煌めく頂点が見える。 視界が白くなる。目を見開いてももう何も見えなかった。 自由を奪われたままの手首が、痛い。その痛みさえ、わたしを追い詰める。 わたしはただ淫らにきれぎれの息を吐く。 男にさし貫かれて、歓喜に揺れる。それが、わたしだ。 「こんなふうに俺を求めるんだ、どこにも、いかせない。」 声が、きこえた。 -------------------------------------------------------------------------------------- カイレンと別れるはめになったのは3ヶ月も前のことだ。 つまらない嫉妬。売り言葉に、買い言葉。 戦士であるわたしとナイトである彼とではともに修行のためのPTを組むことが難しくなった。 それは単に戦う敵の変化にともなう、戦術の問題に過ぎない。 幸い腕をかってくれる白魔導師にめぐりあうことができて わたしはそのかわいらしい白魔導師の彼とともに行動することが多くなった。 ねえさんといって慕ってくれる茶色の髪の年下の男の子に心が揺らがなかったかと言われれば嘘になる。 だけどわたしはわたしなりにカイレンが好きだった。伝わっていると、思っていた。 誇り高いことにかけては他種族の追随を許さないはずのエルヴァーンのカイレンが まさかあんなことで嫉妬するなんて。 いわれのない侮辱をうけて、わたしは逆上した。 白魔導師の彼とはなにもしていない。その事実をさっぱり認めようとしない彼に本当に腹が立った。 そして、なによりもカイレンがわたしを信じてくれない、そのことに傷付いたのだ。 すれ違いと誤解はさらなるすれ違いと誤解を生み出して、わたしは、彼の元から去った。 まあ、よくある話のひとつだ。 冒険者の世界は広いようで狭いから、こみ合ったジュノのまちで互いに顔をあわせることがある。 わたしは意地のように彼を無視し続けた。 純白の鎧に身を包んだ、背の高い彼の姿に、胸の奥がちりちりと痛んでも。 -------------------------------------------------------------------------------------- 舌の先がしびれる。身体が、動かない。強力な麻痺状態だ。 それはミッションの遂行のためのPTをくんだ帰りのことだった。 とにかく戦力を多く揃えることが第一条件のミッションのために集まったメンバーの中に、 カイレンがいたことはわたしを驚かせた。 でも個人的な都合のために仲間を振り回すなぞ冒険者としてほめられたことではないし、 とにかく受けた以上、ミッションの遂行が第一目的なのだから。 そういいきかせてわたしはそ知らぬ顔で彼に目礼をした。 いくらか厳しい戦いではあったものの、幸いミッションは短時間で終わり、 わきあいあいと家路につこうとしたその時、強烈な違和感がわたしを襲ったのだ。 声もなく膝をつくわたしのまわりをタルタルの白魔導師がおろおろと走り回る。 「ニナ、どうしたの〜?パラナもきかないの〜。どうしよう〜。」 そういって涙目になるタルタルに微笑んでみせようとするのだが、それもうまくいかない。 「俺が、運ぶよ。みんな先にかえっていいよ。」 遠くからカイレンの声がした。穏やかな低い声。だけどわたしには分かる。 その声の底に流れる、冷たい冷たい響き。 彼の、せいだ。戦闘中に彼からポーションをもらったのを思い出した。 彼が、錬金術の技をもっていることも。 ふわりと身体が持ち上げられた。わたしの意識はそこで途切れた。 -------------------------------------------------------------------------------------- 手首にひやりとした感触。 重くて重くてしかたのないまぶたを無理矢理おしあげると見なれた天井が見えた。 目をこすろうと手を動かす。 じゃり。という重い音がわたしの動きを遮る。 さーっと血の気がひいた。首をねじらせて上を見ると腕が鎖で固定されているのが分かる。 おまけに、裸だ。