゅうけんさまですもの!」
夢見がちな一部の乙女は本気でそう信じていたが、
いくらカッコよくて優しい石馬隆顕でも、基本的には彼女達と同じ、ごく普通の人間だった。
夜になれば眠くなるし、日に3度おなかも減るし、当然、排泄だってする。
ただ、隆顕のあまりの麗しさに、
彼女と寮で間近に接している者でさえ、ついその現実を忘れてしまいそうになる。
そんな彼女達の知らないところで、隆顕は苦悩していた。
何の苦労もせず恵まれた容姿で生まれたことに対する罰のように、
隆顕の下半身に存在していた、異物。
女にはあるはずのない、器官。
皮肉なことに、それこそが隆顕のかっこよさの原因であった。
しかし、同時にその器官は強い性欲をもたらした。
軽く触れば気が済む、という程度のものではない。
指で作った輪っかで先っぽの皮を捲り、何度も何度も激しくしごいて、
それで数分後にようやく、溜まっていたネバネバの体液が快感と共にピュッ、ピュッ、と飛び出してくる。
隆顕は数日おきに、この“排泄”行為を、トイレでひっそり行っていた。
しかし、最後の瞬間はそれなりに気持ちよくなれるが、所詮は自分で自分を慰めているだけでしかない。
もっと満足出来る方法は分かっていたが、実行することはためらわれた。
同級生はもちろん、ましてや後輩に手を出すなど論外、と。
しかし、欲求の波が押し寄せ自慰を繰り返すたび、理性の堤防は確実に蝕まれていた。
「セックスをしてみたい」。
手を動かしていると、女の子に挿入する妄想で頭がいっぱいになった。
「はぁ…はぁ…もう…無理だ…」
ある日の夜、興奮を催した隆顕は衝動に駆られ、携帯電話を手に取った。
下半身をガチガチに硬くさせながら、いわゆる「出会い系」と呼ばれる怪しげな掲示板にアクセスする。
お金のやり取りは無し、セックスだけが目的。
条件を受け入れてくれる相手は数時間もしないうちに簡単に見つかった。
数回メールをやり取りし、互いの顔写真を交換した。
少女は隆顕より1つ年下で、それなりに可愛らしく見えた。
隆顕が送った写メがとても気に入ったらしく、「早く会いたい」と向こうから誘ってきた。
最初のメールを交わしてからわずか数日後、隆顕は最寄の駅で少女と会うことになった。
実際に見る彼女は、写真よりもずっと可愛く、そして少しだけ幼く見えた。
隆顕は直前になって躊躇したが、少女のほうはむしろ積極的だった。
ホテルに入ると抱きつかれ、キスをされた。
隆顕の下半身がムクムクと硬さを帯びると、少女はそれを指で撫でまわしながら、
もう片方の手を使い、挑発するように身体をくねらせて衣服を脱いだ。
少女の白い肌が目に飛び込んできたとき、隆顕の中で迷いが消えた。
女の膣にペニスを突っ込みたいという単純で動物的なオスの本能に支配された隆顕は、
ベッドの上で少女の肉体を獣のように貪った。
少女が持参してきた数個のコンドームは、1時間もしないうちに全て使い終えた。
こうして隆顕は、本来なら守るべきはずの年下の少女を相手に、みだらな行為に及んだ。
それは、明らかな過ちだった。
あっけないほど簡単に出来たからと言って、それが罪にならないはずがない。
特にこういったことに関しては、一線を超えることの容易さと罪の重さは、必ずしも一致しない。
隆顕は、性欲に負けた結果自分がとんでもない過ちを犯したことを、数日後に嫌でも思い知ることになった。
あろうことか、少女と淫行したことが、天の妃の関係者に知られてしまったのだ。
それもよりによって、自分に熱烈な好意を抱いてくれている後輩に…。
その後輩の名は、筒井穂佳。
実は、彼女は隆顕が犯した少女の知人であった。
穂佳は友人伝いに、「素敵な恋人が出来た」という少女の話を耳にしたのだ。
後腐れなく終わらせたと思っていたのは隆顕だけ。
少女のほうは、隆顕のことをすっかり好きになって、
信じられないくらいカッコ良くて優しくて背の高い隆顕のことを、恋人と称して友人達に自慢していた。
その噂が、最終的に穂佳にまで届いたのだ。
本来、性行為は世界でたった1人だけの大好きな恋人と最上級の愛情表現としてなされるもの。
