頑丈な檻の格子が開いた。
Lが転がる月を見下ろす。
「月くん、何か最近変じゃないですか」
「何がだ。僕はキラじゃないって言ってるだろ。それだけだ」
竜崎は乱暴に胸ぐらを掴むと床に座らせベッドに背を押しつけた。
「それが変だって言うんです」
苦しげに月の顔が歪む。
「あなたとカメラ越しに会話をしていた、あの瞬間から…」
「だから…僕はキラじゃない…」
言い返せば竜崎が余計に苛々するのが分かっていながら何度も言い返してしまう。
大きな手が頭の上の髪の毛を抜けるかと思うほど掴んで引っ張った。
「痛っ」
月は痛みになかば中腰になり目の前に竜崎の顔が来た。
「どうしても、否定するんですね?・・・では体に、聞きます」
今や冷酷さと残酷さしか感じられない黒い双眸が月を見据えた。
月の服を掴むと力任せにベッドに引き上げる。
「何だ?拷問か」
恐怖を押し殺して訊く月には答えず、竜崎は白いシャツを脱いだ。
薄い筋肉の浮いた白すぎる体が現れる。
首だけを起こしていた月にのしかかり、小さく軋む音を立てて固いベッドに押し
つける。
背中の手錠が食い込んで月は顔を顰めた。
嫌な予感が泡のように胸を塞いでいく。
「体に聞くといったら、分かりそうなものですが…」
言いながら服の上から指でやわやわと乳首をまさぐると、抓り上げた。
「ひっ」
服を捲り胸を露出させると、舌を乳首に這わせる。
唇で強く吸っては放し、ざらざらと性急に舐め回す。
「…んっ、あ、やめろ…」
反対側の乳首をきつく摘みぐりぐりと回す。
月はそれでも性感を刺激され局部に血が集まっていくのが分かった。
竜崎は歯を押し当てて乳首を舐めると、首筋に顔を埋め喉元に噛み付いた。
「う…」
月は顔を歪ませる。
ぎりぎりと赤い歯形を付けると竜崎は月を見下ろした。
「このまま噛み切りたいくらいです」
「……随分、感情的なんだな」
月は恐怖と痛みを抑え、睨み返した。
「ええ、どう見えるか知りませんが苛々してます」
声と顔だけはいつものように飄々と平静さを保っている。
発せられる言葉だけが今の凶暴さと釣り合っていた。
竜崎は月の腰からズボンと下着を下ろした。
剥き出しになった下半身の茎を強く握る。
「あっ…」
竜崎はポケットから片刃の剃刀を取り出した。
「ひ…っ…」
月の顔に恐怖が走った。
萎えそうになる月の茎を上下に扱く。
「ふ…そんなに良い顔しないで下さい…剃るだけです。
下手にあなたが動けば私の気が変わるかもしれませんが…」
月が恐怖に硬直するのを確認すると、竜崎は器用に下半身に剃刀を当てた。
薄い羽が触れる感触とじゃりじゃりという音と、浅い息使いだけが響く。
竜崎はあらかた剃ると剃刀をケースにしまって檻の外に放り出した。
去勢の恐怖に萎えた月の茎を握ると口に含み舐め始める。
「んっ…あ、っん」
敏感に月の体が跳ねる。
竜崎は腰を力ずくで押さえつけると根元を握り顔を前後にピストンさせた。
「っひ、あ……っ」
ふっと息を飲むと月は竜崎の口の中に射精してしまった。
竜崎はだらりと白濁を口から垂らしながら、月の顔によじ登ると月に口づけをした。
「んっ…ふ、あ…う・・・ぐ、がは」
無理矢理精液を喉に流し込まれると、月は不快な苦みに咳き込んだ。
苦しむ月を目を見開いて眺め、咳の収まったのを見計らって濡れた唇に口を押し当てた。
月は涙を流しながら、歯を食いしばる。
涎に濡れた唇を舌先でなぞって、鼻梁を舐め目蓋に舌を這わせていく。
伏せられた睫毛をなぞり、目尻の涙を舐め取ると、竜崎は顔を上げた。
涙の味に不快そうに眉を顰める。
「涙は普通ですね、夜神月…いや、キラ」
「…だから、僕はキラじゃない…」
言い返そうとした顎を掴まれ横を向かされる。
耳朶に歯が当てられた。
「噛み切ったら、血が出ますかね…」
