――その時、彼女は起きていた。  ただ、呆然としていて、返事すらもままならない状態だっただけで。  それを彼は、失神していると勘違いした。    だから、彼女は、彼のその言葉を聞いていた。 「…………ごめんな」  彼は、彼女を背中から抱き締めていたから、  その唇がそっと微笑んだのに、気づかなかった。 『鎖 2          文責:Syara』 □  絶頂の余韻も収まり始め、ワールの腕の中に抱かれたままの私の身体も、ようやくその火照りを冷ましてきた。 「シェナ、いい加減降りろ」 「……やだ」  いくらちっちゃいとは言え、人一人をずーっと抱き上げているのはさすがに疲れるのか、ワールは私を下ろそうとベッドの上に腰掛ける。  でも、離れない。  ワールが私に触れてくれたのが、とてもとても、嬉しかったから。  だから、まだ離れたくなかった。離したく、なかった。  ワールを怒らせてしまったあの時から、さっきまで、ワールは一度も私を触ってくれなかった。  この部屋に来るまでは、視線だって合わせてくれなかった。  いつもは戦闘のタイミングを計るために、励まし合うために、秘密めいた視線を度々交わし合っていたのに。  移動中、誰も見ていない隙を狙って、そっと手を握り合ったりも、していたのに。  そんな当たり前だと思っていた事が、どれだけ私に必要だったのか、痛いほど分かった。  もう私は、ワールがいないとダメになってしまっている。  彼が瀕死の傷を負って、彼に無視されて、彼にネムの話を出されて、私は気が狂いそうなほどの恐怖を感じた。  ワールを失う、恐怖――本当に、頭がおかしくなるかと思った。  彼があのまま死んでしまっていたら、ネムの所に行ってしまっていたら、私は多分、壊れてしまっていたと思う。  あのときのワールの怒りは、これと同じ事だったんだろう、きっと。  ――黒魔道師の彼とは、本当に、何でもなかったのだけれど。  ただ魔法談義とか、故郷の話とかを暇つぶしにしていただけ。  でも、それが致命的なミスを招いてしまった。  無意識に、彼の背中に火傷の跡を探す。  ――どこにもない。回復魔法は私の訴えに答えて、ワールを完璧に治してくれた。  でも、私のせいで対処が遅れて、彼が大火傷を負ってしまったことを、私は一生忘れないだろう。    「ワール……」 「んー?」 「火傷、痛くない? どこにも、残ってない?」 「火傷? ――あぁあれか、あんなの何でもねぇよ。言われるまで火傷したことさえ忘れてたぜ」 「でも、でも……」 「なんだ、そんなのが心配でひっついてたのか?」 「う……、それだけじゃ、ないけど……」 「相変わらず心配性な奴だな、大丈夫だっつーのに。それより重いからそろそろ降りろ」 「……ひどい。私そんなに重くないもん」 「あーもう、そんなにひっついていたいなら、このままヤるぞ」 「え、何――きゃふぅ!!」  いきなりワールの舌先が私の耳を嘗めて、私は思わず叫んでしまった。  ざわっ、と首から胸にかけて鳥肌がたつ。 「あ、あ、あああっ、わ、ワール、そこ、そこダメ……ひぃっ!!」  今までとは逆に、その腕で私の身体を逃げられないように固定しながら、ワールは私の耳をつぅっと嘗め上げた。  ぞくぞくぅ、と妖しい衝撃が走っていく。  一方で指先が、粟立った肌をなぞるように這い回り、私はくすぐったさと切なさにのたうち回った。 「やぁんっ、やぁっ、くすぐった……あはあっ!!」  舌先がそのまま耳の中に――同時に、指先が乳首を捕えてきゅっ、と摘まんで――  私はあっと言う間に、さっきの興奮状態に戻ってしまった。  必死に逃げようとするが、ワールはがっちりと私を抱え込んでいて、どうにも動けない。 「わっ、わかった、分かったからぁ、ああああっ!! 止めて……おねが……ぃ…………ひぃぃぃっ!!」  彼の指と舌はどんどん大胆になって、私の乳首をしごいて、耳の中まで嘗め回されて、 二か所から同時に押し寄せる刺激に、頭の中が真っ白になっていった。 「……ふう。やっぱ耳が敏感だな。もうすっかり感じてやがる」 「あぅぅ……」  腰を支えていた腕が、片脚を持ち上げて、私の一番敏感な所を撫で回す。  もうそこは、完全に濡れてしまっていた。 「ほら、もうビショビショじゃねえか」 「いわ……ないでぇ……あぅ、ああああ……」  くちゃ、くちゃ、くちゃ、くちゃ……  ワールの指先は襞を掻き回すように、わざと水音を立てるように動き回る。  