<高価な薬> 北サンドリア、民宿「不死鳥の止まり木」。 老舗ではあるが閑古鳥の鳴いた民宿だ。 埃の積もったカウンターの中で、2人の若い男が手持ち無沙汰に雑誌をめくっていた。全裸のミスラが大きく股を開いたグラビアページが堂々とカウンターに広げられている。掃除の行き届いていないうえにフロントがこの態度では、さびれるのも無理はないというか、道理だ。 「あ〜〜〜〜やりて〜〜〜!」 フロント兼掃除係兼ベルボーイのボンコールがグラビアから眼をあげため息をついた。 「ミスラいいわ、やっぱ」 「俺はヒュームのが好みかなぁ ほら このへんこのへん」 料理係兼送迎係兼予約受付係のモントーブがグラビアをぱらぱら繰り、ポニーテールのヒュームのバストアップのページを広げた。恥ずかしげな微笑に、深い胸の谷間。ピンク色の乳首も修正無しで映っている。 「こーいう娘、実はすっげーやらしそうでよくね?」 「おぉ♪」 意気投合する若者ふたり。これでも勤務中らしい。 がらんごろ〜ん と、入り口のドアが間抜けなウェルカムベルを鳴らし開いた。民宿の主人、アポールが入ってくる。 「あ、アポールさん、おかえりなさ〜い」 2人の従業員は、悪びれるでもなくグラビアを見ながら主人を迎えた。 「どうでした〜?新しい娼館は」 主人だって、暇つぶしに娼館に女を買いにいってるのだからお互い様らしい。 「ダメだな、ワシは多種族の女では勃たん」 「エルヴァ〜ンの女は身持ち固いから買うのは無理っすよ」 アポールはモントーブの冷やかしにため息をついた。 「ああ…わかってはいるんだがな…」 「わかってはいるんだが…そうだな…ほら、「錆びた錨」の料理長んとこの…」 ボンコールがすかさず答えた。 「ああ、ソバーヌさんでしたっけ こないだ大聖堂で結婚したばっかですよね」 ソバーヌは元・飛空挺旅行者の受付嬢でとびっきりの美人で有名である。北サンドリア商店街にもファンが多い。嫁ぎ先の「錆びた錨」もそこそこ有名な店だから、「ヴァナディール・トリュビューン」サンドリア面(社会面の後ろに入ってるローカル話題のページだ)の取材がきたぐらいだ。もちろんボンコールも掃除そっちのけで見に行っていた。 「そうそう、ああいう女がいいんだよな」 「いいっすよね人妻〜 ダンナに操立ててるとこをヤっちゃうって、ムラムラしますよ♪」 「何か弱み握って、嫌々カラダ開かせたいかな〜 オレ的には」 間抜けな妄想炸裂の会話に花を咲かせている3人。朝から何の話をしてるんだか。 がらんごろ〜ん そこに、再び間抜けなウェルカムベルが響いた。珍しい。客か? 「いらっしゃ………」 入ってきたのは、若いエルヴァーンの女。肩までの黒髪に、ローブにズボン姿だ。 「あ」 「あ」 来訪者の顔をみて、3人は言葉を失った。 「朝早くすみません、私、「錆びた錨」料理長の妻、ソバーヌと申します」 こともあろうに、妄想のネタが向こうからやってきたのだから。 「夫が、ダボイ風邪にかかったようなのです」 モントーブが慌てて淹れたサンドリアティーを啜りながら、ソバーヌは口を開いた。 「ここに泊まられた方が風邪をひかれたとき、いいお薬を手配して直してさしあげたというお話をききまして」 「……あ、はい」 −…そういえば、そんなことがあったな…冒険者に材料取りにいかせたんだっけ…− ずいぶん前の話だ。彼女に言われるまですっかり忘れていたアポールだが、そんなことは臆面にも出さず返事をする。 「このままでは肺炎に悪化してしまいます。何でも致します、どうかお薬を分けていただけないでしょうか?」 ソバーヌの懇願に3人が固まった。 