その時だった。 ふいに窓の外から聞き慣れた声がしたのは。 「じゃ、また明日・・・。」 「ご苦労様です。ロバートさん。」 マスターだ!! 多分クリスにも聞こえていただろう。私と同時にベッドの上で飛び上がる。 「ヤバ・・・帰ってきた〜・・・!」 彼女は慌ててベッドから起き上がると、床に散らばった服を拾い集めた。 「わわっ・・・どうしよう・・・。」 服を着ている時間はなさそうだ。かといって女が二人裸でベッドに・・・なんて所を見たら マスター倒れちゃうんじゃないだろうか? 「えっと・・・えっと・・・あぁ!そうだ!」 「どしよ・・・?」 「私お風呂借りに来た事に・・・する!」 「な、ナイス!」 「んで、ミズキはシャツだけ着てベッドに潜ってて?」 「う、うん・・・」 「んで、ロビィが寝入った頃に服着ちゃえば・・・ね?」 「ラジャー!」 クリスはバスルームに飛び込むと、慌てたようにシャワーをひねった。 シャツだけを着て、私は毛布を直して寝たふりをする。 3秒後にドアが小さくノックされた。 「は、はぁい・・・」 ドアが開いてマスターが部屋に入ってきた。 「あ、起こしてすまない・・・。」 「う、ううん。まだ眠ってたわけじゃないし・・・。」 「そうか。・・・ん?」 マスターの視線の先を見ると、ベッドの傍らに私が脱いだ物が落ちている。 「だらしのない・・・。」 「あわわ・・・えっとごめんなさい・・・。」 私はそれを拾って丸めると、毛布の中に隠した。 「で?こんな時間まで誰が・・・?」 マスターは振り向きもせず親指をバスルームのほうに向けた。 クリスったら、わざとらしく鼻歌なんか歌っている。 「いえ、あの・・・クリスさんが・・・部屋のシャワーの・・・お湯が出ないらしくって、貸してほしいって・・・」 マスターの肩越しにそっと見ると、ちゃんと聞こえていたらしく、『ナイス言い訳!』 とばかりに、ガラス越しにクリスがVサインを出しているシルエットが見えた。 「それならそうと・・・フロントに・・・。」 マスターは溜め息をつくと、OPから預かってきたらしい資料をテーブルの上に載せて ベッドの上に腰を下ろした。 「でも、こんな時間だし・・・、それに昼間汗かいただろうし・・・シャワー浴びたいだろうなぁーって。」 「わかったわかった。」 チャ、とバスルームのドアが開いてクリスが出てくる。でも真っ裸。 「タオルぅ〜、かしてぇ〜。」 「あひゃ・・・!」 「こら!馬鹿!隠すとかなんとか・・・」 「だってぇ・・・タオルなーい!」 「お前というやつは・・・」 マスターは頭を抱えながら立ち上がると、クロゼットの扉を開けて、クリスのほうを見ないように バスタオルを差し出した。困ったように、チラっと私の顔を見る。 「あー、照れてる照れてる〜」 「なに言って・・・バカ・・・」 「抱いてもいいのよ?ウフーン。」 クリスはふざけたように両手を広げた。 「全く・・・!用事が済んだら帰れ!」 「なによぅ!冷たいんだからぁ!」 「冷たくない!」 「じゃ、ミズキもいる事だしぃ・・・3Pしちゃう?」 マスターの鉄拳がクリスの頭に落ちる。しかしクリスはひらりとそれをかわした。 「ミズキに変な事教えるんじゃない!」 「相変わらず頭硬いんだから。」 「いいか?ミズキに変な事したら・・・」 「変な事ってなーにかしらぁ?ふふ〜ん?」 すいませんしました。しかも今さっきです。 「もういい。用事が済んだら帰れ。ほらほらほら。」 「まだ服きてなーぃ!」 「帰った帰った。ほらほらほら・・・。」 マスターの手がクリスの背中をぐいぐい押す。 「まだだったら!」 