足首も固定されている。 すなわちわたしはこの見なれたカイレンの部屋のベッドのうえに、裸で、大の字で固定されているのだ。 「カイ・・・レン?」呆然と呟いた足下のほうで、影が立ち上がる。 ぎしりとベットが沈んで、カイレンがわたしを見下ろした。 いつものさわやかで清廉潔白なナイト様の顔などどこにもない。 エルヴァーンにしてはかわいらしい整った顔に不釣り合いな冷たい瞳。 「なにを・・・する」しびれが残っていて、上手くしゃべれない。 ふっと唇のはしをあげて、彼は答えない。 そのまま顔がおりてくるから、夢中で首をふって逃れる。 どうかしてる。どうしちゃったんだ。カイレン。 彼の手が乱暴にわたしの顎を掴む。動きを封じられてそのまま唇を吸われた。 食いちぎるかのような乱暴なキス。ぐいと舌が差し込まれてわたしの舌を巻き込もうとする。 ああ、そうだ。カイレンはいつもそうだった。わたしを求める時、彼のキスは狂暴性を帯びる。 そして、わたしはそのキスを引き金にメスになるのだ。 戦いに明け暮れる日々の中で、彼と抱き合う時だけがわたしが女でいていい時だった。 だ液が交換される。逃げまどうわたしの舌をカイレンは的確に追い詰める。 彼のからだがぴったりとわたしに寄り添う。 無惨に広げられた足の間に彼の猛ったものの感触。 長い指がふいにわたしの乳房をつかんだ。 本気だ。カイレンは本気だ。 「やめっ・・ろ」唇を振り切って懇願する。 せめて足だけでも動けば、急所を蹴りあげることが、できるのに。 四肢を固定されてなにもできないまま、唇を噛む。 先端をくいとつまみ上げられる。 「ひっ・・・」甘い感覚が背中を走る。自分の身体を、呪う。 すいっと彼の右手が動いてわたしの足の間へおろされた。身をこわばらせる。 「やだ!やめろ!カイレンッ!」 「やだ?」カイレンがはじめて口を開く。おもしろがるような響き。 彼の指がわたしの襞をおし開いてあっという間に核心へせまる。 そっと撫で上げられると腰が浮きそうになる。 「あいかわらず、かんじやすいね・・・濡れてるけど?」 彼の瞳がわたしを見下ろす。 「う・・・」 指が本格的に動きだす。心と裏腹にわきだす液体をすくっては塗こむように、 ころころと芯を転がされる。 「ああ・・いや・・・あ・・あ・・」 背中が弧を描く。 カイレンがわたしの首筋に唇をよせながらつぶやいた。 「きみは、俺のものだ。それを、わからせてあげるよ。」 背筋がぞくぞくとしたのが、恐怖からか、期待からか、それもわからない。 -------------------------------------------------------------------------------------- 俺がどれだけ苦しかったか分かるか。 俺がどれだけきみを愛していたか分かるか。 くだらない嫉妬だと、そう言ったね。 そう。くだらない嫉妬だよ。 きみがあの小僧と抱き合って喘ぐ、その幻想が俺から離れない。 どうかしてるとわかっていたさ。 きみを丸ごと俺のものにしたいと、そう願うことがどれだけ苦しいか。 そんなことは決してできないと、わかっているから。 それでもきみを抱いているその瞬間だけ、夢を見ることができる。 そんな俺を愚かだと思うの? 俺はそっとニナの足の間にうずくまった。 小作りな性器が、愛撫に濡れてひかっている。 指が複雑に折り重なった襞をやけに丁寧に左右におし開くと、赤くなった芯が頭をもたげた。 容赦なくその芯に舌を這わせた。 「いやぁぁぁぁ・・・・ああ・・う・・」 ニナの太ももが震えている。 しとどに液がわいてくるのを、すくいあげるようになめあげた。 くわえこむように唇ごと押し当てて口の中で芯をころがしてやる。 そのまま指を浅くくぐらせてざらざらとした熱くうねる内壁を擦る。 「あ・・はぁっ・・・ああああ・・・」 くり返せばニナの鍛えられた腰に絶えまなく痙攣が走る。 もっと、もっと感じたらいい。頭の芯が熱くなる。 そう、性欲は食欲に似ている。 きみをこのまま丸ごと食い尽くせたら、どんなにいいか。 せめて身体だけでいい。