「え」−い、いまこのヒト…− 「あ」−ナンデモスルって…− 「う」−い、いきなりチャンス到来!?− 「ど、どうかなさいました?」 ソバーヌが不思議そうに聞き返す。アボールはにこやかにその場を取り繕いながら、ボンコールとモントーブに「了解」の目配せを送った。 「い、いえ、何でもありません…ダボイ風邪の薬ですか…確か少し残っていたとおもいます…」 言いながら、ボンコールに2階を顎で示す。 2階に薬箱があることを知っているボンコールは慌てて階段を駆け上り、2階の部屋に走った。 すぐに戻り、緑の十字がついた木箱をアポールに手渡す。 アボールはうなずくと、木箱をあけ、中から茶色い袋を取り出した。その中の漢方薬のようなものをテーブルに広げる。 「これが、ダボイ風邪の薬です。モルボルのつる、虫の翅、亜鉛鉱を煎じたもので、上級の錬金術師につか作れない、高価で貴重なものです」 半分は本当だが半分は嘘だ。趣味で薬を煎じている知り合いの婆さんに頼んだのだから。最近ボンコールは錬金を齧っているが、材料さえあれば多分彼でもつくれる程度の代物。 「3日分残っています。毎日食後に飲ませてあげれば、快方に向かうでしょう」 言いながら、薬の包みを袋に戻す。 「ああ…有難うございます!」 ソバーヌは涙を流さんばかりに喜んで、薬の袋を受け取ろうとした。 「奥さん、タダというわけにはいかないんですよ?」 アボールが、ひょいと袋をとりあげて、にやりと笑った。 「10万ギルでお譲りしましょう。「錆びた錨」さんは儲かっているでしょう?ご主人の命が救えるなら安いものだと思いませんか?」 すぅっとソバーヌの顔が青ざめた。 「…そんな…そんなお金…」 10万ギルといったら「錆びた鎖」の1年分の売り上げに近い。 「10万ギルが無理なら…そうですねえ…」 アボールがつい、と立ち上がった。 つかつかとソバーヌの傍らに歩み寄り、ぐいっと顎を掴み上を向かせた 「サンドリア城下町一の美貌の貴女に、お体でお支払い願いましょうか?」 アボールの眼に宿る好色な色に、ソバーヌは意味を理解した。 「……そんな……私は……人妻です……」 「おや、それは残念だ」 わざとらしく大きなため息をつき、アボールは顎から手を離した。モントーブとボンコールに目配せを送る。これまたわざとらしくモントーブが荒っぽくサンドリアティーのカップを片付け、ボンコールはここ数ヶ月拭いていなかったカウンターを羊のなめし皮で磨き始めた。 「では、おひきとり願えますかな、開店の準備をせねばならん、今日は団体さんがくるんでね」 見え透いた嘘のあと、アボールは茶色の袋を大事そうに木箱にしまい、ソバーヌの目の前でぱちん、と留め金を降ろした。木箱を抱え、階段を上りながら、振り返ってソバーヌに追い討ちをかける。 「旦那さんのお命より、貞操を重んじるとは流石サンドリア一の淑女ですな、ではお大事に」 「………!」 ソバーヌはぎゅっと唇を噛んだ。 −そんな…私は…どうすれば…− 裕福な家庭で育ったソバーヌは、錬金についての知識などまるでなかった。アボールの提案が自分を陥れる罠であるなど、まるで気が付いていない。 ただただ、夫テリードの身を案じ、その代償に躊躇していた。 −そんなことをして手に入れた薬を彼が飲むかしら…いえ…でも飲ませないと…− 誇り高きエルヴァーンの子女は、貞操を命よりも重んずる。同時に、伴侶を命に代えても護り添い遂げるのも、エルヴァーンの曲げ難い道徳でもある。 −彼を…救えるのは私だけ…心まで、売るわけではないもの…でも…− 夫の命か。自らの命に等しいものか。それは彼女にとって、まさに究極の選択だった。 −……仕方ないわ……許して……あなた…− 「……待ってください!」 決断したソバーヌは、2階の部屋に引っ込もうとするアボールの背中に叫んだ。 「……私の……身体で……お薬を分けてください……」 白くなるほど拳を握り締め、頬を紅くして懇願するソバーヌ。 彼女にとって屈辱的な乞いであったが、3人の男たちにはたまらなく扇情的な姿に映った。 カーテンを開け放ち、朝の眩しい光が差し込む客室。窓も全開で、爽やかな風が吹き込んでくる。 その部屋の中、ソバーヌは全裸に剥かれ、木の椅子に掛けさせられていた。明るい部屋の中で、白い身体は余すところなく好色な視線に舐めまわされている。 とりわけ視線が好んで貼りつくのは、わずかに褐色を帯びた乳輪と、やはり淡い褐色のククル豆大の乳首の上だった。。ぎゅっと脚を閉じているが、髪と同じ漆黒の陰毛は、全て隠し切ることはできず上のほうを覗かせており、そこもねっとりと視姦された。 「お願い…窓を閉めてカーテンをひいてください…」 耳の先まで真っ赤にしてソバーヌが懇願した。顔のみならず、白い身体は恥ずかしさのあまり桃色に染まっている。噛み締めた唇付近だけが、わずかに白く浮いていた。 「んじゃ、これにサインしな、奥さん」 その願いを全く無視して、テーブルの上にモントーブが羊皮紙を広げる。黒インクの香りが残る、今つくりたての書類だ。 −−−− 奴隷契約書 私ソバーヌは、ダボイ風邪の特効薬を頂く代償と致しまして 皆様にご満足頂けるまで 肉奴隷としてご奉仕することを誓います どのようなご命令、恥辱、責めにもに決して背かず 喜んでお受けすることを誓います 牝犬氏名 −−−− 「…………」 屈辱的に過ぎる文面に、ソバーヌの眼から涙が零れた。羊皮紙にぽたぽたと落ち、インクを滲ませ染みをつくる。 −……でも……これにサインしなければ……夫は助けられないのね……− 意を決し、ペンを取る。 −夫を……助けるためですもの……我慢しなくちゃ……− 「……くっ……」 震える手で、時間をかけてサインを終えた。新たな涙が頬をとめどなく伝う。 「牝犬 ソバーヌ っと。萌えるねえ♪」 追い討ちをかけるように耳元でボンコールが嘲った。 「……いやぁ……」 アボールが涙声のソバーヌから書類をとりあげ、にたにたと笑った。 「よしよし、じゃあ牝犬らしくしてやるとするかな?…ボン公、倉庫いって縄もってきな」 「は〜〜い」 ボンコールが部屋を出、手に荒縄を持って戻ってきた。 「アボールさん、昔飼ってたチョビの首輪があったから持ってきたよ♪」 荒縄と一緒に、薄汚れた犬の首輪をテーブルにどさりと置く。 「おぉ、いいもん見つけてきたじゃないか さてモントーブ、ブロック肉縛るので慣れてるだろ、縄がけしてやれ」 「…マトンやコカ肉とは違うんですけどね、まぁいいか。ノーグで仕入れた縛りをお見せしましょ」」 苦笑しながらモントーブが縄を手に取る。 「立て、ソバーヌ」 語気強く命令した。 「…………」 呼び捨てにされたことにすくなからずショックを受けつつ、ソバーヌはのろのろと椅子から立った。返事をしないのはせめてもの抵抗のつもりだった。 「返事もできないのか、馬鹿女が」 若いエルヴァーンが舌打ちする。その手が胸に伸び、指先が乳首を摘み、ぎりりと捻りあげた。 快楽を与える目的でなく、仕置きとして行われたその行為。 「きゃああああっ!」 ちぎれるかと思うほどの激痛が走り、ソバーヌは悲鳴をあげた。 「次返事を忘れたらこんなもんじゃすまないぞ?」 乳首を捻りあげたまま、モントーブが凄む。 「……は…はい……だからもうやめてぇ……」 モントーブは怯えた表情で涙を浮かべるソバーヌをみて、満足げに指を離した。 