蜂蜜はお好き?  小さい体の見た目が子供のような女が、今倒した蜂が落とした蜂蜜を指ですくって舐め た。  甘いと言って幸せそうに笑っている。 「甘いか? お前甘いの好きだよな」  すらりとした長身の男が女の横に座り込んで、じっと女を見た。  本当に幸せそうで、何となくこちらまでほんわかしそうな笑顔で女がこくこくとうなづ いた。  女が男の恋人となって体も重ねるようになって、1ヶ月ほど経とうとしていた。  ずっと女を見てきて、その行動は狙っているわけではないということはわかるのだが、 女の指を舐める姿を見るとついつい妙な感覚に陥ってしまう。  …男は実はこの姿が見たくて、蜂の巣のかけらを探すという名目で女を連れ出している のだが、それは女には内緒だ。 「んー、おいしい」 「お前、食うの下手くそだな。ほら、口元まだついてる」 「うわ、やだ、ちょっと待ってね」  いつもならば、女は自分が用意している布で口元を拭くのだが、男がすっと顔を 近づけて、女の口元を舐めた。  女がびっくりして男を見上げている。  男はぐいっと女を引き寄せて、さらに女の甘い口元を舐めた。 「ちょ、待って、待っ… んっ」 「お前、甘い」  その小さな口に舌を差し入れ、女の口に残る蜂蜜を味わった。 「ふ、あ」  こういうことを彼女にするのは初めてなのだが、男はその甘さに頭の中が溶けてしまい そうだ。 「甘いな」  女が耳まで赤くなって、今まで見た事のないような顔をしている。  それが恥ずかしいのか、女はすっと手で自分の顔を隠してうつむいた。 「そんなことをすると、もっと舐めるぞ」  その、さっきまで蜂蜜をすくっていた手を強引に取って、くすくすと笑いながら男が 女の手を丁寧に舐める。女はまだ顔を見られたくないのかうつむいたままだ。 「まだこんなに蜜を残して…。顔をべたべたにして、どうするつもりだ、ん?」  蟻に食われるぞ、と耳元でささやくと、女がひゃぁっと小さく叫んで肩をすくめた。 「こっち向けよ」  強引に男が女の顎を上に向けて、顔中を舐めた。黒い鼻を軽く噛む。  耳まで赤く、その小さな手まで赤くなった彼女の口に、男は蜂蜜をつけた自分の指を あてがった。 「舐めて」  いやいや、と首を横に振る彼女の口に強引に指を入れて、口の中をゆっくりと犯すよう に舌と指を絡ませる。  蜂蜜を女の舌に塗り終えて指を抜くと、蜂蜜とも女の唾液ともつかない液体が糸を引いた。  その指で女の唇をなぞってみる。 「やめ… なに、やだ、怖い」 「ん、こんなのは嫌か? でもやめないよ」  男が耳元で囁くたびに女は肩をすくめて、震えながら涙目になる。  女は耳が弱い。それを見て男は女の耳を口に含んで、長い耳をもてあそぶ。 「や、あ」  女の膝が震えている。男が意地悪そうな表情で背中に回した腕を緩めると、女は男の膝 にしりもちをつくような形でぺたんと崩れた。 「嫌なら逃げればいいよ」  女がその言葉に反応して男を見上げる。  今にも泣きそうで、逃げ出してしまいそうなその表情が、さらに男の火をつけた。 「逃げれれば、だけど」  さっきよりもずっと強い力で女を抱き寄せて、男は強引にキスをした。  誰かがやってくる音が遠くから聞こえてくる。  女もその方向を気にして、不安そうな顔でそちらを向いた。  男は女にキスをしながら女を抱き上げ、荷物を持ってその音の方向の反対側の岩陰に入 りこんだ。  案の定、こちらに人が来たが、2人には気づかず通り過ぎていく。 「助けを呼ぶか? ほら、もっと抵抗しないと食っちまうぞ」  男は女の首筋にゆっくりと舌を這わせた。  女は相変わらず震えているが、少しずつ彼女の肌に熱が入っていくのがわかる。  女が弱い力でほんの少し抵抗した。