それを、ほんの数回メールを交わしただけで、いきなりやってしまうなんてことが、そもそもおかしい。
精神的に未熟な少女が妙な錯覚を起こしてしまうのも、無理はなかった。
世間知らずな少女を欲望のはけ口として使ったことで、
隆顕は思いもよらない人物から、自分の愚かな過ちの清算を迫られることになった。
「あれは、間違いだったんだ…あの子には、本当に申し訳ないと思っている…」
「ひどいですわ、りゅうけんさま。
女の子の純情を踏みにじっておきながら、『間違い』の一言で済まそうとなさるおつもりですか?」
穂佳は携帯電話を片手に、隆顕の部屋まで押しかけてきた。
画面には、転送された隆顕の写メが映っている。
「私がそういうつもりでないことは、彼女も了解してくれていたはずなんだ…」
「りゅうけんさまったら、女の子をモノとしか思っていない殿方みたいなことを仰るのですね?」
穂佳は隆顕の肩に手を置き、背伸びをして耳を舐めようとした。
「な、何をするんだい、ほのかくん?!」
「私、りゅうけんさまに少しも幻滅なんてしていませんの。
もちろん、少しくらいはがっかりしましたけれど。
でもそれ以上に、すごくゾクゾクしましたわ。
りゅうけんさまが、硬くて長ぁい生殖器をお持ちだなんて。
ねぇ、教えてくださいませんか?どうやって、あの娘を愛されたのです?」
穂佳の手が、隆顕の身体をまさぐる。
「いけないよ、ほのかくん…私にこれ以上、過ちを犯させないでくれ…」
「そうは仰られましても、りゅうけんさまのお身体は、とても正直ですわね?」
隆顕のスカートに突起が浮かび、裾がグングン持ち上がってくる。
穂佳は口元に笑みを浮かべ、ゆっくりとベッドのほうへ下がりながら、ブラウスのボタンを1つずつ外した。
「ほのかくん…お願いだ…服なんて脱がないでくれ…」
泣きそうになりながら、穂佳を止めようとする隆顕。
理性が、まだ皮一枚で残っている。
その理性を、穂佳が鋭いナイフで一気に切り落とす。
「どうですか、りゅうけんさま?」
ブラをずらし、乳房を露出させる穂佳。
下のほうが圧迫され、膨らみがいっそう強調される。
「ダメだよ…ダメだよ…」
首を振りながらも、隆顕の視線は柔らかそうな膨らみにくぎ付けになっていた。
「りゅうけんさまは、大きいのがお好みですか?それとも、胸よりこちらがお好みかしら?」
穂佳はベッドに座ると、そのまま寝転がった。
細い脚が揃えられて、天井を向く。
膝を少し曲げながら、白いショーツをスルスルと脱いだ。
「ああ…うあ…」
言葉にならない隆顕。
穂佳の花びらが、剥き出しになっている。
恥丘にちょっとだけ生えたヘアも、おしりも、何もかもが丸見えだった。
トドメとばかりに、穂佳は自分の太ももを掴んで左右に大きく広げ、頬を赤らめながら甘えた声を出す。
「ねぇ、りゅうけんさまぁ?」
クチッと、花びらが開いて、ピンクの粘膜が隆顕を誘った。
「…ほ…ほのかくん…!!!」
あの時、少女の柔肌が視界に入ったときと同じ感覚が、隆顕の中を突き抜けた。
「あんっ!」
「ほのかくんっ!いいんだよね?!」
隆顕がベッドの上の穂佳に飛び乗った。
引きちぎりるように自分のタイを解き、破り捨てるようにブラウスを脱ぎ、脚を振ってスカートをふっ飛ばす。
既にペニスの根元を押さえるだけで用をなさなくなっていたショーツは、脱ぐのも面倒だった。
とにかく1秒でも早く自分を穂佳と結合させたい。
理性と限界まで戦った反動として、燃えるような激しい衝動が襲ってくる。
隆顕は切羽詰まった仕草で唾液を穂佳の花びらに塗り付け、真っ赤に勃起したペニスを突き立てた。
「うああっ!気持ちいいよぉっ!!」
穂佳に挿入し、隆顕は歓喜した。
繁殖が目的でもないのに、ただ快感のためだけにメスを求める、動物以下の最低な行為。
隆顕には最も似つかわしくないみっともない姿と動きで、
腰を前後に振りペニスを出し入れさせ、自分と穂佳を摩擦する。
穂佳はうっとりしてため息をついた。
『あぁ、夢みたい。あのりゅうけんさまが、私に無中になってる!
