ゆっくりと息を吸い、そして吐く。気を体内に巡らせて練る。 「こはぁぁ……」 徐々に熱くなっていくそれを"ためる"。漏れ出した力が雷光のように身体の回りに散り、拳 に収束する。 半眼に閉じた目の前には凪いだ運河の水面。 「喝!」 限界まで練り上げた気を、水面に向かって放った。 ずばしゃーーーーん!! 気の塊は盛大な水しぶきを上げて水面に突き刺さった。 「おぉ!」 ざぶんと寄せる波を避け、自分でも予想外の威力に思わず声をあげる。 気孔弾。最近修得した技だが、きちんと気を練り上げさえすればそこそこ使えそうだ。 ふむ、と息をついた時黄色い歓声が耳をつんざいた。 「きゃぁぁぁぁ! すごい! すごーい!」 ぎょっとして振り返れば桟橋のたもとから、こっちを見て拍手する長身の女がひとり。 振り向いた俺と目があうと、女はだだーっと走りよって来た。間近に立てば見上げる位置に ある顔。突き出た耳に浅黒い肌。エルヴァーンだ。 目をキラキラさせ、頬に朱を走らせ、胸の前で手を組んで。お、俺に惚れたか? 「お師匠様! 弟子にして下さいっ!」 ……若干違った。 真新しい拳法着を着たそのエルモンクは少女と言ってもいい程に若かった。たとえ俺よりで かくても。 飛空挺まってる間のヒマ潰しだったのだが、とんだ広いものだ。 「PTでモンクがやる事は単純だ。殴れ。ひたすら殴って削れ」 「はい」 港区の一角、運河に面した桟橋の近くで、俺は偉そうに説教たれていた。彼女は俺の前にキ チンと正座して、真剣な表情でそれを聞いている。なんつーか、素直な娘だ。 「PTを組んだ事はあるか?」 「一度だけ」 「そうか。モンクの仕事はサポ次第でもあるからな。サポとれるくらい強くなったら真先に セルビナかマウラに行けよ」 「はい! セルビナ……いったコトないです。遠いですか?」 「遠いっちゃ遠いが。すぐに出入りするようになるさ」 「はい!」 真剣な顔で頷き、返事を返すその様子はとても微笑ましい。つんとお高くとまっている印象 の多いエルヴァーンだが、彼女は髪を二つに縛り、少し垂れ目気味の顔だちで、なかなか可 愛らしかった。 これでいたずら心をおこすなってのが、無理な話だ。 「続きはモグハウスで修行だ」 「は、はい!」 返事を聞かず、くるりときびすを返して跳ね橋に向えば、とことこと素直についてくる足音 が聞こえる。 俺はにやけそうになる顔をひきしめた。 彼女を部屋に連れ込み、マホガニーベッドに腰掛けさせる。ワガママなクソモグの為に買っ たベッドだが、恋人にもなかなか好評だ。と、そこで黒魔の恋人の怒り狂う姿が脳裏を過っ た。いかん、思い出しちまった。 「あれ、お師匠様、モグはどうしたんですか?」 「ああ、ジュノにやったまま呼び戻してないだけだ。気にするな」 「ジュノ! 冒険者の集う街ですね! 行ってみたいなぁ……」 「もう少し強くならないと厳しいな。途中で死ぬぞ」 「そうですよね……」 苦笑しながら答える俺に、彼女はしゅんとうなだれる。ううむ、可愛い。 「ではとっておきだ。気を高める方法を教えてやろう」 「はい! お師匠様!」 がばっと、うなだれた顔を上げた。その目は期待にキラキラしている。 「運がいいぞ。この方法は双方モンクでしかも男と女でなければ出来ない方法だ」 「はい!」 「服を脱げ」 「え?」 「師匠の言葉が聞けないのか? 服を脱ぐんだ」 「でも……はぃ……」 返事はしたものの、おろおろと視線を彷徨わせていたが、意を決したように一つ頷き、白い 帯に手をかけた。 ぱさっと音を立てて落ちる拳法着。その下に巻かれていたサラシがはらりと弛んだところで 限界きた。 いただきます。俺は誰にともなく手を合わせ、その褐色の肌めがけて飛びかかった。 肩をつかんで押し倒す。馬乗りになって体重をかけ両手をまとめて押さえ付け。驚愕の表情 を浮かべ薄く開いたその唇を奪う。 「むーっ!」 じたばたと暴れる身体を容易く御して、柔らかなふくらみを手のひらで包む。まだ軟らかい 先端を指で挟んで刺激する。 「ぁんっ! や、やだぁ……」 ぴくん、と身体を反応させ、小さく抗議の声をあげて見悶える。 「がまんしろ。すぐに気持ちよくなるさ」 言いながら俺は、小振りな乳房を左右交互に撫で回して揉みしだいた。