<ある2人についての後日談> *********************************************** 「あー、俺たちの計画が全部パーになっちまったなー」 私の隣にいる、長年のパートナーは頭が悪い。今日もまた同じことを繰り返し繰り返し呟いている。 コイツのボキャブラリーの無さには、ほとほと呆れるばかりだ。だから黒魔道士の癖に、パッとしない、 詠唱時間は長すぎる、体力は無いし・・・ってこれは当たり前か。 私は背負った大剣の重みが倍になった様に感じるほど疲れてる。 そもそも、何故私たちがこんな石ばっかりの田舎町、バストゥークまで行かなきゃならないのか。 長年「お友達」付き合いしてやった貴族のお坊ちゃまの奇行をネタに、ゆすろうとして失敗。 ネタのご本人からの手痛いしっぺ返しと本国追放って処分までなされちゃってさ。まったくついてない。 「ジェイン姐さーん、ちょっと休みましょうよー」 そら、始まった。 ちょっと歩いては休み、またちょっと歩いては休み。こんな調子だから、疲れが取れないのよ・・・ 「カシム、ちょっと肩を揉んで。」 「はい、わっかりやしたー!」 私の命令には絶対逆らわない。まあ、頭が悪い分、この素直さがコイツの唯一の美点よね。 私より背が低くて、顔はイマイチで、魔法もそこそこしか使えない黒魔道士なんか、私にこうやって 相手にされてるだけ幸せなんでしょうね。まあ、絶世の美女が目をつけてやってるんだから、当然よ。 私より背が高くて、ちょっといい顔のお坊ちゃまで、腕の立つ暗黒騎士の・・・糞ムッカツク貴族野郎の 「ハインツ」より、断然、可愛げがあるってもんだわ!って何だかんだカシムのフォローをしている 場合じゃないんだけど。 「・・・姐さん? もう、今日は野宿でもしましょうよ」 さっきから呼んでたみたいだけど、ちっとも気が付かなかったわ。普段なら、ここでカシムを睨みつけて 「うるさい」と一声でコイツを諌めるんだけど、そうね、大分夜も更けたしこの辺でテントを張ろうか。 「さあて、カシム、今夜は朝まで勝負よ」 「い、いや、姐さん、今日は勘弁してください・・・」 「お黙り! アンタ、いつから私に盾突くようになったの」 「わ、わかった、分かりました、殴るのは勘弁してくださいよー」 景気つけに頬に一発お見舞いすると、コイツはヒィヒィいいながら小汚いローブを脱いで、大人しく横に 寝そべった。私はカシムの上に馬乗りになると、着ている物を脱いだ。そしてお得意の、ペロリと唇を舌 でワザとイヤらしく舐める仕草をした。さあ、この私の豊かな身体を満喫しなさい! 「んっ・・・くっ・・・」 「ホラ、我慢しないでイったら!?」 **** 連戦中 **** 「あはは、まだ3回目じゃない、ナニをそんなに萎えさせてんのよ」 **** 終了後 **** 6チェーン! ジェインの男枯らしの悪名が上がった! ふう。スッキリした。あら、もうこんな時間か。ちょっと、いつまで寝てるのよ、コイツ。 さっさと起きて、今日も歩くわよ。全く、頭が足らない上にだらしないんだから。早くなさい、殴るわよ! そして、1行目に戻る・・・ >ささいろに掲載した「闇に咲く花」の本編に出てきた 「意地悪そうな女騎士と頭の悪そうな背の低い黒魔道士」の後日談でした。  byるるる