「ほらほらほらほらほら・・・。」 「わ、わかったーっつうの!」 「ほらほらほらほらほらほら・・・。」 「もぅ!・・・じゃミズキ〜。また遊ぼうねぇ〜。」 クリスはドアの隙間から、ひらひらと手だけ振って追い出されて行った。 「ふい〜・・・」 結局なんだか眠れなくなって、シャワーを浴びて出てくると、マスターはランプをつけて 本を読んでいた。テーブルの傍らにルームサービスで取り寄せたのか、お酒の入ったグラスが置いてある。 「まだ寝ないの?マスター」 私が声を掛けると、マスターはちらっと私を見て、再び視線を本に戻した。 なんだろう・・・ものすごく不機嫌っぽい・・・。 「ミズキ」 「はぁい?」 私がベッドに座って振り返ると、マスターは本を机の上において、ベッドを跨ぐようにして 私の向かい側に腰を下ろした。 なんだかすごく・・・。すごーーーーく怒っているみたい・・・。 「ミズキ」 「は、はい・・・」 「正直に答えなさい。」 「え?な、なにを・・・?」 私はなにもかも全て見透かされているような気がして、一瞬ビクっとした。 ランプの明かりに照らされて、マスターの銀色の目が怖い光を放っているようで。 「これはなにかな?ミズキ君。」 そう言って、マスターが指先でつまんでぶらさげたものは・・・。 「や、やだぁ!ばかぁ!」 私のショーツ。しかもさっき脱いだやつ・・・。 私はそれを慌てて奪回しようとしたが、マスターの手がひらりとそれをかわした。 「いや!返して!私のパンツ!」 「なんでこんなものがここに落ちているんだ?」 「それは・・・お風呂にはいろうって思って・・・だから!」 「それからこの瓶はなんでしょうか?ミズキ君。」 「げっ・・・!」 さっきクリスが使った小瓶がマスターの手にあった。 「どういうことだ?」 マスター・・・目が怖いよ・・・。 「それは・・・えっとぉ・・・」 私はパジャマの裾をつまんでモジモジした。 なんかきっとバレてるとは思う。思うけど・・・。 「ん?」 「あの・・・その・・・えっと・・・」 なんだか恥ずかしくて消えてしまいたい・・・。 「だって・・・その・・・」 鼻の奥がつーんと痛くなって、涙が出てきた。 「クリスと・・・なにかあったんだな?」 「う、うん・・・」 私はクスン、と鼻を鳴らした。 きっとバレてる。マスターはきっと私を軽蔑するだろう・・・。もう一緒にいられないかも知れない・・・。 そう思うと、涙がポタポタと膝の上に落ちた。 「ミズキ・・・」 「ご、ごめんにゃさひ・・・」 涙が溢れて上手く言えない。 マスターは深く溜め息をついた。 「ご、ごめん・・・なさひ・・・。でも・・・クリス優しくしてくれたし、その・・・」 「お前はまだ・・・子供だ。」 そう言われて、私の中で何かが勢い良く弾けた。 「子供じゃない!もう・・・そんな子供じゃないもん!」 「お前はわかってない。」 「わかってないのはマスターのほうじゃない!」 私は思いっきり立ち上がると、マスターを睨み付けた。 「お前のほうだ。」 「マスターよ!」 マスターもベッドから立ち上がった。私よりずっと背が高いから、私はマスターの顔を下から 見上げるような格好になった。 「私がなにをわかっていないって?!」 「子供扱いしないでよ!」 「子供を子供と言ってなにが悪い!お前はまだ魔法だってろくに覚えて・・・」 「それがなに?!私だって一生懸命がんばってるんだよ!」 「生意気を言うな!」 「なにさ!」 「ミズキ・・・」 マスターの体が震えているのがわかる。わたしは今までそこまでマスターを怒らせた事なかった。 でも・・・。 「わからずや!」 