徐々に固く勃ちあがっ ていく乳首が綺麗なピンク色で可愛い。 「あふっ……んっ……うんっ……」 彼女が、鼻にかかった嬌声を上げ、縋るような目つきで見上げる。コレは……たまらん。 白い下着を引き降ろし、すらりと長い脚を割り開いて、その間に身体を入れた。髪と同じ赤 い茂みは薄い。 「や……恥ずかしいぃ……」 目を閉じ顔を逸らせれば、目の前に長い耳が突き出される。つつ、と舌を伸ばして舐め、そ の端を口に含む。ちゅくちゅくと吸えば、歯を食いしばって耐えている。 茂みを梳くように手を這わせる。ぴくん、と身体を震わせるのを胸を押しつぶすように押さ え付け、軟らかい襞の内側をくすぐる。すでに濡れて、とろりとした蜜をたたえた入り口が、 ひくひくと蠢く。 「あっ……んっ!!」 もう腕を押さえる必要はなさそうだ。片手で乳房を、片手で秘所を、本格的に愛撫しはじめ る。 「あふっ……お師匠様、うんっ……ホントに、気が、高まるんですかぁ?」 頬を羞恥に染め、目に涙を浮かべて、彼女が言った。俺は、思わず手を止めた。 (まだ信じてたのか……) どおりで従順だと思った。一抹の罪悪感が頭を過る。が、そんなコトでイキオイは止まらな い。 「もちろんだ。だんだん、身体が熱くなってきただろう?」 「ハ……ハイ……」 滑らかにすべる蜜をからませた指先でクリトリスをつまんだ。くりくりと円をかくように弄 ぶ。 「きゃぅん!」 彼女の腰が跳ねる。俺はにんまり笑ってその秘芯に口をつけた。 暖かい襞が優しくペニスの先端を包み込む。 ゆっくりと腰をすすめれば、ひめやかななにかが抵抗する。俺はそれを一気に突き進む。 「いたっ……ああぁぁ!」 腕の中で、彼女の身体がこわばる。かすかに鼻を掠める鉄の匂いに俺は苦笑する。やっぱ、 処女だわな。 なるべくゆっくりと動きはじめた。最初はうねるように、擦りあげるように、徐々に早めて いく。 「ああっ! お、おししょ、お師匠さまっ! あついっ、熱いですっ!」 「いいぞ、もっと、もっと熱くなるんだ」 「はぃ! ああああっ!」 両足を抱え上げ、腰を叩き付ければ、肌同士のぶつかりあう音がぱんぱんと響く。 まるく大きめの尻を持ち上げられ、苦しそうな顔で眉をよせ、ゆるく開いた口から絶え間な く喘ぎ声を漏す。 結合部では赤く充血した襞が、ぐちゅぐちゅと音を立てて出入りするグロテスクな肉棒にま とわりついているのが、恐ろしく淫らだ。 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ」 僅かに滲む血は溢れる蜜と混ざりあい、すでにシーツにまで滴り。飛び散っていた。 膝を腕にかけてその軟らかい身体を折り曲げる。腰をのせるように突きこめば奥の子宮口に 先端が届く。 「ああああああ!」 不自由な身体をくねらせ、彼女が悶える。自らの膝で押しつぶされた乳房が、激しい動きに ゆさゆさと揺れる。 その表情が、身体が興奮を一気に押し上げた。やべぇ出る。 快感を引き出すために動かしていた腰の動きを、本能にまかせる。がつがつとぶつけるよう に、奥まで。 「くぁ!」 走り抜ける快感に思わず声が出る。 痛みと快感にどよめき、きつく締めつける処女の膣内に、屈服した。 「お師匠さまぁ♪ 一生、ついていってもイイですか?」 裸の胸を指でなぞって彼女が甘い声を出す。今度こそ、俺に惚れたか? 「毎日繰り返せば、気が高まってもっともっと強くなれるカモ♪」 違うっぽ。なんだかいろいろ勘違いしたままなとこはまぁさておき。 バタン! ドアが外れそうなイキオイで蹴り開けられた。黒髪が翻り、軍師コートの裾がふわりと舞う。 「若いエルと一緒のトコ見たって言われて駆け付けてみれば…こんの浮気者ぉぉぉぉぉ!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……古代魔法の長いスペルが魔力の収束とともに紡ぎだされる。 やっべぇ逃げろ。ベッドから飛び出し、下着一枚で走り出す。 サポはシーフがいい。それを彼女に伝えるのを忘れていた事に気づいたのは、魔力で生み出 された炎に巻かれる瞬間だった。 @しらかん