オーディン風の吹くところ その人とはセルビナで出逢った。 ウィンダスから船に乗ってやって来て、初めて降り立ったクォン大陸の、冒険者達で賑わう 街で。待ち構えていた知り合いたちが組んだパーティに、彼がいたのだ。 名前はジェネシス。金髪の、エルヴァーンの戦士だ。 最初は粗暴な言動が鼻についた。 船旅で一緒になって、忘れられない思い出をつくった、二人のエルヴァーンとはあまりにも 印象が違ったからかも知れない。 彼等はとても優しくて強くて格好よかったから。 ジェネシスは彼等ほど強くなかった。一緒にパーティを組んで砂丘の蟹や魚に苦戦するくら いなんだから、当たり前といえば当たり前なんだけど、それでも敵を挑発してタゲを取るの は上手で。あんな汚い言葉で罵られれば、そりゃモンスターだって腹がたつとは思うけど。 でも、何度も砂丘でキャンプを張って、狩りを続けるウチに、好きになった。 もともとリーダーの資質があるのか、いまいち気の弱いリーダーを尻目に、連係を仕切り、 リンクした時には適確な撤退指示を出し、時間に応じて狩り場の移動を提案し。乱暴で言葉 が汚くて大雑把だけど、カッコよかった。 だから、いよいよパーティを解散して、皆がそれぞれの目的地へ旅立つ時、バストゥークに 帰ると言う彼に強引に頼んだのだ。自分も連れてって欲しいと。 「バストゥークってどんなところ?」 「うっせぇ黙れ。砂丘抜けるまでは気ぃ抜くな」 「むぅ…」 バルクルム砂丘に徘徊する敵でアクティブなのはゴブリンとグールとボギィだけだ。どの敵 も回復役もなく二人で倒すには手にあまる。となれば、敵の目をすり抜けて慎重に進むしか ない。 解ってるけど冷たい反応にがっかりする。 半日かけて砂丘を横断し、難所の洞窟を抜け、深い峡谷を抜ければ、そこは一面の草原だっ た。 遠くに霞む山のほうまでずっと、緑の原が続いている。吹き抜ける強い風に淡い色の花がな びいて、すごく奇麗だ。サルタバルタの野原とは緑の濃さが違う。 「わぁーー♪」 思わず歓声をあげると、彼もほっと力を抜いたのが解った。 「奇麗だろ? コンシュタット高地だ。少し行けば名物の風車が見えるぞ」 少し得意げに彼が言った。 岩の壁が立ちはだかる木立の近くで、その日は野宿になった。 「見張っててやるから休め」 岩壁に寄り添い、ちくちくと肌を刺す草の上に座り込んだあたしと微妙に距離を取って、彼 は石に腰掛けた。 「ジェネシスさんは? 寝ないの?」 「いいから寝ろつってんだよ。俺は大丈夫だ」 「じゃぁ、あたしも起きてる」 想いを伝えたかったのもあったけれど、それよりも彼とゆっくりと話をしてみたかった。夜 明けまではまだ随分時間もあるし。けれど、彼は。 「いっちょまえに警戒してんのか?」 細い眉を器用につり上げ、皮肉そうな口元を更に歪めて、せせら笑う。 「けっ、誰がお前みたいなガキンちょ襲うかよ。馬鹿にすんな」 ぐっさり、と言葉が突き刺さった。まったく相手にされてなかったんだ。そりゃ、エルヴァー ンにとってミスラなんて子供に見えるかも知れないけど。でも。 頭をよぎるのは、船旅で一緒だったエルヴァーンのカップル。彼も、あの女戦士みたいな奇 麗でかっこいい同族の女性が好きなんだろうか。だとしたら、たしかにあたしはただのがき んちょだ。 唇を噛んで俯いた。悔しくて、切なくて思わず泣きそうになる。 「がきんちょじゃないよ!」 