「かんぱーい!」キュリリがテーブルの上にのって何度目になるのか分からない乾杯の音頭をとっている。 まわりには知らないパーティの面々も集まってさながらちょっとした宴会だった。 ここはサンドリア港。 リリ達一行はもうすぐ、最終ミッションの為にここサンドリアから一路、雪に閉ざされた北の地へ向かう。 共に戦う6人目となるパーティメンバーを探しつつ、ミッション遂行のための準備を進める日々だ。 今回のミッションはおそろしく危険だ。 同じミッションを受けて帰ってこなかったパーティの数は星の数にものぼる。 もちろんリーダーであるオリルが、自分達の戦力を冷静に見極めた上でいけると踏んで受けてきたミッションだから、 決して自信がないわけではないけれど、それでも5人とも今までにない程の緊張感をもってその令を受けた。 だからいまは、戦いの前のわずかな安息の日々ということになる。 5人はサンドリアにモグハウスを借り、(実家がサンドリアにあるオルネバンだけは実家に戻っている) 日が高いうちは、ミッション遂行の為に必要な各薬物、防具、武器、食料、資金等々の調達と 最終メンバーの選定を個々で分担して、夕方近くに港にあるこの酒場で一日の首尾を報告すると言う日々を送ってる。 2週間後に出発はせまっていた。 もうだいぶ夜もふけてきた。 とっくに報告会は終わっていつものように単なる酒盛りへと姿が変わってだいぶたつ。 むりやりキュリリにカーズナをかけられながら飲まされていたオリルも とうの昔につぶれて椅子の上でうつぶせにくったりと寝てる。(オリル、酒弱い) 遊び相手をなくしたキュリリが歓声を受けながらテーブルの上でぴょこぴょこと踊ってる。(キュリリ、酒強い) リリは無気力にテーブルの上にぐにゃりと上半身をのばしていた。 意識はあるようだが、耳が力なくたれさがっている。 そう酒に弱くもないリリをここまでつぶしたのはフェイ。 今夜はたくらみが、あるから。 「本気かよ?!」オルネバンが驚いた様子でフェイに問う。 「しっ!」フェイがオルネバンの首をぐっとひきよせて 喧噪からすこしはなれたすみのカウンターに移動すると、こそこそと話しはじめた。 「前に・・俺言ったろ?だから、もし・・あんたが望むなら・・」 オルネバンが目を丸くする。「そりゃ・・やりてえけど・・」 本気だなんて思わないから、軽口をたたくようにそう返す。 「俺たち、もうすぐ終わりかもしれないだろ?・・いや死ぬとかそんなんじゃなくたって ミッションが終われば辺境行きの飛空挺が就航するまでしばらくパーティは解散だ。 だから・・・リリだって嫌じゃないと思う。」 なのに、いつもより饒舌になったフェイがその内容に似つかわしくない程、 真剣に続けるから、オルネバンもつられてつい真剣な顔になる。 「あんたさ、フェリシアに手だしてないんだろ?」 「だしてねーよ。」 なんとなくそのことをフェイに指摘されるのが気に入らなくて、ちょっとむくれて答えた。 フェリシア。 いまのところ6人目のメンバーとしてもっとも有力なエルヴァーンの赤魔道士。 もうはた目に見ててもまるわかり、その手のことにめっぽう鈍いリリにさえ分かるような エルヴァーンには珍しい、あけっぴろげな明るさでオルネバンに好意をよせている。 「なんでさ?さっさとくっちまうと思ってたのに。」笑いながらフェイが言う。 「ああいう女、苦手だ。」 「そんなことねーだろ。ずいぶん熱心にオリルに推薦してたじゃん。 だいいち前のあんたなら苦手とか思うより先にさっさとやっちまってただろうに。」 せっかくの強がりも、皮肉っぽい笑いと共に、あっという間にうちけされるから。 オルネバンはだまって空になったジョッキに酒をついだ。 「なあ、もしももういちどリリを抱けたら、諦められるか?」 そして、オルネバンが予想したように、フェイはそう呟いた。 