「体、まだ冷えてるだろ。・・うちで休んでいけよ」 サイレスは、居住区の門の前でウェルに声を掛けた。 「え、、お邪魔じゃないの?」 「サンドリアティーもあるし。」 なおも手招きをされて、ウェルはとことことサイレスの部屋へ入った。 サイレスとウィルは、ともにバストゥーク出身のヒュームである。 知り合って長く立つが、いわゆる『つき合い』始めたのはごく最近のことだ。 ウィルが彼の部屋に上がり込むのも初めてのことである。 「うわ、つめてぇ・・・ビショビショだ」 サイレスがパッパッと鎧を脱ぐ。ウィルのローブも、吹雪の溶けた水を吸って重くなっていた。 「これ」 ウィルの目の前に、青いタオルが差し出された。小さく「ありがとう」と言って、体を拭き始める。 「火の近くに乾しとけよ」 「うん」 全て言われたとおりにすると、ウィルはベッドの側に腰掛けた。 サイレスは、暖炉をつつきながらぼそぼそと喋り始めた。 「・・・なんで、はじめ、行こうとしなかったの」 「ん?・・ああ、鏡の池に?」 「うん」 「だって私、行ったことなかったから。。二人とも場所知らないと危ないから。迷惑かけちゃ いけないから・・他の、詳しい人を誘った方がいいかって」 ウィルは、ティーカップのスプーンをもじもじと回しながら俯いた。 実際は、持っていた地図を見ながら大したロスもなくスムーズにたどり着いている。 「・・・・・・!!」 「ごっごめんなさい・・・」 言い終わる前に、サイレスは防御の構えを取ったウィルを容赦のない力強さで抱きしめた。 「なんでそうなんだよ」 「痛・・・」 身体中の骨が砕かれそうだ。ウィルの息がハッハッと荒くなる。 「お前と行きたくて誘ったのに」 「・・・・・・」 太い腕がゆるんだ。 「俺と居たくないの?」 「そんなことないよ・・」 「だったら」 「でも、迷惑 「でもとか言うな。だってとか。もっとわがまま言えよ・・・」 「・・・・・・」 「一緒にいたいんだ。」 「・・・・・・・・・・うん・・・」 「好きだ、ウィル・・なんでそんなに遠いんだよ・・・」 「ありがとう。・・あっあのね、嫌われたくなかったの。なるべく面倒掛けたくなかったの。 私、ちょっとLV低いし、自分だけじゃ練習相手にならない敵も倒せないし」 再び腕に力を込めた後、サイレスは少しウィルの体を離した。じっと見る。 おそるおそる見上げるウィルと目が合ったとき、サイレスはウィルと唇を合わせた。 今度は力はこもっていない。ただ離したくないという風だ。 ウィルの肩の力も抜けていった。 チュッチュッと吸われるその優しさに、ウィルもやっと勇気を出した。 いったん離れて、すぐサイレスの体にしがみつく。 「あのね・・・私もサイレスのことが好き。」 「そうか」 「本当は、一番近くにいたい。」 「いいって言ってるだろ・・」 再び、キス。髪を撫で、背中に降りるサイレスのごつごつした手のひらがたまらなく心地良い。 だからウィルはもっともっと勇気を振り絞った。 「・・・・・・・・・・・・いっぱい触っても良い?」 「・・・・・・・・いいよ」 すでにタオルは取り払われている。かすかに盛り上がった胸板に、確かめるように そっと手を触れるウィルとは比較にならない勢いで、サイレスはウィルの体をいとおしみ始めた。