3人はお互いの背をカバーしつつ、死線を奪回しようとしてる。 「くそ、オークどもめ」 額から血を流し、肩に流れ矢を受けている姿があってももはや誰も癒してくれない。 「敵も5匹がかりだと余裕なよう様子ね」 背後の一片を守るエルヴァーンの白魔道士が問い返してくれた。 現状は最悪だ、3人の周りを取り囲む5匹のオークはそれぞれ5方から攻撃体制に入り、 その中の3匹の弓兵は弓をゆっくり構えた状態にある、おまけに魔道士のMPは尽きている。 「生きて帰る、3人で生きて帰ろうね」 背後のもう1片を守る赤魔道士のタルタルからも返答がくる、生きて帰れるかなど もはや不可能かもしれないのに……。 「そら!」 威勢よい声が元気な証拠を示すかのように力いっぱい大剣を一振りすると弓兵の胸元の肉をかすり斬った。 額に食らった傷のせいなのか理性がなくなったせいなのか一瞬のうっすらとした意識の中で オークが怯んだところを間髪入れずに溜まったTPをハードスラッシュとして打ち込む。 ……3,4秒後、はっきりと意識が戻ると敵は首筋の切口から血を流し絶命の証として倒れこむ姿があった。 大剣を構えの状態に戻すとオークの血が剣の上を流れ落ちていく様子が見られ 次を敵を探していると矢が飛んできてとっさにその方角に身を向けた。 「その1匹やったら出口へ走るよ!!」 赤魔道士の声がし、そして 「なんとか生きて帰れるかもね」 と言う彼女の目の前にも弓兵が立っており、両手持ちの棍で攻撃を防ぎつつも服は敵の短剣で切られ血が流れていた。 「おkとっとと始末しよう、しんがりするから2人は逃げてくれ」 「ちょっと、死ぬ気?」 と考えをめぐらした白魔道士が仲間の姿を按ずる。 「まさか、生きて帰るさ」 後ろのもう一方では赤魔道士のタルタルが剣士2匹相手に奮戦しているのが確認できた。余裕をかましていたオークも仲間1人殺られた事もあって本気を出してきたようだ。 彼がそして彼女が敵を倒すまで無事であるよう祈りつつ俺は目標のオークに切りかかっていった。 -------------------------------------------------------------------------------- あぷろだの名無しタン