「ミズキ・・・!」 「なにさ!いつもいつもそうやって・・・怖い顔すれば私が大人しくなると思ったら大間違いよ!」 「落ち着きなさい。ほら、座って。」 マスターが私の肩を掴んで、強引にベッドの上に座らせようとする。 「さーわんないでぇ!」 「ミズキ!」 私が暴れたせいで、マスターの手が私のシャツのボタンに引っかかった。 勢いついたまま振り払ったせいか、ボタンが飛んで、パジャマの前が開いてしまった。 「あ・・・!」 「ご、ごめん・・・!」 私はパジャマの前が大全開になるのを黙って眺めていた。 「ごめん、ミズキ・・・その・・・」 マスターは慌てたようにシーツを取って、私の胸を隠そうとした。 「すまない・・・その、勢いで・・・ワザとじゃないんだ・・・。」 マスターは申し訳なさそうに目を伏せた。 「ちゃんと見てよ!」 「ミズキ・・・」 私はシーツを投げ捨てて、両手でシャツの胸元を開いた。 「見てってば!」 けれどマスターは視線を落としたまま、ベッドに腰を下ろしていた。 「ちゃんと見なさいよ!これでも子供だっていうの?」 「いや・・・すまなかった・・・」 「ちゃんと見てっていってるでしょ!」 「・・・・・・」 マスターはちらりと私の胸を見た。しかしすぐにどこか痛いような顔をして目をそむけた。 「クリスはちゃんと見てくれたよ?私の・・・全部」 「ミズキ・・・」 「マスターは?なぜ見てくれないの?」 「私は・・・」 「悲しい・・・私、受け入れられてないんじゃないかって・・・ずっと思ってたよ・・・?」 「ミズキ・・・?」 「だってそうじゃない?いつだって私はマスターの後をちょこちょこついてくだけで・・・」 「・・・・・・」 「しょうがなかったから?私がマスターに連れていってくれって言ったから?」 「私は・・・」 「あのまま放り出したら、私は娼館に連れていかれていたから?」 「ち、違・・・」 「そのほうが私幸せだったのかな・・・?」 「ミズキ・・・」 「冒険者になりたいって思ったのは、マスターと一緒にいたかったからだよ?少しでもマスターの 役に立てればいいな、って・・・。そう思ったから・・・。だから・・・!」 マスターは立ち上がると、両手で私の頬を包むようにして、じっと私の目をみつめた。 「私、マスターが好き。だからずっと傍にいたい・・・」 ふいに、マスターの顔が近づいてきた。 と、思った瞬間まるで噛み付くような激しいキスで、私の唇はふさがれた。 「・・・んッ!」 骨が折れるかと思うほど強く抱きしめられて、一瞬眩暈がした。 「待って・・・!いやッ!く、苦しい・・・!」 ぎゅぅっと抱きしめられて、私は彼の腕の中で身をよじった。 「いや・・・!待って・・・!おねが・・・い!」 マスターは私をベッドの上に組み敷くと、用をなさなくなったシャツを左右に開いて 両手で私の胸を掴んだ。再び唇を塞がれる。 まるで唇も舌も噛み切られてしまうんじゃないかって思うくらい激しいキス。 マスターの両手が私の胸を揉みしだいて、彼は私の乳首を口に含んだ。 強く吸われて、体の奥がズキン・・・と痛みに似た感覚に突き上げられる。 「いや・・・!やめ・・・て、おねが・・・い!」 「子供じゃないんだろう?」 ハッと目を開くと、マスターの顔がすぐ近くにあった。獣みたいな火がその奥に燃えている。 マスターは、半ば強引に私のショーツを脱がすと、私の膝を思い切り左右に開いた。 クリスの時とは全然違う・・・。 すごく荒々しくて・・・。これがいつもの優しいマスターなの・・・? まるで私の知らない人みたいで・・・。 