「よけいなお世話だよ。」そう答える。 「俺たちがこうならなければ、オルネバンはきっとすんなり、フェリシアのところへいってたと思うんだ。 ・・リリもいってた。」 ちょっとだけ黙って、そして、覚悟したようにフェイが続ける。 「忘れるために、終わりにするためにするセックスだってあるぜ?」 俺より3つも下のこのクソ生意気な男にそんなこと言われる筋合いなんて全然ないんだが。 だけどそのとおりだから。おれを縛り付けるこの鎖はリリが愛を知った時に 皮肉にも俺も知ってしまった愛の、その代償。 知ってしまったから、フェリシアの思いが本気なら本気な程、俺は彼女を簡単に受け入れることができない。 これじゃだめだと、わかっていても。 こんなアホみたいに真面目なの、俺らしくないってわかっているのに。 「わかった。」しばらく考えてから答える。「のった。」 というわけでオルネバンは一足先にフェイのモグハウスにいた。 「最初からは無理だから、俺がリリを戻れないところまでやるから、そしたら。」 フェイの作戦は確かに的確だった。 リリの性格上、正常な判断力がある状態では、断固として拒否するに決まっている。 「悔しいけど・・リリのためでもあるんだ。」 あいつ、いまでもあんたを傷つけたことで、自分を責めてる。 そういったフェイの横顔はほんとうに複雑そうで、オルネバンは言葉を失った。 フェイはオリルとキュリリを送ってから戻ると言う。 その間に部屋に入っていろと。 部屋に入ってもオルネバンは迷っていた。 自信がない。正しいことのような、確実に正しくないことのような。 まいったな・・・。本気で困りながらうろうろと暗い部屋を歩き回る。 準備のいいことにモグにもヒマをだしたのか、部屋には誰もいなかった。 まあ、気付かれたらそれはそれでいい、やけくそのようにそう思ってベッドから一番遠い角の椅子に腰をおろす。 光はとどかないだろう。この角までは。 めんどくさい、この身体も欲望も心もよけいなもののように思えて このまま闇にとけてしまいたいと、そう思った。 ドアが乱暴に開く気配。 開くと同時に重みのあるものが壁にぶつかる音と衝撃。 「ちょっ、フェイ・・」リリの掠れ声。 抗議の声なんだろうが誘っているようにしか聞こえないところがすごい。 酔いも手伝ってうつらうつらしていたオルネバンの全身の神経が飛び起きた。 闇の中ドアのすぐ隣で影が二つ重なっている。 壁際にリリを押し付けるようにフェイが覆いかぶさっている。 「んっ・・・う・・・っはあ・・・」 湿った息遣い。リリが身に付けていたクロークの留め金を外しながら フェイは唇を離すことなく、リリを巧みにベッドの方へ誘導する。 一瞬フェイが確認するように部屋の角に視線を走らせた。 暗闇の中でオルネバンの視線とフェイの視線が交錯した一瞬、ふたりは同時に腹を括った。 背徳の、共有。欲望を解放する、共に堕ちるその覚悟。 ふたりの身体が重なったままベッドに落ちる。 リリの白い肌。フェイが窓のカーテンをあけたため、満月の光が部屋に満ちる。 オルネバンの足下ではかったようにその光が歩みをとめた。 「フェイ?どした??なん・・か・・あっ・・ああ・・ん」 いくらか酔いが抜けているらしい、リリがやけにいつもより荒々しいフェイの愛撫をいぶかしがる。 そんな隙を与えないように。 リリは、オルネバンと寝る。きっと、これから、俺の目の前で。この身体を、開く。そのフェイの嫉妬。 リリが、俺の目の前で他の男と肌をあわせて、あえいでいる。フェイをうけいれる。 オルネバンは視線を外すことができなかった。その不思議な恍惚。 リリだけが気付かない。気付く間もなく追い立てられる。 フェイは唇を離さない。両の乳房はとうにさらされてフェイの手のひらの中で形をかえる。 まぶたに、ひたいに、ほほに、首筋に、雨のように唇を落としては再び唇へ。 