鍵が開く。
ドアが開く。
牢の格子が開く。
また、竜崎が来る。
そう思って目を開けると今日は食事用のワゴンを引きずって竜崎が入ってきた。
よく見るといつものようなピリピリとした緊張感が無い。
「夜神くん」
檻の入口で声を掛けてくる。
「お茶です」
月は吃驚した。
最初の夜以来竜崎はいつも勝手にやってきては手酷く抱いて、泣かせて帰って行くだけだった。
ひどい場合には事後のシャワーすらない。
竜崎は月の傍に座ると顔を両手でふわりと包んだ。
啄むように顔中にキスしていく。
「おい…何だ」
口を開いた月の唇を軽く挟んで噛む。
うなじに長い指を回し額と額を付き合わせると黒々とした瞳が覗き込んでくる。
「何…って何です」
「いつもと違うじゃないか」
言った月の顔にまたキスし始める。
「いつもの方が好きですか」
甘ったるい息が香る。
月は黙り込んだ。
好きとか関係ない。
だが、変に刺激しない方が良い。
それにキスがひどく心地良い。
竜崎は立ち上がり紅茶を注いだ。
牢に似つかわしくない紅茶の香りが立ちこめる。
更に砂糖を五つも入れると口に含んで月に口付けしてくる。
「…ん…」
喉を焼けるような甘い紅茶が滑り落ちる。
竜崎は白いチョコレートを摘み一つ口に入れると、月の顔を両手で挟み口移しで押し込んできた。
されるがままに口に入れ噛んで溶かすとうっすらと甘く強いミルクの香りがする。
竜崎はベッドに蹲ると月をじっと凝視した。
月はやや緊張しながらも飲み下した。
しばらく奇妙な沈黙が場を支配した。
カップからふわふわと白い湯気が上がる。
竜崎はふとベッドを降りると又紅茶を口移しで月に与えた。
すっかり鳥の雛のような行為を受け入れ、月は全て口移しで与えられた。
そのまま並んで座るとしばらく沈黙する。
竜崎はベッドに蹲って爪をがりがりと囓り部屋の隅を見つめている。
「竜崎」
少しやつれた横顔に月は声をかけた。
竜崎が振り向いた。
あいかわらず穴が開くほど凝視してくる。
「変だろ。竜崎」
「何がです。普通ですよ。いつもセックスすると思ってるんですか」
視線を又部屋の隅に戻す。
月は黙った。
同じ部屋の隅をぼんやり見る。
ふと、ベッドが軋る音がした。
竜崎がじりじりと寄ってくると、見下ろして座った月の顔を抱え込んだ。
唇を重ね、舌を差し込んでくる。
「んっ…ふ、…ぐ」
歯列の外側をなぞり、歯の間に差し込まれた長い舌で内側を舐め取るように探られる。
竜崎は唇を離した。
唇の間に糸を引く。
「舌絡めて」
「おい……ん…」
月が喋ろうとすると涎が垂れた。
蠢く舌が月の舌を探り当てる。
月は胸の奥がぞくぞくとした。
刺激で段々と頭が一杯になっていくのが分かる。
舌を絡められ、吸い上げられる。
竜崎が唇を離した。月は目を潤ませて息を吐いた。
キスで濡れた唇を舐められる。
「竜崎…、変だぞ…舌噛んでたらどうなったと思うんだ」
竜崎は答えなかった。
「今日は恋人みたいにしてあげますよ」
体と手錠の間にタオルを挟まれ、固いベッドに押し倒される。
また顔にキスされる。
耳の形をなぞるように唇で刺激され、舌先が擽っていく。
「んっ…あ…」
月の背を甘い電流が駆ける。
軽く外耳を噛むと、溝に暖かい舌が差し込まれクチュクチュと耳の穴を刺激される。
段々と月の体全体が熱く火照ってくる。
胸がはだけられると、竜崎が乳首を回すように舐めた。
「や…ぁっ……っん」
月は喉を仰け反らせ甘えるように細く呻いた。
いつもより優しい刺激で体の奥が何かが燃えるように疼く。
「可愛いですよ」
囁くと次第に刺激をきつくしていき、乳首を甘く噛んだ。
「あっ…」
白い指がくすぐるように滑らかに月の肌を撫で回すと固くなった月の茎を服の上から握った。
