まぶたの上、そっと触れるだけのキス。そのままこめかみへ。 長い指がなんだか悩ましげにリリの髪を乱していく。胸がどきどきしていた。 まるで自分がとてもとても壊れやすいものになったみたいに、そう思えて。 すっと顔が動いて、オルネバンの唇がリリの唇に重なった。 下唇のほうがちょっと厚い、そのリリの唇を挟み込むようにもてあそぶ。 指がうなじから這い上がって、親指が耳をやさしく撫でた。 「舌、よこしな」そう告げられる。 そっと唇をあけると彼の舌が生き物のように口腔に侵入してくる。 ん?あんまり気持ち悪くないな。 ほとんど無意識に舌をからめながらリリは思う。 しっぽの付け根、ふかいふかい身体の奥がちりっと疼いた。 耳を撫でていた指がそろりそろりと下へ移動してゆく。うなじを通って頬を撫でる。 器用に片手で胸元のボタンが外されて、白い乳房がふるりとこぼれた。 そっと下からかぶせるように触れられた。 唇を離してくれない。逃れることもできない。 片手がリリの頭をがっちりと固定しているから。 舌が歯列をなぞり、リリの舌をからめとり、だ液を吸い上げる。 胸元に置かれた手が、やわやわと動きだす。 オルネバンの大きな手にすっぽりとおさまった柔らかい乳房が自在に形をかえる。 一瞬。指の腹が先端を掠めた。 リリが瞳を開いた。 あ・・れ?味わったことのない感覚がやっぱりしっぽの付け根に居座っている気がして、 リリはその正体を探ろうと眉間にしわをよせた。 オルネバンが気配に瞳を開いてリリを確認した。 難しい顔で考え込むリリをちらとみてクスリと笑う。 唇を解放して。両手を乳房にのせる。 うなじにそっと舌を這わせた。 「えと・・・」戸惑ったようにリリが声をかけるので半身を起こす。 「なに?」真直ぐ赤みがかった瞳を見返すと困ったように瞳をそらされた。 「感じたら名前を呼びな。俺、オルネバンな。」おもしろくなっていたずらっぽく告げてそのまま乳房に唇をおとした。 「んあ・・・・」くわえこまれた先端がぴりりとしびれて、リリは思わず声をあげた。 身をよじって逃げようとするので、オルネバンが両手でリリの自由を奪った。 もとより鍛えられた戦士の力にかなうはずもなく、先端を好きなように嬲られる形になる。 軽く歯をたてる。舌で転がしたり、かすめたり。 あれ?あれ?リリは混乱していた。やだ・・なんだこれ?やめてほしいのに、やめてほしくない。 オルネバンの唇に挟まれて、そこが固くなっていく。リリの瞳が観念したように再びふせられた。 白い胸元がすこしずつ紅潮していくとともに、オルネバンの欲望が頭をもたげる。 リリの両手を頭上でひとつにまとめて片手で押さえると空いた手をそっと下におろした。 ほそくくびれた腰には無駄な肉がついていない。 ミスラ族の特徴なのかやや筋肉質のしまった腰が呼吸と同化してみしりとした質量をつたえてくる。 時間はたっぷり。先刻のぼりはじめた月が再び森へかえるまで。 すらりとした足の形をなぞるようにそっと撫で上げてやれば力がふっと抜けるのが分かる。 その瞬間に素早く内側へ手のひらをすべりこませた。 リリの腰がかすかに揺れる。 人さし指だけでスリットをなぞった。 奥のほう、かすかな湿り気を感じてほくそえむ。 「ふ・・・」リリが吐いた息が、艶の音をのせてオルネバンに届く。 「濡れるじゃねーの。」耳に息を吹き掛けてささやいてやるとリリが身をよじった。 だんだんと深みへ。ひだをかき分けて核心へ。 「ああ・・・」 リリの息が荒くなった。なかなかいれる気配が見えない男に、当初感じた疑問が遠ざかる。 感覚に支配されて思考が遠ざかっていく。 オルネバンの指がつぼみを捕らえた。 そこは濃厚に湿りをおびて、くるくるとなでてやるとぷっくりと膨らむ。 「あ・・ん。あ。」 リリの腰が、浮いた。 「ここ、いいの?」耳もとで囁かれる笑いを含んだ声。 しっぽの付け根のあの感覚が鮮明になって背中を駆け巡る。腰が、痺れていた。 「やめ・・さわるな・・・」怖くなってきた。 この男なら聞き入れてくれる気がして、リリはそう請うた。 「やだ。さわる。きもちよさそーだもん。」 それなのに男の手はまったく離れようともしない。執拗につぼみを弄ぶ。 気持ちいい?これが?わかんない。ああ・・ちからが、入らないよ。どこかに落ちそうで。 なにかにつかまりたくて、リリはおずおずと男の背中に腕をまわした。 男がしがみつくリリの背中を支えてくれた。そのまま唇をまた奪われた。 ちゅくちゅくと湿った音がする。オルネバンの指の先から。からめた二人の唇の隙間から。 オルネバンが指を少し奥に進めた。おやゆびで陰核を刺激したまま。 ぬるりとリリの身体に指が飲み込まれた。 リリが背中をこわばらせた。腰が、ふっと浮いた。 