マスターは私の足を開いたまま、膝を胸に押し付けるようにして私の体をくの字に折り曲げた。 「いやぁ・・・」 私の恥ずかしい所が、彼の目の前に拡げられているのが分かる。 きっと奥まで丸見えになっちゃってるんだ・・・。 そう思うとまた体の奥がズキズキとうずくような感覚に襲われた。 マスターの指先が、私のソコを左右に押し開く。 「いやぁ・・・、見ないで・・・」 「キレイだ・・・。ミズキのここ・・・」 「だめぇ!見ちゃ・・・いやぁ!」 剥き出しみたいにされたそこを、彼の舌がちらりと這う。 「あッ!・・・んぅッ!」 膣口から、一番敏感なクリトリスまでを、マスターの舌が丁寧に愛撫してくれる。 「はぁッ!・・・んッ!あぁ・・・いや・・・!」 私は体の奥をずきずき刺激する熱い塊に耐えながら、大きく身を反らせた。 「だめぇ!ダメなの・・・そんなにしちゃ・・・いやぁッ!」 マスターの指が私の中に差し込まれて、ゆっくりと掻き回される。 お腹の奥のズキズキする部分を指先で押し広げられて、私は夢中で声をあげた。 舌で丁寧にクリトリスを愛撫され、中を掻き回される感触で、頭の奥が真っ白になる。 「もう・・・許してぇ・・・!このままじゃ・・・あぁッ!」 いい終わらないうちに、私は絶頂を迎えた。 恥ずかしいくらい腰をくねらせたまま、ビクンビクンと痙攣してしまう。 「だめぇ!い、いっちゃうッ・・・!あぁああッ!!」 お漏らししちゃったんじゃないか、と思うくらい、アソコがカーッと熱くなった。 「はぁ・・・はぁ・・・あぁ・・・」 「キレイだ・・・ミズキ・・・」 マスターがそう言って、私のこめかみにキスをした。 「私・・・もう・・・」 「まだだよ、ミズキ。もっとミズキの可愛い所みせて?」 「もう・・・だめぇ・・・」 「・・・ほら」 半身を起こされて目を開けると、マスターは自分の下着を脱ぎ捨てた。 見たことがなかった下半身が露わになると、大きく上を向いた彼のペニスがあって マスターはそれを私の前に突き出した。 「ほら・・・見てごらん。ミズキが可愛くていやらしい姿を見せるから、ここがもうこんなに・・・」 「あぁ・・・マスター・・・」 「私にも同じようにしてごらん・・・」 「うん・・・」 私は口を開けると、彼の先端を含んだ。嫌じゃなかった。むしろそうしたくてたまらなくなって夢中でそれを頬張った。 「あぁ・・・」 マスターは溜め息をつくと、私の髪を優しく撫でてくれた。 「足を開いてごらん?さっきみたいに・・・」 「んぅ・・・」 あそこに、冷んやりとした感触がした。 さっきクリスが使った薬。 受け入れるのに、痛くないようにって言ってた。 奥のほうまで塗りつけているのか、マスターの指が私の奥のほうをゆっくりと掻き回している。 「はぁ・・・あぁ・・・」 お腹の奥がすぐにかっと熱くなってくる。私は我慢できなくなって、お尻をもじもじさせた。 「気持ちいい?」 「うん・・・。お腹の奥のほうがズキズキするの・・・」 「ほら・・・自分で開いてごらん。」 「あぁ・・・」 私はまるで見せ付けるように、両手であそこを開いた。マスターに愛撫されたおかげで膣口がすんなりと開く。 彼がペニスの先端をそこにあてがって、ゆっくり腰を進めると、また私のそこがカっと熱くなった。 「愛しているよ、ミズキ・・・」 「マスター・・・」 マスターの唇が下りてくる。私は彼の背中に両手を回して彼の唇を貪った。 私の膣口はすぐに彼のペニスを受け入れられなくて、私は両手で彼の体にしがみついた。 「んぅッ・・・あぁぁッ!」 一杯に押し拡げられた感触と、熱が体の奥まで伝わってくる。 