長い縄を二つに折り、涙ぐむソバーヌの首にかける。その身体は恐怖と恥ずかしさからか、小さく震えていた。 「このへんだな」 ざわりと胸を撫で、脇腹を摩りあげながら胸の下と臍の下あたりに結び目を作り、余った縄を股間にくぐらせた。 「ひぅっ…」 秘所を荒縄で擦られ、ソバーヌが息を呑む。モントーブは構うことなく背中に廻した縄を持ち上げ、首の輪に縄尻を通し、左右に引っ張った。 「あぅぅっ…」 ソバーヌの首に縄が食い込む。 「いっとくけど、窓開いてるからな、デカイ声出したら外に聞こえるぞ」 モントーブに牽制され、ソバーヌが俯いた。 「腕を後ろで組め。両方の肘を掴む感じだ」 「………はい…」 言われたとおり、自ら後ろ手に縛られる用意をするソバーヌ。背中の真ん中で直角に曲げられた腕が交差している。 その腕を絡めとろうと、首からまわった縄が二の腕に食い込んだ。ざらりとした縄の感触は、素肌には痛い。 「くぅぅ…」 勿論苦痛で小さく呻く声は無視された。胸の下と臍の下の結び目の間の縄に、腕を戒めた縄が通される。モントーブが左右に力を込めてひくと、身体にまわされた縄が一斉に柔肌に食い込んだ。 「はぁぁぅっ…!」 「よく似合うぜ」 余った縄で腕が厳重に拘束され、縄尻は首にまわされた。 「おっと、これもあったな」 テーブルに載っていた薄汚い首輪が、ソバーヌの細い首にまわされた。本当に犬が使っていたのだろう、獣の匂いが鼻腔をつく。 −ああ…私は犬にされてしまったのね…− その匂いが、ソバーヌに今の立場を厭というほど雄弁に語りかけるのだった。 「ふぃ〜、完成」 モントーブが満足そうに息をついた。 「ほら、お前も自分で見てみな」 大きな姿見の前にソバーヌを追い立てる。 「……いっ……いやぁ……!」 鏡に映ったエルヴァーンの女の白い肌は、無残に荒縄に陵辱されていた。股間の割れ目にむっちりと縄が食い込み、縄の左右に振り分けられた大陰唇は刺激からか充血し赤みを帯びている。絞り上げられた胸はいびつに形を変え、鬱血しているせいかパンパンに張り詰めている。乳首までいやらしくそそり勃たせたその姿は、まさに肉奴隷そのものだった。 直視できずソバーヌはその場にへたり込んだ。恥ずかしくて全身が燃えるように熱い。 とりわけ縄に犯された股間がどくどく疼く。 「あらら、これから10万ギル分仕事してもらうんですよ〜?」 ボンコールが縄を掴んで崩れた身体を立ち上げさせる。 「ほら、気合いれて」 鬱血した乳首をぴんと爪で弾いた。 「はぁぁぁぅ……うぅ……」 痛みと快楽がないまぜになった電流が虚ろになったソバーヌを現実へ引き戻す。 「……は……はい……うぅぅ…」 首の縄で部屋の中央のベッドに引き立てられるソバーヌ。 その姿は、犬であり、奴隷であり、死刑囚のようでもあった。 <続> −−−− CAST 全員エルヴァーンです。 Sobane  南サンドの民家にすんでらっしゃいます ※FaceType 6B Thierriede サンド港の酒場の料理長。 ※FaceType 8B(Aかも Abeaule 北サンド宿屋のオッサン ※FaceType 8B(Aかも Boncort 同じく宿屋の兄ちゃん。2Fでアイテム売ってます ※FaceType 7B Montaube 同じく宿屋の兄ちゃんですが、「森の仲介人」クエのムービーでのみ登場 ※FaceType 6B ラブエロどころかキスもしない鬼畜な話ばっかりです。そーいうの好きな方はどうぞ♪ http://f15.aaacafe.ne.jp/~kitamomo/