内側を擦るように指を動かしてやる。あわせた唇の間から吐息がもれた。 しばし熱い内壁をかきまわしてやると、豊かに液が沸き出してきた。 さて・・・と。 ふっと、オルネバンは急に身体を離した。 同時にじゅぷりと指が体内から引き抜かれる。 そのままわざと背を向けて。ゆっくりゆっくり着衣を脱ぐ。 ぴったりと密着していたからだが離れて、夜の気配がリリにまとわりついた。 「あ・・」男が離れる瞬間、ひどくさみしくて声がもれた。 ベッドの上で横たわったからだ。すっと冷気に触れて肌がその温度を下げる。 足の間だけが熱かった。もそもそと足を摺り合わせる。 はやく、はやく戻ってきてほしい。 男の肌を嫌悪こそすれ求めたことなどないのに。その瞬間のリリはたしかにオルネバンを求めていた。 それは稚拙な欲求ではあったけれど。 長い間待たされたような気がした。 やがて、きしりとベットを鳴らしてオルネバンが戻ってきた。 ふわりと男の香りがして、リリは瞳を閉じた。 ? いっこうに触れる気配がない。そっと再び目を開いた。 端正な顔がリリを覗き込んでいる。うっすらと口の端に微笑を浮かべて。 何も言わないから。もじもじとリリが身体を動かした。求めている、そのことに無自覚なまま。 「どーしてほしい?」まっすぐリリを見下ろして、水色の瞳が光る。 「う・・・」リリが言葉につまる。 「いれてほしいか?」にやりと笑ってオルネバンが問う。 いれ・・・る?ああそうだった。リリは思い出す。それがわたしの商売だった。そのことを。 それにしてもなぜこの男は、わたしにそんなことを聞くのだろう? 答えられなかった。足の間から熱いものが流れ出している。気を抜くとそちらに意識をさらわれそうになる。 身体の奥のほう、リリの女の部分がつなぎ止められることを求めても、 その声はまだ防御をはりめぐらせたリリのもとへは届かない。 ただ、いれてほしくなんかないと、そう突っぱねることはもう出来なくて。 だからリリは自分の知っている方法を試してみる。 すっと身体をひいて、オルネバンの足の間に指先を。 熱くて固い固まりに手が触れた。 オルネバンがそれを見てまたふっと笑った。 リリの指がオルネバンを包み込むと同時にオルネバンの指がリリのスリットの間に入り込む。 リリの手がやわやわと上下に動いて彼を擦る。 細い指先が鈴口を撫で上げる。 オルネバンの背中を快感が走り抜け、彼はなぜか負けじと指先を動かした。 やべ、こいつやっぱり、プロだな・・・。 リリの中に取り込まれた彼の指がきゅうきゅうと締め付けられる。 その動きに予期される快感に甘い期待がかけめぐる。 「は・・・あ・・あ・・」 耳もとをかすめるリリの吐息がオルネバンの官能をそそる。 「おいおい、がまんくらべか?」荒くなる息を押し殺すようにオルネバンはリリに囁いた。 「やべー、いれてー。」 先に根をあげるのはオルネバン。正直だから。 彼は自分の身体の感覚に身を任せることを知っているから。 「ん・・・」 その言葉にリリがすっと足を開いた。 ちくしょ。いわせるつもりだったんだがな。そう思いながらもう一度。 「いれてほしいか?」 リリがかすかにうなずいた。 リリの膝裏に手を差し入れて、膝を胸に押し付けるように曲げさせる。 「すげーやらしーながめ・・」 オルネバンが笑う。リリのそこが濡れてひかって口をあける。オルネバンを誘う。 先端をおし当てる。リリが目をあけた、その瞳も潤んでいる。 そのままずずっと腰を押し上げるとオルネバンのものがリリに飲み込まれた。 「うああっ・・・あ・・」 リリが鋭く叫ぶ、その声にわずかな苦痛の色。 一気に一番奥までさしいれて。その狭さ、熱さに慄然とする。 「いてえか?」足の間から手をまわしたまま、女の背中を抱きとめて瞳を覗き込んだ。 だいぶ体格違うからな・・・・。勝手に動きだしそうな腰を鉄の意志で封じ込めてリリの様子を伺う。 ぎゅうと目を閉じてリリはちいさくかぶりをふった。 いたい・・。エルヴァーンとはいつもそうなのだ。痛くて、苦しい。 だけど、今はそれだけじゃなかった。 どこか、遠いところ、リリが初めて意識を払う、どこか遠いところが快感の種を宿している。 平気。リリはもういちど首をふった。 オルネバンは動きだす。注意深く、中をすみずみまで探るように。 ゆるゆると抜き差しをすると先端が何かにあたる。そのたび擦れてオルネバンを追いつめた。 「おめー・・すげーからだしてんな・・・」 それは素直な賞賛。数え切れない女達の中でもリリの中はおそろしくよかった。 「あ・・あぅ・・あ・あ・あ・・」 突き上げるたび、リリが困ったように声をあげる。 その声が徐々に艶をおびるのが嬉しかった。 あーだめだ、あんまりよゆーねえや。 