囁き声が月の頭に響く。月はびくりと体を震わせた。
言葉とは反対に舌が愛撫するように耳を這っていく。
暖かい蠢くものが溝を擦り、耳裏を音を立てて舐め、耳穴に押し込まれた。
月の感覚が耳だけに集まり、ぞくぞくとしてペニスが半勃ちになった。
竜崎の手がぬめる茎を優しくクチュクチュと弄る。
「…んっ、…」
腰から走る快感の呻き声を抑え込む。
「早いな…夜神」
より固くなった茎を弄び、指先で尿道口を擦り先走りを塗り広げる。
「…ぁ、…っん」
「精液も苦いし、涙も塩辛い。後は何ですかね」
扱きながら親指の爪を噛む。
「ありえない場所に歯でも、生えてますかね…」
半裸の月を無理矢理俯せに寝かせると尻の穴に指を突っ込んだ。
「あっ…やめろ…」
体を芋虫のように動かし逃げる月の腰が浮いた瞬間、両手でしっかりと細い腰骨を掴んだ。
膝で立たせ、服の中でいきり立つ竜崎の凶暴な物を押し当てる。
「…痛くされたいですか?」
聞いたことも無いほど低い声が牢に響く。
月は羞恥と恐怖で涙を流す横顔をシーツに押しつけた。
「っふ、…どうせ痛くするんだろ・・・」
「血が出たっていいんですけどね」
淫らに密着させた腰を練る。
「ただ…血の匂いは嫌いです」
月はホッと息を吐いた。
竜崎はポケットからチューブを取り出すと透明な潤滑剤を指に塗りつけ、月の後孔をゆっくりと犯して行った。
「ひ…うっ・・・、あ」
「指くらいで喚かないで下さい」
異様な刺激に腰が引けていく月の孔を、ぐりぐりと広げると押し入っていく。
一旦奥まで押し込んだ指を戻し、前立腺に押しつけ、ゆるゆると刺激し始めた。
「歯は無いですね」
「あっ…」
喘ぎ声を上げ、月の勃起した先から、だらりと白い液が漏れる。
「又ですか・・・」
竜崎は亀頭の液を手で掬うと月の髪と服で拭った。
敏感な先への刺激で月はびくりと痙攣する。
竜崎はズボンを下ろすと赤黒くそそり立つ怒張を取り出した。
横に寄ると、手錠を嵌めた腕にわざと勃起した怒張を触れさせる。
月はぎくりとした。横目に凶暴な色の太くそそり立つモノが目に入る。
「これから月くんに挿れます」
淡々と言う声が聞こえたが恐怖で頭が混乱していく。
「や…やめろ、入る訳ない…やめてくれ…裂ける…」
泣きながら嘆願するが竜崎は又月の腰を掴み尻に怒張の先を押し当てた。
「裂ける?その時はその時です」
指を一本しか入れなかった孔に無理矢理押し入って行く。
「は…あ…っう…あぁっ…」
苦痛を訴えるくぐもった悲鳴が月の喉から断続的に迸る。
竜崎は声に構わず掴んだ腰に捻り込むようにずぶずぶと犯して行った。
「痛いですか」
根元まで入れると月に訊く。
涙でぐしょぐしょになり、浅く息を吐く月は答えなかった。
竜崎は中を掻き回すように動かした。
「痛いはずです。どうです」
「あっ…ぐ…っ」
悲鳴を確認すると、徐々に突き始める。
月は背骨を走る痛みに悲鳴が出そうになるのを必死に抑え込んだ。
ずりずりと振動で肩や顔がシーツに擦り付けられる。
抑え込んだ筈の悲鳴がくぐもって喉の奥で鳴る。
竜崎は一旦動きを止めると潤滑剤を足し、激しく月を突き上げた。
「あぁっ!…が……う……ぐっ」
「そうです。月くん。痛いのなら啼いてくれないと…」
背を丸めた月にズブズブと怒張を出し入れしながら竜崎は微笑んだ。
「う…竜、っひぁ……ざき…僕は…」
「舌噛みますよ」
言葉に苛立ったように酷く突き始める。
月は揺らされて言葉を途切れさせ、呻き声を上げた。
竜崎が突然動きを止めるとずるりと怒張を抜いた。
月はぐったりとベッドに倒れこんだ。
月の茎からはいつ出たのか又精液が流れている。
緩んだ孔を掻き回すと、竜崎は指を確かめた。
「血は出なかったみたいですね。残念です。…夜神くん、どうですか」
覆い被さって顔を覗き込んだ。
「…は、…どうって…」