「お、おぃ、何泣いてんだよ」 驚いた顔で立ち上がり、こっちへ歩いてくる彼に、あたしは思いっきり抱きついていった。 本当にサマにならないと思う。 彼の胸に抱きついていきたかったのに、気がつけば彼の腰にしがみついていた。 無性に腹がたって、はるか上のほうにある彼の顔を見上げて怒鳴る。 「座ってよっ!」 「ちょっと落ち着け、な?」 「いいからっ!」 だむだむと地を踏みならすあたしに、彼は困惑の表情を浮べてその場に座る。 ようやく身長差がなくなって彼の顔が見える。あたしはボロボロと止まらない涙を思いっき り彼の胸に押し付けて、抱きついた。 突き放されると思ったのに、彼は意外にも軽く抱き返してくれた。 「どーしたってんだよ一体……」 「がきん、えぐっ、ちょじゃ、えぐっ、ないぉ、えぐっ」 悔しくて、鼻がつまって上手く喋れない。 「わかったわかった。謝るから泣きやめ。な? 腹減ってんだろ。山串食うか?」 全然わかってないじゃんよ。 まるで子供扱いのその態度にあたしはますます苛立つ。だけど、抱き寄せてあやすようにぽ んぽんと背中を叩いてくれる彼の腕はあったかかった。 「好きなの」 ようやく嗚咽がおさまって、鼻水と涙をタオルで拭きながら、あたしはじっと彼を見つめて 言った。 「は?」 「ジェネシスさんが好きなのーっ!」 並んで座っていた彼があたしの叫びに押されたようにたじろぐ。 「まてまてちょっと待ちやがれ。俺はエルヴァーンでオマエはミスラだぞ?」 「だからナニ?」 「冗談じゃねぇ、抱けるかよ」 「どうしてっ?」 「どうしてって、オマエ解って言ってンのか? こんな小っけぇ身体しやがって、どこに入 るっつーんだよ」 「入るよ!」 「無茶言うな」 「試してみれば?!」 思わず膝立ちになって彼の胸ぐらつかんで詰め寄った。あたしを見下ろす彼は無表情だ。 あたしはもうほとんど暴走状態で。頭真っ白だったから恐いものなんてなかった。 そのまま伸び上がって彼の唇にキスする。 かの人の、濃厚なくちづけを思い出して真似をする。一所懸命舌を伸ばして、彼の唇を舐め る。舌を探る。だけど、上手く行かない。魂まで抜かれてしまいそうな、あの甘いキスには 程遠くて。 苦しくなって口を離す。息を吐いた時、それまで無反応だった彼が、動いた。 強い力で抱き寄せられて、キスされた。噛み付くような、荒っぽいキス。痛いほどに舌を吸 われて思わず呻く。 唇が解放されたと思う間もなく、草地に押し倒される。リザードジャーキンの留金が引きち ぎられそうな勢いで外される。 ひんやりと夜風にさらされた胸を下着ごと鷲づかんで、彼が言った。 「後悔するなよ、メス猫」 低く抑えた声に、ぞくん、と首筋の毛が立った。 吹きさらしの野原で裸に剥かれる不安に、息を吐く。 風が素肌をなぶっていって、彼の肌が触れている所だけ暖かい。 はだけられた彼の胸に頬をぴったりくっつけて、あたしは襲って来る快感を堪えていた。 「んふっ…んっ…んあ…」 弄られ吸われて勃ち上がった乳首は彼と触れあう肌と擦られるだけで、ぴりぴりと痺れるよ うな感覚を覚える。 繁みを梳くようにして、指先が恥丘を這う。思わず引く腰を彼の大きな手が強く引き寄せ、 既に潤っている柔らかい裂け目に、指先がぐいぐいと潜り込んでくる。 「あんぅ、あんんーっ!」 そこだけ固い、敏感な突起に触れられ、あたしはのけぞった。じん…と身体の奥が熱くなる。 「ここが、弱ぇな」 彼が意地悪そうに囁き、陰核を弄び始める。 