とん、とん、と男の胸を叩く。 「弱いなぁ、お前。 本当に嫌なのか?」  精一杯の震えた声で、女が男に言った。 「こんなのやだ」 「聞こえん」  男の即答に女はもう一度抵抗の意を表す。 「やめて」 「遅いよ、もう止まらん」  片手で女を逃げないように抱き寄せながら、もう片方の手で荷物から夜を越すための毛 布を取り出し、地面にひく。  そこに女を横たわらせて、男はのしかかった。 「私、こんなの嫌、嫌なんだからぁ」  もう一度抵抗の言葉を女が口にする。 「ねえ、それ、わかって言ってるの? 俺、お前のこういう態度が燃えるんだけど」  あっ、という顔をして女は男を見上げた。男はニヤリ、と相変わらず意地悪そうに笑っ て 女の服を脱がし、強引に女の舌を自分の舌と絡めた。  女の熱い息が、口元から漏れた。 ふあ、と蜂蜜の甘い香りがする。  まだ少し蜂蜜の味が残った甘い舌で、男は丹念に女の体を舐める。  女はその舌と、男の長くてしなやかな指に翻弄されてしまいそうになる。しかしそれで も女は意地でも声を上げるものかと、歯を食いしばっていた。 「声、出せばいいのに。 他の奴らに聞かせろよ」 「…っ」  そっと下着越しに秘所を触ると、しっとりと湿っている。女が弱弱しく、そこを触るの を拒否しているが 「そのうち、そう我慢もできなくなるだろうけどね」 と男がつぶやき、力ずくで最後の1枚を取り払った。  男が女の秘所を覗き込むと、女は小さく やめて、見ないで とつぶやいた。  女の蜜壷は、やはり蜜であふれていて男を刺激した。 「甘そう」 「やだ、やぁ」  ぴちゃ、と音を立てて男が女の蜜を舐める。小さな花芯を女の蜜を絡めた指で優しくい じると、そこで女が喘ぎ声をたまらず漏らした。 「いい子にしてろって。 痛いの嫌だろう?」  男がぐっと蜜壷に舌を入れると、小さかった女の声が大きくなる。それを聞いて、男は 指を女の壷に入れた。1本、2本と本数を増やしていく。  そのたびに女はのげぞり、壷の中がまるで違うもののようにうごめき、指に絡んでくる。 「いつも以上にお前のアソコすごいな。 入れるぞ」  嬉しそうに言って、十分に蜜が滴る女の壷に男が入り込む。 「ひあ あ あ あ」  男が腰を動かして女の体に打ち付けるたびに、女が短く喘ぎ声を上げた。 「もう誰もいないぞ、もっと声上げろよ」  ぎゅうぎゅうと締め付けてくる女の蜜壷に、男自身も声を上げそうになりながらそう言 った。  女の中は熱くて狭く、気を抜くと一瞬で溶けてしまいそうなくらいだ。  女の体が震えだし、蜜壷が一層男を締め付けて、女が悲鳴に近い声を上げる。 「うわ、すご…っ」  女が頂点を迎えると同時に、男がうめいて女の中で自分を解放する。  女の顔が緩やかになり、体がくったりとして彼女の意識が遠のいていくのがわかる。  男は女から体を引き抜いて、布でお互いの汚れた部分をきれいにふき取ったあと、女を 抱きかかえて毛布を体に巻きつけて岩にもたれかかった。  しばらくうとうととした後に目を覚ますと、女がじっとこちらを覗き込んでいた。 「ああ、起きてたか」  女が無言で男の頬に手を伸ばし、ぎゅーっとつまむ。  (あー、怒らせちゃったかな。怒った顔もかわいいけどな。  こいつはこうなったら長く尾を引くから、謝った者勝ちだな。)  そう男は判断して、女の目を見て言った。 「いた、いたた。 ごめん、ごめんって、ここで求めた俺が悪かった」 「がっつきすぎ!」 「蜂蜜を舐めるところが、ついつい、ね」  ぷーっと膨れる女の頬に優しくキスをして、男は耳元で囁いた。 「でもお前も結局最後は喜んでたじゃん。 このお返しは、蜂蜜1ダースで」  女の顔が一気に赤くなって、パーンと乾いた音が辺りに響いた。