いつもこんなとき照れ隠しなのかうるさいくらい饒舌な男なのに、今夜のフェイはなにも、しゃべらない。 リリの戸惑いもなすすべもなく押し寄せる波にさらわれていく。 首筋を掠めて、舌で鎖骨をえぐり、両手の中でたしかな感触を返しはじめた赤いつぼみをなぶるように口に含む。 「はぁ・・ん・・・あ・・」 リリの濡れた唇から絶えまなく甘い声があがる。 主を失って冷えていた部屋がリリの吐息で湿りを帯びる。あたたかくなる。 オルネバンの身体が、フェイの身体が、そしてリリの身体が、加速度的に熱くなる。 月の光をあびて逆光になってからみ合う二人は、不思議なオブジェににていた。 フェイが両手を乳房に残したまま、頭の位置を下げていく。 リリの端正なフォルムの顎があがっている。半身がアーチを描くようにそりかえって、また沈む。 オルネバンはそっとたちあがった。 「そんな声で、なくんだな。」 とつぜん頭上からおりてくるきき慣れた低い声。驚愕に目をあければアイスブルーの瞳。 「なっ!ど・・して?オルネ・・・」 フェイは反応しない。ちらとオルネバンを見ると、 何ごともなかったかのように半身を起こすとリリの両足を高く持ち上げて 黙ったままリリのクウィスとハイブーツをぬがす。 そのまま自分も手早く裸になってリリの足首に舌を這わす。 「え?・・・あっ・・なんで?」 そういってかわいらしくもさんざん嬲られた乳房を隠そうとする両の手をすばやくとらえて。 「だいじょうぶ、俺たちのこと、信じられるだろ?」 自分でも驚くくらい、やさしい声でオルネバンはそう囁くと、半身を起こしかけたリリの後ろに素早くすべりこんだ。 リリの香り。朝靄に煙る森の木々のにおいに似ている、優しい香り。 狼狽しているりりの顎を後ろからつかんで一瞬髪の中に鼻っつらを突っ込んでその香りを堪能したあと オルネバンはリリの唇をとらえた。 舌でかるく押してやるとリリの唇は簡単に陥落する。 半開きの唇から口腔の中に舌を侵入させながら、オルネバンは上着を脱いだ。 フェイの舌が足首から徐々に上にあがってくる。彼の両手でがっちりと足が固定されている。 オルネバンの両手が後ろから優しく乳房を包む。 リリの身体を知り尽くした男たちの前に、リリの頭は判断力を失う。 快楽の海がポッカリと口をあけているのが見えた。 償い?罰?こんなに甘い、こんなに恐ろしい、これが罰? 見たこともない場所へ、おいたてられて、何もかも失って、身一つでひきずりだされる、その恐怖と恍惚。 リリは余りにも無力だった。 フェイの指が秘所をおしひらく。さらされたことのない粘膜が空気を感じて蠢く。 すぐにそこに暖かい湿った器官が押し当てられる。 「ああっ・・・・はぁっ・・あ・・・あ・・う・・」 強烈すぎる刺激に必死に逃れようとする腰をオルネバンの両脚がおさえつける。 オルネバンが唇を離してくれないから、 せりあがってくる息の行き場がなくて苦しくて、涙が滲む。 「・・苦しい?」そういって唇を離したオルネバンとリリの間にだらしなく幾筋もの糸がひかれる。 リリの腰のあたりに熱くて固い感触。 ちゅぷ・・・ フェイが頭を伏せているところからいやらしい、音。頭の芯が焼けそうになる。 無遠慮に体内にまで侵入しようとするフェイの舌。 腰が、がくがくする。なにもかもが制御を失う。リリはいやいやをするように首をふった。 「や・・・あぁ・・・あ・・・いや・・・んはぁ・・」 自分の胸の上でだらしなく涙を、よだれをたれながして懇願するリリが壮絶に艶っぽくて オルネバンの背筋を戦慄に近い感覚が走り抜ける。 「な、フェイの舌、気持ちイイ?」ぴくぴくうごく耳にくちづけを落としながら、ささやいてやる。 もっと、もっと見せてほしくて。 「もっとしてほしい?リリやらしいな。」