円を描くようにクリクリといらう。指先できゅっと摘み、すり潰すように擦る。ぴんぴんと はじく。 「ああっ、やっ、やああっ、んあああ!」 強烈すぎる快感にあたしは身体を硬直させ、彼にしがみついた。 ぐちゅぐちゅと凄い音を立てて彼の指があたしの中を掻き回している。 すっかり力が抜けた身体を、膝に乗せられたまま、彼の胸にすがりついて耐える。大きく開 かされた脚を、愛液が伝い落ちていく。 生暖かくぬめる舌が胸の先端をなめ回す。唾液で濡れた乳首が風に触れて痛い程に固くしこ るのを、指で摘んで転がされ、あたしはまた悲鳴をあげる。 「んにゃぁ、ああん、んあっ、あああふぅ」 絶えまなく喘ぎ続けて、声が掠れる。 それは経験した事のない、荒っぽく激しく、容赦のない愛撫で。 甘くとろけるような初体験とはあまりに違っていた。 背筋をぞくぞくと這い昇って来るソレに、無意識のまま彼の胸を押す。 支えがなければ後ろにひっくり返ってしまいそうな程に、何かから逃げるように、身体が反 り返る。 「あ、あ、あ、あ、あ」 痙攣が身体を支配する直前、彼の手がするりと逃げていった。 「ぃゃあああっ!」 堪え難い喪失感に悶え、悲鳴をあげる。あそこがひくひくと震え、刺激を求めているのが解 る。 「やだあぁ、やめちゃやだあっ!」 涙がこぼれる自覚もないまま、叫ぶあたしの腰を、大きな手がつかんだ。 トラウザの前を開いてさらされる彼の雄の器官。熱く滾るペニスに恐怖を覚える余裕もなく、 ぴたりとあてがわれて。 熱い熱い感覚が、入って来た。 「に"ゃああああああ!! いたっ、ぃ、いぃあああ!」 悲鳴を上げて吐き出してしまった息を吸う余裕もなく、ぱくぱくと喘ぐ。 引き裂かれそうな痛みに身体が硬直する。 「クソッ……だから、言っただろうが……」 呆れたような、溜息のような、そんなつぶやきが聞こえる。 離れようとする彼に、必死ですがりついた。 「やだ、やめちゃヤだ……」 「なに言ってやがる、痛いんだろ。無理すんな」 「ヤだぁ……」 苦痛と圧迫感に息を短く、荒く。 今、離れたら、二度とこっちを向いてくれない気がした。 身体を離そうとする仕種に、置いていかれるような淋しさを覚えて、必死で腕を回して抱き つく。 離れたくない。 「なんでだ……?」 「ジェネ……好き。離さないで」 「……しょうがねぇな」 言葉とは裏腹に、優しい声で彼は言った。 彼が動く。その荒さと激しさに翻弄されてあたしは何度か意識を飛ばしかけた。 そしてその度に苦痛が意識を引き戻す。 痛みと快感とがせめぎあい、朦朧としていく視界のなかで、溢れる涙を彼が優しく吸ってく れたのを覚えていた。 夜が開けても、相変わらず強い風が草原を駆け抜けていく。 「うう。痛い……」 「ったくしょうがねぇな。ほれ」 鈍く痛むあそこと萎えた腰でへたりこむあたしに、ひょいとしゃがんだ彼の背中。 驚きながらも素直に負ぶさる。 風車が回り、羊が草を食むのどかな風景の中、彼の背に揺られながら。 あたしは彼の背中に鼻をすりよせて、未だ見た事ない彼の故郷に思いを馳せた。 Genesis  Elvaan♂:F6a job:Warrior Tina-Erunki Mithra♀ F8a job:Theaf -------------------------------------------------------------------------- @しらかん【光曜日の白い月】過去作品アリマス。