「拷問の地下室」 地下は静かだった。外の音も一切聞こえず、その無音が耳に痛かった。 アンナはまだ自分がここにいる事を認めたくなかった。パルゴが罪も無い子供を人質にとり、 脅迫してくるなど想像もしていなかった…。そして、私もアゼルという頼もしい仲間が出来たという事で それに対抗すべく策を考えないまま有耶無耶にしていた。だから今ここにいる。 ひんやりとした地下の風に乗りほんのり匂う鉄のような血の匂い。これから始まるで あろう出来事が容易に想像ついていた。 少しの時間が経った頃、複数の人との足音が聞こえた。そして、予想通り部屋へ屈強な兵士 を連れたパルゴが入ってくる。 「ようこそ、こちらへいらして戴けた事、深く感謝致します。」 パルゴは深々と礼をすると、四人の兵士に合図を送り、アンナの手足を一本一本壁 に繋ぎ止めている鎖を外させた。そして、部下達はアンナが暴れない様にしっかり と押さえ付けている。彼女は、パルゴの顔を真直ぐに睨み付けた。彼女も近衛騎士の端くれ である。隙あらば何人を相手にしようとも戦うつもりであった。だが、パルゴにも部下 にも隙らしい隙はない。 「貴方が……我々に有益な情報をくれれば、手荒な真似はしない……。以前そうお伝え しましたよね?けれども貴方はその途中話す間もなく助け手を得て逃てしまわれた。 ……。あの後考えたのですよ。貴方がその気なら、私は徹底的に貴方とサンドリアを我が手 に屈させよう……とね。」 パルゴは腕を組み、彼女の周りをぐるぐるまわりながら彼女の鍛えられて美しいその身 体を舐める様に眺めた。その嫌らしい視線を受ける中、アンナは騎士らしい毅然と した態度でその言葉を受ける。 つづく 出演アンナ:エル♀ パルゴ:ヒュム♂ アゼル:エル♂