目を逸らして壁を見る。
「痛いですか」
「…痛いよ」
目を合わせないまま会話だけをする。
「そうですか…夜神くんにはもっと痛みを感じて貰わないと…」
胸倉を掴むと月を起こし、壁にもたせかける。
髪を乱暴に掴むと、潤滑剤でぬめる怒張を月の口に突き付けた。
「舐めて下さい。歯を立てたら、殴ります」
月は目の前にある卑猥な逸物にぞっとした。
自分の中で擦り合って混ぜ合わされた潤滑剤の匂いも薄気味悪い。
竜崎は月の綺麗な頬にぐりぐりと怒張を押しつけた。
「舐められませんか」
竜崎は片手で髪を掴んだまま、目の前で卑猥な肉塊を扱き始めた。
筋の浮き上がった怒張の先が段々と膨らみ薄い皮がパンパンに張っていく。
「おい…、な…やめろ。何だ…」
月が竜崎を見上げると、嬉しそうに口角を上げた口元だけが見えた。
薄い唇が今日は酷く酷薄そうに見える。
「もう…出ます…」
しゅるしゅると怒張を扱くと、勢い良く白濁液が月の顔に飛んできた。
顔を背けたのでギリギリと髪が音を立て抜ける感覚がする。
白濁液は何度か飛び出し、シーツに磨れた頬と胸に落ちた。
頬にダラリと精液を付けた月を見下ろすと、竜崎は無理に月の顔を挟んで前を向けた。
口に無理矢理、まだ固さの残る陰茎を押し込む。
「あ…、っ…ん…ふ」
「舐めて、下さい…歯を当てたら、殴りますから…」
月は嘔吐反射に藻掻きながら舌を蠢かした。
不快な味が口中に広がる。
涙を流しながら必死に顔を前後に動かす。
「…ふ……んっ、うぁ」
竜崎は掴んでいた髪を放すと、月の短い後ろ髪をぐちゃぐちゃと掻き回した。
「上手ですよ。月くん。…また勃ってきました…」
低く呟く声に月はぞっとした。
竜崎がそっと月の両耳に手を当てると、顔を離す様に促した。
「口と、後ろ、どっちが良いですか」
月はどんよりとした気持ちで無表情な黒い瞳を見上げた。
訊ねる声だけが異常に優しげである。
「…口の、ままで…」
竜崎は嬉しそうに口元を弓なりに歪めた。
「じゃあ後ろ、ですね」
もう一度ベッドに組み伏せられると膝を立てさせられ、溶けた孔にぐじゅぐじゅと入れ込まれる。
「あっ…」
甘く月の声が漏れた。
「感じるんですか…」
今度は滑らかに竜崎のモノを銜え込む月の部分に規則的に短い律動を刻む。
「う…あっ…っ違…あ」
「構いませんよ。啼いてくれた方が興奮します」
一旦ズブリと奥深く押し込むと、今度は深く突き始める。
「あぁっ…ん…ぁ……あっ…」
月は喉の奥から淫らな悲鳴を上げるのを止められなかった。
屹立した月の陰茎から粘る液が漏れてシーツに散った。
「簡単すぎますよ、月くん…」
「あっ…ぁ…ん」
竜崎はしばらくスラストするとふと動きを止め、びくりと躯を震わせて月の中に精液を吐き出した。
ずるずると怒張を抜く。
月はぐったりとベッドに俯せになった。
浅く息を吐いて目を閉じている。
竜崎は服を整えると、シャツを拾った。
月の息が整うまで檻に凭れ蹲って月を眺めている。
「…竜崎。…体が、気持ち悪い…」
細い声で月は訴えた。
竜崎は黒い瞳で月の顔を凝視する。
指でいつものように唇を弄る。
「そうですね…シャワーくらい使わせてあげますよ」
月は軋む体を持ち上げた。
後孔から竜崎の放った液がだらだらと出てくる。
その不快さもぼんやりとしか感じられない。
「…ありがとう」
「そうですね…風呂場ですれば、洗いやすいですね」
竜崎の目が光った。
「行きましょう」
月を抱えて立たせると、引きずるようにして檻を出て、付設のシャワー室へ入っていった。
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おわり




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