恥ずかしくて、そしてたまらなく気持ち良くて、私はもう彼にしがみついていることしかできなかった。  彼の両肩に腕を乗せて、彼の首にしがみついて、ただただ舞い上げられて、喘いで。 「どうだ、気持ち良いか? 正直に言わないとここで止めるぞ」 「やぁっ、き、きもちいい、すっごい、きもちいいの、お願い、やめないで……」  自分で何を口走っているのか、分からなくなってきた。  ――どうしちゃったんだろう、私の身体……  こんなに感じて、乱れてしまうなんて信じられない。  ワールの指先が触れるだけで、撫でられるだけで、イッてしまいそうになる。  でも、身体はどんどんどんどん、もっと気持ち良く、もっと感じるようにと貪欲に快感を求めていた。  このままじゃ――!?  そう思ったときに、突然頭の中が真っ白に爆発した。  彼の指が、さっきの、一番気持ち良かったところを―― 「――――――――――――っ!!!!!」 「くくく、そんなに感じたか? これからは心置きなくココを可愛がってやれそうだな」  くり、くり、くり、くり―― 「わ、わーる、それダメ、ダメぇぇぇっ!!!!」  頭の中を、全身を、稲妻が走り回っている。まともに物を考えることなんて、とてもできなかった。  こんな、こんなの、耐えられっこない――。  すごい、すごい、きもちいい、きもちいい……。  指先はそのまま、そこをめくりあげるように押し上げて、擦り始めて―― 「お、おねがい、おねがいやめ……っ、やめてぇ……っ」 「ほら、こうするともっと凄いだろ? それ、それそれそれ」  何度も、何度も、上下に、擦って―― 「い……いやぁっ、死んじゃう、死んじゃうよぉ、ああっ、あああああ!!!」 「もうイッちまうか? しょうがねえなぁ、ほれ、イけ、イッちまえ!!」  爪の先で、カリカリと引っ掻かれて――  真っ白な頭の中のどこかで、ちかちかぁっと火花が散った、気がした。 「うあ、ああああああ、ああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」  何もかもが、ごちゃまぜに、なっていく。  しがみつく背中の感触と、耳元のワールの声と――。  もう、覚えているのは、それだけだった。 □    ずるいと思った。  ワールは、私を好きだと言ってくれない。  愛するのは私だけだって、言ってくれない。  私には、あんなに恥ずかしいことを言わせたのに。  何度も何度も、好きだって言ったのに。  でも、どうしようもない。  私はもう、ワールがいなくては生きられないから。    ワールに目茶苦茶にされて、この上ない嬉しさを感じる自分がいた。  ベッドに投げ出された私を見下ろし、彼は私の愛液に濡れた指先をぺろりと嘗める。  その揶揄の表情と視線に、消え入りそうなほど戦く私の心。  死ぬほど恥ずかしい。でもその一方で、痺れるような切なさと、嬉しさを感じている自分がいた。  それは違う、間違っている――。  今までの私を支えてきた常識と、理性が、そんな私に警鐘を鳴らす。  でも、もう何が間違っていて、何が正しいのか、私には分からなくなっていた。  ワールが私を求めて、私はそれに応えて、貪るように愛される。  彼はそれを望んでいると言った。私もそれを望んだ。  それはちょっと怖くて、すごく恥ずかしいけど、とても嬉しいことで、そしてとても気持ち良くて。  そして――。その間だけでも、私はワールを独占できて、彼は私だけを見てくれる。  それの、どこがいけないというのか、私にはもう、理由が見つけられない。 「そろそろ行くぞ……」 「え!? あ、あの、ちょっと待って……」  私の返事が終わりもしないうちに、彼が私に分け入ってきた。  ずん、と下腹に衝撃が走る。 「ぐ……」 「あ……くぅ、あ、あ、あ……」  熱い、巨きい、マグマの塊みたいな、ワールの性器。  もう何度も受け入れているのに、最初のときの痛みが尾を引いているのか、身体が裂かれるような恐怖が、一瞬だけ私の心を支配する。  反射的にワールの身体を押し戻そうと片手が動き、逆に彼の手に捕まれ、引き寄せられた。 「あああっ、ワール、入って、くるよぅ……」 「……く……」  二回もイッてしまって、まだ痙攣が残っている私の中を、えぐるように、刺し貫くように、ワールが入ってくる。  やっぱり、まだ少し、痛い――タルタルの小さな身体とヒュムの彼とでは元々サイズ的な無理があるし、私はまだ破瓜の痛みを忘れ切れていない。 