「ねぇねぇ、ちょっと飲みすぎだよ。どうしたの?」 タルタルの少女が、心配そうに隣に座るエルヴァーンの青年の耳を軽く引っ張った。 青年は机の上に体を預けて、傍目から見ても相当に酔っていることがわかる。 彼は普段から酒を飲むようなタイプではない。それもあって、少女は余計に心配しているようだ。 「・・・いいから。お前ちょっとあっち行ってろ」 青年は酒の入ったグラスを持っていない方の手で、彼女をしっしっ、と追い払おうとする。 彼女はぷっくりした頬をさらに膨らませて怒った顔を見せた。 「いい加減にしなよ。何があったか知らないけどさ〜、体壊すからやめなよ」 普段から面倒見のいい彼女は、何かと人の事を心配する。 青年はここ最近少し様子がおかしくて、彼女はずっと気になっていたのだ。 青年はため息をつくと、勘定を置いて席を立った。 「お前、うるさいから帰る」 「あ、なんっかしつれーだなー、その言い方。・・・ね。だいじょうぶ? 帰れる?」 ちょっと怒ったような顔をしても本気で怒ってはいないようで、青年を見上げて心配そうな声をだす。 青年は返事もしないでおぼつかない足取りで店を出て行く。 彼女はあわてて自分も勘定を済ませると、椅子から飛び降りて彼の後を追う。 「ちょっと待ってよー。心配だから、送ってくってば」 青年はやはり返事をしない。 ちら、と一度彼女の方を見た後はもう、振り向きもしない。 彼女は彼の後をちょこちょこ追いかける。 青年の家は酒場からさほど遠くない。すぐに彼の部屋が見えてくる。 彼女は何か考えていたようだったが、意を決した様子で声をかける。 「・・・ね、ね。あのさ。私なんかじゃ頼りがい、ないかもしれないけどさ。何か悩み事があるんだったら、相談に乗るよ? ね。友達なんだからさ」 一生懸命そういうと、ふと、彼の足が止まる。 その隙に彼の前に走りこむと、首をかしげて青年を見上げて微笑む。 「ね?」 青年はしばらくその笑顔を眺めていたかと思うと、急に顔をそらして自分の頭をがしがしとかき混ぜる。 「・・・おまえさー・・・。 ・・・いや、やっぱいい」 何か言いかけて止める、という非常に気になる行動をされて、彼女はますます身を乗り出す。 「なになに? なんなのよー。ちゃんと言ってよー。なんでもちゃんと聞くからさー」 青年はさらに頭をがしがしとやったあと、不意にその手を止め小声でつぶやく。 「・・・もー、しらねー」 「え? なに? なんていったの?」 よく聞き取れなかった彼女はさらに身を乗り出すようにする。 その身体を青年の力強い腕がさっと抱えあげ、そのまま両腕で思いっきり抱きしめる。 「お前が好きだ」 「ひゃう」 耳元で囁かれて彼女は首をすくめる。 一瞬後に言葉の意味が頭に入ってきて、彼女は大いにうろたえた。 「ちょ、ちょっと、え? や、ちょっと待ってよ」 彼の分厚い胸板に小さな両手を踏ん張って、何とか彼との間に距離をとろうとするが、彼の腕の力には到底かなわなくて、少しも動けない。 「や、ねぇ。冗談やめてよ。おこるよ」 「なんで冗談なんだよ」 彼の低い声が耳元でするたびに首をすくめてしまいながら、彼女は何とか答える。 「だ、だって、あたし、知ってるよ。タルタルじゃない人からみたら、あたしなんて子供にしか見えないって。前、聞いたもん」 彼女の脳裏に苦い記憶がよみがえる。 かつて、ヒュームの男性に恋をした。 優しくて、いつも自分の事を心配してくれた。 大好きだったけれど、聞いてしまったのだ。その男性と男性の友人との会話を。 (あの子、お前のこと好きなんじゃねー? なんかいつも見てるぜ) (えー、勘弁してよ。タルタルなんてさ、子供にしかみえねーじゃん? ちっこい体でうろうろされると気になってしょうがないけど、女性としてなんて見れるわけないって) (あー、まぁ、それもそうだよなー。オレも無理) 男性が優しかったり心配してくれていたのは、私が小さな子供に見えるからだった。 タルタルじゃない人からはそういう風にしか見てもらえないんだ。 彼女の心に、痛みとともにその言葉が刻み込まれた。 「だからっ! エルヴァーンのあなたがあたしのことそんな風に思うはずないの!」 彼女は両手にさらに力を込める。 「・・・わかったよ。じゃ、証明してやるよ」 「え? な、なにを?」 青年は答えず、彼女を抱きしめたまま歩き始める。すぐに彼の部屋の前に着く。 「ね、ちょっと、下ろしてってば」 じたばた暴れる彼女の耳元に彼は口を近づける。 「だーめ」 「ひゃぅ」 きゅっ、と首をすくめる彼女を、彼は面白そうに眺める。 「おまえ、耳、弱いのな」 「や、なにすんの、ぁぅ」 言葉の途中で彼女の耳をぺろっとなめる。 それだけで、何も言えなくなってしまう彼女を見て彼は軽く笑う。 「なにって、いろいろするに決まってるだろ」 そして、そのまま彼女を部屋に連れ込んでしまった。 部屋に連れ込まれて、彼女の頭は最高に混乱していた。 文章にならない言葉の破片をいくつもこぼして混乱しまくっていた。 彼は彼女を抱きかかえたままベッドに腰掛ける。 「お前を、女として好きだってこと、証明してやるよ」 耳元でささやくと、そのまま彼女の耳の中に舌を差し入れる。 「や、あ、ちょっと待って・・・え?」 その瞬間、ようやく彼女の頭はこの事態を理解した。 「あ、や、やだーっ!」 力いっぱい彼の胸を押す。 びくともしないそれに必死で力を込める。 彼女はまだ女性として愛されたことはない。何よりも怖さが一番に押し寄せてくる。 「やだやだ、やだったらーっ!」 「・・・もうだめ。遅い」 彼は時間をかけて隅々まで彼女の耳をなめる。 だんだん両手に力が入らなくなってきて、彼女の恐怖感は増す。 耳の次は首筋、そして、唇に辿りつく。 彼は彼女の唇を自分のそれで覆い、両腕に力を込めて抱きしめる。 まだ何とか逃げようとする頭を押さえて、しっかり閉じているその唇を舌でこじ開けその内側をゆっくり味わう。 唇を重ねたまま、彼は彼女をベッドに横たえた。 上から覆いかぶさるようにしてまだしばらく味わってから彼はようやく唇を解放した。 彼女は涙目になって彼を見上げて小さく震えている。 長い耳もおびえるウサギのように垂れ下がってしまっている。 「お前、かわいい。ほんと、たまんない」 「やっ! やだってば。やめてよー。もうわかったから。ねぇ」 「何がわかったんだかねぇ」 そういうと、彼は彼女の服の下に手をもぐりこませる。 「やだ! やぁ! この酔っ払い! やめてってば!」 彼女はなんとかその手をどかそうと暴れるが、腕力でかなうはずもなく、全く思うようにはできない。 「酔ってるけど、俺本気だよ。だから、止めない」 再び彼女の唇をふさぐと、彼の手は彼女の服の下の肌を直になでさする。 他人の手に触れられたことのない肌はその感触にひどく驚く。 ゆっくりと彼は手を上のほうに進ませ、ようやく彼女の小さなふくらみに到達した。 彼の胸をぽかぽか殴っていた彼女の両手の動きが一瞬止まる。 今まで感じたことのない、しびれるような感覚が背筋を這い上がって、彼女はさらに動揺する。 