俺に、くれないか。 「カイッ!・・・カイレンッ!」 ニナが請うように名を呼んだ。絶頂が近い。 そう、俺の手で、きみはいつものぼり詰めるんだ。 ただ、夢中で舌と指をうごかした。 鋭い悲鳴とともにがくがくとニナのからだが跳ね上がる。 ひくひくと動く秘所から大量の液体が放出されて、カイレンの顔を濡らした。 顔を手早く拭って足首の戒めをといた。 もう抵抗はできないだろう。 くたりとのびた膝の裏から足を持ち上げてM字に開かせる。 あらわになった中心に、欲望をおし当てる。 ニナの固く閉じられた瞳から涙がこぼれた。 罪悪感とどうしようもない欲望とはげしい嗜虐心。 何も言えずに、すべてがないまぜになったまま、己を突き立てた。 ニナの身体がきしきしとやわらかくたわんで俺を受け止める。 猛り狂った俺の欲望が彼女の身体の中に飲み込まれる。 すでに一度達している中は恐ろしいほどに熱くて狭く、 潜りいっただけで、尾てい骨のあたりから快感がかけのぼる。 「ふっ・・あ・・あ・」 ニナがかき分けて打ち込まれる感覚に上体を反らして喘いだ。 両膝を肩におし当てるようにして、上からニナの身体にかぶさった。 こめかみに筋をひいて流れる涙をそっと指で拭った。 ニナの中が搾り取るように蠕動する。 その動きに答えるように欲望を吐き出したがる自分のものが勝手に痙攣するのを止めることは出来ない。 それでも。求めるのは、きみ。俺を、求めろ。昔、教えたように。 俺は鉄の意志で腰の動きを押さえ込んだ。 じっとニナを見下ろした。 俺は今、どんな顔をしているのだろう。 ぴたりと静止したままの俺をニナが下から潤んだ瞳で見上げた。 乱れている時のニナが好きだ。勝ち気な瞳が欲望に濡れて、俺を請うその瞬間が好きだ。 ニナはなにもいわなかった。瞳がぶつかるとまなざしがふわりと揺れた。 濡れた唇がふと開いて、逡巡してまた閉じられる。腰が、焦れたようにかすかに揺れた。 もう一息。ほんの少し焦らすように、中を抉るように動いてやる。 ふっと息を吐いてニナの瞳がまたぎゅっと閉じられた。 「・・・て」かすかな声。 「きこえない。」そう告げる声は我ながらあまり余裕がない。 「・・して。」ニナが瞳を閉じたままそう言った。 二人の身体の間で押しつぶされてやわらかくたわむ乳房に触れた。 先端が固く尖って手の中で踊る。 腰を引いた。ニナの中におさまっていたものがずるずると引き出され すぐにまた熱を恋しがって戻りたがる。 ぎりぎりまで引いたものを再び最奥まで打ち付けると ニナの身体中が歓喜で受け入れる。まとわりつく熱に押し上げられる。 ぞわぞわとした感覚がつぎつぎに背中から脳に駆け巡る。 止まれなくなるのは二人とも同じ。だから、黙って駆けのぼる。 「ああ・・・あっ・・・あっ・・」 鮮やかなニナのあえぎ声が俺を加速する。 腕の中の身体を揺らせば、かちゃかちゃと拘束する鎖が鳴る。 繋がった部分はもうすでにぐちゃぐちゃで熱い液が俺の太ももまで濡らしている。 とけてしまいそうだった。 せりあがりそうな感覚をいくども堪えて唇を吸った。 荒い息と湿った肌と濡れた瞳。 「あああああっ・・・!」 ニナが耐え切れないように声をあげた瞬間、 きゅきゅきゅきゅきゅとすさまじい勢いで締め付けられた。 限界だった。 きみがどんなふうに俺を求めているか、わかるか? そう、俺はおかしくなったんだ。戦士のきみを卑怯な手を使って力ずくで抱いている。 それでもいい。 きみは、俺のものだ。 「こんなふうに俺を求めるんだ、どこにも、いかせない。」 俺はそうささやいてニナの細い身体をだきしめて 目も眩むような快楽の海に飛び込んでいった。 -------------------------------------------------------------------------------------- カイレン エルヴァーン♂7b  ニナはご自由に。ヒュムでも、エルでも、ミスラでも。 ※人称ごちゃ混ぜとご指摘いただいたので小手先ですが修正。  ちょっとは読みやすくなると良いのですが。