「入った……ぁ……」  それでも私は、必死に痛みを隠して彼を受け入れた。  一番奥にまで彼が届き、そしてゆっくりと往復を始めるのを、確かな現実として感じるために。  そしてただ、ワールに喜んで貰うため、そのために――。  ああ、女の人って、こうやって逆らえなくなっていくのかなあ……。  握り締めあう、手のひらの暖かさを噛み締めながら、ぼんやりと、そんなことを考えた。 □    相変わらずの狭さだ。  無理やり、こじ開けるようにシェナの膣を貫きながら、彼女の身体の小ささを改めて実感した。  だが、そんなシェナを犯すのは、目も眩むばかりに気持ちが良い。  ぎゅうぎゅうと締め付けるような膣圧も、必死に痛みや恐怖に耐えているような彼女の表情も、俺にこの上ない満足感を与えてくれた。 「あっ、あ……くぅ……」  それに、ただキツいだけではない――シェナの膣内は蕩けるように熱く、そして絡み付くような弾力がある。  もう少し、後少し堅さが抜ければ、この上ない名器になるだろう。 「……痛いか?」 「だい、じょうぶ……くぅぅ……」  そんな熔かされるような快感の中だ――辛うじて、そんな言葉を掛けるくらいの余裕しか俺には無い。  その証拠に貫く強さも、早さも、言葉とは裏腹にどんどん激しさを増していた。 「あ……ぅ……」  ぎゅっと瞳を閉じたその表情には、快楽のかけらも見当たらない。  決して、まだ貫かれる喜びを感じている訳ではないだろうに――。  それでも、俺は動きを留めようとはしなかった。  ず、ん……ずぐ……ずん…… 「うぁ……ぁぁ……」  突き上げる度に、引く抜く度に、シェナは苦痛とも取れる呻き声を上げている。  ――少し、快楽も感じさせてやるか。  そう思い、俺は悪戯心に彼女のクリトリスを弄り始めた。  くに……くに、くに、くに…… 「ひぃ……!! くぅ、ん……」  意外な刺激に驚いたのか、シェナの膣が更にきゅうっと締め付けられる。  驚きと困惑の視線をこちらに向け、俺の表情から意図を読んだのか、彼女は再び両目をきつく閉じ、俯いた。  ――間近で、感じる顔を見られるのが恥ずかしいのか……可愛い奴。  面白くなり、俺はわざと往復の速度を緩め、代わりに五本の指を駆使して彼女の性感帯を責め始めた。  さわさわ、さわさわ、さわさわ…… 「やぁっ、あああぅ、わ、ワールぅぅ……」  シェナは混乱したのか、どうしていいか分からない、とでも言いたげに全身を戦慄かせる。  ぎゅっと俺の手を握り返し、もう片方の手もシーツを握り締める。その手は、小さく震えていた。 「……どうだ? 折角だからシェナも気持ち良くしてやるよ」 「で、でも、なんか怖い、怖いよぉ……」  内股を膝から秘部までゆっくりと往復させ、びくんと身を竦ませたところで会陰を責める。 「ひぃ……っ!!」  会陰は小さく円を描くようにくすぐり、次第にその円を大きくしながら内股、秘部、そして後ろの窄まりでを往復させた。 「あ、あ、あ、あ……っ!!」  彼女の身体がびくんと跳ねる度に、それに合わせるように怒張を突き入れ、不意打ちのようにクリトリスを擦り上げる。  シェナの瞳から、次第に理性の光が薄れていった。 「ふぁぁっ、ああ……わ、ワール、ワール、お、ねが……もう……」  膣からはこんこんと愛液が湧きだし、指先はくすぐるような動きから、ぬるぬると這い回るような責めに変わっていく。  ぬめりをクリトリスにまぶすように塗り込み、優しく優しく指の腹で刺激し、押し潰した。 「ひ……ぃ、いやぁ、い……や…………ぁぁっ!!!」  軽い衝撃が怒張に伝わる。小さくだが、シェナはイッてしまったようだ。  幼さの残る小さな膣が、貪欲に俺を飲み込もうとするように蠕動し始める。  ――こりゃ、こっちも限界だな……。  俺は彼女の快感が持続するように、少しずつ指と腰の動きを強め始めた。 「んじゃ、こっちもそろそろ行くぞ……しっかり、受け止めろよ」 「あっあ……っ、ワールだめぇ、このままじゃ私……っ、お、おかしく、なっちゃ……っ」  涙と涎でぐちゃぐちゃになった顔に、幾度かキスをする。 「なっちまえよ、おかしく。もっともっと、おかしくしてやるからよ」  言いながら、クリトリスの責めを親指一本に切り替えた。  そして、空いた人差し指を、会陰の奥へと差し伸ばす。 「――――――っ!?」  そこに指先が触れた瞬間、シェナは感電したように全身を突っ張らせた。  愛液のぬめりを利用して、そのままそこへの侵入を試みる。 「……どれ、こっちの感度は、どうかな?」 