意外な自分のふがいなさにちょっと苦笑しながらオルネバンはそっと手を離してリリの身体に密着する。 手をとって背中にまわさせた。「つかまってろ。」そういって。 そうしている間もリリの中が激しく収縮をくり返して、まとわりついて、オルネバンを休ませない。 欲望に忠実に。唇を再度捕らえてオルネバンが加速する。 広い男の胸の下で小柄な白い身体が激しく揺らされた。 いやじゃなかった。いつもとおなじことをしているはずなのに、あの身のよだつような嫌悪がなかった。 ただ夢中でオルネバンにつかまっていた。いわれるままに。 いつのまにか、痛みが消えていた。 「う・・・」あわせた唇の間から、低く男が呻いてつかまっていた背中がぎゅっとこわばった。 中であばれまわる彼のものが最奥に打ち付けられて、一瞬大きく膨らんで、 しがみついた背中の力がふわりとぬけた。 リリはそれでも、男の背中にまわした腕をゆるめなかった。 「あのよー。」男が困ったようにリリの額に口を付けてつぶやく。 「はなれてくんねえ?じゃないとこのまま、またやっちまいそーなんだけど。」 そういってクスクスと笑う。 不満げにもそもそと身体を離すとオルネバンが放った精が、彼自身とともに するりとリリの中からこぼれおちた。 ぽんぽんと頭を撫でられた。 「寝ろよ。」上半身裸のままでリリの隣でごろりと横になったまま、彼はそう言った。 「眠って、いいのか?」まだすこし不安で鼻先まで持ち上げた毛布を少しおろして、リリは聞く。 「いーよ。朝まで俺が、買ったんだから。」 「・・・うん」そういってリリが不安げに瞳を閉じる。 もう一回やっときゃ良かったかな?そんなことを思いながらもオルネバンもリリを抱き込んで瞳を閉じた。 まあ、いいか、あせること、ねえ・・。 朝方もう一度、男はリリを抱いた。 そして彼は帰り際にこう言ったのだ。 「どーせならちゃんと気持ちよくなれ。そのほうがたのしーからよ。 ちゃんと可愛がってもらったら、ぐんぐんよくなって、自分の身体がわかるようになるからよ。 また、くるからよ。」 リリに教えたのはオルネバン。 身体の声に耳を傾けること。自分の身体を愛すること。そのことを。 やがてそれがリリの足に立ち上がる力を与える、そのことをまだ二人とも気付かないまま。 ----------------------------------------------------------------------------------------- 過去作品のリンクをまとめておきます。 点在、申し訳なし。 よんでいただき、あまつさえコメンドなぞをくださる皆様と管理人様に 多大なる感謝を。 http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030311224541.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030311225432.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030311225710.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030311225747.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030312202837.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030312203126.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030312203801.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030312203925.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030312204951.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030313161617.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030314165945.txt http://mix.pinky.ne.jp/u/blueff/img/20030320231707.txt -----------------------------------------------------------------------------------------