そういって乳房をまさぐっていた両手を電光石火で引き降ろす。 オルネバンの指が一瞬だけうるみを確かめるように掠める。 「すっげーな。こんなぬれてる。・・・ほら、もっとやりやすくしてあげな。」 そういうとオルネバンがリリの太ももをつかんでひいた。 脚がだらしなく大きく広げられて、衝撃で腰がずるりと前に動く。 「あ・・あ・・やぁ・・ひぁ・・・」 動いた拍子にフェイのだ液とリリの液体がまじりあって腰へと流れる。 「やっ・・あ・・・いっちゃ・・あああ・・」 フェイが指をリリの体内に押し入れた。そのままかき回すようにうごかす。 「いっちゃう?」くくくっと耳もとで意地の悪い声。 「フェイ、いっちゃうって。」オルネバンの声にくぐもった声でフェイが答える。 「いいよ。」 「いいってよ。」オルネバンはそういうとリリの耳を優しく噛んで 乳房の先端を強くつまみあげた。 「あああっ・・はっ・・ああっ・・」 リリがひときわ高く声をあげたのと、リリを抱きとめていたオルネバンがリリの身体が 激しく跳ね上がるのを感じたのは同時だった。 たすけて、だれか。おちる。おぼれる。この手をつかんで。だれか。 わたし、どうしちゃったの? 震え続ける子宮があさましく満たしてくれとさけぶ。 圧倒的な感覚の前にすべてのことが指の隙間から滑り落ちていく。 リリは海の中で喘ぎながら焦点のあわない瞳をあけた。 ひくひくと動き続けるリリのそこをそっと指の腹でなでながら フェイがリリの顔を覗き込む。 「リリ、リリ、ほしい?」そう問いかける。 「リリ、フェイのほしい?」同調するようにクスクス笑うオルネバンの声が重なる。 ほしい。みたして。わたしの空洞を満たして。わたしの、わたしの愛しい男達。 なにも入り込むことのできないように。罪も、孤独も、恐怖も、なにも。 声も出せなくて、かくかくと頭をふる。 「ちゃんと、言いな。フェイの欲しいですって。」オルネバンが意地悪くいう。 「フェイの・・・ほしい・・です。」絞り出すように答える。もうなにもない。こわいことなんてない。 フェイが微笑んだように見えた。気のせいかもしれない。唇を吸われた。 待ちかねたように、みしみしとフェイがリリの中に入ってくる。 はじめて真近で見るその光景に、オルネバンの咽がこくりと鳴った。 リリの身体の中心がフェイを丸ごとくわえこむ。 くたりとオルネバンの胸に頭を預けたまま、リリの身体が柔らかくたわんでフェイを受け入れる。 深く、深く。 一度達した身体はすぐさますべての感覚をとりもどし、またリリをひきずりこもうとする。 「ううっ・・くる・・し・・きつっ・・・」フェイがリリの腰を抱いてそういう。 フェイが身体をひけば内臓ごと引きずり出される。 フェイが身体をすすめれば器官がすべて彼にまとわりついてはなれない。 目をあいているのかとじているのかもわからない。ちかちかする。 「すっげ、きもちよさそ。」オルネバンが圧倒されたようにぼんやり呟く。 「う・・るせ。」フェイはそういって快感に潤んだ瞳でオルネバンを睨むと、 リリの頬を優しくたたいていった。 「リリ、オルネバンの、くわえて。」 仰せのままに。 ほとんど無意識に身体をひねるとオルネバンの着衣をひきずりおろし リリは赤黒く猛ったそれをくわえこんだ。 からだがぶつかる音。リリの舌の音。 フェイの吐息とオルネバンの吐息。 リリの腰が高くあがってフェイを受け入れる。 しなやかな細いしっぽがフェイの首に巻き付こうと蠢く。 もろともに引きずり込むように。 下半身からかけのぼる快感に耐えながら、オルネバンは愛しあう二人を見ていた。 艶かしく腰をうごめかすリリを見ていた。 今いる場所は俺が望んで望んで、行き着くことのできなかった場所。 これが最後の幻。渇望しても手にすることができなくて、目をそらした、その場所。 今日までの俺を、この、この場所に葬って俺は進まなきゃいけない。 