軽く握りこむと上下に揺すぶる。
月は目を閉じ卑猥な喘ぎ声を上げた。
服と下着が下ろされ屹立した性器が外気に晒される。
ゆるゆると先走り汁を指で塗りニチャニチャと粘液を遊ぶように弄る。
月は腰をひくつかせた。
「あっ…りゅ、竜崎、お前変、だぞ…」
「我慢してください…酷くされたいんですか」
ぎゅっと茎を握る。
「あ…」
甘く息を吐くと、羞恥に月は横を向いた。
頬が桃色に染まって、ひどく艶めかしい。
竜崎は屹立した茎を口に含み柔らかく舐め始めた。
根元から何度も舐め上げて、裏筋で下を蠢かし銜えこむと強く吸って放す。
散々弄って出そうになると、放置して焦らした。
「気持ち良いですか」
訊いてくる竜崎に恥ずかしそうに頷くと、腰に竜崎の指が差し込まれた。
「っ…ふ」
ぬめぬめと潤滑剤を広げながら孔を馴染ませていく。
焦らすようにゆっくりと広げて中の感じる部分に指を当て優しく押し解す。
月はびくびくと痙攣し射精した。
いきり立つ茎から白い液が飛び黒い服に落ちた。
くるくると器用に汚れた部分を丸めると、シャツを脱ぎ月を横向きにして抱いた。
猛る下半身を孔に押し当てるとゆっくりと押し入れる。
「あっ…く…」
入口だけをめくるように刺激され快楽の声を漏らす。
「入れますよ」
腰を摘まれ、すんすんと振動するように突かれる。
喉の奥から湧き出るような喘ぎ声が止まらない。
「あっ…あぁっ……ん」
俯せになると腰を高く持ち上げられ入口を指で弄られる。
「やぁっ……あ、あ…」
そのまま膝立ちになった竜崎にずぶずぶと突かれる。
竜崎は一旦怒張を抜くとベッドに座った。
「乗ってください」
転がった月に言う。
這うように動くと竜崎に支えられ膝に乗せられる。
孔に怒張がぐりぐりと差し込まれる。
「あっ…あ…」
すっかり押し込むと月の乳首を摘んで、先を練るように転がす。
月は上を向いた茎からだらりと白濁を垂らした。
苛まれ弄られる乳首の刺激で、ダラダラと漏れるように精液を吐き出す。
「可愛いです、月くん」
乳首の先に爪を立てると振動させた。
月の体が跳ね、また茎から液が漏れる。
「…やっ…あ…も…だめ」
「ダメですか」
「あっ……ん…やめ…」
竜崎は月の下から突き上げ、練り回すように腰を蠢かせると痙攣し月の中に精を吐いた。びくびくと密着した肌を伝って竜崎の情欲が月の孔に注ぎ込まれる。
そのまましばらく動けない月を抱きしめ、首や耳にキスをする。
髪や肌を撫でる手が心地よい。
「竜崎……」
「何です」
「お前、ほんとに変だ…」
竜崎は月を放した。
ベッドに月を寝かせると、紙ナプキンで二人の汚れた部分を拭って行く。
「私は普通ですよ」
あくまでも優しい手つきで汚れを拭くと、淡々と言う。
「だって、今日、優しいだろ…」
「私、優しいですよ?勘違いしないで下さい」
ワゴンを片づけ、移動用の車椅子に抱き上げる。
シャワーの最中も壊れ物を触るように月を洗う。
大きな手の平のふわふわとした愛撫のような刺激に又興奮するのを抑えられない。
「また勃ってます…」
「…竜崎が…」
月は真っ赤になった。
竜崎はリンスを月の茎に塗りつけた。
くちゅくちゅと扱く。
「あっ…んっ…いいよ、やめ…」
「いいです。出して。今日くらいは優しくさせて下さい」
手でいやらしく陰茎を扱きながら月の濡れたピンク色の耳に口付けた。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::おわり::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::






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