「ミズキ・・・あぁ・・・」 彼は辛抱強く私の中を何度も探るようにして、ゆっくりと押し広げた。 「あ・・・いやッ!あぁぁッ!」 お腹の奥にあったずきずきする疼きに、直接彼のペニスが届いたような感触がして私は思わず声をあげた。 「ミズキ・・・」 「いやぁ!だめぇ・・・!そこ・・・壊れちゃう!」 彼が深い溜め息をついて動き始めると、私は自分のからだが繋がった部分から裏返しにされてしまうような カンジがして、夢中で彼の体にしがみついた。 「だめぇ・・・!もっと優しくして・・・!あぁ・・・おねが・・・い。」 「ごめん。少しだけ我慢して・・・」 「マスター!あぁッ・・・!」 繋がった部分が熱くて、私は彼の体にしがみついて声を上げた。 やがてマスターが小さく声をあげると、私の体の奥に熱いものが迸るのを感じた。 「はぁ・・・はぁ・・・あ・・・」 マスターの体が私の上に降りてくる。 「マスター・・・」 「ごめ・・・ん。我慢できなくて・・・」 「マスタぁ〜・・・。」 ふいにこみ上げてくるものがあって、私は思い切り泣き出してしまった。 「ごめん・・・。」 「ぐすっ・・・。こ、こわかった・・・。こわかったよぅ・・・。」 「ミズキ・・・。」 マスターの手が私の髪を優しく撫でてくれる。 「愛してるよ、ミズキ・・・。」 マスターは、私の涙が止まるまで、ずっと私の体を抱きしめてくれた。 「隊長〜〜〜〜〜〜〜〜!サレコウベげっとしまちた〜〜〜!」 いきなりそう叫ぶ声がして、バーン!とドアが開く。 「よなべした甲斐があったってもんですなぁ〜〜〜!」 私はベッドの上で跳ね上がった。そして当然横に寝ていたマスターも・・・。 「うお?!」 ドアを開け放ったまま、クリスが目を丸くする。 「あわわ・・・。」 私は自分が裸だった事に気がついて、慌てて胸まで毛布を引き上げた。 「アヒャー!もしかしてもしかすると?」 「う・・・うぅ・・・」 顔が赤くなっていくのがわかる。 「やーん、私ってば不粋だったかしら〜?」 そう言ってクリスは後ろに手を組んで体をくねくねさせた。 「お前なぁ・・・。ノックくらいちゃんと・・・。」 マスターは頭を抱えた。 「あ、私の事は気にしないでぇ〜、続けて続けて。」 「なにをだ!」 「あ、ダイジョーブ、私の事は気にしなくていいから!」 「気にしなくてって、オイ・・・」 「ほら、私は愛する二人を生暖かく見つめる係だから〜」 「そんな係はいらん!」 「とぅ!」 クリスはぴょんとジャンプすると、私とマスターの間に飛び込んできた。 「こら!バカ・・・!あいたた・・・」 「ふふ〜。」 私を見ると、にんまりとした笑顔になる。 「こら!どけ、お前・・・」 「アタシのミズキを泣かせたら承知しないよ〜?」 「な、泣かすか!バカ。」 「いいこと?この通りの融通きかないヤツだから。なんかあったら言うのよ?」 そう言ってクリスはマスターの耳をきゅっと引っ張った。 「あいたたた・・・」 「ちゃんとしてよね?ね?『兄さん』ねー?」 「わかっってる・・・。」 「に、兄さん?!」 「おーいえーす。」 「し、知らなかった・・・。妹だったんだ・・・。」 「ま、まぁ・・・一応。認めたくないんだが・・・。」 なんだか呆気に取られて、私はただポカンとしていた。 「サレコウベ取りに行ってたから・・・ね、ねむぅい・・・。」 クリスは枕に顔を埋めると、あっという間に眠ってしまった。 「こんなのが妹ってのが、私の人生の最大の汚点だな。」 真顔でいうマスターがなんだかおかしくて、私は思わずお腹を抱えて笑ってしまった。 窓越しに見えるセルビナの青空に太陽が燦々と輝いていた。 おしまい