「服がじゃまだな〜」 唇を離して彼はあっさりそういうと、彼女の服を脱がしにかかる。 必死で暴れる抵抗むなしく、簡単に彼女の服は脱がされてしまった。 両手で身体を隠そうとするのを許さず、彼は彼女の両手をつかんで、ぐい、と押し広げた。 小さな胸をあらわにされて彼女の顔が真っ赤にそまる。 彼は少し意地悪な微笑を向けた後、彼女の胸に顔を寄せた。小さな突起を唇で覆い、舌でやさしく転がす。 「ひゃ! あ、あ、やめて、やぁ・・・」 背筋を這い上がる甘い感覚のせいで声にも力が入らない。 抵抗する力が弱くなったのをみて、彼は片手を離し、彼女の胸のもう一つの突起を刺激する。 「やぁ!」 彼女の息が荒くなって、嫌がる声にも艶が混じる。 もはや、彼女の身体は全く彼女の思うとおりには動かなかった。 彼の舌が彼女の身体のいたるところを這う。 脇を通り、足の先へ、そして、そこから内股を這い上がる。 彼女は脚を閉じてそれを妨げようとするが、力の入らない両脚は、彼の手で大きく開かれてしまった。 あらわにされた彼女の中心はわずかに湿り気を帯びていた。 彼はそこに音を立てて軽くキスをする。彼女の全身がびくっと震える。 「感じてるな。・・・もっと感じてよ」 そう囁くと、彼は舌で彼女の花芯をとらえる。 「あああっ!」 それまでよりもずっと強い刺激に、彼女の頭が一瞬真っ白になる。 次の瞬間、身体の中に入り込んできた長い指の感触にさらにわけがわからなくなる。 身体の中をかき回されて、次第に何か追い上げるような感覚が迫ってくる。 「や・・・だ、や、なんか、へん、や、も、やめてぇ・・・」 その声に彼はさらに指の動きを激しくする。 「や! あ、あ、あぅっ!」 一声悲鳴を上げると、彼女の身体がびく、びく、と痙攣した。 蜜のあふれる入り口からゆっくり指を抜き取ると、彼は満足そうに身体を起こして、自分の服を脱いだ。 すでにしっかりと膨張していた彼自身を彼女の入り口に押し当てる。 完全に放心状態だった彼女がその感触で我に返り、逃げるように腰を動かすが、彼はしっかりと足を捕まえて逃さない。 そして、そのまま彼女の中に押し入った。 「や、いやああ!」 泣き声をあげるのもかまわずに身体を押し進め、根元まで彼女に沈み込ませると、彼はためていた息を吐いた。 身体の中に差し込まれた大きな質量の違和感に、彼女は言葉もなくあえいでぽろぽろと涙をこぼす。 その涙に、罪悪感とともに倒錯した感情が呼び起こされ、彼はさらに興奮してしまう。 「動くよ」 告げると、彼女はぷるぷると首を横に振る。 それを無視して彼は彼女の身体を抱きすくめると腰を動かし始めた。 はじめはゆっくりと、徐々に動きは激しくなっていく。 一度達した後の彼女の中は弛緩しているが、十分に狭く、彼を締め付ける。 敏感になっている彼女の身体は、彼の与える刺激で再び快感を呼び起こされる。 耳元でもれる彼の声にも追い上げられて、彼女は小さく喘ぎ声を上げる。 「・・・う、あ、もぅ・・・出る」 「や・・・、だめぇ」 かすかな反抗と抵抗を受けるが、彼の我慢は限界だった。 一際強く彼女を突き上げると、彼は彼女の中に熱いものを放った。 荒い息を吐きながら、彼女から自分自身を抜き去ると、彼はそのままベッドに倒れこみ、彼女を抱きかかえて眠ってしまった。  次の日、真っ青になったエルヴァーンの青年がおろおろしながらタルタルの少女の後をついて歩くという、非常に珍しい光景が見られたとか・・・。