あの憧れの凛々しくて素敵なりゅうけんさまが、私の膝を掴んで、
バカみたいに腰をカクカクさせて、必死に私を求めてる!」
つま先にキュッと力が入って、小刻みに愛らしい声が漏れた。
「あぁんっ!んっ、んっ!やぁっ!ぁあんっ!」
さえずるような嬌声が隆顕の耳をくすぐり、射精中枢を直で刺激する。
「ほのかくん、君はなんて可愛いんだっ!ああ、ダメだ、もう出てしまう!!」
「いいですわよ、来てください、りゅうけんさま!りゅうけんさまぁ!!」
「うぅぅぅぅ!!!」
「あぁぁぁん!!!」
隆顕は穂佳を抱きしめ、痙攣した。
絶頂の瞬間、廊下にまで聞こえてしまいそうな声で、2人は叫んだ。
隆顕のペニスがビクビクと脈打ち、ゼリー状の精液が滴となって穂佳の深い場所へと落ちていく。
ビュビュッ!ビュルッ!ビュルッ!ビュッ…ドピュッ…ドプッ…
はじめは1秒に2回の間隔で勢い良く飛び出し、でも5発も出るとすぐに勢いが衰え、10発も出すともうおしまい。
あれだけ興奮していても、オスの絶頂はほんの数秒で終わってしまう。
女のはずの隆顕が持つ、別の一面。
この数秒の快感のためだけに、マヌケな格好で必死に腰を振っていたのかと思うと、
穂佳は隆顕がたまらなく愛おしく感じた。
ズロロロ…ヌポォ…
射精が終わるとすぐに隆顕からは硬さが失われ、
穂佳の中から押し出されるようにして、柔らかくなったペニスが抜け落ちた。
ゴプッ…ドロロロ…
栓が無くなった穂佳の秘部から、薄く黄ばんだ精液が溢れてくる。
「ど、どうしよう…ああ…私は…なんてことを…」
すっかりペニスが垂れ下がって冷静さを取り戻した隆顕は、うろたえた。
穂佳はコンドームなんて持っていなかった。
無論、隆顕だって、持っていない。
つまり、これは紛れもなく、生殖行為そのもの。
隆顕は穂佳に種付けをしてしまったのだ。
「…責任、取ってくださいますわよね?」
穂佳が、隆顕の頬を撫でながら言う。
「ちが、違うんだ…これは、君が…!」
「うふふ。私のほうから誘ったなんて、誰が信じると思いまして?」
穂佳は妖艶に微笑んだ。
「こんなグロテスクな男性器をぶら下げたりゅうけんさまと、私の言うこと。
どちらに説得力があるのでしょう?」
隆顕は返す言葉が無かった。
どう考えても、加害者は自分のほうだ。
例え誘惑されたのだとしても、それは覆せない。
ペニスを挿入したことは、まぎれもない事実なのだから。
「きっと誰もが、これはりゅうけんさまが、
自分を信奉する少女を手篭めにして孕ませた、としか思いませんわ」
「君は…はじめからそのつもりで…私を陥れようと…」
隆顕が震えた。
「ああ、りゅうけんさま、どうかそんな顔をなさらないでください。
私はりゅうけんさまを脅す気など少しもございません。ただ、秘密を作りたかっただけなのです。
誰にも言えない、私とりゅうけんさまの、2人だけの秘密を作りたかったのです。
ですからこのことは、誰にも言いません」
怯える隆顕に、穂佳は優しく口付けた。
「私はこれからも、りゅうけんさまをお慕いする大勢の人間の中の1人であり続けます。
ですがもし、お辛くなった場合は、いつでも私のところへいらして下さい。
私が、慰めて差し上げます。りゅうけんさまの秘密は、ご自分で抱え込むには大きすぎるのです。
私と共有して、一緒に守っていきましょう。そうすれば、きっと上手くいきますわ」
緊張していた隆顕の身体から、力が抜けていった。
「あの娘のことも、私に任せてください。うまく、言っておきますから…」
それからしばらくして、隆顕と穂佳の携帯には、お揃いのストラップがぶら下がるようになった。
しかし、それに気付く者は誰もいなかった。
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