2 俺は動けなかった。 目の前で女性が陵辱されているという現実に、立ち向かうことができなかった。 俺の中にも「獣使い」という得体のしれない職業への恐怖があったのかもしれない。 遠目でよく判らないが、たぶん、獣使いの彼女の頬には白濁した液が滴り落ちているはずだ。 そして、その秘部からもとろけだすように男の欲望が流れ出てるだろう。 少女はぐったりと、動かなかった。 しかし男達の欲望はまだ収まらなかった。 「おねぇちゃん、イッちゃったね?」 タル魔道士が笑みを浮かべて確認した。 「フン、犯されてイッてしまうとは、汚らわしい。しょせん獣か」 エルヴァーンも見下ろす。 「獣っていったらやっぱりアレでしょ、アレwww」 そういうとヒュームのナイトは持っていた投擲武器の狙いをつけた。 ---なにを釣るつもりだ? 突如現れたのは、哮り狂ったモルボル型のモンスター。 3人の男たちはすぐに消音の魔法をかける。 狙いを見失ったモルボルは、目の前にくたりと横たわっている少女を目標に定めた。 「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」 ハッと気付いた少女は、狂ったようにモルボルから逃れようとするが、 モルボルの触手は獣使いの手足を搦め捕り、宙づりにする。 「獣といったら獣姦、これでしょwwwww」 「獣使いはたしかモルボルあやつれないんだよねぇ」 「これは見物だな」 男達の好奇の視線の中、モルボルによる少女獣姦が始まった・・・・・・。 1本の触手が、僅かに残った少女の衣服を器用にはぎ取っていく。 粘着質な触手が肌に触れるたび、獣使いはびくりと身体を震わせ、 恐怖の表情を浮かべて泣き叫んでいる。 「いやっ、いやーーっ!助けてぇーーー!」 少女の悲鳴は、誰もいないボヤーダ奥深くの闇に吸い込まれ、むなしく響いた。 一気に数本の触手が獣使いの全身を駆け巡った。 ぎゅう、と。絞るように触手が胸を絞り上げる。 そしてもう片方も。違うリズムで胸を愛撫していく。 「あぁぁ・・・」 さらに耳元、首筋、背中、足先までと、 彼女の性感帯と思われる部分全てを触手1本1本でなぞっていく。 モルボルから出るどろどろの分泌液で、体中がぬるぬると光り、反射している。 触手は先ほど男達が陵辱した3つの場所でもお構いなしに進入し、 ギチギチと音をたてて暴れている。 「う・・・あ・・・」 もう声にならない叫びを、獣使いの彼女はあげた。 どのくらいの時間がたったのだろう。 モルボルの攻めは終わらない。 少女は何度も何度もイッたようだが、その度にまた快楽へと引き戻されている。 触手からはモルボルの体液が幾度となく少女の体内へと放出された。 「あ・・・」 少女のうつろな目がこっちを見たようなきがした。 刹那、俺の中でなにかが弾けた。 気がつくと俺は訳も判らずモルボルに切りかかっていた。 とてもとても強い相手のモルボルに・・・・・・。 ---闘っている時は夢中だった。もちろん敵うはずが無かった。 死を覚悟した俺の目に、散り散りに逃げていく3人の男達の姿が見え、 そして、襲いかかるクロウラーの大軍が見えた。 俺は気を失った。 目を覚ますとガンガンと頭が痛んだ。 片手で頭を支え、無理矢理起き上がると目の前に1匹のマンドラゴラが俺をのぞき込んでいた。 思わず武器を探して身構えると、マンドラゴラは「ヤッ!ピイピイ!」と鳴いて飛び上がった。 「?」 何を言ってるかはわからないが、好戦的では無いようだ。 周囲には俺を取り囲むように注目したマンドラゴラ達がざわざわと騒めいている。 とととっと、足音が聞こえた。 「あ・・・。気付きましたか?」 可憐な声に振り向くと、さっきの獣使いの少女が少し恥ずかし気に駆け寄ってきた。 「ありがとうございます。助けていただいて・・・」 ペコリと頭を下げた。 ありあわせの材料で作ったのか少し粗末な服を着てはいたが、 それがまた素朴な少女に似合って見えた。 「いや、俺けっきょく負けちゃって・・・あの後、どうなったんだ?」 「クロウラー達が助けに来てくれました。この子の親です」 先ほど鎌で拘束されていたクロウラーの幼虫が、 獣使いの後ろからぴょこりと顔を出してキィと鳴いた。 少し傷ついているようだが、元気そうだった。 「そうだったのか、操ったのか?あんなに沢山?」 大真面目に訪く俺に、彼女はクスっと笑った。 「獣使いにはそんな力はないです。無理矢理あやつれませんよ。  ただ、獣と人は心を通じ合わせることができるんです。  みんなそれを判ってないだけ・・・・・・」 微笑んだその横顔は少し寂しそうに見えた。 「そうか・・・。なぁ、良かったら俺とPT組まないか?」 「・・・え?」 目を真ん丸にして彼女は俺を見つめ返してきた。 「もしかして誘われた事ないのかい?一度も?」 口をキュッと結び、こくんと首だけで返事をする獣使い。 「一緒に色んな所へ行って仲間をいっぱい作ろう」 と精一杯の気持ちを込めて手をさしだす。 「俺と一緒に行こう」 しばらく考え込んだ後、獣使いは目をキラキラさせて俺の手を取り、 「うん」と極上の笑みを見せた。 END