誰かは誰かの為に。誰かの孤独をいやすために。 俺は、フェイの孤独もリリの孤独も、癒せないんだから。 「リリ?」その唇からときに苦しげに声を漏らしながら、一心に俺をなめまわすリリの頬にそっとふれて。 「リリ、幸せか?」ただ、そうきいた。 返事はなかった。這い回っていた舌がぴたっととまって、だけど唇を離すことなく、 波にゆられながら、リリは泣いていた。瞳だけで。声もださずに。 むき出しの脚の上にぽつんぽつんとリリの涙が落ちた。 俺はそっとリリの頭を持ち上げて、どうしようもなくて唇を吸って、そっと身体を離した。 フェイがこくっとうなづいてリリを抱きとめる。 フェイの下で涙を流しながら快感に喘ぐリリの髪をオルネバンは優しく撫でていた。 フェイがリリの涙を舌ですくってそっとくちづけた。 やがてリリが上体を弓のようにそらし、細い声を漏らして、その時、フェイは鋭くリリの名前を呼んだ。 「あんたも、やんなよ。」くたりとリリの上で身体を弛緩させていたフェイがいった。 オルネバンは黙っていた。どうしたらいいか、わからなかったから。 「リリの為にも、してやんな。」 そういってフェイは身体を起こすとリリを抱き起こした。 「俺のあとで・・いやじゃなければ・・」 そっとリリの頬を触る。上気した頬が暖かく湿っている。 リリがのろのろと瞳をあけて、焦点のあわないままはずかしげに微笑んで言った。 「オルネバンが、ちゃんとわたしを抱いてくれるのは、きっとはじめてだ。」と。 胸がいっぱいで。 「そう・・だな。それできっと、最後だ。」そうかえすと、リリはかすかにうなずいた。 「それで、・・・いい。」 さっきまでと全く逆にフェイが後ろからリリを抱きかかえる。 オルネバンがリリにそっとくちづけながら、身体を重ねる。 なんどもなんども、抱いた身体。だけど一度も、開けなかった心。 「んはぁ・・・・あ・・・は・・」リリが眉根をよせて、声を漏らしてオルネバンをうけいれる。 「きつ・・・」息を漏らしてリリの脚をかかえて、オルネバンは動きだす。 フェイは自分の胸の上でがくがくとゆらされるリリと 切なげにリリの脚をさすりながら腰を動かすオルネバンを見ながら不思議な感情を味わっていた。 これはまるで立会人だ。もしくは証人。 見届けるために。幸せな別れを、幸せな終焉と、幸せな再生を。 見届けるためにここにいるような、そんな気分だった。 もちろん自分の愛する女が他の男に与えられる快感に喘ぐ姿を見る そのことはフェイの暗い官能を刺激する行為ではあったけれど。 「リリ、気持ちいいの?」 頬をなでてやりながらそう問いかけるとリリがくふんと鼻をならす。 その答えにオルネバンが愛おしそうにほんのすこし、微笑む。 ふーん、こいつ、こんな顔もするんだ。少し意外に思う。妬ましく思う。 フェイは手をのばす。二人が繋がっているその部分に。 リリの一番敏感なつぼみをそっとこすりあげる。 「ああっ・・・あ・・だめ・・」 リリの身体がぴくんとはねあがる。 「フェイ・・よけーな・・ことすんなって・・」 締め付けがきびしくなるのだろう。オルネバンがあえぐように言う。 なんだかいじわるな気持ちになって無視して手を動かした。 「はぁっ・・あ・・・あ・・・あん・・」 リリの腰が、もはや無意識なのだろう、オルネバンをもっと深く取り込もうと蠢く。 「う・・・く・・・」 オルネバンの端正な顔が歪んだ。 リリ、ほんとうにこれが、最後。俺達、これで明日から純粋な戦友に戻る。 お前になら背中を預けられる。それはこれからもずっと変わらない。 俺の剣はお前に捧げる。フェイがその拳を、お前に捧げたように。 さよなら。たぶん、愛してた。 口になんかださない。それはルール違反だから。 だから心の中でそう思いながら、オルネバンはリリの中で最後の精を放った。