「いい匂い。興奮するにゃ」 うっとりと目を細めながら、彼女はミスラに特徴的な、ざらついた舌を伸ばした。 亀頭の先端をちろちろと舐め、にじみ出る透明な粘液をすくい取る。僅かに荒くなりかけた吐息 がかかり、男はぞくぞくと背筋を震わせる。 女が導いたのは、港通りの下を抜ける通路だった。昼間だというのにまるでひとけがないそこは、 ヒュムの繁栄を誇る街バストゥークとは思えない程の寂れっぷりだ。 ちゅ、ちゅ、と音を立て、啄むようにキスを繰りかえす毎にそれは硬度と容積を増していく。 「ふ……」 男が思わず息を漏らすのを、女は上目遣いに見上げ、くすりと笑い、呟く。 「さすがにゃ。エルヴァーンのはおっきいにゃ」 「高いギル払ってんだ。しっかり働けよ?」 彼女はそれに応えず、露にされた男の肉棒に両手を伸ばす。 自身の手首よりも太いそれに手を添え、女はねっとりと舌を這わせ、その裏側を舐めあげる。 唾液が絡む暖かな滑りと同時に、舌に生える無数の小さなトゲがざりざりと敏感なその皮膚をひっ かいていく。 「馬鹿にするにゃ」 娼婦としてのプライドを傷つけられたミスラは憤慨の言葉を吐き、それをぱくりと口にくわえた。 大きく口を開いて赤黒い雄の器官をくわえ、僅かに頬を窄ませてゆっくりと動くその顔を差し込 む日射しが斜めから照らす。 その光景は妙に現実離れしていて、妙にリアルだ。 動きを止め、くわえたまま口の中で舌を踊らせ、舐め回す。かと思えば強く吸い、激しく頭を動 かして扱きあげる。 「くっ……、うぉっ……」 巧みな動きに、エルヴァーンの男は呻きを漏らし、前屈みに彼女の頭をつかむ。 娼婦は目だけで笑い、うるさそうにその手を振り払うと、ゆっくりとした動きで、静脈を浮かし て節くれだったペニスを喉奥まで呑み込んでいく。苦し気に眉をしかめ、目の端に涙を浮かべな がらも、その動きは止めない。 「う……く……」 喉の奥が蠢く。口腔粘膜がねっとりと絡み付いて快感を引き立てる。ゆっくりと、徐々に早く動 きはじめる。 「んっ……んふっ……ん……」 ふんふんと鼻を鳴らしながら、娼婦は頭を前後させる。 顔を朱に染め、とろりと酔った顔で、ちゅぶ、ちゅぶ、と淫猥な水音を立ててディープスロート を繰りかえす。 しなやかな尻尾が、はたはたと石畳を叩いた。 ギリ……。 男が歯をきしらせる。 男の腰に手を添え、ねじるように頭を動かしながら、その口腔内では雁首の部分を抉るように舌 を絡ませる。容赦なく、感覚を追い込んでいく。 唾液が、彼女の顎を伝って滴る。 「くっ……うぁぁっ!」 男はとうとう、堪えきれずに声を上げた。