「い……ゃぁ………………っ!!!!」  括約筋が、ぎゅうっと引きつるように収縮し、今までとは比べ物にならないほどの締め付けが俺を襲った。  ――やば。  ここであっさりと敗北を迎える訳には行かない。俺はともかくも、一回ケリをつけることにした。  追い込みとばかりに、シェナの身体を突き上げる。同時に、2箇所を弄る指もむちゃくちゃに動かした。 「もう限界か? しょうがねえなあ、イカせてやるよ、思いっきり、な!!」 「かはぁ……っ……あああ、あああああ、ああああああぅ……」  シェナの背筋が、弓なりに反れていく。もう、本当に限界なのだろう。  後はタイミングだ。 「あああぁ、あああああぁ、も、もう、もう……わたし、こわれちゃ……」 「ああ、壊れろ、壊れちまえ、さあ、行くぞシェナっ!!」  射精の直前に、指先をつぷりとその中へ侵入させ、親指でクリトリスに思いっきり爪を立てた。  ひっ、と息を呑む音が耳を叩く。 「………………………………っ!!!!!」  カッ、とシェナの瞳が大きく見開かれた。  一瞬の空白の後、がくがくと性器全体を鷲掴みにするような痙攣が襲いかかる。 「あああぁ、あああああ、うああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」  猛烈な揺さぶりの中、俺はシェナの内奥へと精を放った。 「ぐぁ……っ!!」  がく、がくがくがく、がく……ん……  びゅく、びゅく、びゅく……  目の眩むような射精感。かつて味わったことのない、快感だった。 「あ……あぅ…………、あ……」  あどけなさの残る顔立ちに、恍惚とした笑顔を浮かべ、絶頂の余韻を味わい続けるシェナ。  ――これでまた一歩、シェナは俺の所有物に近づいた。  幾度かの痙攣の後、彼女は小さな身体をとさり、とベッドに投げ出す。  膣口から溢れ出た精液が、こぽこぽと音を立てて流れ出ていた。 「気持ち良かったか?」 「…………」  シェナの返事はない。 「……あー、失神しちまったか」 「…………」  ずるり、と逸物を引き抜く。  狂乱の残滓――精液と愛液の入り混じった白濁液が、どろどろと膣口から流れ出た。 「ま、ここまでされりゃあ無理もねえか……」  合成で余っていた木綿布で軽く拭った後、俺はシェナに添い寝する形で横になる。  何とは無しに、彼女の髪を指ですくい、顔を埋めた。 「……前に言ったよな? 俺を独占したいなら俺に独占されろ、ってな」 「…………」  荒く乱れていたシェナの吐息が、少しづつ安らかな寝息へと、変わっていく。 「俺の言う独占ってのは、こういう事だ――こうでもしなきゃ、人を信用するなんてなあ、できやしねえのさ」  毛布を掛け、少しだけ乱暴に、彼女の身体を抱き寄せた。 「全く……こんな野郎にじゃなく、相応なタル餓鬼にでも惚れてりゃ、こんな目には遭わなかったろうに、な」 「…………」 「…………」 「…………ごめんな」  甘く、包み込むような、シェナの髪の香り。  目を閉じ、深く深く、その香りを肺腑に満たす。  無茶な狩りの疲れと、彼女の胎内に出し切った解放感がどっと出たのか、  俺はそのまま、軽く寝入ってしまった。 □中編終わり。後編に続きます。(?)  ども、お騒がせしてます、Syaraです。    とりあえず濡場一段落です。まだ1ラウンドしか書いてないけど。(汗)  簡単な構成としては、あと1話書いてこの話は一応終わり、といったところです。  その後は……また、そのときに。書くのすっげー遅いんで。(汗)  ……あ、それと、そらいろと集積場でご感想頂いた方々、どうもありがとうございました。  この2話目を書き切れた原動力は、間違いなくあなた方の叱咤、激励です。  それでは、できましたら、また。  で、参考までに…… シェナ:サイズS/フェイス1の青髪タルタル。(青髪ポニテ)白/黒。     この文章の前半は彼女の視点で書いてみました。     素はしっかりした性格なのとか、書き切れているといいのですが。(汗) ワール:金髪ヒュム。戦士。サポはたぶんシーフとモンク。     なんか書いてるうちに、こいつの方が年下なんじゃないかなーって気が。     でも、実は全く同い年だった、ってのも面白いなあ。  ネム:銀髪猫娘。シーフ/サポモ戦、かな。     完全に咬ませ猫な立場(しかも直接の描写もない)でちょっと反省。     上二人の初めての時の話も書きたいと思ってるので、その時にでも。(汗)